X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです

きみとの世界

全体公開 SS/SSS 1112文字
2024-09-05 18:14:58

SS
S1-6の時止め直前のアジラフェル

Posted by @otohitoe_



おまえと出逢えて良かった。
クロウリーはそう言った。大きな地鳴り、そして邪悪な気配が足元から湧き上がるのと同時に跪き、濡れた地面に這い蹲ったクロウリーが。立つことすらままならない様子で言った。わたしに向かって、クロウリーが、そう言ったのだ。
かっと頭に血が上った。
幾度となく喧嘩もしてきたけれど、そんなせりふを言われたことは一度として無かった。何十年と顔を合わせない時間を過ごしたとしても、いつか必ず喧嘩は終わり、大いに酔い、踊り、笑い、許しあってきた。
なのにクロウリーは今なんと言った? わたしに向かって、冗談とは思えない面持ちで、完全に全てを諦めきった眼差しで、はっきりと別れの言葉を告げたのだ。

「諦めるわけにはいかないだろう、わたし達は」

諦めちゃいけないんだ、わたし達は。勝手に降りるなんてゆるさない。ここで今きみが消滅するということは、わたしだってそうなるということだ。
わたしは未来を信じてる。そしてわたしの信じる未来にはきみもいる。きみのいない未来なんて想定外だ。
もしもきみがわたしとの未来を諦めたとしても。わたしとの未来を信じるのをやめたとしても。元からそんな未来など想像していなかったとしてもだ!
きみがそれを良しとするのか? わたしが消えるのを!

地を摺る硬い音。手に馴染む懐かしい感触。六千年離れていたとは思えない、友人のような親しみがあった。自分から手放して、ようやく帰ってきたわたしの剣。
けれどクロウリー、きみは六千年の間わたしと友達でいてくれたね。
六千年の間、ずっとわたしの心の傍にいてくれていた。きみとの間にある特別な繋がりは決して断たれることはなかった。諍いがあっても、時にはわたしが、時にはきみが、ほんの少しだけ折れて歩み寄った。そうして紡いだ時間を経て今は目の前にいる。一緒にここまで来たのだ。なのにきみは、ここから先はわたし一人で行けというのか? わたしに戦わせるのかクロウリー。わたし一人で。全て投げ出したきみのぶんまでこの剣を振るえと言うのか。きみはそれでいいのか? きみがそれに納得するわけないだろう。
わなわなと手が震えた。恐怖もあったがそれ以上に怒っていた。

「もし何も思いつかないのなら、」

地獄の王が何だというんだ。きみはわたしの友達だろう!

もう二度と口を利かない!」

わたしはきみとの未来しか持っていないのに、きみがそれを手放すな。未来はきみだけのものじゃないんだぞ。きみが投げ出した未来はわたしの未来じゃない。
わたしを生かしたいはずだ、クロウリー。きみはわたしと生きたいはずだ!









© 2026 Privatter All Rights Reserved.