@620kani
赤を基調とした豪奢な一室でエイトは額に汗を浮かべて肩で息をしていた。
「ぜぇ…ハァ…一体何なんだこの部屋…部屋の内装はエスター邸の俺の寝室によく似てるけど、微妙に違って違和感がある。窓もドアも全然開かないし…壁を破壊するのも無理っぽい…もしかして閉じ込められた!?なぁレイ〜そっちは何か分かったか?」
壁に手を当て静かに探査を行なっていた灰色の男は、エイトに一瞥もくれずに舌打ちをする。
「…うるさい。集中してんだ。黙ってろ」
「はいはい…邪魔して悪かったな」
先程までレイの指示を受け椅子の脚で壁を叩いて回っていたエイト。労いの言葉一つ言ってくれないレイに溜め息をつくと、部屋の中央にあるベッドに仰向けに横たわった。
(…しかしこの状況…どこかで聞いたことあるような…大人二人がベッドのある部屋に閉じ込められて…んんんー…?これってもしかして…)
ふと、顔を上げると天井にじわりと文字が浮かび上がってる事に気付いた。
(ん〜?…なんだアレ…クラインスト王国の文字だよな?えっと…『…しないと…出られない…部屋』?………あ、あーーー!!!)
「レイ!天井を見ろよ天井!」
勢いよく起き上がり天井を指差す。
「だから騒ぐな。天井がどうした……」
レイの猫のような瞳が大きく見開かれる。
「なぁ…アレってさ…
『SEXしないと出られない部屋』
…って書いてある気がするんだけど…俺の気のせい?」
「…いや、あってる。だが、それだけじゃない。正確には…」
レイの薄い唇が素っ頓狂な言葉を読み上げる。
『魔力のやり取りを一切せずにSEXしないと出られない部屋』
「……なんだよソレ!?!?俺が知ってる『SEXしないと出られない部屋』と違う!何その謎の縛りプレイ…!?」
レイは意外そうな顔でエイトを見る。
「…なんだ。あんた知ってるのか?その『SEXしないと出られない部屋』ってのは何なんだ?」
純粋な興味の眼差しにエイトは思わず目を逸らす。
「え〜と…俺の元いた世界ではよくあるパターンの…何というか…春画や官能小説の題材の一種?面倒な説明省いて登場人物達にエッチな事をシて貰う為の、ご都合主義でファンタジー色強めのシチュエーションであり導入…とでも言えばいいのか…?」
しどろもどろな答えをレイは無言で聞いている。
「舞台は謎のパワーで何やっても出られない仕様の部屋。課されたお題を二人でクリアすれば出してもらえるっていう…まぁ基本はSEXなんだけど…」
あまりにも馬鹿馬鹿しい説明内容に、エイトは自分で言ってて恥ずかしくなってきた。
(何この羞恥プレイ!?レイの奴、こういう時に限って茶化したり嗤ったりしないで真面目に聞いてくれてるし!?)
「バカみたいな部屋の名前と、出られない構造、ご丁寧に用意されたデカいベッド…よくあるパターンの部屋だと思う」
「つまりアンタと一発ヤればこの部屋から出られるってことか」
「たぶんそうだな。だけど…問題は『魔力のやり取りを一切せずに』って一文だよな。何だよそれ…誰得なんだよこの縛り…?」
改めて天井の文字を注視すると、『SEX』の文字列の手前にしっかりと書いてある。
「…困ったぞ。俺、レイとヤル時は興奮し過ぎて魔力ドバドバ出ちゃうんだけど…あれって止めようと思って止められるモンか?」
助けを求めて隣の美人を見るがあっさりと首を横に振られた。
「…今のあんたにはまず無理だろうな。最初から最後まで息止めてSEXしろって言われてるようなものだ」
「だよなぁ〜。お前も魔力ムンムンに出すから、二人の魔力が混ざっていつもスゲェ事になってるよな?濃密に触れ合ってれば意識しなくても勝手に魔力あげちゃうし貰っちゃうし…最中に魔力のやり取りを一切するなってのは土台無理な話なんじゃないのか…?」
呻くエイトを無視して、レイは自分の体内の魔力に意識を集中させ思考を巡らせる。数秒後ーーー
「…おい、あんた俺の手を握ってみろ」
レイが革の手袋をはずし、白くて長い指をエイトの方に差し出す。
「ん?ほら………あれっ!?」
言われるがままにエイトは体温高めの手で冷たい指先を握り返す。が、何度握り直しても、どれだけしっかり握っても、レイの素肌の感触と体温以外の要素を確認出来ない。
「…お前の魔力を…感じ取れない?」
どんなに軽口、憎まれ口を叩き合っていても、そばにいれば心地よい魔力が二人の間を循環するのが常だった。しかし今はその流れが完全に断たれている。
「俺もあんたの魔力を感知出来ねぇ。この至近距離でこうして触れ合ってんのに、だ。この部屋で目を覚ました時から違和感を感じてはいたが…あの天井の文字を認識した瞬間から何かの仕掛けが作動したようだな。
どうやらこの部屋では俺とあんたの魔力は封じられている。魔術の行使や魔力の放出、操作、それから互いの魔力の察知が妨害されてるようだ。つまり…」
レイが口の端を優美に吊り上げる。
「理屈は不明だが好都合だ。このまま一発ヤればこの悪趣味な部屋から解放されるってコトだろ?」
繋いだままの手の甲にレイは音を立ててキスを落とし、艶めかしい視線でエイトの心を掻き乱す。
「いや、ちょ、ちょっと待ってくれ…頭の整理と心の準備を…」
(つまり、俺のテクニックだけでコイツを満足させろって事か!?…出来るのか今の俺に…?未だにレイのテクに翻弄されて先にイっちゃわないよう日々必死で耐えてる俺に…?コイツが気に入ってる俺の魔力抜きでちゃんと最後まで満足させられるのか…???)
焦るエイトとは対照的にレイの思考は淡々と冷めていた。
(…ヤルのはいいが…魔力抜きでか。今までそんなプレイやったコトねぇから不測の事態もあるかもしれねぇな…もしコイツと魔力抜きでヤッて俺が全然感じなかったらどうする?コイツ、テクはまぁまぁだが、やる事がぬるいからな…普段は膨大な魔力に圧倒されて良過ぎて前後不覚になっちまうが…魔力無しだとそこまで盛り上がんねぇよな?…仕方ねぇ。部屋から出る為だ。久々に俺がリードしまくって演技で喘いでやる必要があるか…)
失礼な事を考えながら独断で段取りを決めるレイを他所にエイトは持ち前のポジティブシンキングで自らを鼓舞していた。
(いいや弱気になるな俺!レイの度重なる強襲…いやレッスンで魔力以外のコツも身に付いてるはずだ…!コイツのイイトコも覚えたし…!イイって感じる力加減も分かってきたし!やる前から諦めてどうする?男だろエイト!)
エイトがちらりとレイの方を見やる。美しい横顔からは何の思考も読み取れない。
(逆にコイツが俺に反応しなかった場合は…いや、考えすぎだろ。コイツに限ってそれはない。発作で動けない俺とする時も…俺の魔力が枯渇してろくに誘惑してやれねぇ時も、ちゃんとおっ勃てて最後まで出来てるし…魔力無しでもコイツは確実にノッてくる)
レイは隣の男を盗み見る。
(よーし!やる気が出てきたぞ!普段レイとする時はどうしても魔力頼みになるけど…これは俺のテクを認めて貰う絶好のチャンス!そもそも俺の元いた世界じゃ魔力無しのSEXが当たり前だったんだし?いっつも経験値の差で泣かされてるけど今回ばかりは俺に分があるんじゃないか?頑張れ〜俺!負けるな〜俺!)
(…こんな状況でも何故かヤル気は十分にあるみてぇだな。…いいよな、若いって。…とりあえずコイツを俺の中で射精させれば万が一俺がイけなくてもSEXしろって条件は満たせるよな?)
思考が一段落ついたところで二人の目と目が合った
「…えっと…やる?」
「いいぜ?こいよ」
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「ン…ちゅ…ふぁ…レイ…なんか、いつもより…キス…長くないか?」
ベッドの上で互いに服を脱がせ合いながら唇を深く重ねる。
「…ン………チュ……んなもん、サービスに決まってるだろ?…俺の魔力の匂いが大好きなあんたが、魔力無しでもちゃんと頑張れるように、な?」
白い指がエイトの耳や顎の下をいやらしく擽る。
「んっ…そりゃ、ありがたいケド…ふぁっ…ン……俺にも、もっとさせてくれよ?」
レイの巧みなキスにより、エイトの体温と息は既に上がっていた。
(チクショー…レイのやつ、まだ余裕そうだ…普段のSEXで俺がどれだけ魔力に助けられてたか痛い程分かってきたぞ…いつもはキスの魔力でレイも早い段階で興奮してくれるけど、今日はまだ全然涼しい顔だ…。俺ばっかりぐしょぐしょにされて…このままじゃいけない。もっとレイを気持ち良くさせたい!)
「ふぅ…レイ…触ってもいいか?」
強気に攻めてもレイの気分次第では容易くマウントを取られてしまうので、あえて甘えた声で下手に出るエイト。順調に昂りを見せるエイトをさらに煽るため、レイは甘い声で誘い文句は放つ。
「…俺は別に、前戯無しでも構わないぜ?」
…が、その一言はエイトには逆効果だった。
「…いや、構えよ…構ってくれよぉ…前戯は大事だって何回言えば分かってくれるんだよぉぉ。なんとく、今回はお前がそういうコト言いそうな予感はしてたけど、やっぱり言いやがったな?もぉぉおぉおぉ…レイ〜、お前って頭良いクセに、そういうところは本当ちょっとアレだよな…?」
「…あ゛?何キレてんだよ」
誘いに乗らず嘆き出したエイトに、レイは形の良い眉を顰める。
「俺はさぁ…前戯無しのSEXを本当のSEXとは認めないからな。もしもこの部屋作った奴の嗜好が俺と同じだったら、部屋から出るための条件にある『SEX』はお前が言う『さっさと突っ込んでナカで出して終わりなSEX』じゃなくて、『ちゃんとキスして愛撫して互いが気持ち良くなるSEX』…かもしれないだろ?」
エイトの指摘にレイは口を噤む。
「…露骨に面倒臭そうな顔するなよ…早く出たいって気持ちも分かるけど、ここは焦って色々省略しちまうより、一つ一つ順を追ってやった方が確実だと思う」
エイトは己の直感を信じた。おそらくこの部屋の意図はそういう事なのだと。
「ハァ…面倒クセェ…だが一理あるかもな。他に脱出手段も無い。仕方ねぇからあんたの考えに付き合ってやるよ」
SEXしないと出られない部屋、についてはレイよりエイトの方が造詣が深い。レイは不満が残るもののエイトの案に乗るのが得策だと判断した。
「レイ〜分かってくれたのか!」
感激して抱きつこうとしたがするりと避けられる。
「…今のでだいぶ冷めちまったよ。せっかく少しだけ気分がノってきてたのにな」
予想以上に自分の情欲の火の付きが遅い事に、レイは内心焦りを感じていた。
(…コイツが下手なわけでも、俺が全く良くなってないわけでもないが…やっぱりいつものようにはいかないか)
エイトは空気を読んで、あえて空気を読めてないような言葉をかける。
「OK 、OK。このエイトさんに任せなさいって。お前は魔力無しでヤルの初めてなんだろ?なら、今日のところは俺にリードさせてくれよ。なっ?」
「はっ。…初めて、だと?あんた、俺をおぼこ扱いとは偉くなったモンだな」
迂闊な一言はレイの皮肉で叩き落とされる。
「あっ、いやそういう意味で言ったんじゃないんだけどなぁ?アハハ…いやでも実際そういうコトになるのか?そうか、お前にとってはある意味初体験…レイの…初めて…」
初めて、と言うワードを噛み締めるエイト。
「………嬉しそうにするな」
「はっ!…ち、違うんだって。…今まで身体を守ってた魔力がまるで使えない状態でSEXするんだからさ…普通は怖いもんだろ?…いや、お前がこの程度のことでビビるような奴じゃないのは知ってるけど、何があるか分からないし…。出来る限りしっかり準備してゆっくりやった方がいい気がするんだよ」
穏やかな声で言い聞かせながら、エイトはレイを膝の上に乗せる。これ以上時間を無駄にしたくないレイは特に抵抗はしなかった。
「…普段以上に生温いやり方じゃ俺を満足させらんねぇぜ?魔力無しだと…よっぽど激しく、壊れる寸前までヤんねぇと感じないかもな」
だから大人しく自分にリードされておけ、それがレイの主張。
「うーん…それなんだけどさ…」
エイトがレイの白い手を取る。相変わらず魔力は感じられない。けれど相手の存在と感触、体温は分かる。
「魔力が制限されてるからって、俺もお前も別に不感症になったわけじゃないだろ?」
エイトは両手でレイの手を包み込むと、その手を温めながらリラックスさせるようにゆっくりとマッサージを施す。
「普段のように激しく盛り上がるのは難しいかもしれないけど…丁寧にやればちゃんと気持ちのイイSEXが出来るはずだ。俺が元いた世界は、魔力とは無縁だったからさ。SEXは互いの協力と己のテク、そして相手への思いやりで盛り上げるものだったんだぞ?」
両手を丹念に揉みほぐされレイの心は徐々に解れていく。
(…ぬくい……気持ちいい…)
解されてようやく、レイは自身が柄にもなく、この状況に緊張していた事に気付いた。
(…はぁ。これだからコイツのコト、あんま馬鹿に出来ねぇんだよな…。だが…)
このまま部屋から出られない事態だけは避けたい。レイは自分が主導権を握り動くべきか、エイトに委ねるべきか、まだ迷っていた。
エイトは挫ける事なくわざと大口を叩く。
「…あんまり難しく考え過ぎるなって。やっぱり少し不安だったりする?…心配するなよ。やるのはいつも通り、ただのSEXだ。何事も経験ある方がリードするのが効率いいだろ?だーかーらー、ここは黙って魔力無しSEXのプロに任せろって言ってんの!なっ?」
虚勢を張り道化ぶる姿が琴線に触れたのか、レイは僅かに目を細める。
(…フッ。自分だって、言うほど自信ねぇくせに)
いつもの扇状的な笑みで試すようにエイトを誘う。
「…思いやり、ねぇ?そんなんで本当に気持ち良くなれるのか?出来るってんなら、俺の身体で証明してみろよ」
この男がどこまで出来るのか。
自分の身体がどこまでそれに応えられるのか。
知っておきたい。
レイの中にそんな好奇心が芽生えていた。
「言ったなー?へへへっ、いいぞ?お前にとって未知の気持ち良さを、俺がたっぷり教えてやる」
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仕切り直して二人はキスを再開する。ただし今度はエイトがリードする形で
「…ぁ…チュッ…はぁ…あんたのキス…出会った頃と比べると、随分マシになったな?」
ほんのり頬に赤みがさしてきたレイにエイトは悪童のような笑みで返す。
「ン…ふっふっふ、そりゃあ良い教師に恵まれたからな?ァ…んっ…とびきりキスがエッチでぇ…すっっっげぇ上手い、自慢の先生がいるんだ…魔力の使い方も…キスもその人が教えてくれた…はむっ…ンチュ」
「フッ…あんたみたいな奴に、こんなやらしいキス教え込むなんて…ロクな奴じゃないぜ?ソイツ。…はぁ、ンッ…遊ぶ相手は、ちゃんと選んだ方が…いいんじゃないのか?」
レイがくつくつと心底おかしそうに笑う。
舌先でレイの口内を擽りながら、エイトは自分の心が彼の笑みで擽られているように感じた。
「…やだね。だって…楽しいんだよ、お前と遊ぶの…ンっ…」
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白い胸に舌を這わせながら手で半勃ちの股間をまさぐる。
「…っ、あんた、今日は慎重過ぎないか?」
「そりゃあ慎重にもなる。魔力無しでどこまで出来るか分かんないけど、お前に痛い思いさせるのは絶対イヤだし?…それにぃ、終わった後で『いつもよりも良かったぜ♡』…なんて、お前に言われたい。そんな大それた欲もわいてきた。チュ…はぁ…なぁ、レイ?…ココ、気持ちイイかぁ?」
「…ッ…聞くな、…わざわざ言わなきゃ、分かんねぇのか?」
乳首を甘噛みされ、レイは身を捩る。エイトが触れる度、徐々にレイの熱も高まっていく。
「うーん…分からなくもないけど?…どうせなら、俺の愛撫をお前がどう感じているのか、言葉にしてくれると嬉しいんだけどなー?」
エイトが上目遣いにレイの表情を窺えば、その顔は明らかに快感を感じている。
「………悪くはねぇよ」
「それって、イイって意味?」
「…俺が、あんた相手に遠慮するタマか?…良くねぇならはっきり言う。痛かったら『この下手クソが』って罵ってやるから…だから、あんまり聞くな。ンッ、ぁ、…いちいち手を止めんなよ…ちゃんと…ぅ、良くなってきてるから、そのまま続けろ…」
レイが震える腕でエイトの頭をかき抱く。
「…んへへ、りょーかい」
ちゃんと感じてくれてる事が何よりも嬉しくて、エイトはニコニコと場にそぐわない笑みを浮かべる。
「…ニヤニヤ笑うな」
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部屋にいやらしい水音が響く。ベッドサイドに『ご自由にお使い下さい』とばかりに用意されていたローション。ありがたく、惜しみなく使って、エイトはレイの下半身に奉仕していた。
「んっ、へい?ひもひいい?」
「…ッ…あんたのフェラ…なかなか、だな…」
「チュプ…ハァ、んぐ…」
喉の奥まで使いレイを悦ばせようと必死のエイト。頭を前後にスライドさせるとレイが堪らず身体を震わせる。
(レイって…本当にどこもかしこも綺麗だ…前も後ろも淡くて可愛い色してる…全部キスして舐めて…もっと触ってドロドロに甘やかしたい…)
レイの性器が勃ち上がりきった事を確認すると、エイトは未だ固く閉ざされた後孔にローションまみれの指をそっと這わせた。
「ッ…はあ…」
(いつもならすぐにトロトロになって俺を受け入れてくれるのに、今日はまだ窮屈だ…指一本も入らないぞ…ここは、ゆっくり、じっくり解かさないと、な)
ローションをさらに足して入り口に塗り込め、少し緩んで来た所で中指を一本、慎重に出し入れする。レイが僅かでも眉を顰めれば口での奉仕を強め気を逸らす。
「…ぁ、…ソコ…もっと…」
(んー…声が少しずつ高くなってきてるな…ちょっとはほぐれてきたか?…よーし、もう一本…っ)
入り口をゆっくりと掻き回し、前立腺を丁寧に擦り上げ同時に竿をもう片方の手で扱きながら鈴口を舌先であやす。エイトの顔は汗と唾液とローションとレイの先走りでぐっしょりと濡れていた。
どれくらいの時間、夢中で奉仕し続けていたのか。
ふと顔を上げると恨めしそうな焦れた瞳と目が合う。
(あ…レイの奴、ちょっと怒ってるな…まずい…時間かけ過ぎたか?…でも、焦るなって、あとちょっと、もう少しだから…っ)
『いい加減いいだろ?ヴァージンじゃねぇんだよ。早く挿れろ』そんな言葉を吐こうと開かれた唇は、直後に行われた前後への同時責めにより嬌声しか出せなくなった。
「…アッ…!?待、て…!クッ…ん、ッ…あ、ンッあぁ…ッ!」
(あぁ…レイの、ビクビクしてる…イキそう?ちゃんとイケるか?腰、自分で揺すっちゃって…かわいい…かわいいなぁ。俺の、全部使っていいから、全部出してくれ、よっ)
「…ッ!…んァ…イ、いくっ、もう、はなせ…!あ、ンァ、…っクッぅぅう!!!」
達する瞬間、レイが腰を引こうとするも、エイトが両手で腰をホールドし逃さなかった。
(…!!!!ん、グゥ…レイの…、濃い…っ)
レイの欲を口で受け止めると、エイトはしっかりとそれを味わってから、音を立てて飲み干した。
ゴックン
「…はぁ、ぁ、…はぁ………飲むなよ…」
レイは頬を上気させたまま、呆れたような困惑したような表情で睨んでくる。
「…んー?俺のフェラでイッたのが悔しい?それとも、飲まれるのは流石のお前でも恥ずかしいのか?」
エイトの揶揄うような質問にレイは冷めた声で返す。
「そんなんじゃねぇ…俺はただ、魔力がこもってない精液を飲み干す意味がわからないつってんだよ」
「………えっ!?飲み干す俺を見て興奮したり支配欲満たされたりしなかったのか?こう…ゾクゾクしたりしない?」
エイトにとってそれは意外な反応だった。
(あれ???今のダメだった?あ、いやフェラ自体は良かったからちゃんと出してくれたんだよな?でも…飲んだのはアウトだったのか?えぇ…?レイって俺をヒィヒィ言わせて愉しむタイプだし、こういうサービスも喜ぶと思ったんだけどな…というか普段はレイだって俺のを平気で飲んでくれるじゃん!…って、そうかあれは魔力と俺を煽るのが目的なのか…!?)
「………今はそういうプレイじゃないだろ?こんなんで気分がアガるかよ…」
普段なら真正面から見つめてくる視線が今はそらされてる。
(これは…若干本気で嫌がってる+結構ドン引いてる?…あちゃー、せっかくレイが気分良くなってきてたのに、俺しくじったのか?)
「そうか…ごめんな?お前が良くなってくれたのが嬉しくてついやり過ぎた」
このまま盛り下がってしまっては二人の今までの苦労が水の泡。エイトは素直に謝る。
「…俺が搾る側、あんたは出す側だろ?…俺のをあんたが飲む意味もメリットもねぇんだよ」
「んー、メリットも何も、…俺は飲みたくて飲んだんだぜ?お前が俺の口で気持ちいいってイッてくれた証だ。熱も精液も一滴残らず全部受け止めたかったんだよ。…いや、俺のただの自己満足だな。悪かったよ」
「………」
「…お前が嫌ならもうしないから。次いこう。次」
軽い口調で流す。
(レイとのSEXはお互いにとって楽しい時間にしたい。嫌な事はすぐに忘れて、さっさと切り替えて、これから始まるもっとイイ事に集中してほしい…)
エイトは口の周りを拭うと、改めてレイを抱きしめた。
「俺も、そろそろ限界だから。…挿れてもいいか?」
窄まりに指を這わせる。十分に解かされたソコは期待するように指に吸い付いて来た。
「…イイに決まってるだろ?待ちくたびれてんだよ、コッチは」
レイは平静を装いつつ、エイトからは見えない角度で少し困ったような顔をしていた。
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赤みと艶が増した後孔に、エイトは今にも破裂しそうな自身をあてる。
「…挿れるぞ?力抜いて…リラックスしてくれ」
「……は、ンぅっ…」
(…あぁ。この状況、本当にレイの処女を貰ってるみたいで…興奮する…堪らないっ)
早急に奥まで侵入したい欲を必死で抑えて、相手の反応を伺いながら、普段の何十倍も時間をかけてゆっくりと腰を進める。
(…魔力が感じられなくても、レイの中、熱くて窮屈で…気持ちいい…ちゃんと俺のを受け入れてくれてる…まだ半分も挿れてないのに、どうしよう、俺…、おかしくなりそう)
「はぁ、…んっ、これで、全部…っ」
エイトが根元まで挿れると、レイはぼんやりとした表情で自分の下腹部をゆっくりと、確かめるように撫でた。
「…ッ…、ふ…入ってるな、あんたの…」
魔力無しで味わう初めての他人の肉体。圧迫感は感じられるものの、エイトの熱と質量はけして不快なものではなかった。
(…むしろ、俺の中に馴染んでるような…まだ動いてもいねぇのに、腹の中、熱くて…気持ちいい…)
じわりと胸の奥と下腹部に熱が灯るのを感じる。
(…コイツとは単に魔力の相性がバカみたいに…奇跡みたいに良いだけで、別に身体の相性がいいわけじゃない…そう思っていたんだがな…これじゃ、まるで…)
撫でた腹筋の下、奥の方にエイトの存在を感じる。レイが、いつもやるように意識して後孔を締め上げてやれば、ナカでビクビクと可愛らしい反応を示す。
「うぅ…ちょっと…レイ〜、馴染むまで動かさないようにって我慢してんのに、なんでちょっかいかけてくるんだよぉ………なーに?誘ってる?…もう動いてもいいのか?」
「あぁ…ンッ、痛くも苦しくもねぇから…動けよ。…おい。そんな風に心配そうな顔ばっかするんじゃねぇ…萎えちまうだろ?…本当に平気だから、…あんたの好きにしろ」
それは普段より覇気のない声だった。しかし、レイの熱と情欲が滲み出ている。嘘でも演技でもない様子のレイの言葉に、エイトは胸と涙腺が熱くなったが、必死で堪えて返事を絞り出した。
「あぁ…あぁ。とびきり、大事にする」
ゆっくりと腰を前後させ少しずつ速度を上げていく。
「ンッ…はぁ…ぁ、あぁっ」
レイもエイトの動きに応えるように自ら脚を広げ腰を揺する。
二人のSEXは、普段であれば魔力の影響が強過ぎて、まるで媚薬でも嗅がされたように脳と下半身の制御が難しくなる。
(…でも今は…すっげぇ興奮してるけど、思考はクリアだ…いつもよりレイの表情がよく見える)
経験豊富で自分よりも何倍も大人な男を前に、エイトはおかしな考えにとらわれていた。
(なんでかなぁ…レイって時々…迷子の子供みたいな顔するんだよなぁ…実験に行き詰まってる時とか、疲れてる時とか…あと俺とヤッてる最中にも、たまに。…今もそんな顔してる。縋るものが無くて、困ってるみたいな。どこか心細そうな…。あぁ、その顔、かわいい…可愛い。…大事にしてやりたい、俺に全部任せてほしい。俺がお前の望む事、何だってしてやるから…)
徐々に激しく深くなる動き。
部屋には二人の荒い吐息と肉のぶつかり合う音が響く。
腕の中でいつもより控えめに、けれど確かに喘ぎ、縋り付いてくるレイに、エイトは完全に魅了されていた。
すでに秒読み段階の下半身。溶ける思考の中、エイトの心に一抹の不安がよぎる。
(…ぅ、まずい…この部屋、ローションや玩具はたくさん用意されてたけど、ゴムだけは無かったんだよな…)
切羽詰まったエイトは、恥を忍んでレイに直接問う。
「レイ…レイ?っ、お前の中に、…俺の、出しても、良いかッ…?」
「?…いつも中でイッてる野郎が、何を今更…うっ、んぅ、…アッ」
「だって、だって…俺の精液、今、魔力無いんだぜ?ッ…中に出しても、お前に、メリットが無いだろ?ギリギリまでヤッて、外に出した方がいいの、かなって…」
レイは毒気を抜かれ目を見開く。
(…さっきの会話を気にしてやがったのか…。ハァ…察しはいいクセに。妙なところで鈍いな…コイツ)
「…ばーか」
レイは眉を下げ脱力した笑みを浮かべる。
「今は…魔力じゃなくて、奥に、あんたが欲しいって、思ってんだよ…ッ、ンぅ、受け止めてやる…全部出せよ…」
静かで熱烈な言葉に、エイトの中心はますます膨張した。
「レイ…っ、そんなこと、言われたらっ、俺もう…!」
「ッ…はぅっ、ン、もっと…奥…こいよ、…あっ、んっ、…っ、ふぁ………アあぁっ…!!!」
何度も名前を呼びながら自分の奥で果てる男をしっかりと抱き返し、レイも一際甘い声を上げ絶頂を迎えた。
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(………魔力無しでも、イケるもんだな。…正直、悪くはなかった。…いや、予想してたより…遥かに良かった。
…生温いプレイは性に合わない…と言うかそんなんじゃイケねぇって思っていたんだが…今回、魔力無しでヤッてみて気付いた事がある。…驚いた事に、俺の身体はコイツに優しく抱かれんのを…案外、…イイと感じてる… )
飛ばした意識の中で淡々と自己を分析する。
とうの昔に調べ尽くし、使い潰し、何よりも熟知ししていたはずの己の肉体。そんな身体の知らない一面を見つけ、レイは静かに感心していた。
(…コイツは、どうしてこうも俺に未知のモノばかり寄越してくるかな。…なぁ、大魔法使いエイト。あんたが蒔いた種だ。…責任は取ってもらわないと、なっ?)
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「はっ、はぁ、はぁ…ふぃ〜〜〜出し切ったな。…おーい、レイ、大丈夫か?どこも痛くない?」
「…、はぁ…、はぁ…ぅ…」
「…本当に大丈夫か?なんか、まだ、中がビクビクしてるな…ちゃんと息出来てるか?一旦抜くぞ…?」
ガチャッ
ドアの方からわざとらしく鍵が開く音が響いた。
「…あ!おい、やったぞレイ!無事に出られそうだ!」
「………待てよ」
抜こうとしたエイトの下半身にレイの長い脚が絡みつき動きを阻む。
「ふんぎっ!?」
「…あんた、まさかたったの一回で満足したのか?」
先程まで甘い声で鳴いていた男とは別人のような低い声。
「れ、レイ…?」
エイトは恐る恐るレイの表情を伺う。
数秒前まであった恍惚とした表情はどこへ行ったのか。口には凶悪な笑みを浮かべ、瞳は獲物を見つけた猫のようギラギラと輝いていた。
(あぁ…コレはいつものペースのいつものレイだ…いつもの実験狂だ…)
「別に、一発ヤッたら部屋からすぐに出ないといけないってルールは無いだろ?」
「そりゃそんな規則は書いてなかったし聞いた事もないけど…でもこの手の部屋ってカラオケやラブホみたいに滞在時間を延長するものでもない気がするぞ?苦労の末やっと出られるようになったんだし、物足りないって言うなら此処を出てからヤればいいんじゃないのか?」
「これほど完全に魔力を遮断してヤれる機会なんてもう二度と来ないだろうな。…試したい事がある。俺の身体とあんたの身体、もっと互いをよく知りたいと思わないか?…当然、思うよなぁ?」
「まぁ…お前のコトもっと知れたら嬉しいけど……ンァ…こら、ちょっと、待てって…ンぐぅ…」
レイがまだ熱い中をキツく締め上げてくるので、エイトのソレは一瞬で復活した。
「付き合ってくれるんだろ?…それとも、俺を置いてあんただけ出て行く気か?」
レイの熱い視線にはエイトが自分の誘いを絶対に断らないという強い確信が込められていた。
「…いいや、勿論付き合うって」
(これはある意味、頼られてる、と受け取ってもいいんじゃないのか?もしくは甘えてくれてる、とも…?ちょっとかなり強引で一見とてもそうとは思えない態度だけど。でもこれはきっとレイなりの…)
本当はもっと余裕のある大人な態度で返したかったが、エイトは気持ちと表情が緩むのを止められなかった。
「…へへっ、なになに?そんなに気持ちよかったのか?魔力無しでヤッて、俺のテクニックがどれ程のモノか分かってくれちゃった……うわ!?ちょ、ンッぷ、ンンッ!」
「はぁ…ンッ、うるせぇ、いいから、さっさと続きヤるぞ…」
エイトの軽口をレイは濃厚なキスで黙らせる。
二人が部屋を後にしたのはそれから5時間後だった。