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きみをみつけたくて

全体公開 みずいこ・単話 1 1776文字
2024-08-07 13:09:26

みずいこお題部第十二回より【朱色】
関西弁非ネイティブのため口調は勘頼り

Posted by @a_yuuzora

隊服のデザインを見たときの第一印象は「うっわ、派手すぎやろ」だった。
水上としてはC級の白い服は目に痛いと感じていたから、黒が入って明度が下がったのはありがたかったが、それ以上に赤が眩しい。純粋な赤というよりはやや橙が入った、朱に近い赤。赤い隊服がトレードマークの嵐山隊との差別化でありリスペクトだろうか。生駒は同い年の嵐山を随分と好いているし尊敬と羨望の眼差しで見ているようだから。
カッコいい隊服に出来たと自信満々な生駒を見ながら、隊服なんてなんでもええやろとデザインを丸投げしたのを、水上はやや後悔した。

「まあおれはバッグワーム着るんで、イコさんがええと思ってるならええやろって感じですね」
このド派手な朱色の隊服に関する感想を隠岐に聞けばそう答えが返ってきて、水上は渋い顔をする。
「遠回しに派手や言うとるやんけ」
「いや実際目立ちますからねえ。ほんまバッグワームあって良かったわ」
「ほんまコイツ……俺も開始早々バッグワーム着ようかな」
「先輩に限ってはバッグワームでどうにかなる範疇越えてる気ぃしますけどね。いやあ先輩、髪とタッパのせいで遠くからでも目立つこと目立つこと」
くすくす笑う後輩の足に軽く蹴りを入れながら、ふむ、と思案する。そこまで目立つなら何か逆手に使えそうな気がした。

デカくて派手ですっとろそうな奴が屋根の上でチョロチョロしてたら撃ちたくなるやろ、という狙撃手釣りの作戦はまずまず上手くいったため、水上が組む戦法のひとつになった。
狙撃が来そうなポイントをいくつか絞っておけば、攻撃手との連携でない限り避けられる。そこから弾道解析して直接向かうか隠岐に狩りにいかせられれば上々。仮に致命的な一撃をもらってしまったとしても狙撃手の位置が割れるのは同じだし、傍にいる主砲の生駒が狙われるよりマシなため駒損にならない、といった具合だ。
防衛任務のことを考えると市民の目を引きすぎる色合いも、ランク戦ならそれなりに道具として役に立つ、と思い直してきた頃。
「なんや水上ばっかり狙われ過ぎやない? 気のせい?」
そう生駒が尋ねてきた。言われてみれば、この立ち回りをすると決めたのは水上自身でその後の指示も水上がするため特に誰とも共有していなかった。
「まあ、そういう立ち回りしてますからね。こんだけ全身目立つナリしてるなら利用せん手はないでしょ」
「ん? それ、お前が目立つから狙われるてこと?」
「ええ、まあ」
素直にうなずけば、生駒は一瞬固まったあと「ごめんな」と手を合わせた。
「え、何が」
「これ何も言い訳できん俺がアホなだけなんやけどな? 俺が見つけやすいようにしたかっただけやねん」
「どういうことです?」
「お前、転送直後は俺とお前が合流するのが最優先や言うたやん? ほんなら水上をよぉ分かる色にしとけば見つけやすいやんな、って思ってな」
「いやいや、レーダーあるでしょ」
「俺あんまレーダー見るの得意やないねん。それに目視の方が早いし分かりやすいしな」
水上は思わず片手で顔を覆う。あまりに単純、あまりに直感的。故に考えたこともなかった思考。このやけに悪目立ちする色彩が、自分を一刻も早く見つけたくて選んだ色だったなんて、思いもしない。不覚にもキュンと胸が鳴った。この年上でイカツくて少々アホな先輩相手に。
……てっきり、嵐山隊リスペクトなのかと」
「それもちょっとある」
「あるんかい」
「でも水上早よ合流するためにこの色にしたのは本当やで。お前からも俺が目立てば見つけやすい思ったしな。いや、敵にも見つけやすいなんて当たり前のことなんで気付かんかったんやろ。今からでも変えよか?」
「いや、別にええです。今の立ち回りも慣れてきたところなんで」
「ほんまに?」
「大丈夫っす」
「無理してへんならええけど、困りごとあったら抱え込まんとちゃんと言うてや。お前ほど賢くないけど一応俺隊長なんやから、な?」
そう言って引き下がった生駒の背中を見ながら、水上は緩む口元をぐにぐにと揉んで誤魔化す。
支え甲斐があるというか無自覚人誑しというか、この人には俺が居らなって思わせるのほんま上手いわ、とても真似できん。
そんなことを思いながら、水上は次の立ち回りを考えていた。この愛すべき隊長をもっと上に押し上げるために。


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