@SpaceIsVast16
「それじゃ…、行くぞ。」
その合図と共に僕は地面を蹴り、宙に浮いた。
浮いたは良いが-。
「ちょっ、とコントロール難しいよぉぉ!」
ジェット噴射で宙を舞う経験など普通はしない、いざやってみるとあらぬ方向へ飛びそうになる。
「うぇぇぇ吐きそう…。」
あたふたしていると、マイク越しのがさがさな声が聞こえてきた。
「上を向け、俺様のいる方をじっと見つめるんだ。」
ぱっと上を向くと、Papyrusは僕が慣れるまで待っているようだった。
同時に軌道も安定した。
「食べ物は粗末に出来ないからな…、俺様の魔法でキサマを迎え討つ。」
僕の進行方向に大量の骨が現れた。Sansの兄弟なだけあって魔法の内容も同じようだ。
「小手調べと行こう。…行きたい方向にちゃんと体と顔を向けるんだぞ。」
骨が降り注ぐ、しかし僕が今通ろうとせん所には骨が出てきていない。
「なるほど…、そういう感じだね!」
「Goreyが通れそうな所、私もチェックしておくわね!」
まだ少し不慣れながらも、何とか右に左に、時には微妙な位置の調整をこなす。
「そう来なくちゃ、面白くない。」
-カメラを構えていて、ふと思ったことがある。
そういえば、ハカセが戦闘しているような所を俺は今まで一回も見たことが無い。というかそもそも-。
「…いや、王国騎士団長みたいな立場じゃないし仕方ないか。」
-右、左端、正面。
ジェットのコントロールも何とかコツを掴んだ、トマトソースも見えてきた頃だ。
もうすぐ-。
瞬間、腹部に鈍痛が走った。
「うっ…!?」
「いったイ…!」
何が起こったか整理のつかないまま視線を下に落としてみると、台座の方から骨が突き出ていた。
「あぁっ、ハカセの攻撃が思い切り…!」
油断していた、体のバランスが崩れて-。
BoogieもTorielも、僕が落っこちてからワンテンポ遅れて反応した。
二人が手を伸ばしても、するりと抜けそう。
ジェットの方もガス欠を起こしたのか、変な音が鳴っている。
-キンッ
そんな音が耳に響いた。
「キ サ マ は 青 く な っ た ッ ! ! !」
これまで聞いたことのないPapyrusの声が僕に届いた時、落ちるスピードがふわり軽くなった。
床に背中がつくと、急に思い出したように咳きこんだ。先ほどの攻撃が余程効いていたらしい。
「Asgore、大丈夫カ…?いてテ、結構響いたナ…。」
「Gorey…。」
泣きそうな二人を安心させるように手をひらひらと振ると、安堵のため息を吐いた。
「ハカセ。」
「分かってる、趣旨から外れてるって言いたいんでしょ。…こんな所で倒れられちゃ俺様の仕事が無駄になるって思っただけだよ。」
素っ気なく言い残すと、スリッパの軽い音をたてながら先へ進んでいった。
「Papyrusが助けてくれたのね…。」
「何かタマシイ奪われる感じしないナ。」
何とか起き上がってKidの方を見ると、ただ呆然と立ちつくしていた。肩で息をして、足は震えている。
「Kid。」
「…番組はまだまだこれから、だよな。」
Papyrusと同じ方向へ向かうと、彼の姿はどこにも無かった。彼が行ってからあまり時間は経っていないはずなのに、余りにも早い移動だ。
「まさか幽霊?ひぇー…。」
思わず言うと、背後から
「おイ」「ちょっと!」
と聞こえた。ごめんなさい。
「ちょっと不便だけど、外階段を登るか。エレベーターは多分使い物にならないしな…。」
かこん、かこん。
登っていくと遠くに建物の輪郭が見えた。でもそれは家とか城のようなものではなく、ごちゃごちゃと何かがくっついたような薄気味悪い形をしている。
「あれが気になるのか?」
「うん…、何か不気味で。」
「あれはCOREって言って、一応この世界の電力を賄ってる施設なんだってさ。何でも、城に直通のエレベーターがあるとか。」
「へぇー、あんな所に…。」
城に着くにはまずあの場所に辿り着くこと、か。よし、頑張るぞ。
ふと、話し声が耳に入った。
「Papy、どうしてあんな事してるのさ。」
「あの子のためだよ。汚れ役をするのは慣れ切ってる。」
「僕にくらい、本当のこと言ってくれても良いんだよ?」
「…ごめん、もう、行くね。」
聞き覚えのあるもったりとした話し方をめがけて進むと、装飾が施されたでっかいオシャレな小屋にFriskがいた。近くにきゅうかちゃんも。
Friskは相変わらずパイをたらふく食べている。横目に僕らのことを視認すると、こっちを向いて「やぁ」と右手を挙げた。
「げっ、きゅうかちゃん…。」
「あー、Kidかぁ。僕の弟がいつもテレビ見てるよぉ。」
「あ、あぁ…。…あの、筋トレメニューとか食事制限とか教えてあげましょうか…?ちょっと、何というか…。」
「うーん。魅力的な提案だけど、このマシュマロボディは僕の大事な家族にとってもっと魅力的だからねぇ。」
Sansの家から帰ってきたのか、CharaはFriskに抱きついてすぴすぴと眠っている。お腹がずっしりとCharaのクッションになっているのを見て、Kidは呆れと驚きと恐怖が混ざったような顔をした。
「健康そのもののKidからすれば恐ろしいわよねー…。」
かなりの訳ありだが、その事は彼の知るところではないし…。いや、それよりも。
「Frisk、Frisk!」
僕は小声で呼びかけた。そしてFriskに耳打ちした。
「きゅうかちゃん、起きるとヤバいって聞いたけど大丈夫なの!?」
「平気だよぉ。あの子は僕が作るフォンダンショコラが好きなんだぁ。僕が近くにいる時は攻撃してこないから安心してぇ。」
ほっと一つ息を吐くと、何を話していたのかといつもの話し方で切り出した。
「あぁ、Papyと話し込んでたんだよぉ。」
「随分親しいんだネ。研究所前から言ってたけド。」
「うん。とても、とーっても可愛い弟分だよぉ。でも-。」
そこまで言うとため息を吐いた。
「でも、Papyは大事なことをいつも隠したがるからねぇ。さっきも聞きそびれたことが何個もある。」
「…ハカセ…。」
「いつの間にか無言で立っててねぇ。いつもは僕の方から話しかけるんだけど…。おっと、惚気話になりそうだなぁ、何か買う?」
そう言うとメニュー表を差し出してきた。しかしFriskに合ったサイズなせいか、かなり大判で読みにくい。
「こんな所で商売してるノ?」
「チェックポイントってやつだねぇ。」
大きく視線を動かし何とか読み、先ほどのフォンダンショコラを頼むことにした。
「おっけぇ、君には特別価格20Gで渡してあげよう。お友達価格だよぉ。」
「やったー!」
* フォンダンショコラを てにいれた。
* とってもおおきい!
「…子ども一人が食べる量じゃないわねー。」
「包装からしてでっけえな…。」
「まぁまぁ、じゃ、分け合って食べてねぇ。ふぁ〜あ…。」
ゆっくりと椅子に腰掛けると、深く息を吐いて眠りについてしまった。ここにいると僕たちまで眠ってしまいそう。
「ちょっと調べてみようか、一気食いだったら多分戦闘どころじゃないし…。」
♡ITEM
♡フォンダンショコラ
* フォンダンショコラ
* HP20かいふく。とってもおおきいので3かいにわけてたべよう。
心底ホッとした。
「あれ?」
どうやらこの通路には光源があるらしい、中腹辺りにぴかぴかと輝く街灯が一つぽつりと立っている。
「道中も置いてくれればいいのニ。この体もちょっと不便だって分かったシ。」
「予算が降りなかったとか?」
「お金のやりくり、私も悩んだわねー…。」
街灯が照らす通路、よく見ると左手に個室があるのが目に入った。部屋の中は真っ暗だけど、段々と光が強くなってよーく見える。
え?
思わず振り返ると、街灯がこちらに首を伸ばして大口を開けて待っていた。
「「「いやぁぁぁぁ幽霊ぃぃぃ!!!!」」」
「やーい引っかかったな!」
* パイランプが おどかしてきた!
「何だ!?火の玉お化けってのはコイツか!?」
噂の正体なのかと思うと、それは首を傾げた。
「何のことだ?確かに燃えてるけど、別に魔法はそういうのじゃないぞ。」
♡ACT
♡ぶんせき *ライトオフ
*ライトアップ *ブラブラする
* パイランプ ATK 29 DEF 14
* イタズラずきのモンスター。
* よくランプにぎたいしている。あかるいのがすき。
「お、やるか?この明るさで世界を照らすぜ!」
一層ピカッと光ると、その光が収束してレーザービームになった。急いで避けると、床に細く、しかし焼き切れたような跡が残った。
「確かに火の玉お化けな魔法じゃねえな!」
「寧ろそれより怖いよ!」
♡ACT
♡ライトアップ
「お願い、もっと光って!」
「よっしゃ任せろ!ブライト、ブライター、ブライテスト!」
ピカピカッと光を放つ、もうこの時点でパイランプの姿は分からない。目を開けるのもまずいくらいだ。
まぶたを閉じて、徐々に赤い視界が黒を取り戻していく。
そっと目を開けると、先ほどより大きな光弾が僕を見据えていた。
「おらーっ食らえっ!」
先ほどより範囲が広く、横にステップするだけじゃ距離が足りない!
体は痛くなるが仕方ない、床に身を伏せ身軽にローリングして何とか事なきを得た。
「まだみのがすことは出来ないみたいね!」
「もっともっと光らせなきゃなのカ…。じゃあ、次のターン僕が光をシャットアウトするかラ、攻撃準備中にみのがしちゃエ!」
♡ACT
♡ライトアップ
「もっと、もーっと光れ!!!」
「最大出力!ブライテストォォ!!!」
そこにあったのは最早白の世界。コマンドは何処だ、あれ、何だか死に際の回想シーンのような-。
「しっかりしロ!」
太い腕が僕らを包む、ようやく僕は視界を取り戻した。
「あんまり遅いと僕がまずイ…!」
「ごめん、ありがとう!」
♡MERCY
♡にがす
* YOU WON!
* 0EXPと45ゴールドをかくとく!
「あぁ…、目がちかちかすル…。」
「Boogie、目を瞑って休んでて良いわよ…。」
「君が火の玉お化けじゃないなら、何か、噂とか知らないか?そのお化けの習性とかさ。」
パイランプはうーん、とまた首を傾げ、「あっ」と何かを思い出したようだ。
「そういえば、皆んな口を揃えて言うことがあったんだ。」
「え、何?」
「あくまでモンスターづての話だからさ。俺が実際に見た訳じゃないんだけど。」
咳をして、少し低い声でこう言った。
「出口は何処ですかって聞かれて、思わず逃げ出したら追いかけ回されたって。」
この工場の雰囲気も相まって、知らず知らずのうちに僕たちは身を寄せ合っていた。思った以上に恐ろしい何かがここにはいるらしい。
「あくまで噂って言いたいけど、皆んなが口を揃えるんだから信憑性はすげーな…。」
「気をつけた方がいいぞ。そうだ、これあげるよ。俺ほどではないけど世界を照らせるぜ?」
* ランプを てにいれた!
「わ、ありがとう!」
「ふぅーこれで僕もお役御免って訳カ。」
「Boogieもありがと!じゃあ、またどこかでね!」
しゅるしゅるとBoogieがアイテム番になると、僕らは再び先を目指し始めた、とその前に。
「この個室には何があるかな?」
ランプで辺りを照らすとエプロンが落ちていた。ついさっきまでに手に入れたかったなぁと少し残念感があるが、これもリボンみたいなお宝なのだろうか。
* こげたエプロンを てにいれた…。
「あんまり色々取ってるとバックに入らなくなるヨ。」
「そうだね、じゃあ…。」
* フライパンとエプロンを そうびした!
「これなら大丈夫でしょ!」
暗闇の中とぼとぼと歩いていると、不意に後ろから音がした。ここのモンスターは皆んな背後から迫ってくる、用心しないと。
がしゃ、がしゃ…
「ちょっと、ちょっと。」
穏やかな声が響いた。
「さっき匿名で通報があってさ、イケてる服のヤギの坊ちゃんがここら辺をうろついてるっつー内容だったんだわ。こえーよな、ほら、俺の手を取って。」
しゃがみ込んで、手が差し伸べられる。
声の方に明かりを向けているのに、顔だけが見えない。
「ここは誰がいるか分からないからなー、君みたいな子どもが来る所じゃないぞー。」
ヤギの坊ちゃんはどう考えても僕だ。でも気づかれていないだけマシか?でも行きたい方向とは逆だし、どうしようか…。
すると、ぴたと声の主は足を止めた。
「どうした、兄弟?」
向こうから仲間が来たのだろうか、親しげに話す声が聞こえる。それにしてはもう一つの足音など聞こえなかったのだが。
「この子の服?あぁ、エプロンを着けてるな。え、そっちじゃないって?」
それは振り返り、僕の周りをぐるりと一周した。
「あ、あぁ…。マッジでヘマする所だったぁ!!!」
暗がりから顔が現れた。
その瞬間、僕たちの息がひゅ、っと漏れた。
一つの体に二つの頭を持ったモンスターだった。
「悪いな、まぁここなら好都合だ。」
「アンタらが死んでも誰も気づかねーっしょ。」
* RG01×02が あらわれた!
「えっ、俺も!?」
「あっKidさんは違います。」
* あらためて、RG01×02が あらわれた!