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はじめてのきづかい

全体公開 神無三十一受け 22 55 2527文字
2024-04-15 16:52:59

カルみと SS
通過シナリオネタバレあり

 

 本日も晴天、らしい。
 地下だから分からないけど。
 とたとたと元気良く足音を響かせて、ニトはスパローの廊下を駆けていた。

 「ニトおはよう、転ばないように気をつけてね。」
 「おはよう!だいじょぶ!!」

 「やぁニト!今日もボスの目覚ましかい?」
 「おはよー!そう!がんばってくるぞー!」

 仲間のアンドロイドたちの挨拶に笑顔を返したニトは、スパローの最奥にある縞斑の私室へとやって来た。
 縞斑がスパローのリーダーとなって間も無く、まだ新しいリーダーへの接し方が分からないニトにアサギリが重要な任務として彼の目覚まし役を命じたのだ。
 以来ニトは毎朝休みなく朝日が昇ると縞斑の私室に突撃して、ベッドの上に飛び乗り彼を文字通り叩き起こしている。

 「よし!今日もがんばるぞー!」

 扉の前でふんすと意気込んだニトは、扉を開けてそろりとその体を室内へと滑り込ませた。
 昨晩はひょんなことから手錠で繋がれたらしい神無も泊まっていたため、彼を巻き込まず縞斑だけを的確に狙って起こさなければならない。
 そう慎重にベッドへ近づけば、こんもりと盛り上がったシーツから穏やかな寝息がふたつ聞こえてくる。

 「一緒に寝たんだあ、でもそっか。」

 あの腕では客室やソファにどちらかを寝かせることもできないだろうと納得したニトは、間違って神無の上に飛び乗らないように二人の顔が見える位置へと回り込んだ。
 いざと地面を強く踏みしめたニトは、そうして目にした二人の様子にぱちりと目を瞬く。

 「えぇ??」

 そこには縞斑の胸に顔を寄せてすやすやと穏やかな寝息を立てる神無の姿と、そんな神無を守るように包み込んで眠る縞斑の姿があったのだ。
 怖い夢を見た時に縞斑のベッドに何度か潜り込んだことのあるニトだが、果たしてそのときだって縞斑がここまで自分のことを抱きしめることがあっただろうか。
 前リーダー同様過剰なスキンシップは行わない人間なのだろうと思っていたニトは、目の前の光景が信じきれずにぱちぱちと瞬きをする。

 「ななかよし……!」

 精一杯言葉を選んだ感想を口にした途端、縞斑の腕の中で神無が眉を寄せて小さく身じろぐ。
 むにゅむにゅと口を動かして眠たげに目を擦る神無を見て、ニトは慌てて彼を起こしてしまわないよう両手で口を押さえた。

 「んむ、ぅ……ん」

 縞斑と同じく朝に弱いらしい神無は、まだ肌寒い外気から逃れるようにぐりぐりと縞斑の胸に顔を寄せる。
 よく見てみれば、二人の間には手錠で繋がれた上に指先を強く絡めて繋いだ手のひらがあった。

 「わ……

 なんだか、見てはいけないような気がする。
 思わずそっと一歩後ずさったニトの一方、縞斑は繋がれていない方の腕を持ち上げてぐずる神無の頭をそっと撫でた。
 ブロンドの髪を手のひらで優しく撫でつけた彼は、僅かに身を落として神無の額に口付ける。
 小さなリップ音を残して離れたその感触と頭を撫でる手のひらがよほど心地良かったのか、腕の中の神無はほっと息を吐いて再び穏やかな眠りへと落ちていった。
 寝ぼけたままそれらをやってのけた縞斑は、ニトには気が付かないまま神無を強く抱きしめて再び静かな寝息を立て始める。

 「ワァ………

 やっぱりこれは、邪魔をしてはいけないのかもしれない。
 子供心に何かを感じ取って後ずさったニトは、足音を忍ばせて部屋を後にした。
 ぱたんと封印するように扉を閉じたニトは、未だ緊張に火照る頬を両手で押し潰して冷ます。

 「これが“シゲキテキ”ってやつなのか?」

 子供のニトには分からないけれど、縞斑が神無に向ける腕や唇は、スパローの仲間たちに彼が向ける家族のようなそれと大きく異なっていた。
 部屋の前でうろうろとニトが歩き回っていると、いつまで経っても起きてこない二人を心配したらしいリトが廊下の先から顔を出す。

 「あら?ニト、まだカルマのこと起こしてなかったの?」
 「ぴっ!?」
 「遊んでないで早く起こしなさいよ、まったく。」

 ため息を吐いたリトが歩み寄り、扉に手をかけた。その瞬間、何故だかニトは滝のような汗が吹き出て顔が強張る。

 「だ、だめだーー!!」
 「わっ、えっ!?なに?!」

 何故か彼女にあの縞斑と神無を見せてはいけないという感情に駆られたニトは、慌ててその手を掴んで廊下を駆け出した。
 困惑するリトの手を引いたニトはしどろもどろと言葉を探しながら縞斑の私室から確実に距離を取っていく。

 「カルマはその、昨日はお疲れだったから!もう少し眠らせてあげようと思ったんだ!!」
 「あんたそんな気遣いができたの?!」
 「な、なんだとー!?僕は今日間違いなく、大人の階段を登ったんだぞ!!」
 「はぁ??」

 賑やかに話しながら二人はぱたぱたと廊下を駆けていく。
 今日だけは任務を放棄してもレオには怒られないはずだと自分に言い聞かせたニトは、火照る頬を冷ますように風を切った。

 「ニトってば!それじゃカルマが昼まで起きなくなっちゃうわよ!!」
 「それでも今はだめ!!」
 「なんでよ?!」
 「なんでも!!!」

 遠ざかっていく子供たちの足音とやりとりをベッドの中から聞いていた縞斑は、思わずくすりと小さく吹き出した。

 「刺激が強すぎたかなぁ」

 彼の呟きに応えるように、腕の中の神無がむにゃりと眠たげに何かを呟く。
 再び奇怪な事件に巻き込まれたとはいえ、どうにか手に入れた恋人との微睡みのひとときを楽しむくらいは許されるだろう。
 宇宙人にキャトルミューティレーションされた挙句、遥か上空からパラシュート無しのスカイダイビングを強いられたのだから、これくらいは許されなければ割に合わない。

 「これくらいの現実逃避は許して欲しいよね。」
 「むにゅ、」

 縞斑はそう言い聞かせて神無を抱き寄せると、久方ぶりの二度寝を満喫すべく目を閉じるのだった。





ニトが気を遣って起こしにこなかった
気を遣って!?何に!?何を!?ナニしたの!?ってなった


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