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夏休みの思い出に…

全体公開 Δドラヒナ 6 2613文字
2024-08-22 10:34:08

ピクスク様のオールジャンルイベント『本を作るための、締切を作るための、イベント』参加作品の2作目です。
Δドラヒナで、Δ隊長(28歳)×高校生ヒナイチくん(16歳)のお話です。
Δ隊長が、新横浜警察署に赴任してきた年の初めての夏。
夏休みも終わり間近。ギルドに来たついでに、宿題の分からない所を教えて貰う約束をした、ヒナイチくん。
初恋の人に夏休みの思い出について訊ねると、エリート街道を走ってきた彼は寂しそうに笑う。
そんな想い人に、彼女は
欧米圏は、夏休みも長いし、宿題もないらしいですよ。学期の始まる時期の違い、とかそういう事らしいですが。

他のΔドラヒナのお話はこちらから読めます →https://privatter.net/category/51192

Posted by @kw42431393

*捏造設定になります。

 ・Δ隊長は、父親のドラウスさんは人間、母親のミラさんが吸血鬼という設定です。ヒナイチくんより一回り年上。ルーマニア育ちの日系ハーフ。なので、独り言や鼻唄に突然ルーマニア語が混じったりする。生まれつき虚弱体質だが、ブーストを使えば短期戦の戦闘参加は可能で、本編よりは体力もある。幼い頃から「ダンピールとしての、突出した探知能力で市民を守る」という夢の為に突っ走ってきたので、子供時代の話や、普通の高校生をしているヒナイチくんと喋る時、寂しそうな顔になる癖があります。

 ・Δジョンは元々ミラさんの使い魔で「体の弱い息子をよろしく頼む」と言われ、Δ隊長を主人として尊敬し、行動を共にしている設定になっています。なので、Δジョンの方がΔ隊長よりちょっと年上です。この世界でも新横浜のアイドル。

・ΔヒナイチくんとΔ隊長の出会いは、彼女が幼い頃に下等吸血鬼に襲われていたところをΔ隊長が助けた、という事になっています。Δ隊長は幼い頃からの憧れの人で、常にキラキラした目で見上げています。元々和菓子党だったが、幼い頃に貰ったクッキーを食べてから、現在はクッキー党。バーの娘なので、他の世界線に比べて料理は上手で、コミュニケーション能力もそこそこ高い。



 「こんばんは、ヒナイチくん。」
 「こんばんは、隊長さん。じゃあ、よろしくお願いします!」

 ヌフフ、隊長さんじゃないヌよ?今から、ドラルク様は『先生』だヌ。

 ギルドマスターこと、父さんとの会合が終わった隊長さんに駈け寄る。
 両手には、夏休みの宿題を持って。

 今日は、8月30日。
 待ちに待った楽しみの夏休みが、いつの間にか終わってしまう。
 友達と遊んで、部活動に勤しんで、宿題はほどほどやって過ごした日々も、学校に通う日常に戻る。
 だから、今日。分からない所を纏めて教えて貰う約束だったんだ。
 「あ、そっか。じゃあ、お願いします。先生。」
 そう言って、一人と一匹の前に、アイスコーヒーとアイスココアを並べる。
 そして、貴方は私の為に焼いてくれたクッキーをタッパから出して並べてくれる。
 憧れの人と合法的に、お話が出来て、勉強になって、何より最高のおやつまでついている。
 ここまで、最高な夏の思い出も少ないと思うぞ?

 「じゃあ、始めようか。どれからしよう?数学から?」
 「えへへ。数学、苦手なんだ。だから、ちょっと多いけど大丈夫か?」
 大丈夫だよ、と笑ってくれる貴方に、少しズキリと胸が痛む。
 これは、内緒だぞ?わざと、残してたんだ。
 本当は、分かる問題だってある。我ながら、ズルいよな。
 でも、少しでもあの人とささやかな時間を過ごしたくって

 「あぁ、ここか。懐かしい、昔、よくこんなのを解いてたな。」
 そう言いながら、サラサラとノートに書き込んでくれる、細くて綺麗な指を見る。
 赤いマニキュアに彩られたその指、こういうチャンスでもないと、じっくり見る事は出来ないから本当は、写メに撮りたいぐらいなんだから。
 「ヌヌイヌヌン?」
 「あ、あぁすまない。えっと、ここはこう?」
 「いいよ、いいよ。その調子。」
 優しい声に顔を上げる。目の前にある貴方の笑顔は、とても



 「。」
 「ん?どうしたの?私に何かついてる?」
 何だろうどこか寂しそうに見える。
 貴方がここに赴任してから、数か月。通学路で、ギルドで、貴方と会う機会が増えた。
 学校の事や、友達の事、子供の頃のお話をすると、貴方はフッとそんな顔をする。
 もしかして、こういう話は楽しくないのかな?不真面目で、困ってるのかな?
 そう思って、以前聞いてみた事がある。

 『アハハそんな事ないよ。私はした事がないから、珍しいだけ。むしろ、もっとお話ししておくれ。』

 だから、私から話す事は多いんだけど隊長さんは、あまりしてくれない。彼は、どうだったのかな?
 「う~ん、私は飛び級だったからね。幼い頃は受験勉強と習い事で、15歳から大学生だったし。論文発表の準備が、忙しかった記憶しかなくって。だから、夏休みの宿題って、不思議な感じなんだよね。」
 「え?ルーマニアの学生は、夏休みの宿題がないのか?いいな~。」
 初めて聞いたな。夏休みって、楽しみだけど宿題は、どっさりあるし。
 「欧米圏は、宿題ないよ。あと、日本の夏休みは短いね。ルーマニアは、6月半ばから3か月間休みだよ。日本の学生さんは、忙しいなぁって、思ってた。」
 「うぅ~、ますます羨ましい。日本の学校は、子供に厳し過ぎないか?」
 「ヌーヌー。」
 机に顎を乗せて、頬を膨らませる私をジョンが撫でてくれる。
 でも、それは『普通の』学生だったらの話だ。
 幼い頃からIQがよくて、飛び級で大学受験を控えていた隊長には、当てはまらない。
 隊長は、どう思っていたのだろう。
 
 「ん小さい頃から、吸対に入るって決めてたから。必要な事だって教えられてきたし、いつだって、ジョンが傍にいてくれた。元々、勉強は好きだったよだから、別に。」
 そこまで言った所で、外から子供達の歓声が聞こえてきた。
 浮き輪や着替えを持った、麦わら帽の子供達が駆けていく。
 これから、プールか川で泳ぐ気なんだろうな目の合った子供の一人が、こちらに手を振って来た。
 勿論、私も手を振り返す。向かいに座っている貴方も、その子に手を振り返していた。
 「望み通り、吸対に入ったんだ。今も、満足しているとも。」
 
 その言葉は、とても寂しく聞こえた。
 貴方だって、本当は子供の頃
 「なぁ隊長さん。明日、非番だよな?」
 宿題も終わったし、お礼も兼ねて一緒に
 「ん?何だね?」
 何を言ってるんだ、私は。高校生にそんな事されたら、迷惑に決まってるじゃないか。
 「何でもない。よし、出来たぞ!隊長さんのおかげで、最終日はゆっくり出来そうだ。」
 こんなの私の我儘だ。会えないと思っていた、初恋の人にこうして貰えるだけで、満足しなきゃ

 一緒に、川に泳ぎに行かないか?
 涼しくって、魚も釣れて、ゆっくり出来る場所を知ってるんだ。
 貴方とジョンと一緒に、夏の最後の思い出を作りたいな。


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