@SpaceIsVast16
その姿はどこからどう見ても犬だ。
ポッドに乗って人語を話す犬。
「ワンワンワン…、私のスマートさに君も恐れ慄いていることだろう…。何と言っても私は『Papyrus様』に改造されたエリートドッグだからな!」
「…もしかして言葉を喋ることができるのって…。」
遺伝子改造して生物を作るとは…。僕が苦手なタイプかも…。
「あ、いや。この喋るのは自前だワン。」
「凄くない?何あの犬。」
「…この子は私の頭の中にいないわね…。恐らく私たちがいなくなったあとこうなったのね。」
「いちいちハナにつク…。」
「花だけに?」
「さムっ!!!」
「注目してくれる君に免じて、私のことを教えてやる!ワン!」
そう言うと決めポーズを決めた。
「私はDr. 109!犬語と人語を話すバイリンガル!相棒はワンボー!そして何より…、(自称)天才だワン!」
「自称なんだ…。」
「え?」
音声認識のテロップを見てみると、勝手に(自称)がついている。誰のイタズラだろうか。
「ちょ、ちょっと(自称)!違う!本当の本当!」
短いあんよで届かない(自称)を払おうとしているが、それよりも気がかりなことがある。
「ワンボーを相棒って言わなかった…?」
ぜぇぜぇ息切れを起こした109はその言葉が気に食わないらしく、どうにも機嫌を損ねたようだ。
「やっぱり君もワンボー目当て!!!僕、いや私も注目されたいワン!!!こうなったらウォンテッドな君を捕獲して注目されてやる!…君には、ちょっと悪いけど。ワン。」
癇癪?を起こすとランチャーを乱発して辺り一帯を破壊し始めた。
その弾は僕たちの方へも近づいてくる。
僕は一目散に逃げ出した。
そこかしこで爆発とその瓦礫が僕を襲う。
「これUndyneよりもヤバくない!?」
「近代兵器なんて卑怯者!!!」
「ちょっと待っテ、もしかしたらこれ行けるかモ…。」
Boogieが腕代わりの葉っぱを大きくする。
「何するつもり?」
「たまには大博打打ってみようかなっテ…!」
そう言うと、パチン!とランチャーを思い切りビンタで弾いた。
すると軌道が変わり、Dr. 109の方へ向かっていく。
直撃し、思い切り爆発。
真っ白でふわふわの犬は、こんがりと焦げたパンのように茶色く染まる。
口からは黒煙。しばしの沈黙。
「熱いし痛いワン!ウワーン…!」
可愛い両手をぶんぶん振り回し大鳴き、ではなく大泣きした。
「あれ直撃で何で生きてるの…?」
「あぁいうのは大抵ゲームでもしぶといヨ。」
ぐしゃぐしゃの泣き顔でこちらを睨みつけると、今度はドリルアームも繰り出してきた。
「あったま来た!君のタマシイを奪って僕は本当のエリートになってやるんだワン!」
そのドリルは地中へ進み、地面を砕き地上の僕らを襲う。もちろんランチャーも飛んでくる。
「ランチャーは僕がやるかラ、ドリルに貫かれないようにネ!」
「そんなこと言ったって…、Tori、どこからやってくるか誰か教えて!今運で全部避けてるから!」
「えーと!次は前ね!次は…」
最早出会った時の状態など思い出せないくらい辺りがボロボロの焦土になっていく。
次のパズルやあの子達に被害が出てないと良いんだけど…。
「しぶといなぁ…!」
隠せない苛立ちに任せるまま彼は叫ぶ。
「Doggo!!!ジャーキーの時間だぞー!!!」
その雄叫びに飛び出てきたのは、目をギラギラと血走らせた筋骨隆々の犬だった。
「おう、ジャーキーくれるのか?そろそろ欲しいと思ってたんだ、ナイスタイミング!」
「その前に一仕事するワン、ほらそこ、山羊君のタマシイを奪うんだワン!」
ぴしっ、と指差された先の僕は固まった。こんな奴に襲われたらどうなるか分からない。
Doggoは目をしかめ、僕をじっと見つめる。
「…おい、山羊ってどこだよ。いねえぞ?」
そういえば、「うごいてるとみつかる」んだっけ…。このままやり過ごせば帰ってくれるかもしれない…。
「…ワンワンワン…、君は今『動かなければどうということはない』と思っているだろう?」
「何でバレたの!?」
「まぁそう上手くはいかないよネー。」
「そんな君はコイツを喰らうがいい…、我が伝家の宝刀…」
「ただの骨!!!」
その高らかな宣言と共に撃たれたのは正真正銘ただの骨だった。言ってしまえばランチャーに比べたら怖くない。
その力を誇示するかのように、一本だけ狙いを外してそれは発射された。
「まぁ、当たってもタンコブくらいだね…」
骨に移した目線を移すと気づいた。
「ジャーキー!!!」
骨に向かってDoggoが思い切り突撃していくのだ。
これの本当の恐怖は骨じゃない、動くものに反応するワンボーそのもの。
「君に向けて撃ったら、どうなると思うワン?」
「冗談だよね?」
「まぁ、嫌でも撃つけどワン!」
ボーンッと僕に骨が撃たれた。感じるのは鋭い眼光、頭に過ぎるは逃げかジッとしているかの恐怖の二択。
「ジャーキー!!!」
「逃げて良い!?良いよねBoogie!?」
「仕方なイ、一旦ちょっとだけ逃げて様子見しヨ!」
そう少し身構えた時だった。
骨を咥えたDoggoの視線はグルンっとこちらを向いた。
「いたァァァ!!!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!」
爆発ででこぼこした地面に足を取られながら、大量の骨とワンボーから逃げ回る。
ボンッ、パクッ、ボンッ、パクッ…
足場も悪く、怯えから息も荒くなり体力も無くなってきた。
「このままじゃジリ貧よ!」
「Asgore、まずは落ち着いテ、止まっテ!」
「そんな事言ったってさ!」
「僕、この戦いの勝ち方分かったんだヨ。逃げ回ってたら負けル!」
「骨なんてやたらめったら撃ってるだケ、君をビビらすためだけのこけおどシ!」
そう言われていざ立ち止まってみると、確かに僕に敢えて当ててないような。
「あれっ、消えたぞ?」
Doggoの視界からも僕は消えたようだ。
「あの駄犬趣味悪いわね…。」
「ふん、だけど次の一撃で体力の無い君は負けちゃうワン。さぁ、どうする?」
僕がどれだけ飛んでも届かない場所から笑い声が聞こえる。
「まぁ、任せテ。様子見して正解だっタ!」
「Doggo!骨の時間だぞー!」
調子に乗った声で、とどめだと言わんばかりの一本だけ狙いを定めた骨が射出された。
「ジャーキー!!!」
「Doggoってば本当に骨が好きなんだネ?」
「そしてDrは天才の割に何も学ばなイ…。」
そう言うとランチャーを弾き返した時と同じ構えを取った。
「ランチャーを弾き返せたのに、これが出来ない道理は無いよネ!」
「Doggo!飼い主とじゃれてきナ!」
それは天高く、Dr. 109の額めがけて綺麗に飛んで行った。
「ホームラン!」
思わず僕はそう声が出た。
Torielは何故か笑っていた。
「あでっ…、んもー、綺麗にダイレクトに…。あっ…。」
「ジャーキー!!!!」
「あわわわわ…、違う!僕じゃないって!」
Doggoは強靭な足でマシンに飛び乗り、そしてもみくちゃになって沈んでいった。
どこか遠い場所で爆発音が聞こえた気がする。
* YOU WIN!
* 0EXPと50ゴールドを かくとく!
「はぁ…、いきなりこんなのって無いよ…。」
「あの鼻っ柱折ってやったの爽快だっタ!」
「あぁいうのは大抵生き残ってるから、Goreyは心配しなくていいわよ。」
何だか皆んなドライだなぁ。
その言葉に押されるように、ふらふらの足を動かして僕は次のパズルに向かう。
今度はパズルを解いたら、あったかい可愛いちびっ子が飛び出して欲しいな。
「そういえば、Toriel僕の顔に何かついてた?」
「んーん、何でもないわGorey。さっきのジョークを思い出したのよ。」
「もう寒いのは勘弁しテ…。」