@SpaceIsVast16
「今度は何!そういう消毒しなきゃいけないの僕らじゃないでしょ!?」
「ソウデシタカネ、イヤ、マァ、ドッチデモイイヨネ。」
「良くない!」
話が通じているようで通じていない。とにかく「消毒」したいようだ。
「ジャ、イクヨ。」
それは僕らに火炎放射器を向けて、右へ左へ炎を吐き出す。じりじりと壁に追いやるようににじり寄りながら。
Charaの出力の比じゃない、熱消毒どころか炭にされるのは明白だ。ヒリヒリする手が少しだけカタカタ震えている。
「ACT、ACT……。『にげる』しか無い!」
♡ にげる
「こんな状況で逃げるってどうするんだよ友達ー!」
「Boogie、貴方の力なら何とか出来るわ!」
「あーあ、せっかくバッグの中に戻ってやろうと思ったのにサ!」
地面から伸びた配線がアイツの後ろ足を縛りあげ、地面に思い切り叩きつけた。
「グエ…。」
「何でこんな逃げ回らないとダメなのー!」
Happstablookの目からは大粒の涙が溢れている。サインを貰いに行くだけなのにこんな目に遭うのは流石に可哀想だ。せめてもの慰めに僕の胸の中に抱きしめると、少し静かになった。
「ここも配線で塞げバ…」
「Gorey、Boogie、Happstaちゃん、皆んな壁の方へ!」
「え?」
その声が聞こえた途端配線で塞がれた壁、その中央が赤く光る。その光が一層強まった瞬間、熱線が僕らの方へ飛んできた。
「あっつ…!Happstablook、大丈夫?」
「何とか…。」
「炎魔法を使ってたから分かるけれど、この出力なら子供騙しなんて通用しないのよ。はぁー間に合って良かった…。」
ドロドロと溶け落ちた配線の向こうからアイツは顔を覗かせた。
「流石にしぶといナ…!」
「オ腹、壊シタクナイデショ?」
笑顔のまま同じことを繰り返すその姿はまさにロボット。これに延々と追いかけ回されたら、僕らが疲れた瞬間にゲームオーバーになる。ただ、どうすれば…。
不意に、「あ」とHappstablookの声が聞こえた。
「どうしたの?」
「何か、線が伸びてる。ずーっと向こうまで。」
確かに線が向こうから伸びている。それの行き着く先はどこだと視線を移していくと、何とアイツだった。何だこれ、尻尾にしてはあまりにも長い。
ふむと考え上を向くとBoogieの姿が見える。
じっと見つめていたら、最初は気づかなかったパーツが色々見えた。
謎のチューブにスピーカー、コンセント…
コンセント?
床に這うコードとそれを見比べる。間違いない。
「Boogie!Toriel!」
Boogieは僕の方に少し振り返り、ぱちっとウインクした。
「作戦の内容は何かしら?」
「このコンセントを辿って逃げる!」
「配線はダメ、じゃあこれならどうかナ。」
耳を塞いでというジェスチャーをBoogieがすると、そのスピーカーから轟音が流れる。
その反響で地鳴りがするくらいだ。
音が止み、ちらりアイツの方を見ると頭から湯気を出してぐったり倒れている。さっきよりは効いているみたい。
「よーし、じゃあ逃げるよ!」
コードの先を目指して足を走らせる。何処だ、繋がってる場所が何処かにあるはず。
目が覚めないうちに、逃げられるうちに。
「はぁ、はっ…。」
「…友達、あとは任せて!」
僕の胸からHappstablookが思い切り飛び出した。おわっ、と情けない声を出すと僕は床に倒れ込んだ。
「幽霊はぷかぷか疲れ知らず、友達に手を出した事後悔させてやる!」
その背中が小さくなっていく。でも、任せられそうな安心感がその大声にある。
息を整えて立ちあがろうとすると、そっと掬い上げられた。
「Asgore、ずっと逃げて走っテ、疲れちゃったカ。」
「はぁ、はは…。そうみたい…。」
「ガガ…、消毒…。」
ガシャン、ガシャンと背後から聞こえてくる。その足音にもう恐怖は感じない。
「熱消毒、ソロソロヤリマセンカ?」
無機質なその声の後に引き金に指を掛ける音がする。
-
それに続いたのは、トーンが落ちていく機械音だった。
「我が友達無事かー!僕はやったぞー!」
僕らの元へ、ポニーテールを揺らしながらニコニコで駆けてくる。
ひょいと降りた僕は、同じく笑顔でぱちんとハイタッチした。
「本当にありがとう!」
三人ともが同じ言葉を発した。顔を見合わせてにこっとすると、Happstablookはもじもじ照れくさそうにしている。
「あ、そうそウ。」
Boogieがそう何気なく口にした瞬間、しゅるしゅると元の姿に戻っていった。
最初に鞄に入ったみたいにその中へ戻ると、疲れタと僕の方を見て意地悪く笑った。
「おかえり!Boogie!」
「あの姿もう少し見てたかったぞ!どうして戻るんだ!」
「大人の事情ってやつだヨ。」
さらにぷんすか怒るHappstablookをTorielが宥める。
「ふふふ…、こういうのって良いわよね、Gorey?」
「…うん。」
足を一歩踏み出すと少しだけ体力が戻ったような感覚を覚えた。一息ついたにしては早すぎる回復に思うけれど。
体力が回復してるに越したことは無いし、次の部屋に進もう。
そこには太い配管を避けるようにして造られたような、ジグザグとした橋があった。
「ぱっと見は近未来的なのに所々無骨で、ここは不思議な場所ね。」
「カッコ良くて僕は好きだなー。」
「友達…、待って…。」
ぐいと首根っこを掴まれ、歩みが止まる。
「えっ、どうしたの…。」
瞬間、僕の頬の手前で何かが止まる。
「え?」
骨だった。血のように真っ赤な骨。
先の風景を広く、そしてじっと見ると、いた。
Sansだ。何かに乗って、配管の向こうから僕を見据えている。疲れている頃を狙っていたのか。
「ね、ねぇ…。」
「い、いや。なんでもない。逃げるぞ友達…。」
へへ、と口がひきつる顔に申し訳なさが込み上げる。僕と一緒にいるせいで。
何も言わず僕は手を引いて駆け出した。スタミナの減りも気にならないくらい、ここを早く駆け抜けるために。
「Gorey、足元に気をつけて!」
そう言われ視線を下に移すと、丁度脛が引っかかるくらいの高さでハードルのように骨が突き出ている。
ひょいと飛び越えると、今度はそのすぐ目の前から骨が突き出される。
「ああっ、もう…!」
「アイツ、Asgoreを確実に仕留めようとしてル…。」
身をよじり、骨をかわし、また体力が削れていく。
ただ、幸いな事に突き出してくる骨の数は少ない。仕留めるのに最低限しか出してこない。
「はぁ…、でも、結構疲れる…。」
それでも足を止めてはいけない、止めてしまったらそれこそアイツは僕を、いや、皆んな諸共-。
「あっ、先が見えるわ、ラストスパートよ!」
確かに、僕らを視認できるこの橋はもう少しで終わりを告げる。
力を振り絞り、最後の直線を走る。しかし、僕には見えた、見えてしまった。
Sansが乗っている何か、それが口を開いてビームを放とうとしているのを。
橋が終わる時、アイツは絶対仕掛けてくる。きっとこれじゃ間に合わない。
「Happstablook…、Boogie…、ちょっと痛いかもだから構えといて!Torielも急いで!」
そう言うと、勢いのまま僕は橋の最後に飛び込んだ。
ごつんと額をぶつけてしまったが、僕はどうやら生きているらしい。この痛みがその証明だ。
ほぅ、と息を吐いた後、数秒にも満たないうちに青白い光が僕の前に影を映し出した。
そこから先の音は無い。
アイツから逃げ切った。だけど多分また追ってくるだろう。Friskも「執拗に」追ってくるって言ってたし。
少し顔を覗かせると、やっぱりSansはいない。
「…Happstablook?」
「何…?」
僕は言い淀みながら、精一杯の笑顔で手をバイバイと振った。
Happstablookの顔はなんとも言えないものだった。悲しいような安堵してるような。
首をふるふると少し振ったあと、僕の方を時々振り向きながらあの子は来た道を引き返していった。
「サイン、あげてやれなかった。」
「…あの子の事を危険に晒すわけにはいかないものね。矢継ぎ早にこんな事があったんだもの。ここから先どうなるか分からないわ。」
「ここは思ったよりずーっと危なイ。仕方ないヨ。」
-
ばか、ばか、僕は何をやってるんだ!
ありがとうの時あんなに嬉しく思ったじゃないか、せっかく付き合ってくれたじゃないか!
こんな所で逃げ出す気か!?
…でも、怖い。あんなのに襲われて、Sans様まであの子を狙ってる。友達が一体何なのか、僕には分からない。
僕、僕は…、何の力も持ってない。チェーンソーはハリボテ、何か魔法を使える訳じゃない。
「と、友達関係、ここで解消…?」
-
逃げ回り続けて、もうへろへろだ。
とぼ、とぼと冷たい床を踏みしめている。
-
あぁ、また。
今はこの光に反応している元気は無い。さっさと行こう。
…あれ?
少し何かが変わった気がする。
ぴょこぴょこと飛び跳ねてみると体が軽い。疲れが無くなっている。何度も見かけていたのに、初めてそう感じた。
何とも不思議な光だ。いつも僕を先回りして。でも、そんなに悪いものでもないのだろうか?
しげしげと見つめたものの、やはり何も分からない。
どうしたの、という声で我に返ると、あいも変わらず「何でもない」と誤魔化した。
そして見える、大きな影-。
Friskだ。
「久しぶりだねぇ。」と微笑むその顔に、少し力が抜けた。
「久しぶり…。」
「僕らはSansに殺されかけたヨ。」
その言葉を聞くと、彼女は少し表情が曇る。
「君たち、この地下世界の歴史を知ってる?」
「え、いや…。」
「そういえば僕も知らなイ。」
「……。」
だよねぇ、と同意すると、壁のパネルに目を向けた。なんて書いてあるか分からないけど、Friskが指をさして訳してくれた。
「モンスターは、人間に地下に追いやられてしまった。その力は凄いもので、モンスターは手も足も出なかった。その力の源はタマシイ、モンスターよりも遥かに強い…。そして研究の結果、どうやら人間のタマシイは、その肉体の死後も残り続けることが分かった。そして、それをモンスターが吸収すれば、凄まじい力を手に入れられる…。」
Boogieのアレはこれと同じ理屈だろうか。じゃあ、僕って一体?
「この地下世界にはバリアがあってね。噂によれば7つのタマシイでそれが破れるらしい。そして、今あるタマシイは6つなんだってさ。まぁ、君はモンスターだけど、その特別なタマシイを狙われてしまったんだ…。」
ため息を吐くと、頭をぽりぽりとかいた。
「それでも、僕にとってはいい迷惑だよ…。」
それには言葉も無いようで、いつもの微笑みも消え、ごめんねと静かに頭を撫でてくれた。
少し気まずく、気を紛らわせるために何か目につくものは無いか探しながら歩く。
「あ、あレ。」
目線の先には自立式のゴミ箱があった。ただ、アレもモンスターだろう。だってゴミを食べてるし。
「ちょっと気になるけど、近づいたら嫌な予感しかしないから…。」
「やめときましょうか…。」
「しのび足、だネ…。」
もぐもぐもしゃもしゃという音に紛れて、僕らはそそくさとそこを後にした。
「うわ、また長い橋……。」
次は見晴らしの良い長い橋、ここで何も無い訳が無い。
「…『オニオンサン故障中』?何のことかしら?」
オニオンサンが何かは分からない。しかし故障しているというのなら、そのオニオンサンとやらが僕らを攻撃してくることはないはずだ。
カツン、カツン…
橋を渡るとそんな音だけが響く。さっきみたく油断しないように静かにしているが、こんな所がこれほどまでに静かだと寧ろ逆に怖くなる。
カツン…
結局何も無いまま終わった。張り詰めたものを解放するように、長い息が出てしまった。
「何だったの、ここ…。」
「本当の本当にオニオンサン専用ゾーンだったのカ…。」
「オニオンサンって何よ…。」
ふと、何かの声が耳に入ってきた。ふらふらとしていて不安になるような歌声。
見ると、シスターのような服を着たモンスターがぽつんと歌の練習をしていた。
「シ、レ、シ、レ、シ、ミ…」
心地良さそうに歌っていたが、僕らに気づくと顔が赤くなった。
「あ、あのぅ…、…聴いてました?」
「あぁ…、うん。」
ひぃ、と小さく声を出す。名前はシャイレーンというらしい。
「じ、実は私とある団体の歌唱隊でしてぇぇ…。ここはほとんど誰もくることが無くて、その…。」
「私が生きてた頃そんな団体とかあったかしら…。こんな世界だもの、救いを求める人の集まりでしょうね。」
「音楽は好きだヨ、ちょっと楽譜とか見せてほしいナ。」
「ひぃぃ私の音痴がバレちゃうからやめてぇぇ…。」
もう限界と言わんばかりに頭だけが泳いでいった。一瞬ギョッとしたが、喋るマネキンとか花とかいるならこういうのがいてもおかしくないか…。
残った胴体はどうするのだろう、そんな事を思いながら先に進んだ。
ぱらぱら、からから何かがぶつかる音がする。
「こんな室内なのに雨…?まぁ、親切に通り道には屋根がついてるし濡れる心配は無さそうだね。」
硬い音を立てながら、さらさらと降る雨音に耳を澄ませて歩く。
「ねぇ。」
「何?」「何かしら?」
「ここって、人が流入してきた割には人がいないね。」
シャイレーン曰くここにはほとんど誰も来ないらしい。クマの人曰くここはGhost Townの人々が流れ込んでいったらしいけど、誰かを見かける事がほとんど無かった。
「…外に出る元気も無いんじゃないかしら?」
「そうだヨ、あのガリガリがおかしいだけでサ?」
確かにGhost Townの人々も元気が無かったし、ベッドから抜け出せないだけなのかもしれない。
「あっ、見て。向こうは外が見えるみたいだよ。」
行けば、暗い空間に出た。星のような何かが鈍く輝いている。
「あれは…。」
遠くに見えるのは不穏に赤く照らされた豪奢な建物。以前はどんな風だったのだろう。何となく、ぼんやり浮かぶような。
「城ね…、あそこにバリアがあるのよ。」
「Torielってそういう事は分かるんだネ。」
「この地下世界は私の庭と言っても過言ではないのよ?まぁ、Fortressについては全然知らなかったけれど…。」
地上に出るためにはあの場所まで辿り着かなきゃいけない。よし、と一つ声を溢した。
また、暗い場所に出た。辺りには何も見えない、ただ道ゆく道だけが見える場所。
「え…、何でこんな場所があるノ…。」
その声を皮切りに、あの赤い骨が僕らを囲んだ。
「こういう理由だってさ!」
「ここ迷路みたいになってるわ!先が見えるならちゃんと確認するのよGorey!」
暗闇にあの笑みを浮かべた歯だけが浮かぶ。僕から分かるアイツの情報はそれしか無いのが尚更気味悪い。
今度は僕の行手を阻むように骨を突き出してくる。さっきと同じ手だと対処されてしまうからか。
ただ先の方に出るならまだしも、走って勢いが出た時に急に現れるのがいやらしい。スピードに緩急がついてしまって余計に体力を使ってしまう。
戻ろうとすると、その退路の方にまで骨が現れる。
あっちじゃない…、こっちじゃない…。
行き止まりに突き当たりながら道を探し走ると、だだっ広い所に出た。
すると、明らかに僕を阻む骨の本数が増えた。
「絶対なんかあるでしょここ!」
「Asgore、下見テ!」
目線を落とすと足元が魔法の範囲内だった。ギリギリで避けると、ほぅ、と息が聞こえた。
どこに立っていても安心できない。ここに何があるかを探していると視界の端に通路があった。
「あそこだね…!」
息を思い切り吸うと、一直線に駆け抜ける。骨が突き出して来てもバレエダンサーのようにひらりとかわしながら。
この通路の先には何がある。何が。
何が-
「…嘘でしょ?」
その先には何も無かった。思わせぶりに長かったくせに、行き止まりだった。
「も、戻っ、たラ…。」
カツン…
背中に冷たい汗が流れる。
左目だけ後ろに向けるとSansがいた。笑っているのに笑い声など聞こえない、形だけの笑顔。
一歩一歩確かに踏みしめて僕らに向かってくる。
「…近づいたら突き刺すけど良いノ!?」
精一杯の威嚇に彼は足を止める。
「…いや…、良い…。これで…、良い…。……。」
ぼそぼそ呟く声の最後は聞き取れなかった。
「…さよならだ。生きてりゃ良いな…。」
その声を聞いた時、僕の視界にいるSansは小さく小さくなっていった。
僕の体のコントロールが出来なくなっていた。
-
もう浮遊感は無い。どこかに体を落ち着けているみたいだ。痛みは、無い。僕は今何処にいる?もしかして-
起きて、起きて-。
あぁ、何だか聞き覚えのある声。
…おイ!目を開けロ!
Gorey…?生きてるわよね…?
目を開けると、Toriと大きくなったBoogieが僕の顔を覗いていた。
Torielの手を触る。いつもの如く僕は空を切って安心した。
「あら、Gorey意外と大胆…。」
「そういう事じゃないヨ、絶対。」
よくよく見ると、僕はハンモック状になった配線の上で寝ていたらしい。
なるほど、とBoogieの花びらを撫でた。
「う…、くすぐったイ…。」
「二人とも心配させてごめんね。…ここは?」
「さぁね…。でも、ここにあるのはガラクタばかり。ゴミ捨て場ってやつかしらね。」
「あの野郎僕らをゴミ扱いしたノ?ちょっとムカつク…。」
まぁまぁと宥めていると、あの光があった。
とことこと近づくと案の定あの音が鳴った。でも今はそんなに気持ち悪くない。詳細はよく分からないけど。
「まぁ、取り敢えずここから出よっか?」
「そうね、あまり空気も良くないし。」
バッグの口を広げると、むぅ、とため息をついてBoogieは元の姿に戻った。
がら、がらと先に進むと階段が見えた。その手前、ボロ布のように打ち捨てられたマネキンがあった。
「わぁ…、随分使い込まれてる見た目だね。」
「これだけ使われたら本望でしょう…。」
「安らかに眠るんダ…。」
ガタ、ガタガタガタ…
「私は、まだ、死んでいなぁい!」
ぶしゅっ、とマネキンから黒い煙が吹き上がり、ふわふわと宙に浮いた。鎖に手が繋がれており、義眼のようなものが僕らを見据えている。
「掛かったな侵入者たちよ、ここから先は一歩も通さないぞ!」
「は、え、何!?」
「何してんだーマネキンさんよー!」
今度は階段を全段飛ばして何かが降りて来た。見ると灰色のトカゲのような女性のモンスターだった。瞳は無くて白目だけど、快活で怖い雰囲気は一切無い。足が発達しているのだろう、さっきの反動なんて意に介さずこちらにずかずかと向かって来た。
「お騒がせな侵入者がやってきたんだ、手伝ってくれ!」
「ははーん、なるほど。この子どもが噂の侵入者か!ちんちくりんだなー!どっかのボロマネキンほどじゃないけど。」
「うるさい!!!」
大きなトカゲのモンスターは尻尾を僕に巻き付け持ち上げると、「わはー懐かしいなー!こうするの夢だったんだよー!」とニコニコした。
「あ、あの、ここ通らせてくれませんか?」
そう言うと、トカゲの方は少し悩んだ後「悪いな」とだけ言って僕を下ろした。
「僕たち何か悪いことしたっケ?」
「いや…、まぁ、色々はやってるわよ。」
「どうして通らせてくれないんだろう…。」
「えーっと…、そうだな。君たちみたいな子どもたちにこんな事は言いたくないんだけど……。」
「決まってるだろう!」
「「ご近所迷惑」」
「ってやつかな…。」「になるからだ!」
* Mystery DummyとGonerが たちふさがった!