ミコトの話をするレアとヘレン
@82sousaku
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医務室。ヘレンの診察室。
ミコト・テルヒに手合わせを申し込んで惨敗。
くっそ強ぇ。何なんだよアイツまじで。
自分が弱くなっただけ、かもしれない。
けれどもアイツも昔とは戦い方が変わっていた。
異様な速さの壁をぶつけてこようとするとか怖すぎる。
勿論当たった。ぜーーーーんぜん容赦がなかった。
こっちはかすりもせずに負けた。いや、やっぱオレの腕も鈍ってるかも。
「なあ、ヘレン」
「なんですか、レアさん」
ヘレンに傷を治してもらうのもいつぶりか。相変わらず丁寧な仕事だなぁと感心しながら声を掛ける。
服を着ながらなのはまあ、いいだろう。別に。
声を掛けられたヘレンは首を傾げた。
「アイツ、治んねぇの?」
元々変だったけど。
そこくらいには戻んねぇのって。
「あー……」
「もったいねぇじゃん」
「まあ、そうなんですけどねぇ」
ヘレンは腕を組みながらむぅ、と口を尖らせる。
「本人も悔しいとか惜しいって気持ちはあるみたいではあるんですけど」
「おう」
「あの人って最初っから“ああ”じゃないですか」
「……それは最初っから鈍いってのか、元々楽とか言ってるのどっちに掛かってる?」
「どっちもでーす」
ヘレンは端末をすいすいっといじって何かを見る。
多分ミコトのカルテか何かだろう。
さすがに個人情報なので見ないようにはしておこうかとちょっと目を逸らし
「さすがに個人情報だから見せらんないんですけど、……なんかね、ミコトさんの中で完結しちゃってるんですよね」
とん、と端末を叩く。
「完結」
「そう。前線には出たい。だけれども痛覚は無い方が楽。なら最終防衛地点でいるのが最適解? みたいな?」
「あー……」
「まあ、実際総務になってからの大きな傷って稀ですからねぇ。後方で支援に徹していればあの人怪我負うことなんてそうそうないもの」
それはそうだ。久々に戦ったからよくわかる。壁が防御だけでなく攻撃手段にもなったのならば、よほどのことがなければ大怪我はしない。
勿論〝神〟と対峙した場合は別としてだけれど。
「アイツ引退してからどれくらい?」
「一年くらいですかねぇ……」
「ああ、オレより直近かぁ」
ブランクもない。訓練もほぼ毎日している記録があった。
それに比べてこちらはブランクがある。
アイツと違って精神体に異常はない。ただ心の弱さで前線に立てなくなっただけだ。
「さて、カウンセリングもするんでしたっけ? ちゃんと聞きますよー」
端末をふりふり。そこには前の支部から送られてきたであろうオレのカルテが。
「ああ、頼む。アゲハでも良かったんだがアイツはちょっとな」
「いえいえ。頼れる先は複数ある方が気が楽かとー?」
「……ああ」
アイツにもいんのかなそういう奴。
いたら、いいんだけど。
などと、柄にもなく旧知の心配をするのであった。
後日、なんとなく安心するのはまた別の話。
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