X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです
Xフォロワー限定公開・リスト限定公開の停止について

去年と違う、私達の願い

全体公開 Δドラヒナ 8 4247文字
2024-06-28 18:16:07

ピクスク様のオールジャンルイベント『あきらめない』に参加させて頂いた2作目です。
成立後のΔドラヒナ前提で、七夕ネタのお話です。
チームΔの協力の元で主催される、地域イベント。クソデカ流し素麺に、クソデカ笹に、皆の短冊を靡かせて
家族同然のみっぴきの。彼らの今年、これからの願いは
他に書いたΔドラヒナのお話は、こちらから読めます→https://privatter.net/category/51192

Posted by @kw42431393

*捏造設定になります。

 ・Δ隊長は、父親のドラウスさんは人間、母親のミラさんが吸血鬼という設定です。ヒナイチくんより一回り年上。ルーマニア育ちの日系ハーフ。なので、独り言や鼻唄に突然ルーマニア語が混じったりする。生まれつき虚弱体質だが、ブーストを使えば短期戦の戦闘参加は可能で、本編よりは体力もある。ロナルドくんがあどないので、言動が父親じみてきた。

 ・Δジョンは元々ミラさんの使い魔で「体の弱い息子をよろしく頼む」と言われ、Δ隊長を主人として尊敬し、行動を共にしている設定になっています。なので、Δジョンの方がΔ隊長よりちょっと年上です。この世界でも新横浜のアイドル。

・ΔヒナイチくんとΔ隊長の出会いは、彼女が幼い頃に下等吸血鬼に襲われていたところをΔ隊長が助けた、という事になっています。Δ隊長は幼い頃からの憧れの人で、常にキラキラした目で見上げています。元々和菓子党だったが、幼い頃に貰ったクッキーを食べてから、現在はクッキー党。バーの娘なので、他の世界線に比べて料理は上手で、コミュニケーション能力もそこそこ高い。

・Δロナルドくんは、大侵攻で最も退治人・吸対連合を悩ませた、不死身で怪力、変身能力、飛行能力を持ったチート吸血鬼。無邪気なお子様で、吸血鬼らしくないのが悩み。一人にしていて、うっかり署を破壊されたら大変なので、Δ隊長は、備品という立場のΔロナルドくんを、毎日家に連れて帰ってます。みっぴきが揃っている時間が、一番幸せ。

・Δみっぴきの溜まり場は、署の隊長室か隊長のお家です。



 「お~い!流すぞ~!」
 「おい!サテツ!先に、お前が食っちゃ駄目だろ。」
 「子供達が、先だって!」
 「素麺に紛れて、糸こんにゃくを流してやる~。」
 「そういうんじゃねえから!」
 「この唇の形をした、グミも一緒に流していいですかね?」

 上から、ロナルド達の賑やかな声が聞こえてくる。
 素麺と一緒に流す具材が重いからって、サテツさんを参加させたのは、まずかったかな。
 上で、食欲アメーバの彼を押さえようとしている、ショットさんの声も聞こえてきて、思わず苦笑いが漏れる。
 いや、吸対の面々もよけいな事をしているな。完全に、人選ミスだな。

 「さすがに、クソデカすぎたかな。」
 「あいつら、考えなしにつくたね。仕方ないアル。」
 子供達に器とおつゆを配っている、マリアさん達もそう言ってる。まぁ、な。
 私達の目の前には、ロナルド達が作った大きな流し素麺の台が2つ。
 何しろ、体力オバケな彼らが作ったものだ。
 小さな子供なら、ちょっとしたウォータースライダーぐらい出来そうな代物でな。
 「おれたちも、あそこのぼりた~い。」
 「危ないから、ダメ。おとなしく、待ちなさい。」
 「ね~、ね~。おねえさん。ソーメン、まだ?」
 うずうずした様な子供の声。可愛らしい浴衣を着た子供達。

 ここは、シンヨコの公園に設置された、七夕イベント会場。
 元々、地元だけのイベントだったんだけど、今回は、他県からもたくさんの人が来てくれているみたいだ。
 ロナルド達の大侵攻を、週刊バンパイアが大々的に取り上げてくれたおかげでさらに、オータムから出した『ヒナ戦』が、かなりの宣伝効果をもたらしてくれていてな。
 チームΔ結成当初は、不安もおおかったけど、おかげで街に、聖地巡礼に来てくれる観光客も目立つ様になった。何より、吸血鬼達もつき合ってみると、気のいい連中ばかりだ。
 今年も、こうしてこのイベントをさらに盛り上げる事が出来て、本当によかったと思う。
 「おまたせ~。じゃあ、行くぞ~!」
 ロナルドの声を合図に、素麺と具材が流される。すると、流し台がまるで天の川みたいに
 「わ~い!」
 「あ、とれた!」
 「いいな~。ピンクの、わたしもほしい。」
 “おつゆ、足りてますか?”
 「ありがと~、おねえさん!」
 流れて来る、色とりどりの素麺に。紛れて来る、鮮やかな夏野菜や、うずらの卵。
 星形に切ったかまぼこやウインナー。

 私達が作った、可愛い天の川。
 今度は、夜空を見上げる。そこには、本物の天の川。

 今日は、七夕。天の川に隔てられて、会えない織姫と彦星が、1年ぶりに出会える日。
 例年、雨が降りやすい七夕だけど、今年は雲一つなく、綺麗な星空が私達を見下ろしている。
 「今年は、ちゃんと会えたよな。」
 子供の頃から、なんとなく気にしてしまう。
 会いたい人にずっと会えないというのは、私にも分かるつもりだから。



 「お~い、ヒナイチ。全部、流したぞ。」
 「お疲れ様、ロナルド。じゃあ、キッチンの所に戻ろう。」
 
 降りて来たロナルドと合流する。ショットさんに小突かれてるサテツさんの口元は、モゴモゴ動いていた。
 うん。多少、食べられてしまったらしいな。
 「次は、何だっけ?」
 「私達は、子供達にお菓子を配るんだ。甘いものが欲しくなる頃だし。それから
 「あ~、そうだったわ。んで、俺達は、クソデカの笹に、皆から集めた短冊を付けるんだよな。」
 「そういう事だ。頼むぞ。」
 「任せとけ。お前こそ、つまみ食いすんなよ。」
 サテツさんと、一緒にしないでくれそう言いたいが。
 うん今回は、ちょっと自信ないかな。だって

 「いやあ、隊長さんにまで手伝って貰っちゃって、恐縮だなぁ~。」
 「よく言うな、このエセ昼行燈。丁度、非番と重なったから、のんびり出店も回りたかったのに。」
 「ヌンヌン。」
 兄と隊長、ジョンの声が聞こえてくる。
 そう子供達が楽しみにしている、流し素麺の後のスイーツは
 「隊長!皆に配るクッキーを貰いに来たぞ!」
 私が、この世界で一番美味しいと思っているクッキーなんだから。



 「ヒナイチ、ご苦労。お前達のおかげで、大盛況だ。これも、もうすぐ詰め終わるからな。」
 「やあ、待っていたよ。ロナルドくんも終わったかね?」
 「ヌヌヌレヌヌ!」

 手を振る、二人と一匹に駈け寄る。丁度、兄とラッピングしていた所だったらしい。
 私のおやつを、情け容赦なく奪う極悪人だがさすがに、子供達の分には手をつけていないようだ。
 「ああ!皆にクッキーを配ったら、笹に短冊をかけて、ライトを付けるんだ。」
 「サテツが、全部喰うとこでよ。危なかったぜ。」
 「あと、フォンさん達のおかげで、流し素麺じゃなくて、闇素麺になる所だったな。」
 やっぱりねとため息をつく、二人と一匹。
 彼らの前には、大量のアイシングクッキーが並んでいる。
 星や鳥に牛。織姫と彦星と、笹、籠や吹き流しをモチーフにしたクッキーが、手際よく詰められていく。
 「戦闘以外でも、チームΔは大活躍だったぞ。お客さんの入りも、去年の比じゃないしはむっ。おいしい!」
 口元に差し出された、クッキーを頬張る。
 あつまみ食いじゃないぞ。製作者が、味見にどうぞってくれたんだからな。
 「もぐ、もぐ。何より、〆は、世界一美味しい隊長のクッキーだ。子供達が、喜ばないはずがない。」
 「アハハそれはどうも。一応、腐ってもマスターだからと、顔を見せにきたら。追加で焼く事になるとは、思わなかったよ。街おこしに役立ってくれて、なにより。」
 「その言い方は、なかろう。お義兄ちゃんに対して、失礼な。」
 まぁ、隊長が調理台の前にいるのはそういう事だ。
 「ヌ~。」
 「うん。ジョンもすまないな。」
 折角の非番なのにな。兄に捕まって、気の毒に



 「で、来たついでに、短冊預かってくぜ。今年は、何て書いたんだ?」
 「俺は、去年と同じだ。今年こそ、聞き届けて貰いたいものだがな。」
 そう言って、兄が赤い短冊をロナルドに渡す。それを見た、ロナルドが苦笑いをしていた。
 兄の願い事は、見当がつくな。もっと、建設的な事を書けばいいのに。
 「ドラルクとジョンは?」
 「あぁ、書いて持って来たよ。では、頼もうか。」
 「ヌヌヌイヌヌヌ。」
 今度は、隊長とジョンが、ロナルドに短冊を差し出す。
 青い短冊と黄色い短冊に、几帳面な文字と可愛らしいヌー語が、並んでいる。
 ライトアップが、今から楽しみだな。

 「じゃあ、行ってくるぞ。」
 「あとでな~。」
 「ああ。飾りつけが終わったら、私達も見させて貰うよ。」
 「ヌヌヌ~。」

 そのまま、私とロナルドは隊長達から離れる。
 私はクッキーを配りに、子供達の元へ。ロナルドは、皆から回収した短冊を飾る為に。
 「じゃあ、ロナルド。私の短冊も頼むぞ。」
 そう言って、彼に赤い短冊を渡す。今の私にとって、一番、本当に叶えたい願い事を託して
 「OK!あれ?去年書いたのと、違くね?」
 「その場で、読むな。まぁ、隠す程のものでもないけど。」
 
 去年の私の願いは、『皆を守れる、一人前の退治人になれますように』だった。
 その願いは、今でも変わらない。でも、何より願いたいものが、少し変わっただけなんだ。
 「ニヒヒこれさ。もう、ドラルクとジョンのと同じ紐で括っちゃおうぜ。俺だって、同じだもんよ。」
 「隊長達のまで読んだのか仕方がない奴だ。お前は、何にしたんだ?」
 「な~いしょってまぁ、その必要もないけどな!」
 そう言って、彼は、背中にコウモリの羽を生やして、飛びだっていく。
 聞くのも野暮だったらしいな。
 去年のロナルドの短冊には、『皆に畏怖される、吸血鬼らしい、巨大化したり、ビーム打ったり出来る、兄貴みたいな吸血鬼になれますように』と書かれていた。
 でも、今のお前は、『俺だって同じ』そう言ったよな。

 「そっか。三人と一匹もそうなんだ嬉しいな。」
 今度は、クソデカな笹に集まる、ロナルド達を眺める。
 そして、嬉しそうにはしゃぐロナルドが、迷いなく笹の一番てっぺんに登っていくのが見えた。
 そんな目立つ所に飾るのかなんだか、照れ臭いな。

 『私達、みっぴきが、これからもずっと、一緒にいられますように。』

 そう書かれた4色の短冊が、一つの紐に纏められててっぺんで、皆を見下ろしていた。
 
 
 
 
 
 


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.