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法城を護る人々を浄化せよ 前編

全体公開 7580文字
2024-10-13 01:56:48

ノリと勢いで書いたものです
ありがとうピエロのサブスク

10月18日に続きを付け足しました

Posted by @akirenge

【『法城を護る人々』を浄化せよ】

「弟よ。松岡は働きすぎではないか」

「兄さん。僕もそう思うよ」

ハロウィンが今月末に行われようとする中、島田清次郎と小川未明は分館の本の整頓をしていた。
松岡譲に頼まれたのだが、その松岡は分館の庭にあるビニールハウスにあるアスパラガスの手入れをしに言っていた。アスパラガスとは清次郎や未明も食べたことがある野菜だ。
食べていたあれは地下茎らしく栽培には最低二年、種からだと三年かかるらしい。暇なので分館の管理者の一人である『くま』が育ててみたのだが、
今は松岡が世話をしていた。

「俺なんて振られた仕事をサボりたいのに」

「サボったら怒られるよ。さすがに」

「まあ……

な、と言おうとした際、バタン! と大きな音を立てて分館の扉が開いた。

「松岡さんは?」

「どうしたの南吉」

「あのね。有碍書が出たの。松岡さんの『法城を護る人々』だって!」

「アイツの本が侵蝕された……

新美南吉が分館へと急いで入って来て叫ぶ。松岡の本が、侵蝕された。



「侵蝕者を仕留めればいいんだね!! で、おいらは弓」

「俺は刃だが……速攻パーティになったからな。メインとして切り替えればいいか」

「松岡さんは働きすぎだもん! おやすみさせなきゃ」

「僕は鞭で」

有碍書の浄化は四人一組で、取れるならば武器のバランスをとるというのが対侵蝕者の戦いのセオリーだ。セオリーにしてしまったというべきだろうか。
南吉は松岡を慕っている。直ぐに浄化作業に入ろうとしたので清次郎と未明で止めて、分館にやってきた草野心平を引っ張り込み、『法城を護る人々』の浄化に
入ることにした。松岡に関しては『くま』に任せておいた。分館から本館へと移り、有碍書となった本を引き取り、本館の潜書室で潜書した。
心平は詩人で銃……トミーガン……を使っているが、今回は巨大なクロスボウとなっていた。これで相手を撲殺できそうである。指環の力で弓としたのだ。
そのままで四人一組を組むと南吉、未明、心平の三人が銃となり清次郎が鞭となってしまう。指環で武器種を変更した結果、南吉が銃、未明が鞭、心平が弓、清次郎が刃となった。
南吉は指環を使うと弓になるのだが、今回は心平が弓となった。

「確かに松岡さんは働きすぎだよ。アスパラガスは育てるのが大変だって言っても」

……しかしまず取れるのに二年か三年はかかる野菜を育てて食べている人間もすごいな」

「んーでも、以外とそういうお野菜とか果物とか、あるよ。桃栗三年柿八年。ご飯のために昔から頑張ったんだね」

桃栗三年柿八年は清次郎も聞いたことがある言葉だ。実がなるまでそれぐらいはかかるらしい。
心平はクロスボウを握りしめている。
潜書した先は灰色の世界だった。清次郎たちも慣れたものである。慣れてはいるが油断せずに進むことにする。清次郎は『ダークドラゴン』と呼んでいる大剣を右肩に担いだ。

「『法城を護る人々』を浄化しなきゃ! 松岡さんは」

『めまいを起こして座り込んでいたので我が救助して医務室に寝かせた』

「速攻で動いたね『くま』。まずは僕達で行ってみる」

無機質な少女の声が聞こえた。
分館を出る前に叫んでおいたのが良かったらしい。松岡は休んでいる。未明が聞こえてきた声に返した。『くま』がやってくれたらしい。
心平がクロスボウをまっすぐに構えて引き金を引いた。あらかじめセットしておいた矢は『炎上する嫉妬心』の胴体を打ちぬいて散らした。

「衣裳属性を合わせておいたからな」

南吉の持つ火縄銃が『不調の獣』の額に当たる。清次郎が巨大な刃を振り下ろした。戦いなれた敵だ。侵蝕者たちはある日を境に属性を持つようになった。
炎、水、風、地の四属性で相性がある。相性によって優劣が決まるところが出てきたため、その対策として衣装に属性をまとわせることにした。衣裳については定期的に作っては
ストックしてある。戦いのためならば準備は怠らない。

「属性は大事だよね」

……向こうに寺が見える」

油断をせずに、なおかつ、的確に彼等は侵蝕者を倒していく。進んでいくと最奥に寺がある古びた街並みが見えた。

「ところでおいら、『法城を護る人々』って読んだことないんだけど」

「僕も」

「松岡さんの書いた小説っていうのは知ってる」

「俺も読んだことはないが、古い本であったな。『法城を護る人々』……城を守っているのか?」

侵蝕の気配が強くなっているのが感じられた。
進む前に心平が『法城を護る人々』について口にした。未明や南吉、清次郎もだが、全員『法城を護る人々』を読んだことがなかった。

『松岡は作家としてみるならば、三期に分けられるらしい。『第四次新思潮』時代を一期。『結婚関係のごたごた』があったころの二期。『二年の病気療養後』の三期。
『法城を護る人々』は三期に書かれたものだ……そうだ』

らしい、やだそうだ……と『くま』が松岡について話す。彼女は作家にそこまで興味を持たないのでデーターを読んでいるのだろうと清次郎は想う。
『結婚関係のごたごた』は久米正雄とのことであるようだが今回は関係がなさそうなので深くは聞かない。

「確か、三冊あった。俺たちが潜ったのは一冊だったが」

『二冊目と三冊目も侵蝕されていた。……これは読みづらいようだな。漢詩とか使われているらしい。……これ自体は短編小説として出たこともあるようだが』

「どんな話なの?」

『松岡の自伝でもあるようだ。アイツは寺出身だし。アイツが書いてみたかった長編小説とか……短編向きだったらしいけどな。アイツ』

南吉が聞いてくる。『法城を護る人々』は自伝小説の面があるらしい。清次郎と心平は空を見上げた。文字を読み取ってみているが、堅苦しいところがある。

「自伝小説。なら松岡さんの影響は……

「大変なことになっちゃってる」

自分のことを書いた小説でもある、ならば、松岡に対する影響は強い。未明や南吉が危惧していた。文豪は全ての記憶を覚えていない。
記憶がないところはないし、強く覚えているところは強い。

――最奥に向かうぞ」

「待って。清次郎君!! 何か来る!!」

松岡には清次郎は非常に世話になっていた。ナビゲートをしている『くま』は清次郎が転生してきた当初はかなり風当たりが強くよくピコピコハンマーで殴られたりしていた。
清次郎も清次郎で問題があったからだが、かといって……となる。そんな『くま』を咎めていたのは松岡だった。
侵蝕を浄化しようとする清次郎を心平が蛙のパペットであるぎゃわずをつけている右手で制した。
ひたり。と。
『何か』が向かってきている。
歩いているだけで。
世界が侵蝕され、構成要素の文字が砕けていく。

……兄さんが転生する前の話だから知らないだろうけど……

「何だ弟よ」

「未明。島田さんのことを兄さんって呼ぶの癖だよね」

「町だと僕が弟だからね。――今じゃそんなに珍しくなくなったけれども、松岡さんは、文豪の中で初めて」

未明があることに気が付いた。なお、未明が清次郎を兄と呼ぶのは二人はたまに隣町に出かけたりするときがあるのだがその時は兄弟として通しているからだ。
南吉が軽く言う。言いながらも火縄銃を構えていた。
清次郎はこの四人の中ではかなり後に転生をしてきた。南吉は最初期に確認された三十五人の文豪の一人であるし、未明はそこからかなり時間がたってから、心平もさらに
時間がたってから転生をしているが、松岡譲よりは先に転生をしてきている。

「初めて……?」

「「侵蝕者から文豪に転生したんだよ」」

未明が指環を外して銃に切り替え、心平はクロスボウの引き金を引き、南吉も引き金を引いた。童話組の声が同時に松岡譲の転生関係のことを発す。
矢が、銃弾が、やってきて侵蝕者に突き刺さる。

「この本を侵蝕したのは、黒松岡か」

……黒松岡じゃなくて、『窮愁の晦冥(きゅうしゅうのかいめい)』と名付けられている。名付けたのは横光利一と川端康成だが』

「センスのある名前だな!!」

空気が冷える。
息苦しくなる。清次郎は『ダークドラゴン』の刃をとっさに飛んできた真空波にあてた。手がしびれるが握り続ける。刃を上段に振り上げ、振り下ろす。
『窮愁の晦冥』は松岡の侵蝕者としての姿であった。黒松岡と清次郎は呼んだが訂正が入る。

『お前等、さっさと倒せ。嫌がらせをするとジジイとオッサンが煩い』

「嫌がらせが出るってことは、侵蝕が進んでるってことだね」

「そうか。この世界は『窮愁の晦冥』にとって、破壊しやすい世界ってことだから」

「キレ芸をするな。闇落ち松岡は俺が倒す」

嫌がらせとは概念操作でアルケミストでもある『くま』が外から干渉をすることだが、干渉用のエネルギーを何処から用意するかというと他の著作の精神世界とかから敷く、
ジジイことヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテやおっさんこと館長が煩いらしい。嫌がらせをした方がいいというぐらいには『法城を護る人々』の世界が侵蝕されていると
言うことだ。南吉と未明が気が付く。

「直ぐに倒して、松岡さんをお休みさせるよ!」

心平がクロスボウの矢を再び『窮愁の晦冥』に叩き込む。背後を狙ってきた『不調の獣』をクロスボウで殴打して蹴りを入れた。

……穏やかバーサーカー……

「清次郎君。何か言った?」

「何でもない。お前の剣と俺の剣、どちらが強いか勝負だ!!」

爽やかな笑顔を浮かべて心平に対して清次郎は何でもないと返しておく。気づかれてはいけない。清次郎は『窮愁の晦冥』に刃を向けた。
多数の侵蝕者の気配がする。殲滅戦が始まろうとしていた。



心平が分館にやってきたのは散歩をしていた時に寄った。ただそれだけだった。その時に清次郎たちと会い、有碍書が出たので一緒に浄化をしてくれないかと
頼まれた。直ぐに了承した。直ぐに行けたのは連絡システムがしっかりしていたのもある。行動にいきなり移しても他の文豪たちに伝わるからだ。
有碍書が出たら浄化をするのが文豪たちの役割だ。

「おいらが清次郎君を護りつつ援護をするから、二人は他の侵蝕者を倒して。余裕があったら二人ともおいらたちの援護をして」

「解った」

「そうする」

色褪せた灰色の世界。
周囲を日本家屋に囲まれている。
向こう側には長い階段とその上に寺が見える。
遮るように道の前に『窮愁の晦冥』がいた。

「横光や川端はセンスがあるな。『窮愁の晦冥』……言い方を簡素にすると『困窮の暗闇』になってしまう。言葉のセンスは重要だ」

清次郎は気楽に言っているが、そうしておかないと呑まれてしまう。『窮愁の晦冥』は松岡の負の部分が強調されたものだ。
センスと口にしているが、清次郎はセンスにこだわっている。ざり、と『窮愁の晦冥』が前に進んだ。
心平は指輪を外し、武器を銃に戻す。
『窮愁の晦冥』が欠けた太刀を清次郎に振ろうとしたのとほぼ同時に心平は自らの銃であるトミーガンの引き金を引き、攻撃を潰した。
すかさす清次郎が懐に入り巨大な刃である『ダークドラゴン』で切りつける。真っ二つに切られたが、清次郎に重ねられた炎が当たりそうになる。
心平は引き金を引いて炎に当てつつその間に転がった。清次郎も距離を取る。『炎上する嫉妬心』が二体、出てきた。
直ぐに数えられたのは二体だが、まだいる。心平は『炎上する嫉妬心』に対して引き金を引いて、銃弾をばらまいた。
トミーガン。正式名称をトンプソン・サブマシンガン。別名をシカゴ・タイプライター。
第一次世界大戦の真っ最中、新しい銃として作られた銃、しかし第一世界大戦は講和で終わり、トミーガンは活躍の場を失ったかに見えた。
が、マフィアによって使用され抗争の道具となった。そんな銃だ。
武器が銃となる文豪は童話を主に書いていた者か、詩を主に書いていた者かになる。心平は詩人だ。
銃といっても千差万別である。南吉は著作である『ごんぎつね』の影響が強いためか火縄銃型だし、未明はやや小型の二丁銃だ。

「心平さんの詩は擬音が凄いからトミーガンっぽいんだよ」

転生をした時にそんなふうに特務司書の少女は言っていた。由来も聞いた。かなり後の方で清次郎は心平のトミーガンを見て、……お前だからかと口にしていたが、
なんだろうとなる。反動がそこまで来ないようにトミーガンは左腰の金具で紐でくくられている。
余裕があったら、と心平は口にしたのは、状況がすぐに変わることを予想したからだ。

「沢山の嫉妬心がごぼごぼ湧き出ているね。『窮愁の晦冥』がよんでいるんだ」

嫉妬心と纏めてしまっているが、『窮愁の晦冥』につられて『炎上する嫉妬心』や『排除する嫉妬心』が何体もやってきていた。
『炎上する嫉妬心』は炎を打ってくるし、『排除する嫉妬心』は周囲に浮いているバケツからインクを当てて来る。インクは変化して多数に当たることもある。
誰もが持ちうる嫉妬心は、この世界ではよく出会う敵である。

『『窮愁の晦冥』は松岡の不遇から湧き出た侵蝕者だ。元々は雑誌『第四次新思潮』に存在した侵蝕者だった。松岡はめめめ三部作で転生したのだが。転生強度が弱い方で、
窮地や徳冨蘆花のお陰で転生の道筋がつけられた』

『くま』の声がする。
文豪の転生というのはアルケミストの力によってなされるもので、特務司書の少女の力がかかわっているのだが、誰が転生するかというのは手探り状態で、アタリを付けていたのは
別の者だと心平は聞いたことがある。有碍書となってしまった本から文豪が転生することもあれば、文豪たちの魂とも取れる有魂書から文豪が転生をすることもある。
雑誌から二人転生したのは高浜虚子と河東碧梧桐だ。虚子と碧梧桐は二人でともに扱われることが多々あり、その影響もあってか二人同時に転生したと心平は話に聞いた。
転生は強度や密度といわれることがあるが、それなりに強くはないと転生がうまくいかないらしい。

「前から言いたかったんだけど、久米さんを久米じゃなくてめめめって呼ぶの。分かりづらいから」

未明は『排除する嫉妬心』が清次郎と心平に攻撃をしようとする前に、基点となるバケツに右手の銃から銃弾を二発、当てた。怯んだ際に南吉が『排除する嫉妬心』の顔面に銃弾を撃ち込む。
久米正雄、くめまさおを、くめ、くめめ、めめめ、ぐらいに砕いたあだ名だ。

「なんだ。三部作?」

『受験生に読ませるな。『受験生の手記』で転生した久米正雄が、『真実一路』でコイツ拗らせてるなーとなりつつ、山本有三がそこで転生して、『第四次新思潮』でひとまず収まったんだ。全部、有碍書からだ』

清次郎のやや後ろには心平が立っていてトミーガンを向け、銃弾を撃ち続けていた。牽制と足止めだ。
清次郎は隙を窺っていた。『窮愁の晦冥』の足元には瓦礫と青白い怨念のようなものを振りかざしている文字が浮かんでいる。
踏み込まなければならないが、神経がやられそうである。『窮愁の晦冥』は両足に文字の足枷を付けていた。足枷は長い。首には輪袈裟だ。苦悶の表情を浮かべている。
転生には有魂書や有装書のほかに有碍書の浄化によって文豪が転生をするパターンもある。

「奴の表情は仮に松岡が二日酔いで苦しんでいたら、そんな顔をしそうだが」

『松岡は酒の容量はきちんと守るぞ。守らん馬鹿どもとは違って』

欠けた太刀が、彼の苦悶の叫びが、地面に叩きつけられる。『窮愁の晦冥』が動いた。
南吉が離れたところから火縄銃を『窮愁の晦冥』の左足に充てるが、動きは止まらない。トミーガンの弾丸を突っ切るように心平の方へと向かう。
固く重々しい刃は欠けた太刀の刃の前に差し出される。心平に届く前に清次郎が受け止めた。
『窮愁の晦冥』が『何か』を見つけたかのように目を見開いた。

「来るか」

清次郎が振るう刃は『窮愁の晦冥』の太刀を真上に弾いた。胴体を真っ二つにするように清次郎が横に刃を振るう。
『窮愁の晦冥』の苦悶の中に清次郎は立っていた。刃は『窮愁の晦冥』の胴体を薙ぎ払い、火縄銃の弾丸が『窮愁の晦冥』の頭を撃ち抜く。
溶けるように『窮愁の晦冥』が消えた。

「まだ、終わってない」

ホッとするよりも先に南吉が状況を確認していた。終わっていないというのはまだ残っている敵たちもそうだが、空気が晴れていないからだ。
有碍書の浄化をすると侵蝕が止まり、空気が晴れるが、『窮愁の晦冥』を倒したはずなのに倒れていない。

「まずは残っている侵蝕者を片付けよう」

「援護するぞ。俺の力がなくてはな!」

嫉妬心たちは残っている。未明が残党を倒し始めた。心平と清次郎は切り替え、この場を鎮めることにする。



『本体はまだ、生きているか……松岡の容体は……前よりは持ち直したな』

本館の潜書室にて黒くて大きなテディベアが浮いていた。『くま』と呼ばれる『それ』は元々はこの黒くて大きなテディベアの姿で居た。
本来の姿は違うのだが、動くならこれでもいいと、文豪たちを転生させた特務司書の少女が、特務司書になる前に大事にしていたテディベアの姿で出ていた。
適当である。
便利な姿であるが、この姿であちこちを飛び回っていたら利用客に発見されて、テディベアが空を飛んでいる! と叫ばれた。
夢野久作が笑顔で気のせいですと押し切り、利用客がいそうなところでテディベア姿になるのは禁止された。

『地味に破壊されていっている。本体を見つけて浄化をしたいところだが……

黒くて大きなテディベアの前には透明なウィンドウが出ている。数値として『法城を守る人々』の世界を測っている。完全に侵蝕されては終わりだが、
侵蝕はされていない。が、数値としてみれば半分以上は破壊されている。文豪たちの浄化によって持ち直したが、世界の補修能力を発揮するには
『窮愁の晦冥』を倒し切るしかない。雑魚の掃討戦も、終わろうとしていた。
松岡の容体を見ておくこと、『窮愁の晦冥』が清次郎たちの手によって完全に浄化が出来るか、などいくつか見ておくことがあった。



私は再び太陽の下で行われるあらゆる虐げを見た。
見よ、虐げられる者の涙を。
彼らには慰める者がいなかった。
また、彼らを虐げる者の手には力があった。
彼らには慰める者がいなかった。

(コヘレトの言葉、第四章一節、聖書協会共同訳)


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