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コンゴウ団の日常

全体公開 セキショウ作品 17 7388文字
2024-07-23 09:44:07

翡翠奇譚 肆 にて展示する、pkmnLA 二次創作NL小説です。

夫婦になったセキさんとショウちゃんの、日常の一コマ。
最後はヒナツちゃんの視点になります。

 ストーブの上の鍋の中、くつくつくつくつとみそ汁が躍る。蓋の周りから零れた湯気は、もくもくと天井まで広がって、それほど広くない天幕の中は味噌の香りでいっぱいだ。
 タイミングよくご飯も炊きあがって、十分に蒸らしておいたお鍋の蓋を取る。すると辺りに漂うみその香りに甘いご飯の匂いが混ざった。
「うん。いいでき!」
 つやつやと粒立ったご飯をかき混ぜて、保管用のおひつへと移動させる。
(ふふっ。完璧な仕上がりだね。セキさん、早く帰ってこないかなぁ)
 そんなことを考えていると、不意に外から風が舞い込んで、汗ばむ私の髪の毛をふわりと揺らした。
「あ、セキさん! おかえりなさい」
「応! 帰ったぜ!」
 戸口に立っていたのは、「今日はお日さまがギラギラで、外はあっちいぜ」と汗を拭う姿が麗しい、私の旦那さん。外での一仕事を終えて、お昼ご飯を食べに帰ってきたのだ。
「あら、ほんと。汗だくじゃないですか。着替えた方がいいですね」
 外はお日さまが照り付けていても、コンゴウ団の天幕の中は断熱効果が効いているせいか、ひんやり涼しい。
 汗が引いて身体を冷やしてしまっては大変だと替えの下着を渡すと、セキさんは「応。ありがとな」と笑って服を受け取った。
 その暑さを感じさせない涼やかな笑顔に、ぽんと私の心臓が跳ねる。
 セキさんと私が結婚して一カ月。毎日一緒にいて、毎日笑顔を向けられているはずなのに、まだその綺麗な顔に慣れそうにない。ドキドキして、ポッポと顔が熱くなる。セキさんが素敵すぎて、まだ自分の旦那さんだっていう自覚がわかないんだ。
 もちろん着替える姿も直視できないから、衣擦れの音に背中を向けてご飯をよそうことにする。セキさんはとってもせっかちだから、二膳のご飯をよそい終わる頃には服を整え終わっていた。……うん、見事なまでの早着替え。
 今日のお昼ご飯は、もちもちキノコのお味噌汁に、つまみ菜のお浸し。それと肉の味噌煮込み。
 肉の味噌煮込みはコンゴウ団独特のもので、ポケモンのお肉を味噌で煮込んで、長期保存できるようにしたものだ。里に近づきすぎて駆除されたポケモンを加工するらしいのだけれど、どのポケモンを使用したかによって味や触感が全然違う、不思議な料理だ。
 とっても簡単な昼食なんだけど、それでも準備をするのは大変だ。だってお水一つとっても、井戸から汲んでこないといけないのだから。
(セキさんならこれくらいの料理、あっという間に作り上げちゃうんだけどなぁ)
 せっかちなセキさんは、作業がとても速い。今だって、私がお味噌汁をよそっている間に、さっとちゃぶ台を出して、座布団を引いて、ご飯やお浸しを並べて、お茶の用意までしちゃっている。
「ショウ、ありがとうな。今日の飯も旨そうだぜ」
「そうですか? 昨日、セキさんが作ってくれたキングリーフの雑炊の方が、よっぽど美味しそうだと思いますけど」
 あ、やっちゃった。ついつい心の中のいじけ虫が出てしまって、ちょっと捻くれた物言いになってしまった。言い返されたセキさんは、きょとんとした目でこちらを見ている。
 ごめんなさい、と言いかけて、でも謝るのも違う気がしてまごついた私の頭を、セキさんはぽんと優しく叩いた。
「昨日の雑炊をそんなに気に入ってもらえたなら嬉しいぜ。だが、あんたの料理も旨そうだ。冷めちまう前に食おうぜ」
「あ、はい……
 セキさんに上手に促されて、私たちは食卓に座る。手を合わせて「いただきます」と呟くと、相向かいに座ったセキさんはにぃっと笑みを向けた。
「よし、食べようか」

 今日の肉の味噌煮込みはすじ肉の部分があたったみたいだった。よく煮込まれたお肉はぷるぷるで柔らかく、しっかりと味噌が絡んで美味しい。少し癖のあるお肉だったけれど、刻んだクスリソウを混ぜるとちっとも気にならない。むしろ相性ばっちりだ。
 固めに炊いた……というか、私が炊いた結果、ちょっと固めになってしまったご飯の上に肉味噌を載せて頬張ると、ほっぺが落ちてしまいそうな美味しさだ。
(うう。疲れた身体に染み渡るぅ。でもまた固めご飯になっちゃったから、今晩も雑炊にしなきゃだなぁ)
 セキさんに教えてもらったように炊くのだけれども、私が炊くと固めご飯になってしまう。「まあ、水加減だけじゃなくて、ストーブの火加減もあるからな」ってセキさんは笑って食べてくれるけど、そろそろほどよい固さのご飯を食べさせてあげたいなぁ。
 そんなことを考えているうちに、セキさんは食事を平らげてしまったようだった。おかわりのために、空の茶碗を手に立ち上がる。
「あ、みそ汁は私がよそいますね」
「おめぇはまだ食ってるだろ。自分でするよ」
「いいえ。私がやります」
 そう言って、ちゃぶ台の上のお椀を強引に取ってみそ汁をよそう。
 朝から外仕事をして帰ってきたんだ。セキさんだって疲れているはず。本当はセキさんが立ち上がる前に気を効かせられたらよかったのだけど、どんくさい私はそこまで気が回らなかった。セキさんはなんでもできる上に手も早いから、うかうかしていると全部自分でやってしまうのだ。
……もっと、のんびりゆったりしてくれればいいのにね」
 心の中で呟いたつもりの声が、うっかりと唇から漏れてしまった。慌てて口を引き結ぶけれど、出てしまった言葉は取り消せない。
 けれどもセキさんは特に反応を見せなかった。すごい勢いで、ご飯を口にかき込んでいる。
(あれ? 聞こえなかったのかな?)
「セキさん、今の言葉、聞こえました?」
「ん? なんか言ったか?」
「あ、いいえ。大したことじゃないんで……
 いつも忙しそうにしているセキさんにはもっとゆっくりして欲しいけれど、彼がのんびりしていられる立場じゃないこともわかっている。彼を支えるには約不足な私が、差し出がましいことを言ってはいけないのだ。
 だから出かかった言葉をお味噌汁と一緒にごくんと飲み干して、にっこり笑顔でセキさんを誤魔化す。
「お昼からは、ユウガオさんと情報交換会なんですよね」
「ああ。ヒナツとズイの遺跡まで行くから、帰りはちっと遅くなるかもな。ま、それでも日暮れまでには戻ってくるぜ」
「わかりました」
「あんたは……毛槍の草原の調査か。そっちの方が遠いんじゃねぇか?」
「でも、オヤブンの様子を見たらすぐに帰ってきますから、セキさんよりも早く帰れますよ」
「しかし道中には気をつけるんだぜ」
「わかってますよ」
 そんな簡単なやりとりをしているうちに、セキさんはおかわりの分も綺麗に平らげた。最後に湯呑にお茶を注ぎ、勢いよくぐいっと煽る。
 ……いつも思うんだけど、そんなに一気に飲み干して、熱くないのかな?
 元いた時代では、「ご飯はよく噛みながら食べなさい」って言われてきたから、私の食べるスピードはそれほど早くない。見下ろすと、目の前のご飯はまだ半分くらいしか減っていなかった。私がもぐもぐと口を動かす間に、セキさんはテキパキと水瓶から桶へ水を移して、お椀とお茶碗をささっとゆすぐ。
 お浸しを箸でつまみながら、そろそろセキさんは出発するのかなぁって考えていたら、セキさんは私をちらりと見下ろして、すぐ隣に腰を下ろした。そして、その場にごろりと横になる。
「せ! せ、せ、せ、セキさん!」
 正座が辛い現代っ子の私は、足を崩して横座りをしていた。その右太ももの上にずしっと重みが加わって、さらりと青色の髪の毛が流れる。これは、その、いわゆる、膝枕、というやつですよね。
 少しかがめば吐息が触れてしまいそうな場所で動揺する私を見上げ、セキさんはにやりと綺麗な笑みを浮かべた。
「どうした、ショウ?」
「ど、どうしたって……私はまだ食事中なんですよ。そんなところで寝転ばないでください」
 百歩譲って膝枕をするのは良しとしても、食事をしているところを見上げられるのは嫌だ。これじゃぁ、落ち着いてご飯も食べられない。そう苦言を呈すると、セキさんは気だるそうに身を起こした。
「駄目か? 良い枕があったから、ちょっくら休ませてもらおうと思ったんだがな。んなら、ちと早いが……ズイの遺跡に向かうとすっかな」
 セキさんはそう言って私に物憂げな流し目を向け、大きなあくびを一つこぼした。薄い唇が大きく開いて、その向こうに大きな赤い舌が覗く。
(あー、もう、こんな仕草一つとっても色っぽいなんて、本当にセキさんはずるいよね)
 残っていたご飯を口の中に押し込み、お味噌汁を煽って喉の奥へと押し流す。それから湯呑にお茶を入れて手の届く場所に置き、私は立ち上がったセキさんの袖を引いた。
「私がお茶を飲んでいる間だけですよ」
 そう言うと、セキさんの表情がぱぁっと華やいだ。
「ありがとよ。……たまにはこうやって寝転ぶの悪くねぇな」
 いそいそとセキさんはその場に寝転び、そして私の太ももの上に頭を乗せた。
 渋々許可を出したものの、やっぱり至近距離でセキさんの顔を見下ろすのは恥ずかしい。私は用意しておいたお茶を飲むふりをして、さり気なくセキさんから視線を外した。
 セキさんはいつも忙しそうに動き回っているから、こんなふうに寝転んでいるのはとても珍しい。彼の重みと温もりが布越しに伝わってきて緊張したけれど、慣れてしまえばどうってことはなかった。むしろ、この距離感が心地よく感じられるほどだ。
 私のリラックスした気持ちが伝わったのだろうか、飲み干した湯呑を机の上に戻すと、セキさんはおもむろに口を開いた。
「ああ、なんとも言えねえいい気分だ。あんたの言う通り、のんびりゆっくりするのも悪くねぇな」
「あ、それ、私がさっき濁した言葉じゃないですか。ちゃんと聞こえていたんですね」
「ははっ。バレちまったか」
 お茶目な嘘つきの頬をつつくと、彼は目を閉じたまま小さく笑った。彼が目を閉じているのをいいことに、あまりまじまじと見ることのない端正な顔を眺める。
(わかっていたけれど、セキさんのまつ毛ってすっごく長いなぁ。鼻すじもすらっと通っていて、ホント完璧だよね)
 よほど疲れていたのか、セキさんは私の太ももを枕にしたまますうすうと寝息を立て始めた。
 珍しく無防備な寝顔を晒しているセキさんの艶やかな髪の毛に手を伸ばしかけて、でもやっぱりやめて手を下ろす。下手に触れてしまったら、この硝子細工のように美しい寝顔が壊れてしまうような気がしたのだ。
 代わりにちょっと身体をずらして、私もころりとセキさんの隣に横になる。もちろん、私の太ももを枕にしているセキさんを起こさないように細心の注意を払うことは忘れない。
 横になると、ちょうどセキさんの手が目の前に見えた。働き者の彼の手は、少し節ばっているけれども、その肌はとてもきめ細やかで美しい。
 愛おしいその手に軽くキスをして、私もゆっくりと目を閉じる。天幕の中はすうすうと規則正しい寝息だけが響いて、とても静かだ。
(あ、遠くでサイホーンの雄たけびが聞こえる)

 そんな音を聞きながら、徐々に意識が遠くなっていって……そして。

「リーダー! そろそろ出発の時間じゃない?」
 勢いよく開けられた天幕の扉から響いたのは、コンゴウ団のキャプテン、ヒナツちゃんの元気な声だった。
 外の光が入ってきて、薄暗かった部屋の中が一気に部屋の中が明るくなる。
 慌てて私が身を起こすと、セキさんも目を覚ましたようで、目を細めながら起き上がるところだった。
(やばっ。お昼寝を決め込んでいる場合じゃなかった! セキさん、ズイの遺跡まで行かなきゃならなかったんだ!)
 焦る私とは反対に、セキさんはゆったりと欠伸をしながら立ち上がる。そして「お、もうそんな時間か?」なんて言いながら、衣文掛けの羽織りを手にした。
(もう、セキさん、急がなくっちゃ! ほら、ヒナツちゃんが目を見開いて、すごい形相になってるよ!)
 そう指摘したいところではあったんだけど、セキさんを昼寝させてしまった罪悪感があって、ヒナツちゃんに声をかけることはできなかった。
 代わりに、「行ってくるぜ」とおでこにキスをしようとするセキさんを、ぐいぐいと扉へと追いやることにする。
「ほらほら、待たせてますよ。ヒナツちゃんの大切な時間を奪っちゃいけません」
「わかった。わかったから、んなに押すなって」
「あはは。なんかごめんね。二人の時間を終わらせちゃったみたいで」
「全くだぜ」
「ううん、全然構わないよ!」
 私とセキさんの口から正反対の言葉が出てしまい、ヒナツちゃんはお腹を抱えて大笑いだ。
 苦笑いを浮かべるセキさんとヒナツちゃんを見送ってから茶碗を洗い、そろそろ私も出発することにする。
 目指すのは集落の南に位置する毛槍の草原。徒歩だと行って帰って丸一日はかかるだろうけれど、アヤシシを呼べる私なら、半日もあれば十分に帰って来れる。
「よし、行こうか」
 準備を整えてポーチの中のモンスターボールへ声をかけると、「任せて!」と言うようにボールが揺れた。
 アヤシシを呼ぼうと集落の入り口まで歩くと、遠く眼下に沼地へ向かって歩く青髪と赤髪の二人が見えた。二人の風上で動いているのは、きっとオヤブンイワークだ。
 このまま進めば二人はイワークに出くわすことはないだろうけれど、万が一出くわしてしまったらちょっと面倒かもしれない。
(ちょっと寄り道して、イワークの前を通ってからいこうかな)
 慣れている二人だから心配はいらないけれど、私がイワークの注意を引き付ければ、二人は安全に沼地を渡れるはずだ。
「ちょっと遠回りをするけど、全力で走ってもらえるかな? お礼のきのみは、ちゃんとはずむから」
 カミナギの笛を吹いて呼び出したアヤシシにお願いして後ろにまたがると、彼は「任せろ」とでも言うように、大きく一声嘶いた。
「じゃぁ、よろしく!」
 掛け声をかけると、アヤシシは勢いよく高台を駆け下りていくのであった。


  ◇◆◇◆◇◆◇◆


「リーダー、どうしたの?」
 隣を歩いていたリーダー……セキが不意に後ろを向いたので、私は足を止めて辺りに視線を巡らせた。
 コンゴウの集落の少し南に位置するこの場所は沼地に近く、木々が少なくなってきて開けている。見渡した範囲に危険そうなポケモンの姿はないけれど、遠くを見つめるセキは何かを感じ取ったのだろうか?
 けれどもセキはすぐに緊張を解いて、再び足を動かし始めた。
「ポケモンの嘶きが聞こえた気がしたんだか、気の所為だったみたいだ。驚かせて悪かったな、ヒナツ」
「ならいいけど……
 この若さで長になるだけあって、セキの勘はとても鋭い。だからきっと何かはあったんだろうけど、セキが危険ではないと判断したのなら大丈夫だろう。
 強張っていた身体の力を抜いて、済まし顔で歩く隣の男の顔を見上げる……と、つい先程見た信じられない光景が頭をよぎって思わず笑いが込み上げてきた。
 さっきは驚きすぎて笑うこともできなかったもんな、と思い出してくすりと笑うと、セキはその気配に気づいたのか、「どうした? 忍び笑いなんかして」と首を傾げた。
「さっきのリーダーのことを思いだしたんだ」
「さっきっていうと……?」
「ショウに膝枕をしてもらって、昼寝していたじゃん」
 笑いをこらえながら伝えると、セキは「ああ」と頷いて柔らかい笑みを浮かべた。
 普段からショウは「セキさんっていつ休んでいるんだろうね?」と首を傾げるように、ヒナツ自身もセキがゆったりと寛いでいるところ見たことがなかった。
 自分が物心ついたころから、子供たちのリーダー格だったセキはせっかちで動き回っていたし、長になって集落の責任を負うようになると、朝早くから夜遅くまで、誰よりも人一倍働いていた。
(当時は、なんでそんなにがむしゃらに頑張るんだろうね、って思ってたけれど……
 自分もキャプテンになった今ならよくわかる。年若い自分が皆の上に立つには、行動で示すしかないのだ。
 時を大切にして、効率と速さを求め、力の限り働いて。
 それでもセキがすぐに認められたわけではない。どの集団にも、口がさない者はいる。だからセキは歯を食いしばって、しゃにむに働いた。
(平気そうに振舞っていたけれど、リーダーも無理をしていたんだろうね)
 大股で隣を歩く男をちらりと見上げると、彼は面映ゆそうに目を細めて視線を逸らした。
「まあ、あれだな。昼寝って言うのも馬鹿にはできねぇな。意外と体力回復するし、昼の仕事の活力にもなる」
「別に昼寝が悪いとは言ってないよ。……ショウの膝、気持ちよさそうだもんね」
 言い訳をしようとするセキをからかいながら肘で突くふりをすると、綺麗な榛色の瞳は「オレのだぜ」と茶目っ気たっぷりに瞬いた。
 そういえば、セキがこんな風に柔らかく笑うようになったのはつい最近のことだ。長になりたてのころの彼は、よく苛立たしそうに怒鳴っていて常にピリピリした空気を纏っていた。
 それが落ち着いたのは、空の割れ目が戻ってからのこと。
(リーダーが力を抜いて笑うようになったのは、危機が去ってギンガ団、シンジュ団と和解したからだと思っていだけれど、それはちょっと違ったんだね)
 誰がセキを変えたのか。それは彼の昼寝の光景を見たら、一目瞭然だった。
 よく「私はあんまりセキさんのお役に立てていないから」とショウは落ち込んでいるが、そんなことは全くない。
(帰ったらあの子に伝えてやらないとね。「あんたはそのままでいいんだよ」って)
 そうしたら彼女は何と言うだろうか。何となく”そんなことはないですよ”なんて謙遜する気がする。
 そんなことを考えていると、セキはずいぶんと前の方へいってしまっていた。
「リーダー、ちょっと待ってよ。歩くの速いって!」
 慌ててヒナツが駆けだすと、近くにいたコダックが驚いたようにグワっと鳴いた。
 それに「あ、ごめんね」と声をかけて、セキとヒナツは穏やかな昼下がりの湿地を歩いて行くのであった。


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