「かあさま次元」と「カゲロウデイズする天城カイト」で融合召喚した三次創作になります。
読まれる際は事前にふれれら様の上記の2作品を読んでおくことを強く推奨します。
https://privatter.net/p/7636740 カゲロウデイズする天城カイト
https://privatter.net/p/5003158 かあさま次元
8月中は全体公開にします。その後はログインに限定にします。
@chiriru3989
全ての世界は合わせ鏡のように隣接している。
そう例えるなら、ある男が仕事帰りにケーキを買って帰ろうかそのまま帰ろうか悩んでいるとしよう。そして、その時点で男がケーキを買った世界と買わなかった世界が発生するのだ。そうして増えていく合わせ鏡を人は「並行世界」「パラレルワールド」と呼ぶ。
当然ながらそれらを人間は認知できない。仮に観てしまえば情報量に発狂してしまうだろう。
であればそれらを認知できるのは人知の及ばぬ存在。即ち神である事は想像に難くない。
そして、無数の並行世界のカケラを眺めながら女と幼子は笑っていた。
女は神だ。絶望という全ての世界に通ずる線を司る女にとって数多の世界を観る程度の事は寝起きの白湯程度に簡単な事だ。
そして、幼子は獣だ。正確には、獣の幼体という方が正しいか。数多の世界の絶望を喰らい、成長し、いずれは終わりを望みながら、永遠に絶望の神の眷属となる運命の仔。
二人は嗤いながら赤に染まる世界を観ていた。
希望を失くし、絶望に暮れる世界達を。
その中の一つを幼子は手に取る。そして、そのカケラを、その鋭利な牙で噛み砕いた。
割れたカケラからは赤い液体が流れ出し幼子の口元を汚していた。その赤はきっと噛み砕かれた世界の痛み、絶望。しかしそれは、絶望を食らう獣にとっては甘美なものでしかない。
一つ取れば次も欲しい。まだ足りないのだろう。赤に染まったカケラに幼子は次々と手を伸ばし噛み砕き、やがては口元だけでなく服も赤に染まっていった。
その様子を絶望の神は玉座のような椅子に腰掛け、微笑を湛えながら見ていた。それの瞳はまるで、母がやんちゃな子供のひとり遊びを見るかのような慈愛の瞳。しかし、その裏には隠しきれぬほどの黒い悪意と好奇がある。
やがて、幼子は満足したのか女の元へ駆け寄り、その側に凭れる。その服は返り血を浴びたかのように紅く染まっていた。
そして女は、残った赤く染まっていないカケラに手をかざす。そして黒い淀みをそのカケラに捩じ込んだ。それは誰にも見えず正体を知るのはこの絶望の神のみだろう。
そして、ここにはもう用はないと言わんばかりに女は立ち上がり幼子の歩調に合わせゆったりと進み始める。次の餌を探す為に。
そして、また、ここに戻ってきた時にはあの淀みから派生した赤き世界が溢れている事だろう。
いずれはそれも幼子の養分になる。そうして絶望の神の眷属は闇に堕ちていくのだ。