エスコート。
@azisaitsumuri
すっと手引きされるような目覚めだった。
天井が目に入る。嗅ぎ慣れた絵の具の匂いがする。自分は床に寝転がっている。掛けられた毛布は、前に絵の具まみれの床に寝転ぶ絵の具まみれの相手に使うなと叱って、じゃあ絵の具まみれになっても良い毛布を用意しろと怒鳴り返された産物である。そんなことを思い出しながら、そこから身を起こす。
「起きたか。」
怒鳴らずに落ち着いた声が掛かる。声に、何故か今引っ掛かっている毛布よりあたたかいような気がする。
すっと手引きされて立ち上がる。
手がやっぱり毛布よりあたたかくて、また少しうとうとする。
「風呂でも入れば。」
湯沸かしてある。と言う言葉に、ああ、あたたかいのだろうな、と思った。ああ、良いな。
「入れて。」
あたたかい手をぎゅっと握り返して、呆れたような顔を見せられる。
ねだるのはうとうとしているからだと言い訳をして、けれどそう言えばいつもあたたかさにうとうとしているなと思い出す。