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星のカードの話

全体公開 了遊 3 1178文字
2024-07-07 16:01:01

了遊(ほんのり)ですが、了はいません。ラキカ7のワンドロライ参加作で、お題「星」

Posted by @d9_bond

 カフェナギに向かっていた遊作は、広場の入り口でティッシュ配りの青年からティッシュをもらった──つもりだったが、持った感触が予想外に薄くて二度見した。
……?」
 歩きながらもよく見ると、渡されたのは一枚のカードだった。
 ティッシュと思ったらチラシだったというのはよくあるが、今回のものはしっかりした厚めの紙で、艶やかなコーティングがされているためカードと言う方がしっくりくる。
 大きさはデュエルモンスターズのカードより一回り大きく細長く、空に輝く星と一人の女性が古めかしい絵柄で描かれている。
 首を傾げているとデュエルディスクからAiが顔を出した。
「遊作、どうかした?」
「丁度良かった。Ai、これが何かわかるか」
「タロットカードってやつだろ」
「それは、デュエルとは別のゲームか何かで使うものか?」
「ゲームじゃなくて占いで使うやつだけど……遊作は興味ないよな」
「ああ」
 カードを裏返すと、『占いの館 近日オープン!』の文字と商業施設への地図、宣伝文句がつらつらと書かれていた。洒落の効いた宣伝チラシという態のようだ。振り返った先で同じように受け取った女性の二人組があれこれ話している内容を察するに、カードの模様はランダムらしい。
「これはどういうルールなんだ? 数字が大きいほど強いという事で良いのか」
「デュエルじゃないって」
 しょーがないなあ、とAiが簡単に説明してくれた。数字に意味はあっても強弱はなく、絵柄やカードの向きが重要だという事。遊作がもらったのは17番目のカードで、「星」を表すという事。
「──んで意味が、正位置だと希望とか可能性、絶望からの再生とかそんな感じ。逆だと絶望とか無気力とか、まんま逆になるな」
「向きで効果が変わるという事か」
「理解しやすいからなんだろうけど、基準がなんとなくデュエルなんだよな……
 ぼやくAiをよそに、遊作はスクールバッグへ丁寧にカードをしまった。
「え、持って帰るの?」
 頷いて、遊作は口の端に笑みを刷く。
「いいカードだと思った」
 希望や可能性──と聞いた遊作の脳裏に浮かぶ姿があった。
 星、というのもまた、彼がくれた言葉を思わせた。闇の中でも消えることなく、絶望の最中に在っても立ち上がるための理由をくれる、あの。
「遊作ちゃんてば、実は占いに興味あったり?」
「ない」
「ええ……
 困惑の声を上げるAiに遊作は不思議そうな顔をする。
「おまえだって、占いより計算の方を信じるだろ」
「そりゃそうなんだけどさー」
 道の先にカフェナギの黄色い車体が見えてくる。
(ああでもそうだな。信じるわけじゃないが、当たればいいな)
 例えばいつかのように、店へ訪ねてくるとか。
 ──占いをする人は、そういう祈りがあるんだろうか。遊作はそんなことをふと思った。

 


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