ポイピクからのものを無理矢理終わらせた
@azisaitsumuri
寝台に腰掛けた長身が言う。
「だっこ。」
首を傾げる、外で自分で立って歩いていることに飽きてそう言って来ることはあるが。幼児か?そうかも知れない。
だがここはこの男の部屋であり、本人は既にだらりとして腰を落ち着かせている。とにかく伸ばされた長くて鋭利な手に身を寄せ、バランスの取り難い長身の体を、浮かせはした。
これは何をねだられているのだろう、浮遊感か?それとも自分も座って良いのだろうか?試しに男のいた場所に腰掛けると、何も言われなかった。ただ。
「ちょ、」
衣服に長い指を引っ掛けられ、それは剥ぐような動きを見せる。これは、抱っこっていうか。
観念して、顔を寄せれば。
「いや。」
口を逸らされた。なんでだ。
「だっこ。」
「……してる。」
「ちがう。」
また首を傾げる。今度は大仰に。しかしそれをするくらい疑問だ。
「……もっと。」
またこちらの衣服に意識をやるので、諦めて寝台にその身と自分を横たえ、相手の衣服もときほぐす。その際指でその顔に触れても何も言わない。ただ顔同士を寄せると逃げられる。なんでだ。
「はやく。」
「……性急にやってる方だと思う。」
「もっと。」
もっと。
「正気を失うくらい。」
じっと相手を見詰める。やはり首が傾ぐ。
「……もう失くしている。」
「嘘。」
「嘘じゃないが。」
「嘘だ。」
随分と頑なだな。
「なんで?」
「だっていつも通りだ。」
男に、そう指摘された。
思わず笑い出してしまう。男の機嫌が傾くことは分かっていても。
「すまん、そうじゃない。」
ただ。
「おまえの前ではいつも正気じゃない。だから、もう失くしてる。」
おまえもそうだろう?と見上げれば。わたしは、と。
「わたしは、おまえに会う前から正気じゃありませんよ……」
その言葉に、ふふ、と笑いを返して遣る。
「予め準備して正気を失くしておいてくれたんだろう?」
男の腰を抱えて揺籠になって遣る。
男は今度こそ言い返して来なかった。
「なあ、口付けても良いか?」
「……良いよ。」
避けられないそこを頂いて、なんで駄目だったんだと問う。
「おまえの正気を奪う前に、そうされると、わたしがわけが分からなくまってしまう。」
男が厄介そうに言うので、もう一度それを頂いた。