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素直に迎える、秋の始まり

全体公開 反転ドラヒナ 4 3087文字
2024-08-28 18:06:15

ピクスク様のオールジャンルイベント『本を作るための、締切をつくる為の、イベント』参加作品の3作目です。
心身共に結ばれてからの、反転ドラヒナで、夏の終わり、秋の始まりを感じて頂ければと思います。
反転なのに、彼女が大人になってきた時間軸なので、甘めでドラルクさんが負けております。
他の反転ドラヒナのお話は、ここから読めます→https://privatter.net/category/50931

Posted by @kw42431393

反転ドラルク:
 強大な力を持つ我が儘で中二病の人外。再生能力を持たず、両親に甘やかされてきた為、刹那的な性格。
 自分の監視員であるヒナイチに執着し、理性が衰える満月の夜に無理矢理想いを遂げる。彼女を自分に溺れさせようとしている内に、彼女の血以外受け付けなくなる程、自分の方がのめり込んでしまった。
 ジョンやロナルドの助けもあって、彼女とは両想いとなり、「両種族の抗争が終結したら血族になる」という契約を交わし、抗争終結に協力する。
 下等吸血鬼など話し合いが通じない相手へのお野蛮担当。

 反転ヒナイチ:
 吸血鬼対策課ヒヨシ隊副隊長を勤める若きエリート。ドラルクの監視員で、意地っ張りなくっころさん。
 幼少時に、父親が忙しく構って貰えなかった為、本当は甘えん坊で寂しがりや。自分を甘えさせてくれる監視対象に父親像を求めていたが、心身を傷つけられ、さらに快楽堕ち一歩手前までなる。
 ジョンやロナルドの助けもあって、依存から愛情に移行するまで成長する。市民の警護や避難の担当。

 反転ジョン:
 ドラルクの使い魔。落ち着いたムキムキの大人マジロ。
 ヒナイチが来てから、太ってしまい、筋トレをハードにしたら、筋肉で丸まれなくなってしまった。元競マの帝王。
 主夫婦がヤンデレ同士なので、苦労人気質。ドラルクの盾として、自身も戦闘に参加する。
 みっぴきのバランサー。

 反転ロナルド:
 全ての吸血鬼と友人になれる世界を作るのが夢の退治人。
 戦闘に参加しないが、お話合いという必殺技を使う。最終的にお嬢が反転してゴリラになるのは、内緒。
 両種族の共生の為には吸血鬼、吸対、退治人の連携が不可欠な為、仲介者として奔走している。
 最強のお嬢で、みっぴきの切り札。



 リリリリ
 リーンリーン
 チーチーチー

 日中は今でも焼けつく様な日差しだが、朝晩涼しい風が吹く様になってきた。
 何より、虫の鳴き声がするいや。
 「フフ。お前もお茶会に招待されに来たのか?」
 テーブルの上でピョンピョンと跳ねるコオロギを、指先でつつく。彼は警戒する様に、後ずさりすると草むらに逃げて行ってしまった。
 「もう、夏も終わりもうすぐ、また会えるな。」
 そう言って、頭上を仰ぐ。庭園のテーブルを覆う様に茂っている、金木犀が目に入った。
 あと、2週間も経てば、よい香りと共に、綺麗な橙色の花を見せてくれるのだろう。
 
 『君は、何を挿しても似合う。つくづく、飾り甲斐のあるお嬢さんだとも。』

 去年、そう言われた時は怒鳴って、挿されたこの花を地面に叩きつけたものだ。
 私の心身を傷つけて、誇りを奪った化け物が、どの口でと。
 時が経てば変わるものだ、今となっては



 「ヌヌイヌヌン、ヌーヌヌヌ?」
 「ん、何でもないぞ。もうすぐ、金木犀が咲くんだなそう思っただけだ。」
 「この暑さにも負けずに、今年も花芽を付けたのだ。我々と比べ物にならぬほど、強いものだよ。」
 ジョンに続いて、姿を現したドラルクが、テーブルにクッキーを紅茶を並べてくれる。

 さっきまで、彼と花壇の世話をしていたのだ。
 元々、ふらりと庭いじりに出て行ってしまうので、監視任務として同行していただけだった。
 いつしか手持ち無沙汰に感じて、手伝う様になって今は、私用の花壇まで貰ってる。分からない事は多いが、嫌な気分ではない。むしろ、楽しく感じる様になってきたぐらいだ。
 
 「金木犀か勿論、受け取ってくれるだろうね?」
 揶揄う様な笑いに、苦笑する。状況的に仕方なかったとはいえ今も意地悪な奴だ。
 今の私が、断る訳がない事も知っているだろうに
 「あぁ、今回はな。綺麗に咲くといいが。」

 金木犀の花言葉は色々あるが、『気高い人』『初恋』『陶酔』『真実の愛』『誘惑』。
 初めて陶酔するほど、自分を魅惑させる女性。真実の愛を捧げるに値する気高い人気障ったらしいと思うが、そういうニュアンスで、髪に挿してくれたのだ。
 紆余屈折あって、お互いの心を打ち明け合い、想い合う様になった今ならばすんなりその言葉と共に、受け入れられるだろう。
 「ロナルドは?」
 ロナ戦の関係で、オータムに顔出ししてきた帰りに、ここに寄ってくれるという。
 彼自身、個人事務所の経営から、地域活動そして、両種族の共生の時代を築くという目的の為に、いつ休んでいるのか分からない程、動いてくれている。
 だから、違う組織と種族に属する三人と一匹で過ごす時間が、貴重に思える。彼が来るのが、私達も楽しみで仕方がないのだ。

 今回は、苦労したみたいヌね。ロナルドくんが、締切ギリギリなんて珍しいヌ。

 「ロナルドと一緒に、ジョン達も他県に応援に行っていたのものな。仕方ないか。」
 「あぁ、思ったより面倒な案件だったよ。彼なら、もうすぐ来ると連絡があった。先におあがり。」
 



 ドラルクが示したのは、彼お手製の最高のクッキーと紅茶。
 気の置けない者達と大事に世話をされた花を見て、涼しい風と虫たちの声を堪能する。
 こんな贅沢な時間だからこそ、揃って皆で食べたいそう思う。

 「いや、大丈夫だ。ロナルドとも一緒に食べたいから、私は待つぞ。」
 「それは、それはそれまで、お腹が持てばいいがね。」
 「ヌフフフ」
 揶揄う様に言われて、ムッとする。
 多少、図星なのもあるだから、私からお返しだ。

 「おっと、何をするのかね?」
 不意をついて、クラバットを掴んで引き寄せる。そして、その胸元に白いトルコキキョウを挿した。
 これまでは私がされる側だったが、その花は、今の私が育てた花だ。
 詳しいお前の事だから、説明しなくても分かってくれるよな?
 「嬉しいねいつも、私から言ってばかりだから。」

 白いトルコキキョウの花言葉は、『永遠の愛』。
 今はまだ、限りある昼の世界にいるけどいつかは、お前の血を受け入れると決めているから。
 永遠に、それをあげられる自信があるから。

 「ヒナイチくん
 顎に手をかけられる今は歓迎している心地に、うっとりと目を閉じる。
 今は安心するお香の様な香りが、鼻腔をついて

 『おこんばんは。遅くなりまして、申し訳ありませんわ。』

 遠くから聞こえてきた、私達を支え続けてくれる友人の声。
 待っていた時間に、嬉しさがこみ上げる。
 「あ、ロナルドだ!」
 「こ、これ。君ときたら折角のムードだったのに。」
 見上げると、興を削がれて口を尖らした209歳の吸血鬼と、困った顔をした優しいマジロの顔。
 思わず、笑みが漏れる。
 「そんな顔をするな。将来の私達に、時間はいくらでもある。とりあえず、今回はこれで我慢しろ。」

 改めてクラバットを引き寄せて、彼に軽いキスをする。
 いつも負けてばかりだから、してやったりというものだ。
 「フン仕方がない。次回は、一本取らせてやらなければいいだけだ。」

 ドラルク様も、諦めるヌ。ヒナイチくんは、ドラルク様が思っているより大人になってヌよ?

 物足りなそうな彼と、そんな主を窘めるジョン。
 この風景にも、いつしか慣れてしまったものだ。
 
 「残念だな。次だって、私も負けてやらないぞ。」
 そんな主従を庭園に置いて、私はロナルドを迎えに入り口へと足を向けた。
 

 


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