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ふたりで暮らすということ

全体公開 SS/SSS 1161文字
2024-09-05 18:19:11

SS
コテージシェアを始めたふたり

Posted by @otohitoe_



黒いソファなんて。
アジラフェルは本当は、内心ちょっと納得がいっていなかった。
アジラフェルの身の回りは白とブラウン、黄色やゴールド、やわらかくあたたかい色で溢れていた。
それなのに今、リビングにでかでかと、真っ黒の革張りのソファ。
ふたりで選んだ街、ふたりで選んだコテージ、ふたりで選んだ家具。たくさん話し合って吟味して、納得尽くで決めたのに、自分で選んだものだけと暮らしていた時間が長かったせいか、その違和感にどうしても目がいってしまう。
……、)
そうか。これがきみと暮らすってことか。
まったく趣味じゃない色や造形の家具や調度品。これまでの生活にはなかった香りや手触り。不揃いのマグカップ。
アジラフェルは急にそれらがますます愛おしくなった。
わたしがずっと思い描いていたきみとの生活は、こんなふうに違和感まみれの部屋だったんだな。
そのうち慣れてしまうのかな。今のうちに、きみも同じように思ってくれたらいいな。
だからクロウリー、カーテンを新しくタータンチェックに買い替えるのはどうだろう? 実は昨日の店で良いのを見つけていたんだ。
わたしときみが暮らしているという意味でぴったりだと思うんだけど。








真っ白のベッドなんて。
クロウリーは本当は、ずっと納得がいっていなかった。
クロウリーはいつも黒とグレー、深い青や緑、くすんでいて涼やかな色に囲まれていた。
それがどうだ、寝室の主の顔をして居座る真っ白の大きなこのベッド。
ふたりで選んだ街、ふたりで選んだコテージ、ふたりで選んだ家具。たくさん話し合ってお互い納得して決めたはずなのに、クロウリーに芽生えたのは紛れもなく違和感だった。当初は浮かれていて気付かなかったのかも。
大体寝るのはおれだけなんだから、ベッドなんておれの好きにして良かったんじゃないか? 今からでもベッドもシーツも枕も全部、しれっと買い替えてしまおうかと思い始めていたある朝のこと。
目が覚めたとき、眩しいほど真っ白のシーツがまず目に入って、ここはおれの家じゃないとすぐにわかる。そのことに気付いたのだ。
おれの家じゃない。おれとアジラフェルの家だ。おれが絶対選ばない真っ白のシーツ、明るい朝の陽射しが燦々と射し込んでいることも、自分の家ではありえなかった。
クロウリーはアジラフェルと共に暮らしていることを実感して、ああ、なんて良い目覚めなんだと思ったのだ。
こういうのもそのうち慣れたりするものかな。実はおまえも同じように思っていたりしてな。
だからアジラフェル、テーブルを買い替えないか? 昨日の店で、黒い大理石の良いやつを見つけたんだ。
おまえがおれと暮らしてるって実感するのにぴったりだと思うんだが。









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