@azisaitsumuri
お友達は世の中への疑問が尽きないみたい。
小さな頃から知っている彼は、今も変わらない。世界の色々なことに興味と関心を向け、なぜどうしてを周りに訊ねた。大人達はてきとうにあしらい、同じ筈の子供達も正直に分からないと告げ面倒臭がってもいた。
そんな彼を可哀想に感じた。
自分も答えが分かるわけではないけれど、出来るだけ彼に真摯に応えた。
そうしないと良くないことが起こる気がした。
「なぜ悪いことと良いことに分かれているんですか?」
「うーん?どうして分かれているかは分からないけれど、悪いことはしちゃダメなの!」
精々が、そうすることしか出来なかった。
そんな中、そこへ、別の男の子が現れた。
「悪いことと良いことに分けた何かきっかけがある筈だ。」
「きっかけ?」
「……おまえはなにかと、なぜ人を殺してはならないのか訊いているが、人を殺すことは人と人が争うきっかけになるからだ。」
お友達が感じる一番の疑問の一つを、その人はあっさり暴くように告げた。
「争い事は損失を生む。損失は避けたい事柄だ。だから人を殺すことは避けたいことであり、避けるために悪いこととして触れ回っている。」
彼はその人の話を大人しく聞いていた。真っ直ぐとその人を見詰めて。こんな彼は初めてだ。
「悪いことに対するものがあれば、避けるのはより分かりやすくなるだろう。それに、悪いことしてはいけないことと抑止するような負の事柄は不満を生む。だからそれと比較してそれに反した良いことという事柄を作れば、損失の抑制も容易くなる。」
しかし、彼にこんなふうに応えてくれる人というのが、初めてだった。
だから彼のその人に対する反応も、すごく納得出来た。
そうやってその人は、出会って以来、彼の疑問に応え、興味関心を満たしてくれている、ずっと。
だから彼がその人を見詰めていることも、ずっと、だった。
その人にとって世界はとてもシンプルであるようだった。彼が疑問に思うことも、優しくときほぐすように、簡単な思考と言葉で伝えている。それは周りの人とはまるで違った。白い羊達の中の、一匹だけの真っ黒な真っ黒な羊のようだった。
しかしそれは、とてもシンプルで簡単だったけれど、とても真摯に向き合っていた。彼からの更なる反応など気にしないくらいに。
彼はその人にとても惹かれた。けれどその人はそれに気付かない。そもそもその人は自分の応えに対してのどんな反応も求めていないように思えた。要は鈍いのだ。けれど彼は、その人の鈍さにすら惹かれていた。
「あの……お付き合いしている人とか、いらっしゃるんですか?」
「いないが……?」
はたから見れば彼の反応はとてもシンプルで簡単だ。けれど相手が疑問を抱かなければ意味がないだろう。どんなにシンプルで簡単でも決して辿り着けない迷宮入りの真実なのだ。
「……他の人のことは分からないけれど、貴方があの人を好きなことは、良いことだと思うの!」
「……貴女はそう思ってくれるのですか?」
「うん!」
お友達は、今はその人への疑問が尽きないみたい。
好きな人のことに、興味と関心が夢中みたいだ。