ミツバ篇後からだいぶ経った時空 バチェ◯ー的な番組を見る近藤、土方、沖田 土方は女を見る目があると思っている沖田の話
@bbbcde519
「さあ、決断の時です!」
近藤が部屋に入ると、TVには白い紋付袴の男が真紅の薔薇を手に取る場面が映っていた。絢爛な振袖の女たちに向き合う偉丈夫はやたらと緊張した面持ちで、初めて見た男なのにもかかわらずなんとなしに親近感が沸いてしまう。机に頬杖をついて画面を眺めていた沖田の横に座りながら、近藤は問いかけた。
「これ流行ってるやつだろ、総悟も見てたの?」
「ええ、新シーズン始まったんで。ライバルを蹴落としマウント取り男を勝ち取るために、己を磨いて戦うんですぜ。女の精神的プロレスでさァ。俺の好きそうなコンテンツでしょ」
「そんな見方してんの!?」
驚く近藤に、同じ卓で書類を読んでいた土方から片手間のフォローが入る。
「その番組に関しては総悟の見解もそんなに穿ったもんじゃねえぜ」
「そういうもんかい」
「女たちの足の引っ張り合いもあるが、女の本音がちらっと見える瞬間や男の優柔不断さも面白いぞ。やっぱ人間なりふりかまってられなくなると素が出るな」
「お前も意外とこういうの見てるよな」
画面は切り替わって回想に入る。天人の邸宅にあるような大広間で十数人の女たちと男がシャンパンを開けている。女たちの紹介や会話に混じったアピールがはじまり、近藤はしばらく見入ってしまった。しばらくして画面が切り替わり、左にミニ丈の着物がよく似合う華やかな娘が、右に撫子色の着物を着こなした清楚な女性がクローズアップされたちょうどその時、沖田が言った。
「隊士ども、誰が選ばれるかで賭けしてるんですぜ。一番人気がこの右の女で」
土方は呆れた顔で言い返す。
「お前一応隊長だろ。屯所で博打すんなって言っとけ」
「貰えんのは栄誉とこの前の飲み会で余った一升瓶だけでさ。女を見る目があるで賞」
「くだんね。だいたい、イイ女が選ばれるとは限らねえよ。男が悪趣味だったらどーすんだ」
そりゃそうだと近藤は笑った。ただ性格がいい子とか、美人が選ばれるわけではないところに面白みがあるのだろうから。
「じゃあ土方さんだったら誰にします?」
土方は顔をあげてしばらく画面を眺め、「こいつだな」と一人の女を指さした。鮮やかな青の振袖を着こなした、どちらかと言うと気の強そうな美女だったので近藤は意外に思った。もっとたおやかな大和撫子が好きなのかと思っていたが口には出さなかった。
「なんで」
土方の答えは簡潔だった。
「一番肚据わってそうだから」
「ふーん」
沖田はじっくりとその女性を眺め、「じゃあ俺そいつに賭けよっと」と言った。
「お前が俺の意見聞くたァ珍しいな」
「俺ァあんたの女見る目は信用してるんで」
近藤は咄嗟に二人の顔を見比べた。沖田は珍しく毒気のない顔でTVを眺めている。土方は唇を一度開きかけて閉じてもごもごと動かし、眉間に皺を寄せた。人相は悪かったが付き合いの長い近藤にはわかる、土方は気まずがっている。この傍若無人な男が。そして少しだけ照れている。お前が照れるのも変なような気もするとは思ったが、大層な男前が居心地悪そうにしているのはなかなか面白い。
「……そうかよ」
土方はやっとそれだけ言って目線を書類に戻した。
後日近藤は、沖田が栄誉女を見る目があるで賞を獲ったことを知った。どちらかというともらうべきは男を見る目があるで賞だと思ったが、近藤は何も言わず、沖田が持ってきた日本酒のご相伴に預かった。
その酒は土方の口には一滴にも入らなかった。当然の如く。
後書き
ちらっとしか見てないのでほぼ架空の番組ですがバチェ◯ーが銀魂界にあったら屯所で流行ってそうだなと思いました。こういう番組やら映画やらを見つつグダグダおしゃべりしてる三人を書くのが好きです。
沖田くんは土方さんのことは気に入らなくてもいくつかの点で信頼はしていて、そのうちの一つが女性の好みだろうなという萌えです。