フォレストページからの再掲。オルロワージュのお話です。時間軸はアセルス編始まる前。いやしかし2004年によく書いたな当時の私よ。
内容は変わってないんですが、文章かなり手直ししました。すまん当時の私。今の私が耐えきれなかったんだ……
@wasser_welle
——リージョン・ファシナトゥール
ここは妖魔の王が支配し、妖魔と呼ばれる種族が主に住まう領域。妖魔の君の名はオルロワージュ。千年もの間、このリージョンを支配してきた唯一無二の王である。
妖魔の誰もが王にひれ伏していた。また魅了の力で気に入った者は寵姫として迎え入れた。逆らう者がいても、その強大な力で屈服させてきた。——ただ一人を除いて。
「……セアトよ。まだ、あの人間は目覚めぬのか?」
「はい」
ファシナトゥールに聳え立つ針の城。
その玉座にオルロワージュは頬杖を付き、優雅がに足を組んで座っていた。両側には侍女が微動だにせず待機している。
その正面には、セアトと呼ばれた妖魔が、己の主に向かって跪き、頭を垂れていた。
——何時になったらこの退屈凌ぎができるのだろうかと、何処か期待してる自分がいることにひどく驚いている。この手を逃れた姫との駆け競べ以外で、そう思うなどと。
オルロワージュが己が思索に耽っていると、セアトから声が掛かった。
「主上……何故あのような、ただの人間を気をかけるのです?」
「……いつ、我がお前に質問を許した」
「も、申し訳ございません」
オルロワージュの柳眉がピクリと上がり、彼の周囲からただならぬ力が溢れる。すかさず、セアトが更に頭を深く下げた。
「まあよい。許す。……我が血を直接受けし人間が、目覚めた時にどのように振る舞うのかと思っただけよ。魅了の力で手に入れた姫たちと何が違うのか、とな」
「……私めの愚問に答えていただき感謝いたします。それでは、失礼いたします」
そうして、セアトが立ち上がると一礼し去ろうとしたとき、城主はついと呼び止めた。
「……待て。今度からかの者の見張りをイルドゥンに任せる。奴に伝えておけ」
「……かしこまりました」
セアトは一瞬目を見開くが、その場で礼をすると、まるで消えるように瞬時に姿を消した。
「フッ……」
セアトが姿を消したあと、オルロワージュはその唇からは楽しげな吐息をこぼした。
この世界は酷く退屈で微塵の変化さえ感じさせはしない。
早く目覚めよ。我が血を受けし人間よ。
この世界をかき乱す事を許そう。
変化を許そう。
——だから早く、私を楽しませよ。
end.
2004年 初書き
2024年 手直し