X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです
Xフォロワー限定公開・リスト限定公開の停止について

想いには、想いを絡みつかせて…

全体公開 本編ドラヒナ(両思い期) 14 4090文字
2024-06-26 18:22:13

ピクスク様のオールジャンルイベント『あきらめない』に、参加させて頂いた1作目です。
本編ドラヒナで、七夕と朝顔のお話です。ドラヒナ、ロナサンは成立済み。このヒナイチくんは、たぶん成人していると思います。
朝顔とアイビーの花言葉は、この二人に合うなぁと以前から思っていたんですよね。
今回は、七夕をテーマにしようと思ったら朝顔と関連があると聞きまして、一気に書いてしまいました。
朝顔は、深夜に咲く場合もあるというのは、金田一を見て知った方も多いはず。

Posted by @kw42431393

 「ふぎゃっ!!」
 「す、すまん。そうだ、サンズが泊ってたんだった。」

 ベッドから降りた所で、何か柔らかいものを踏みつけた床下でお尻がハマった縁で、割と仲良しになったサンズのお尻だった。
「てめー!ちょっと、気を付けやがれです!」
 そんな怒声を予想して見ていたのだが彼女は、寝言を言いながら、再び布団を被って眠り込んでしまった。それは、くノ一としてどうなんだろうな。
 「うにゃ、うにゃロナルドしゃん。」
 「ま、いっか。」
 時計を見ると、まだ、深夜の3時。もうひと眠りしていいのだがちょっと、約束があってな。
 サンズを起こさない様に、私はそっと外へと向かう。
 通路をくぐり、梯子を登る。床下の出入り口は、事務所にある。
 いつも賑やかなロナルド退治事務所だが、依頼がなく、家主も眠ってしまえば、静かなものだ。
 いや、静か過ぎる様な
 「あ、雨が止んでる。電車も運行しているだろうな。」 

 窓に近づいて、まだ暗い空を見上げる。昨夜の豪雨が、嘘の様だ。



 『折角の誕生日だったのに、大変だな。サンズニャン。』
 『子供の頃から、よく言われますよ。どういう訳か、七夕って雨が多いです。しかし、困りましたね。電車が止まっていては、会社に戻れねーです。』

 サンズが、うちに泊まっているのはそういう事だ。
 昨日は、7月7日。世間では七夕だが、あの『床下お尻ハマり事件』以降、友人となったサンズの誕生日でもある。だから、彼女がドラルクから原稿を受け取った後、少し空いた時間に、私達はお茶をしていたんだ。
 どちらも、この後仕事があるからその予定だったんだが。
 この大雨で、電車が運航停止になってしまったんだ。

 『どうだ?これから、私もドラルクの監視に戻らないといけないからな。今夜は、私の部屋に泊まっていけ。』
 『私の部屋って、図々しい奴ですね!あそこは、ロナルドさんの家だろーが!』
 とんだハプニングだったが、ドラルクはドラルクで、来客をもてなすのは大好きだし、仕事がなければ、ロナルドも彼女の誕生日を祝ってあげたかった、サンズは言うに及ばすという事も相まって。
 少なくとも、この豪雨のおかげで、『私達』は、楽しい一夜を過ごせた訳だ。
 訳だけど私達以外は、どうだろう。

 『ついてないよな。去年も降ってたんだ。今年も、織姫と彦星は会えなかった訳だ。』
 『国にもよるね。日本ではそうだけど、七夕に雨が降りやすいのは、1年ぶりに会えた二人が、うれし泣きをしているからだっていう国もあるのさ。』
 
 そっか。国が違えば、そういう解釈もあるのか。
 「そうだ。明日なら、二人が再会出来たよっていう、証拠を見せられるよ?ヒナイチくんが、早起きしてくれれば。」

 早起きああ、そうヌね。上手くタイミングが、合えばいいヌけど。

 「証拠だと?」
 織姫と彦星が、か?そんなものがあるのだろうか。
 「早起きっていうか3時頃かな。4時頃だと、夜が明けちゃうから。」
 何だろう目の前のドラルクとジョンが、悪戯っぽい笑いを浮かべている。
 「ウフフベランダで待ってるよ。私も、君にあげたいものがあるのさ。」

 それが、さっき言った『約束』だ。7月とはいえ、3時頃はまだ薄暗い。
 そっと、ベランダに向かう。ベランダに、何かあっただろうか。



 「おはよう、ヒナイチくん。」
 「ヌヌヌー。」
 「ああ、おはよう。ドラルク、ジョン。」 

 この時間帯に、彼らと「おはよう」と挨拶する事は少ない。いつもなら、私は床下で眠っていて、ドラルクは一日を終える準備をしている時間帯だからだ。
 なんだか、新鮮な気分だな。
 「サンズ女史は?」
 「クスクスうにゃうにゃ言いながら、眠ってるぞ。」
 「若造もだよ。鼾が煩いったら。」
 「ヌフフフ。」
 湿った空気を吸い込んで、彼らがいるベランダに足を踏み入れる。
 そういえば、『証拠』を見せると言っていたな。なんだろう
 「タイミング的に、微妙だったからね。でも、用意出来てよかったよ。お手をお嬢さん?」
 変わらないな流れる様に差し出された骨ばった手に、自分の手を重ねる。
 そして、次にくるのはいつも通りのキス
 「あれ?」
 「フフこれが、証拠だとも。朝顔の花は、七夕と関連付けて『牽牛花』『朝顔姫』とも呼ばれていたのだね。だから、朝顔が咲くのは、ちゃ~んと、二人が会えた証拠。あの大雨でも、二人はちゃんと再会出来たのだ心配する必要はないのだよ。」
 左手の薬指に咲いているのは、目が覚める様に真っ白な朝顔。茎を巻いて、指輪の様にして
 「クスクス。キスだと思った?たまには、パターンを変えないと。」
 そう言って、改めて落とされる口づけ。うん、図星だ。
 そろそろ、慣れたつもりだったのにすぐには、言葉が出てこない。
 「あ、ありがとう。」
 「いやいや、お礼ならジョンに言っておくれ。元々、君達に見せたくてね。昼間の世話は、ジョンがしていたのだよ。」
 「そ、そっか。ジョンも、ありがとうな。」
 「ヌーヌヌシヌシヌ!」

 改めて、彼らが育てた朝顔を見下ろす。白の他に、ピンクと紫、赤い花が咲いている。
 こんなに暗くても、咲く花だったんだな。
 「朝というより、日没から8~10時間で開くのだよ。5時頃の方が、確実なんだけどそれじゃあ、私が見られないから。」
 「んそうか。私も、お前と見られて嬉しいぞ。そういえば。」
 指に咲いているのは、白い花。ドラルクが、自分のイメージカラーに決めているのは、紫色だ。蝋印だって
 「今回は、紫じゃないんだな。」
 何気なく、言ったつもりだったんだ。なのに
 「ウフフ。紫も悪くはないんだけどね。今回は
 仄暗くなった声に、顔を上げる。久々に『吸血鬼らしい』顔が、そこにあった。
 私を惹かれさせ、時に、怯えさせるその顔が
 「ドラルク?」
 「だって、心配だもの。ただでさえ、私達は会う時間が短い。夏となれば、猶更だだからこそ。」
 両頬を包まれる。この時間だから、ロナルドが起きて来るはずもないし目を閉じて。
 「情人節とも呼ばれる、七夕の日にって、スナッ!!」  
 「ヌーッ!?」

 いつの間にか、日が昇り始めていたらしい。
 私の目の前には、朝日で即死をしてしまった、一塊の塵の山が出来上がっていた。



 塵を棺桶に戻してから、私は、もうひと眠りしようと床下に戻る。
 「はぁ。」
 ちょっと、いい雰囲気だったのにな。残念だでも、ドラルクの言う事も最もだ。薬指に嵌めたままの、白い朝顔を撫でる。
 元々、種族の違う私達が共にいられる時間は、少ない。冬なら、もっと一緒にいられるのにそう思う事もある。しかし、それと白い朝顔に、どういう関係があるのだろう。
 「あ、ヒナイチ。おはようです。」
 「サンズ、おはよう。もう、東京に戻るのか?」
 着替えをしていた彼女に、声をかける。
 私はもう少し眠る事が出来るが、サンズの勤務地は東京なのだ。出来れば、一度アパートに戻りたいかもしれない。楽しい時間もここまでか
 「世話になりました。それじゃあ、そろそろサンズちゃんは、お暇をあれ?」
 サンズの目が、私の薬指に留まる。そういえば、サンズは何か知っていないだろうか。
 彼女は、オータム書店の編集者だ。少なからず、色んな作家の作品を読んでいるだろうそう思って、聞いてみる。私としては、軽い気持ちだったのだが。
 経緯を聞いた彼女は、軽くため息をついて、こう言った。

 「はぁ気障ったらしいというより。つくづくあいつは、お前が思っている以上に。腐っても吸血鬼と言えば、いいんでしょうか。」
 サンズの話によると、白い朝顔の意味は、『溢れる喜び』『強い絆』そして。
 「ジョンくんは、純粋にロナルドさんを含めた3人と1匹の、『強い絆』への願掛けで見せようとしたのかもしれませんが。他の色もあったのに、『白』を選ぶのは、それだけじゃねーです。そもそも、朝顔は『絡みつく』植物。分かってもお前の想いは、揺らがねーと知ってるから、答えを言いますけどサンズちゃんには、そんな『ねちこい男』を選ぶ気持ちは、理解できねーですよ。」
 
 ねちこいか。自分が行けない昼の世界で、手に入れた私が、よそ見をしないか不安だったのかな。
 さっきの、情念の籠った紅い瞳を思い出す。『私は、貴女に絡みつく』という意味を込めて、この花を薬指に挿してくれたのかな。



 いいぞ、ドラルク。元々、お前への勘違いから始まった想いだけど
 もっともっと、絡みついて。
 つよくつよく絶対に逃がさないで。
 夜の者特有の、その情念が籠った瞳から、私はもう逃れられない。

 「そうだ。あいつにも、同じ気持ちの花を贈ってやろう。」
 氷笑卿に仕込まれたって、言ってたからググった程度で出て来る花言葉なら、あいつにだって分かるはず。
 1日遅れてしまうけど、七夕は、元々の中国ではバレンタインみたいに、祝われれているらしいんだ。だから、お返ししても、おかしくはないよな。

 「う~ん、こう。朝顔に負けないような意味をもったあった。」
 ふ~ん、よくガーデニングとかで見る観葉植物だけどそんな意味があったのか。
 華やかさには、欠けるけど不滅で不死のお前によく似ているだろ?
 今夜は、花屋さんによって、このポットを買ってこよう。
 それに執着心は、人間にだってあるんだ。いつかお前を置いていってしまう、私にだって相応しい花だ。
 なぁそう思うだろ?


 アイビー:「結婚」「不滅」「不死」「友情」「誠実」「永遠の愛」
         「死んでも離れない想い」


 
 
 


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.