リユニ時空にいるゲンさんとT260Gのドタバタコメディギャグです。T260Gがサガエメのディーヴァちゃんボディになったらという妄想を形にしました。
@wasser_welle
誰かが俺の肩を揺さぶる。それと同時に声が聞こえる。若い女の、鈴を転がしたような声が。
「ゲン様。そろそろ出陣の時間になります」
「……もう少し……寝かせてくれや」
「これでも譲歩いたしました。他の皆様は準備が整っておいでです」
俺をゲン様なんて慇懃無礼な呼び方すんのはあのポンコツメカしかおらんのだが、聞いたことのない声色で、寝起きの頭では一体誰なのか判別つくわけがない。あと純粋に眠い。
「俺抜きで行ってくれ。もう少し寝る」
「分かりました。では失礼します」
「おー、頼……む?」
次の瞬間、身体が浮く感覚がした。一体何が起こったのかと身体を起こそうとしたがそれはできなかった。
「……は?」
「おはようございます。ゲン様」
目を開ければ、そこにいたのは翠色が印象的な黒髪色白の美女だった。だが、俺のことを様付けする奴は一人しかいない。
「おま……お前、T260G……か?」
「流石です、ゲン様。レオナルド博士の実験を手伝っていたところ、同じく手伝っていたディーヴァNo.5とボディが入れ替わったのです」
「なんだそりゃ!?」
「ボディタイプが変わっただけで運用になんら支障はないので、元に戻るまでしばらくこのままでいることになりました」
「……本当にメカっつうんは自分の身体に倒して無頓着っつーかなんつーか……おい待て。今お前何をしている……?」
「何と言われましても……ゲン様を本日出陣の皆様のところへ担いでお連れしようとしているだけですが?」
そう、ようやく頭が冷静になった俺は、自分の現状をようやく把握した。美女の身体になったT260Gに、いわゆるお姫様抱っこと呼ばれるアレを、されていたのである。
あともう少しで自宅から出るところという、大惨事一歩手前だった。
「自分で歩ける!! 自分で歩けるからお前は何もするな!!」
「……本当にできますか?」
T260Gがジッとまるで疑っているような視線を俺に向ける。元々のボディでは表情が見えずわかりにくいところがあったが、そんな顔もできたのか。
「ああ、自分で歩けるし、ちゃんと出陣してきてやる」
「……分かりました。ではご武運を」
「ああ、男に二言はねえ。行ってくる」
そうして肩と首を動かし軽く準備運動をすると玄関のドアを開けた。閉める時にちらりと振り向いたその瞬間、ニコニコと屈託のない笑みで手を振るあいつの顔を見てしまい、その日がずっと、脳裏にこびり付いて離れなかったのである。
愛は刹那@お題bot
@l_is_m
「君の喜劇は僕の悲劇」