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小さきいのちの珍道中〜Magia Notes Part.33〜

全体公開 ツイステ二次創作 1 7 7699文字
2024-07-06 18:11:00

空から舞い降りて来た小さな生命体と私達と。
ツイステ二次創作、シル監ラブストーリー第33話。
※創作女監督生の名前が出ます
※捏造設定あり

Posted by @natsu_luv

今日もまた穏やかに一日が終わる、そう信じていた。
オンボロ寮の上空にぽっかりと空いた大きな穴を見かけるまでは。
ナイトレイブンカレッジ周辺がきらきらと光り輝いている。
外に出ると、上空の穴からころころとした丸い物体が何体か降ってくるのが見えた。
この丸い物体の正体は『ツム』という名の生物だ。
しかも、降臨してきたのはこれで三回目である。

「ふなっ、ニコルに似てる奴がいるんだゾ!」
「えっ、本当だ!」

ローズブラウンのショートヘアにピンクのカチューシャを付けたツムが、私とグリムの方をじっと見つめている。
自分で言うのも何だけど、ちんまりとしていて可愛らしい。
私に似たツムをそっと抱えようとした瞬間、スマホの着信音が鳴った。
メッセージの内容は学園長からの全体連絡だった。
私は即座に自分そっくりのツムを抱きかかえ、急ぎ足で学園長室へ向かった。

学園長に呼び出されたのは、自分に似たツムを見つけた生徒たちだった。
その中にはシルバー先輩もいた。
シルバー先輩にそっくりなツムは、まるで赤子のようにすやすやと眠っている。
学園長が私達に自分に似たツムの世話をするように申し伝えた後、ツムたちが一ヶ所に集まり始めた。
組み体操のピラミッドを作るかのようにツムたちが重なり合っていく。
やがて、ツムたちは見事なピラミッドを創り上げた。
『ツム』と呼ばれるようになったのは、こういった習性があるからだと学園長が話していた。
ひと通り学園長から説明を受けた私達は、各々の寮へと戻ることにした。
鏡舎へと向かう道中、私はシルバー先輩に声を掛けられた。

「ニコル、マレウス様を見かけなかったか?」
「見てないですね。はっ、もしかして……!」
「実はマレウス様に似たツムも来ているんだ」
「そうなんですね! ツノ太郎さん、またスマホを壊しちゃったのかもしれませんね」
「そうかもしれないな……。何はともあれ、ツムたちの世話に励むとしよう」
「はい!」

私がシルバー先輩に対して返事をすると、それに呼応するようにツムがにっこりと笑った。
今までツムの世話をしたことがある生徒たちからは、大変だったとか楽しかったとか様々な感想を伝え聞いている。
私とツムはどのような日々を過ごすことになるのだろうか。
あれこれ考えながら、私とグリムとツムはオンボロ寮へと帰り着いた。



ジリジリと鳴る目覚まし時計のアラームで目を覚ました私は、さっそく隣で寝ていたツムの様子を見に行った。
ツムは短い手足を駆使しながら、まだ夢の中にいるグリムを揺さぶっていた。
ようやくグリムが目覚め、私はツムと一緒にキッチンで朝食の用意をした。
今のところ、私によく似たツムは問題を起こしそうにない。
まだ出会ったばかりだから油断はできないけれど、ひとまずグリムも交えて朝食を囲んだ。

今日は軽音部の朝練がある。
私とツムは軽音部の部室へ行く前に購買部へ寄ることにした。
ちょうど新しいお菓子が入荷したとサムさんから聞いていたからだ。
グリムは美食研究会の活動と称して、一目散にメインストリートへと駆けて行った。
十二時に大食堂で待ち合わせすることを伝え、私とツムはグリムと別れた。

店内に入った私達は真っ先にお菓子売り場へと向かった。
ちょうど目の前に入荷したばかりのレモンケーキが並んでいた。
レモンケーキを手に取り、私は他の商品にも目を向けた。
何かしでかすとは思えないけれど、ツムの様子が気になった。
ふと足元を見ると、ツムが姿を消していた。
お菓子売り場を見て回っている間に、ツムを見失ってしまったのだ。
あちこち探し回っていると、おもちゃのマイクに目を輝かせているツムを見つけた。
抱えようとしても、ツムは頑なにその場を離れようとしない。

「ツム、これが欲しいの?」
「そうみたいだね。もしかしたら、小鬼ちゃんと同じで歌うのが好きなのかもしれないよ?」
「そのようですね。お土産に買ってあげることにします」

私がおもちゃのマイクを手に取った瞬間、ツムが笑顔でその場を飛び跳ねた。
お菓子とおもちゃのマイクを買ってから、私はツムを連れて軽音部の部室へと向かった。
部室には楽器のチューニングを始めている先輩方がいた。
私もマイクの音量調整を済ませ、すぐに練習に合流した。
私が先輩方の演奏に合わせて歌っていると、ツムがおもちゃのマイクを掲げて踊り出した。
声を出せない代わりに、リズムをとりながらマイクを持って踊っているようだ。

「ほう、ニコル似のツムも音楽が好きなようじゃのう」
「可愛いねぇ。後で写真撮らせてね!」
「いいな、オレも一緒に踊りたくなってきたぜ!」

私にそっくりなツムも先輩方に可愛がってもらえて満更でもなさそうだ。
一曲演奏し終わって少しクールダウンしていた時、シルバー先輩がツムを抱えて部室に入ってきた。
シルバー先輩の腕の中でツムがすやすやと眠っている。
安らかで可愛らしい寝顔に、ケイト先輩とカリム先輩もすっかり魅了されていた。

「できればツムを起こしてやりたいのですが、何か方法はないでしょうか?」
「くふふ、それならわしに任せるがよい」
「リリア、何か良い案があるのか?」
「このエレキギターを使うのじゃ!」

どうやら、リリア先輩はアンプの音量を最大にしてエレキギターをかき鳴らすつもりらしい。
私は耳栓をして、両手でツムの耳を塞いだ。
リリア先輩が力いっぱいにエレキギターの弦を弾いた。
けたたましいエレキギターの歪んだ音がアンプから鳴り響く。
その衝動で私だけでなく、先輩方やツムもひっくり返りそうになっていた。
だけど、シルバー先輩似のツムは微動だにしない。
それどころか、シルバー先輩までツムを抱えたまま眠ってしまっていた。

……はっ、俺まで眠ってしまっていた!」
「どうやら、わしらが出来るのはここまでのようじゃ」
「ありがとうございます。それにしても、アンプを使っても微動だにしないとは……

シルバー先輩はリリア先輩に一礼し、軽音部の部室を後にした。
私達は練習を再開してからも、シルバー先輩似のツムを起こす方法を考えていた。
リリア先輩が何か思いついたような表情を浮かべた。
キリの良いところで練習を切り上げ、私達はリリア先輩の案に耳を傾けた。

「アレを使えば、シルバー似のツムも起きるかもしれん。お主たち、ついて参れ!」
「リリア先輩!?」

リリア先輩に言われるがまま、私達は倉庫までついて行った。
私達は『アレ』を荷車に乗せ、いったん軽音部の部室を後にした。
果たして、シルバー先輩似のツムを起こすことができるのか。
私達は荷車を引きながら、シルバー先輩たちの行方を探すこととなった。



シルバー先輩とツムが部室を出てから一時間ほどしか経っていないから、そこまで遠くには行っていないはずだ。
ひとまず、私達はシルバー先輩たちが行きそうであろう学園裏の森へと向かうことにした。
森の中へ進んでいくと、ツムと一緒に昼寝をしているシルバー先輩を見つけた。

「よし、アレを使う時が来たぞ! お主たち、耳を塞いでおれ」
「はい!」

ここぞというタイミングで、リリア先輩がエレキギターの弦を力いっぱいに鳴らした。
先程よりも威力の高い轟音に、木に留まっていた鳥たちも逃げ出してしまった。
耳栓をしていてもうるさいほどの騒音だった。
それでも、シルバー先輩とツムは眠ったままだった。

「ライブ用のアンプで試してみたのじゃが、それでも起きんとは……
「これは手強いですね……

リリア先輩が仰っていた『アレ』の正体は、ライブ用のアンプだった。
私達はそういった特別なものを倉庫からわざわざ運び出してきたのだ。
ライブ用のアンプを通したエレキギターの轟音を聞いても起きないほどに、シルバー先輩とツムの眠りは深いようだ。
もうこれ以上は手の施しようがないと話していると、私に似たツムがシルバー先輩似のツムの方へと歩み寄っていった。
私そっくりのツムは眠っているシルバー先輩似のツムの頭を小さな手で撫でている。

「ほう、ニコル似のツムもシルバー似のツムを好いておるのか!」
「可愛いねぇ。オレ、写真撮っちゃお!」
「それいいな! オレも撮るぜ!」
「さて、わしも撮るとするか」

先輩方がこぞってスマホのカメラをツムの方へ向けた。
せっかくなので、私もすやすやと眠るシルバー先輩とツムの姿を撮影した。
そろそろ、お昼時になろうとしている。
私達は学園裏の森を後にし、ライブ用のアンプを倉庫へと移動させた。
それから、私はツムを連れてグリムとの待ち合わせ場所である大食堂へと向かった。

大食堂の入口でグリムと合流した私は、座席の一角にある人だかりを見つけた。
群衆の近くまで歩み寄っていくと、エースくんとツムが手品を披露している姿が視界に入った。
小さなマジックショーの観客の中には、デュースくんもいた。
私はデュースくんと合流し、色々と話を聞いてみた。
エースくんとデュースくんは二人で一緒にツムをお世話するようにリドル先輩に命令されたらしい。
一方で、エースくん似のツムは小さな手で器用にトランプを操っていた。

「エースの奴、普段はあんなに積極的に手品を披露しないのに……
「何か思惑がありそうなんだゾ」
「グリムの言う通りかもしれないね」

デュースくんとあれこれ話している間に、エースくんのマジックショーが終了した。
それから、エースくんはツムの面倒を見たい人を募り始めた。
どうやら、ツムの世話をするという面倒ごとを誰かに押し付けようという魂胆だったらしい。
それに気付いたデュースくんが、群衆の中に入っていった。
やっぱりそうだったか、思わず私とグリムも呆れてしまった。

仕舞いには、リドル先輩とケイト先輩も姿を現した。
リドル先輩たちの登場により、エースくんとツムの騒動は一件落着したようだ。
リドル先輩から説教をくらうエースくんとデュースくんの様子を眺めていた時、スマホの着信音が鳴った。
シルバー先輩からメッセージが届いていた。

『マレウス様がツムの歓迎パーティーを開くそうだ。ニコルとグリムもディアソムニア寮へ来てほしい』

内容を確認した私は、やっとリドル先輩から解放されたエースくんとデュースくんにディアソムニア寮へ行くことを知らせた。
途中で購買部に寄ってパーティー用の手土産を買い、私とグリムは約束の時間に間に合うように鏡舎へと向かった。



ディアソムニア寮の門の前までたどり着き、少し待っていたらリリア先輩が出迎えてくれた。
談話室に入ると、壁一面を彩るデコレーションとテーブルに並んだ豪勢な料理が視界に入った。
シルバー先輩とツムも起きており、ツノ太郎さんと彼似のツムと仲良く談笑している。
私そっくりのツムが二人の方へと一目散に駆けていった。
私とグリムもツムの後を追うようにシルバー先輩たちの方へ駆け寄った。

「お二人とも、失礼しました。ツムが飛び込んできちゃって……
「ほう、ニコル似のツムも愛らしいな」
「マイクはニコルから貰ったのか?」
「はい、購買部でおねだりされちゃいまして」

私似のツムはおもちゃのマイクを掲げながら、こくりと相槌を打っている。
すると、シルバー先輩似のツムが私似のツムの方へと歩いてきた。
ツムたちは互いに惹かれ合うように、じりじりと距離を近付けていく。
すると、シルバー先輩似のツムが私似のツムに頬ずりをしてきた。
私似のツムは頬を赤く染めながらも微笑んでいる。

「やはり、お前たちのツムも互いを愛しているようだな」
「何だか恥ずかしいです……
「俺たちは皆からこんな風に見えているのか……
「お主たち、気付いておらんかったのか!?」

リリア先輩の驚嘆する声が談話室内に響き渡った。
そんな中、ツノ太郎さん似のツムは互いに身を寄せ合って微笑む私達のツムを悠然とした様子で眺めていた。
さすがツノ太郎さん似のツムと言うべきか、可愛らしさの中に威厳を感じ取れる。
しばらくすると、寮生たちがシャンメリーのグラスを配り始めた。
全員にグラスが行き渡ったのを確認したツノ太郎さんは、グラスを掲げて乾杯の音頭をとった。

「今宵は皆でツムを歓迎しよう。乾杯!」
「乾杯!!」

こうしてツムの歓迎パーティーの幕が上がった。
寮生たちが次々とツノ太郎さん似のツムに話しかけている。
その様子をシルバー先輩似のツムと私似のツムがじっと眺めている。
私とシルバー先輩も、改めてツノ太郎さん似のツムに挨拶をしに行った。
その一方で、グリムは豪華な料理をもりもりと食べていた。

「若ツム様! 次は僕とも踊りましょう!!」
「セベク、さっき俺に校内でマレウス様似のツムとダンスをしたと自慢してただろう……
「どうした、ツム? 僕と踊りたいのか?」
「若ツム様と若様の共演とは、なんて素晴らしい!!」
「急いで曲を用意しなくては……!」
「では、即興でバンドを組むぞ! シルバー、セベク、ニコルも楽器を用意するのじゃ!」

リリア先輩に呼ばれ、私達は寮の空き部屋から楽器を持ち出した。
リリア先輩はシルバー先輩と私にギター、セベクくんにドラムのパートを振った。
リリア先輩自身は自慢の五弦ベースを演奏するらしい。

「ドラムは叩くだけしか出来ません!」
「セベクくんは基本の8ビートが叩けたら大丈夫だよ」
「俺は適当に音を鳴らすしか出来ませんが……
「シルバー先輩は私の動きを真似てください」
「ニコルの言う通りじゃ。それ、始めるぞ!」

リリア先輩の掛け声に合わせ、私達は楽曲の演奏を始めた。
ツノ太郎さんにリードされながら、ツムが可愛らしい踊りを見せている。
ソファで眠っていたシルバー先輩似のツムも目を覚まし、ツノ太郎さんたちの近くまでやって来た。
いつの間にか、私似のツムとグリムまで一緒にツノ太郎さんたちの近くで仲良く踊っていた。
談話室の一角が華やかなツムたちのダンスフロアと化していた。

ツノ太郎さんとツムたちによるダンスが終わった後、私とシルバー先輩はツムたちを交えてソファで今日の出来事などを話した。
シルバー先輩は軽音部の部室を出た後、ツムを厩舎に連れて行ったらしい。
馬のお世話をしている最中にツムとはぐれて探し回っていたら、ツムが植物園で溺れかけていた小鳥を助けたというエピソードを話してくれた。
その後は学園裏の森で眠ってしまったようだ。

「すごい! シルバー先輩に似て、勇敢で優しい子なんですね」
「ニコルのツムも、音楽が好きで可愛らしいところがお前によく似ているな」
「ふふっ、ありがとうございます」

私とシルバー先輩の間にいるツムたちが、小さな身体を寄せ合ってにっこりと微笑んでいる。
せっかくなので、私はその可愛らしい様子をスマホで撮影した。
ツムたちは写真を撮られるのが嫌ではないようだ。
ソファで盛大に寝落ちているグリムをよそに、私とシルバー先輩はツムたちと穏やかなひと時を過ごしていた。



だんだんと夜が更けていき、パーティーもそろそろお開きとなった。
ツノ太郎さんがツムと仲睦まじい様子で語らっている。
シルバー先輩似のツムと私似のツムも満面の笑みを浮かべている。
どうやら、ツムたちも楽しい時間を過ごせたようだ。
私とグリムはディアソムニア寮生たちとパーティー会場の後片付けを手伝っていた。
その時、ツムたちが一斉に談話室を飛び出していった。

「どうしたんだ、ツム!?」
「寮の外に何かあるのか?」
「ツノ太郎さん、シルバー先輩、オンボロ寮へ行きましょう」
「オンボロ寮へ?」
「ツムたちの帰り道が出来たのかもしれません」

以前にも、ツムたちが一斉にオンボロ寮の方へと駆けつけてきたことを思い出した。
ツムたちは帰り道が出来たことを感じ取ることができるのだ。
私達はツムたちを追いかけ、オンボロ寮まで向かった。
再びオンボロ寮の上空に穴が開いている。
今回の騒動でやって来た他のツムたちとツムの世話を任された生徒たちも、オンボロ寮の前に勢揃いしていた。
学園長までオンボロ寮に来ており、集まった生徒たちにアナウンスを始めた。

「さて、皆さん揃いましたね。ツムたちを見送りましょう!」
「待ってください、学園長! まだマレウス様が来ておりません」
「途中ではぐれちゃったのかな……?」
「おやおや、他のツムたちも揃っているな」
「マレウス様!」
「ツノ太郎さん!」

気付かないうちにはぐれていたツノ太郎さんたちとも無事に合流した時、ツムたちが再びピラミッドを創り上げた。
今度はツノ太郎さん似のツムも皆と一緒に積み上がることができたようだ。
ツノ太郎さん似のツムが嬉しそうに微笑んでいる。
その姿を見て、私とシルバー先輩も安堵した。

「今度こそ、皆さん揃いましたね。今のうちにツムに言いたいことを言ってくださいね!」

学園長のアナウンスに従い、私達はそれぞれのツムたちに言葉を掛けた。
エースくんとラギー先輩はツムに相当手を焼いたらしい。
一方で、トレイ先輩とジャミル先輩はツムに助けられたようだ。
ヴィル先輩とイデア先輩も、それぞれのツムに色々と話をしていた。
イデア先輩に至っては、ツムにお土産をたくさん持たせていた。
シルバー先輩とツノ太郎さんもツムと仲良く語らっていた。
私もツムに最後の挨拶をした。

「そのおもちゃのマイク、大切にしてね。他のツムたちとも仲良くするんだよ」
「皆さん、お別れの挨拶が済みましたね? ツムを送り出す時間ですよ」
「ツム、さらばだ。お前たちの旅の無事を祝福しよう」

ツノ太郎さんの言葉を合図に、ツムが空へと舞い上がっていった。
星が光り輝く夜空をくるりと回りながら、ツムたちは上空に開いた穴の方へと昇っていく。
だんだんとツムの姿が小さくなっていく。
こうして、ツムたちは元いた場所へと帰っていった。
私達はツムたちが天へ昇っていく様子をただひたすら眺めていた。

「ツムたち、みんな無事に帰れたかな」
「ツムたちならば、きっと大丈夫だ」
「ツノ太郎さんが祝福を授けてくれましたからね」
「それにしても、長いようで短い一日だったな」
「それだけ充実してたということでしょう」

オンボロ寮の上空に開いた穴がだんだんと閉じていく。
遠くなっていくツムたちが笑顔を浮かべているように見えたのは私だけだろうか。
穴が完全に閉じ、いつも通りのオンボロ寮の夜空に戻った。
ツムを送り出した生徒たちと学園長がそれぞれの場所へと帰っていった。
私はシルバー先輩と少しだけ言葉を交わしてから、グリムと一緒にオンボロ寮へ帰り着いた。


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