@niki__kr
四季送り
前回までのあらすじ.2
…おやおや。目が覚めてしまいましたか?
麻酔の量が少なかったのでしょうか。
これは失礼をいたしました。
あなたの標本は、、、どの部位に致しましょうか。
そうですね、少し話をしながら考えましょう。
案外、話をしているだけでも妙案が思いつくものです。
まあ、今のあなたでは相槌も打てないのでしょうが。
*
私はアキト。
ええ、お察しのとおり、私は殺し屋です。
殺した対象を標本にすることにしています。
芸術の秋、だなんて言われてもいるようですが。
・・・だからなんだというのでしょう。
私は四季送り、と呼ばれる殺し屋の1人です。
春。アサクラ スズハ
夏。夏草 ミギワ。
冬。バントウ ジコン。
あなたならもう、彼らについてもご存知でしょう。
私たちは普段は甘味処あびでお茶屋さんをしながら働いています。
ふふ、こんな殺し屋たちが、ですよ。
ほんとうに気持ち悪いですね。
*
穏やかな日常を表面上は過ごしながら、
私たちは数日前から、街中でよく誰かの視線を感じていました。
得られた情報から、それが晩冬さんのストーカーであることが判明。
SNS上に、ジュエリーショップを見つめる晩冬さんの写真や、朱澄春さんと晩冬さんが買い物をしている写真などをツイートしている、贖児(あがちご)というアカウントを発見し、対象を須藤相賀(すどうさが)と特定。私たちはストーカーを追うことになりました。
どこからどうみても一般人、のはずがどこかに奇妙な違和感を感じながら、対象を清水寺へと追いつめました。
が。
ストーカーは晩冬さんに、
「あの時見せた君の死に顔が 僕の宝物なんだ」
と、不審な言葉をのこし清水の舞台から飛び降りました。
「君みたいにもう一度生まれ変われば」
「今度こそ愛が同じだってわかってくれるかな」
そんな願掛けをして。
彼の願いはかなったのでしょうか。
駆け落りた舞台の下で、、、。
ストーカーの遺体は、粉塵になっていました。
不思議ですよね。一体なにがどうして、こんなことに。
*
実はこの事件、今回だけではないのです。
同じような事象が、鹿苑寺でも――
と、その前に、
今京都でおこっているもうひとつの異変についてもお話しておきましょう。
*
それは6/5 清水寺での一件の帰り道でした。
祝君と、ふたり。季節外れの燃えるような紅葉。奇妙な違和感。
四季乱れ。と呼ばれるこの異変は各地で起こっているようでした。
紅葉の東福寺。
桜の仁和寺。
雪の鹿苑寺。
四季乱れについて、あびの店主・閻魔さんからの依頼もあり、
私たちは手探りで調査を始めることになりました。
途中、私たちを隠れて見つめる少女を発見し捕獲。
小生意気なクソg・・・失礼、その少女の名前はミクジ。
小さいころに男に誘拐されノーチラスという組織?に保護されていたとか。
そしてスズハさんと晩冬さんと昔会ったことがあるようなお話でした。
お二人のあの反応…知らないとは言っていましたが、どうでしょう。
それと。
ミクジのいたノーチラスの上層部で、魔術を利用して遺体の粉塵化に関わっているのがヨスガ…と。
粉塵化といえば、あのとき、。
ふいに、視界に、それが目に入った。
思い出すだけで気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
押さえ込んでいる吐き気が、込み上げてくる感覚。
たまに、見える。
いや、いつも、見えているのか。
*
…ああ、ふふ、そうですね。
きょうの標本は眼球、にしておきましょうか。
あなたの瞳も、なかなかどうして、悪くない。
今ならもっと、上手に残せるはずです。
標本製作の技術もずいぶん上達したのですから。
ええ。そうと決まれば、改めて。
あなたに 死期を送りにまいりました。