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​腐向け・BL作品を隠すことについて

全体公開 2965文字
2024-09-06 16:06:18

「うまし」のアカウントを作ってすぐの頃に書いた文章です。(2013/12/06)
元々TwitLongerというサービスに置いていたものですが、念のためにこちらにも投稿しておきます。
この文章を書いてから10年以上経過している上に昔話も多く、用語など色々と古い点はありますが、基本的な考え方は変わっていない(つもり)です。

​​最初に、私自身について書いておきます。
私は現在37歳で、夫と恋愛結婚をし、子供を二人授かりました。
しかし、7年前までは、自分をレズビアンだと思って生きてきました。
そして、レズビアンである以上に、腐女子だと思って生きてきました。
10歳にもならない頃から、今に至るまで、
ずっと親密な男同士の関係に萌えています。
私は、萌えを反響増幅しあう仲間としての腐女子や、
安心できる居場所としての腐女子の世界・コミュニティを、愛し、信じています。
だから守りたいという気持ちもわかるし、だからこそ解ってほしくもある。
これから書くことは、そういう気持ちから出てきた言葉だと、
どうか、信じてください。

正直、今の腐女子向け二次創作の現状について、詳しくはありません。
なので、これから書くことは部分的に時代錯誤かもしれませんが、
私の気持ちと意図を汲んでいただければ幸いです。

ある日、「BL(腐向け作品)を隠すな」「隠すべき」という意見が、ツイッターでRTされてきました。
「隠すな」「隠すべき」、どちらの意見にも全面的に肯くことはできませんでした。
ちょうど私自身、数年ぶりに腐向け二次創作を始めて、どうすべきか悩んでいたところでした。
そこで改めて、19歳で初めて同人誌を出した頃から今までの
いろいろな体験や、気になっていたことを、心の中で整理してみました。

好きな二次創作の書き手さんが、
悪意なく同性愛差別的な発言をしていた時には、とても傷つきました。
昔はよく見かけた「BLはキレイだけど」のような言葉にも、
「現実の同性愛者は否定されるのか」と暗い気持ちになりました。
もちろん腐女子の世界の外は、もっと酷い状況でしたが、
”愛する仲間”からの言葉は、より深く私に突き刺さりました。

中でも、私が最も傷つき、理解できず、困ったのは、
「男性同士の恋愛描写があります。不快な方は回れ右!」
といった注意喚起文でした。
なぜ、男性同士(同性同士)の恋愛の描写は不快感を与えるという前提なのだろう。
当時は私以外に、その注意書に疑問を感じたり、
ましてや傷付いたりしている腐女子を、私は見つけられず、
「みんなには自明の理なのか」と思うと、より悲しく、
安らげるはずの腐女子コミュニティーの中でさえ疎外されているように感じました。

性行為の描写については、注意書や区分があって然るべきだと、私も思います。
見たい人だけが見、欲しい人のところにだけ届けばいい。
興味も知識もないような子供に過激な性行為の描写を見せるのは虐待ですし、
大人でも見たくない人に見せるのはハラスメントでしょう。
しかし、それは扱っているのが男女の性であれ、男性同士、女性同士の性であれ、変わらないのではないでしょうか。

考えてみてください。
「腐注意」はあっても、「異性愛注意」は、なぜ一般的ではないのでしょう。

性描写だけを規制するのであれば、
「R-18」「成人向け」のような共通の注意書きで良いはずです。

オタク趣味である。
女性が男性を性的に見ている。
その2点だけでも、眉をひそめられる。
時にはあからさまに蔑まれる。
その蔑みから、いつか愛するBLが規制され、愛する腐女子の世界が壊されるのが怖い。
だから自衛する。攻撃されないように、身を守る。
それは、よくわかります。
愛するもの、大切な居場所は守りたい。
私も同じです。

でも、それだけですか?

オリジナルBLではなく二次創作となると、著作権のこともあり、問題は難しくなります。
さすがに私にも「おおっぴらにすべき」とは言えません。
子供向け番組・作品となると、まちがって何も知らない子供が見ないようにという気遣いも出てくるでしょう。
ですが、たとえば「関係者はお断り」という注意書きは、
そういった問題だけを意識したものでしょうか。

私たちが、どんなにその作品とキャラクターを愛し”深読み”をした産物であっても、
作者・制作者の方々には、自分の作品やキャラクターを”歪曲”されたと感じ、
怒り嫌悪する人もいるでしょう。
それは本意ではない。もちろん、その通りです。

ですが、その”深読み”の方向性が、もし男女の恋愛であったなら。
そこまでの怒りや嫌悪を、私たちは想定するでしょうか。

男性同士の恋愛として深読みされたことに、
怒り嫌悪する作者・制作者がいたとして、
その怒りや嫌悪を、当然のことと見なすのですか。
その怒りや嫌悪こそ、別の誰かを傷つけるのではありませんか?

考えてみてください。

「不快な思いをさせるに違いない」「傷つけられるに違いない」
そういう気持ちは、もしかしたら外の世界からの攻撃を
当然だと受け入れてしまっているせいではありませんか?
オタクは気持ち悪い、女が男を性的な目で見るなんて、男同士なんて。
そういう外の世界の悪意と偏見を、
「当たり前のこと」「受け入れるべきこと」にしてしまっていいのでしょうか。

「腐向け」と表示すること自体は、
その作品を求めている人にとって、必要な情報です。
「腐向け注意」となると、どうでしょう。
些細な違いです。でも、私にとっては、大きな違いです。

私は「安心できる居場所」を壊したいわけではありません。
女性が安心して、性的な視線を、性的な欲望を、認め合い、分かち合える、希有な居場所。
オタクな趣味をさらけ出し、自分を解放できる、大切な居場所。
それを守るために「今は」隠さなければならない。
オタク趣味を、女性の性欲を、「今の」社会は否定し攻撃するから。
腐女子は、そういう「外の世界」の痛みを知っている仲間だと、私は思っています。

だからこそ、私が何に痛みを感じたか、悲しみ苦しんだか、知ってほしいのです。
そう、知っていてほしい。
そして、できれば、少しだけ考えてみてください。
あなたの心の中を、ちょっと、のぞいてみてください。
あなたは痛くありませんか?
悲しくありませんか?
苦しくありませんか?
その痛み、悲しみ、苦しみは、どこから来ていますか?

腐女子のみなさんが描く世界は、いつも私をワクワクさせてくれます。
そこには「外の世界」とは違った性と愛の可能性が広がっています。
その夢を描く力は、きっと少しずつ、「外の世界」をも変えていけると、
私は信じています。

だから私は、この文章を書くことにしました。
これが、私の一歩です。
わずかでも、自分のいる世界を変えるための一歩です。
あなたと手をつなぐための一歩です。

傷付いた時と場所は違っても、
同じ痛みを抱えて、この世界を生きていきましょう。
そして、あなたの痛みが、見知らぬ誰かの痛みが、
少しでも和らぐように。
世界が、少しでもマシになるように。
ほんの一歩でも。一言でも。一瞬でも。
できれば、一緒に。


2013/12/06 火の鳥うまし

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元のTwitlongerのURL
https://twitlonger.com/show/n_1sdosci


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