@telra12
宝石の国13巻発売おめでとうございます。お疲れさまでした。
4月の無料公開が終わった後も、ああこれ書きたかったなー、ということがいくつかありながら、感想を書くタイミングを逃していました。
13巻発売記念ということで12巻までの内容が3日間無料公開されましたので、これを機に残りの感想や考察を雑ながら書いていこうと思います。
ただ、いざ読み返そうと思うと10巻11巻あたりを読むことになるわけですが、正直手が伸びませんでした。完結してとても満たされた気持ちになったけれど、それはそれとしてここはつらい。
結局無料公開終了直前にさーっと重要なところだけ読み返し、それ以外はまたうろ覚えです。
うろ覚えで宝石たちの行動をああだったこうだったと考察したり、批判したりするのどうなんだという意見もごもっともです。ですのでできるだけふわっとさせたつもりです。
久しぶりに宝石のみんなを見たらなぜか幼く見えた。
例えできない子だったとしてもフォスのことを宝石の誰かに愛してほしかった、他の誰でもないフォスとして気にかけてほしかったという思いがいまだに私の中にあるということを前提に読んでいただければと思います。
フォス好きなので他の宝石に対して(今回は特にユークレース)結構厳しめです、他の宝石推しの方すみません。勢いのまま書いたので語気もいつもより荒いですし、メモ代わりというのもあって句読点もあったりなかったりです。すみません。
正直10、11、12巻を買うかどうかは分かりません。恥を承知で正直に申しますと、金欠の中、その限られたお金を使って、ただただ辛い、しんどいと思う話を手元に置くのに迷うという思いがあります。宝石の国という話の中ではとても重要な巻なので、話をすぐに思い出すなら買った方がいいのでしょうけれど。
13巻収録分はコミックDAYSで更新を追いかけていて、結果的にとても満たされ救われたので、どうせこれから紙媒体の本を買うなら13巻の方かも……
(1~8巻を友人に借りて読み、1、2、9巻は本として手元にあります。特装版のおまけの内容も知りません)
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<展開に関するメモ、感想>
・流氷はなぜフォスの腕を砕いたのかいまだに良く分からない。
初号機よく味方とかいい奴扱いされがちだけど、別に善人(?)という訳でもないし必ずしもフォスの味方という訳でもないと思う。歴史の傍観者として昔から「あいつよくやってるなー」と思っていて、最後にそう思った通りに労っただけという感じかもしれない。
初号機にも未来予知能力はあるし、人間嫌いだった彼もまたフォスが神になれる事を予感し、人間の持つごたごたしたあれこれをはやく消し飛ばしてほしくてやったのかもしれない。
前にどこまで割れたら意識がなくなるのかという疑問を書いたけれど、普通に口が割れたら何も言わなくなるみたい
喉や肺も彫ってるんだろうか先生 んな訳……イラストからして多分内臓機構なさそうだし……
でも声帯ないと声が出ないだろうし この話深く考えるの止めよう
ただ一巻一話のフォスはあれだけ割れていたのに意識があるのが凄い それとも他のみんなも喋らなくなるだけで意識はあるんだろうか あんまりこの辺考えても分からない
・パパラチア
フォスに割とたぶん本気で同情し労ってくれる、味方にもなってくれる貴重な人材
あと例えばダイヤも労ってくれるけれどダイヤには月人のことなど重要なことをあんまり話していないんだよな もしかして頼れないと思ってる?
フォスが年上組の中でパパラチアになりたいと言ってるのも気になる
しかし寝てる 起きてる時もそんなに喋らない
・35話
欠片を崖に捨てる金剛先生
自傷癖? このシーン忘れてました こうしてみるとずいぶん金剛も人間らしくうじうじと悩んでいた面があったんだなと思いますね
・38話(黒ゴーストクォーツ初登場)
あとから考える度このシーン殴られ損じゃねえかと思う ほんとに
感想として、これが言いたかった
展開が地獄だと言われていた頃、「宝石の国」でTwitter検索などかけると「エクメアとの絡みが気持ち悪い」「色っぽい」という感想をよく見た。どれほど扇情的なイラストなんだろう、25時みたいな感じかなと思っていた。
個人的には思ったより爽やかだった。姫がこれまで全く色気を知らなかった直情ヤンキー系少女(もう少女と言っていいだろこれは)だったからかもしれない。
個人的には別にエクメアとどれだけイチャイチャしようが、あそこまで突き抜けて気の向くまま生きているのを見せられると個人的には「君たちはもうそれでいいや」となった。(でも実はフォスの話が気になるあまりいちゃいちゃのシーンはがっつり読み飛ばしてた)多分フォスも途中からそういう呆れ半分の気持ちだったと思う。
ぶっちゃけ結婚式後の姫は奔放かわいいとも思う 帽子かぶったりゲームしたり髭引っ張ったり
ただ正直この話の分は殴り返してもいいと思うよフォス……
しかも黒い肌が良いとエクメアが言ってくれたーみたいなこと後に言ってるけど、この時は「黒い肌のままで吸収率を上げておけ」と先生に言われてたんだな
そういった何もかもを「自分の意思ではない」「あの頃は本当の自分じゃなかった」と片付けて忘れてしまっているけれど、その過去を誰かに指摘されたとしても「それがどうした」と言うだけだと思う 姫は今を大切にする宝石だから
この辺の話で、「フォスにかわいいって言って甘やかすのやめてください」みたいなことを先輩宝石に言うシーンがあるけれど、ちゃっかりその時に「おれはかわいい(という評価)でいいです」とさらっと書いてあって この時点で姫の性格の兆候が出ているのかなと思った
・40話
「作業中邪魔でも入ったか」
なるほど
・41話
なんで白粉ぬったんだろ 明言されていないってことはこれこそゴーストの命令?
戦闘要員出なくてもペア組むんだね
・71話
「フォスの隙も確認できたわ いきなり硬度の話をしだしたり」
4月の期間限定無料公開の時に、ここを読んでユークレースが信用できなくなったというか薄気味悪さを感じた 今回読み返したらそうでもなかったんだけれど
思い返してみたけれど、多分「僕らの未来にはあなたが必要よ」とフォスの軌跡を認める、価値を認めるような発言をしておきながらその実それに対してのフォスの涙や返事を「隙」としか考えていなかったあたりに嫌悪を感じたのかもしれない
フォスを月人の仲間、つまり敵とみなすこと自体は仕方ないことでもあるんだけれど、ボルツのようなとても分かりやすい対応より若干質が悪いというか、計算でしか物を考えられないというか
敵、戦う相手としてみれば隙ではあるんだけどそれだけじゃないだろ こちら側に引き込もうという思惑が結果的にあったとしても、交渉するならば相手の様子がおかしいことにある程度本気で寄り添い、フォスに月で何があったのか何を考えているのか本気で考えてほしい 戦況の変化、自分にとっての好機としてだけではなく、ね
……私はこう思ったけれど、ユークレースの行動、考えはまったく自然なものだと考える人もいるんだろう。どうせ人間の甘えであり煩悩であり我儘でしょうよ。それでも人と人との会話ってチェスの試合じゃないんだからさ(愚痴)。
多分ぱっと見優しい物腰でいつも相手に寄り添う姿勢を見せる宝石だったからこそ、人間の裏を見たような気分になったのかもしれない 身内と認めたものにだけ優しくするタイプなのか、本人はみんなのため優しい宝石であろうと努力はしているけれど、元々の性格は冷徹な戦略家に近かった、とか
まあ冷徹な戦略家の面がなければ、フォスとの交渉を目標とした作戦の初手で、他の宝石にフォスを非難させるような手は打たないだろうな。やり方がどうしても上を取る、弱みを握るような印象というか……本当にフォスと交渉したかったんだよな……? 対談や話し合いではなく、降伏勧告や支配のことを交渉だと思っている……?
とにかく「フォスに思うところはあるけれど仕方ないんだ……」といったような葛藤もあるのかないのかはっきりしない印象で、「一万年」の時にその葛藤や心残りがようやく見えて「あ、この石にもそういう気持ちはあったんだ」と失礼ながら思ってしまった記憶
そういえばユークレースは涙がどういう時に流れるのかも分からないんだよなきっと はあ……
……いや待て、もしかしたらユークレース的にはフォスは月人に改造されたという認識だったりするのかもしれない(「あれは本当にフォスかしら?」という発言からして)。ただ、それだと筋は通るんだけど、その割に「金剛に祈ってほしい」というフォスの目的を(この発言の詳しい背景や歴史など、信憑性を確かめられるほどの情報を教わってはいないだろうに)自分たちでも達成できないか確かめたりしているので、フォスの発言を危険だとはなから考えの外に追いやっているわけではない(多分ボルツなら一蹴してさっさと戦闘に集中する)、つまり完全にフォスの発言を信じていないわけではない……? 分からない……
もしくは地上組の手前、「隙」と表現していたけれどほんとはフォスのことをかなり心配していたという希望的観測による説も立てられるが、希望的観測は希望的観測だから……多分違うでしょうね……
フォスが後に「僕が必要? ――僕は誰も要らないんだよね」とこの時の会話の返事のような言葉を(わざわざ)放ちながらユークレースを壊した理由も、ユークレースの事務的冷淡さに気が付いたとすれば筋が通ってしまうので……期待を持たない方がいい……
ユークレースはなまじ頭が回るのでそのあたりボルツやルチルのような、ポジションと自分のやりたいことが一致している分かりやすい立ち位置ではなく、みんなの為に、という戦略面リーダーとしての任務に行動や自分の意思をかなり制限されている気がする おそらくリーダー的立ち位置から解放されたら、案外自分の知的好奇心に任せて奔放に生きるかもしれない
しかし結局最後までユークレースが宝石の代表的立ち位置、あるいは相談役から解放された姿を見ることは無かった(無かったよね……?)のが少し残念 そういうところはユークレースにも同情というか、理解はできる
(同じくジェードにもジェードの意思があったことは示されているので、案外ジェード単体に交渉、お悩み相談すればジェードはフォスに好意的な姿勢を見せてくれたのかもしれないという妄想をしたこともある。ジェードも結局役割の義務感から逃れられなかったのだろうと思うし、なんならジェードの方がユークよりも、自分のポジションとそれにふさわしい行動に対して、「これでいいんだろうか……?」という戸惑いの感情が分かりやすく出ている気がする、好き)
さっきの話の続きにはなるがフォスは単身丸腰で説得に挑み、ばらばらになってしまったあとももし意識があるとすれば、ユークレースとみんなの話し合いも聞いていたはず その時点できっとユークレースとの話し合いも無駄で、ユークレースの計算高さ、話の通じなさにも気づいてしまったのかもしれない
そういうこともあって後の襲撃でユークレースが投降したときフォスは意趣返しのようなことをしたのだろうと思う
もうユークレースは信用できない、この優しい言葉も嘘だ、自分に対しても一見優しい態度をとる実何も伝わっていない、どう下手に出ようと結果は変わらない(そして生き埋め放置して忘れやがった)、だからこいつもみんなと同じだから壊す……そんな感じだろうか?
・72話
「過去の宝石のために今いる奴らを犠牲にするのやめたほうがいい」
良い発言ですね でもお前が言わなきゃ完璧なド正論だったのにな いや、正論だとしても言っていいことと悪いことがあるけれど
あなたはフォスのがんばりのおかげで月に来れて幸せになってるんだからフォスの行動から生まれるプラスの面もあることを誰よりも知っているはずなのにな それを踏まえたうえでそれでもお前のために言ってますって感じを出してはいるが、それはあくまで表面上の前置き、建前であって、ほんとはただ思ったままを言っている気がする(だって宝石の発言ってほとんどみんなそうだから)。少なくともフォスの境遇に同情しての発言ではないだろう。
それに、フォスが過去の宝石を取り戻すことばかり気にし始めたきっかけの半分はゴーストとラピスの存在(もう半分はアンターク)。もっと言えば38話のカンゴームによる「ゴーストの欠片が戻ってくるまでお前を許さない」という発言が絶対に関わっているだろう。つまり原因のひとつはお前だよ。
ただしおそらくフォスもカンゴームも38話の記憶は遠い過去なので二石とも忘れている。だからフォスはその通りだと思って落ち込む。
(今に誰もいなくなる、どころか初めからひとりだったとフォスが後に言ってしまっているが)
38話の発言と72話の態度は矛盾しているようでフォスの行動の浅さを指摘しているという点に関しては一貫している 38話のカンゴームの「ゴーストの欠片が集まるまで云々」発言だってゴーストから自立できていないがゆえの発言だとしても、ゴーストの意志ではないと思う。
・フォスが単身丸腰で地上に向かうと決意する
カンゴームの発言から反省してこういう行動をとれるのはフォスの偉い所だと思う。「いや、自分は間違ってない」と仲間を巻き込み続けることもできたはず。
相変わらず計画に隙はあるけれど。地上に向かう時にゲームしてんじゃないよ(月人の根回しか?)。地上に着いてからの交渉能力も言葉足らずすぎて上手いとは言い難いけれど。この判断自体はフォスらしくて安心した。
後から考えるとこの行動が全て裏目に出て、どれほど平和的交渉を望む態度が無駄なのか知ることになってしまう。
そう思うといっそ最初から悪役仕草して、例えば全軍引き連れて強硬手段に出るとかした方がフォスの心理的ダメージは少なかったんだろうか……でもそうなると金剛の機能引継ぎがより長期間になっていた可能性が…………
・78話
「あっ、カンゴーム嬉しいんでしょーフォスの計画が失敗してー」みたいな発言
見た時にまともな寒気をくらった
おまえらほんとにおまえら その発言は本人がいないところでの陰口だとかそういうあれではない
もしこの発言が陰口だとすればこの発言の中に、「フォスの計画なんてどうでもいいよね~」、「ひとりで頑張っちゃって馬鹿みたいだよね~」、みたいな、ネガティブな共感を求める悪意が大なり小なり含まれているものだがそれがない
つまり多分フォスのことはなんも考えていない、ただ目の前の姫に「エクメアといちゃいちゃしたいんでしょー」と軽口を言う目的だけで発言してる 言った後で「あっでもこの発言フォスに悪いわね(悪いんじゃないか)」というちょっとした立ち止まりすら誰にもない。 何か……悪意があってくれたほうが分かりやすくて良かったというか……むしろもやもやが倍増するというか……
「一万年」の話ではやっと数人の内省によって多少緩和されているが、9巻10巻あたりに感じる宝石たちの態度に感じるうそ寒さ、グロテスクさの理由として分かりやすいシーンかもしれない……
・82話
やっぱり若ゴーシェいいなと思った この軽さと素直さ
ルチルの執念と激情は唯一無二だろう ネタバレ感想で流れを追っていた時はルチルがただただ恐怖の対象としてしか分からなかったけれど、この話の「可哀想に」「海に砕いて沈めてやる」「その方が楽だろう、なあ?(多分こんなこと言ってた)」という言葉にはある意味フォスへの慈悲も感じて、あらすじだけ知った時とは全く違う風に感じた
そりゃあ勝手にパパラチア連れてったフォスに対しては恨みや怒りや怨念があるし、元々の性格がサディスティックだし、読んでいてルチルの執念を鬱陶しく自分勝手に感じたこともある。パパラチアと違って、パパラチアの気持ちとか考えないし。
でも、逆に行動原理が分かりやすいのはいいよねルチル。何だかんだよく割れるフォスとはそれなりの付き合いだったわけだし、何ならパパラチアの次に深く関わっているのがフォスなんじゃないかという疑惑さえある。
ルチルはフォスの背景やフォスの未来を何も知らないんだけれど、ここでルチルがフォスを砕いて海に沈めてたら、フォスは一万年の引継ぎに苦しむこともなく、祈ることもなく、孤独になることも無かったのだと思うと、やはりある意味の慈悲だったのではと思う。もしかしたらこれが、フォスが神になる道から外れる最後の機会だったのかもしれない(そしてそれゆえエクメアはパパラチアが地上に行くことを普通に許している)。
みんなに攻撃されて探されて、それでも自分の使命を諦めずただひたすらにボロボロの姿で這いずっているのを見て、ルチル的にはもしかしたら自分と同じものを感じて「可哀想に、終わらせてやるよ」と言ったのかもしれない。怨念や執念に囚われることの厄介さはどの宝石より知っているだろうし。
パパラチアの欠片を離さなかったルチルはどんな心情だったのだろうか。パパラチアとルチルの会話は特に言葉が少ないので気持ちを推察するのが難しい。
・95話(多分)
エクメアを「古い友人だ」と称したり、エクメアと金剛が親しげに話している
でもこの人たち月人の助けや懇願を無視したり、宝石を粉にして月を輝かせていた関係だったんだよね
……フォスが事情を知るほどに金剛が怪しく見える訳だ。
事情を知っている読者からしてもとても不思議な関係だと思う(人間同士だったらかつて友達だったとしても、その後にこれだけ確執を生んでおいておいて、再会後のこの会話の気安さはほぼあり得ないとも言える。歴史上でもこんなこと多分ないんじゃないか?)し、結局この辺の関係が完全に明かされることはなかった
このシーンでは愛の装甲はもうないし、お互い立場に縛られていたがゆえの行動だったとお互い理解していた、と解釈するぐらいしかできない
・バルバタ? が起床したアンターク(多分)にさらっと「長い間ケースの中で過ごさせてしまってすまない、ぼくなりに気を回したつもりだったのだが」と言っていたことが気になった
長い間、とは言ってもアンタークはウェレガトとほぼ同時に起きたように見えるので若干この発言は不自然で、しかも他の人とそんなに変わらないケースで寝ている気がする
つまり、もしかするとアンタークは初めから(重要人物としてor硬度3という低さゆえか)月のどこかケースの中で保存され眠っていて、フォスがアンタークを元に戻すために孤軍奮闘していた間も、可能性の無さを知ってショックを受けていた時もどこかですやすや眠っていた、みたいな可能性があるのだろうか…… いやさすがにこれは見間違いか勘違いかな……誰か教えて……(こういうのが12巻などを買った方がいい理由なんだよね)
・金剛先生の説明不足には最初ぎょっとしたけれどこのあとすぐにアンタークは「許します」と言っていたので一応安心した
もう一対一で話す場がないとしてもアンタークだけにはフォスへの偏見を持たないでいてほしかった
それはそれとして説明不足じゃない? 意図的にフォスへ仕事を押し付けてしまったという詳細を話してアンタークに嫌われたくなかったんだろうか、多分そう 愛の装甲が無くてもアンタークは本当に金剛のことを愛していたみたいだし
・96話
ラピスが蘇らなかったことをゴーストが非常にさっくりと解説している
ゴーストが姫を束縛していたという認識が月人たちにあったとするなら、(よくある人間のコミュニティでは)「大事な姫」をかつて束縛していた存在として罰せられたり冷遇されたりすることもあるかと思うが、別にそんなことは無いし、逆に他の宝石より大切にされるということもない 終戦したし昔の話だからもう誰も気にしてないよーってことなんだろうか
その辺のあっさり加減はドライな価値観のいい面かもしれない
宝石は状況が変わるとあっさり執着を捨てることはその前の話で何度か明示されていたので、多少のショックがあるとはいえ、理解はできてしまう
ただ、ラピスが出てきたのはフォスの夢の中の遺言みたいなシーンだけだったので、もう少し出てきてほしかった。本編に大きな影響を与える重要人物だし。ゴースト達からの又聞きから推測する性格ではなくて、本当に動いて話しているラピスを見てどんな性格なのかを考察してみたかった。地味に残念な点だった。
というかラピスは別の宇宙に行けたのだろうか……新生命体にも成れず消えることもできなかったとしたら、虚空で永遠に(物理的に)眠り続けているのか太陽に(物理的に)消し飛ばされたのか……
いずれにせよラピスはずっとフォスの傍にいてくれたんだよね。あの時もこの時もきっとずっと。意思は無かったからフォスの孤独感が消えることは無かったが、ラピスフォスは実質1石ではなく1.3石ぐらいの宝石だったのだ。ラピスからしたらフォスの石生は面白くて仕方がなかっただろうな。色々大変な思いをしたし何度も割れたけれどそれはそれとして滅茶苦茶色んな知識を得られて楽しかったから問題ないですね、みたいなこと言いそう。サムズアップして宇宙に笑顔で消えてくラピスが見える。
・無気力パパラチア
※パパラチアに私はある程度の倫理観、人間らしい感情の機微を期待しているということを前提にお読みください。
他の宝石からしたら「せっかく起きてられるようになったんだからルチルと幸せになりなよーもったいないよー」という話であろうが、多分いざ長い時間を持ってみたら何もすることが無いし、何にも焦燥感を持てない、何にも本気になれずだれてしまったというのが正直なところだと思う あとルチルの愛はずっと享受するには重たかったとか
でずっと屋上で物思いにふけっているわけだがきっとフォスのことも考えたりしているんじゃないかと思う 。
もっというなら無気力の原因の一つはフォスだったのではと思う(これは希望的観測)。
自分がフォスに月人のことを相談されて答えたこと、自分がフォスに協力して宝石たちを容赦なく壊したこと、どれも短い時間ではあるけれどフォスが自分を頼りにしてくれたことは感じていて、だからこそ自分の行動によってフォスはああなってしまったんじゃないか、本当にこれでよかったのか、自分の行動や発言は果たして正しかったのか、――なーんて自分は悩んでいるけれど結果的にはルチルもみんなも幸せそうだし、この悩みはみんなにとってどうでもいいことなんだろうな、あーやってられんわ……みたいな気持ちがあったとしたら自分がちょっとだけ救われます。
・健忘症イエローダイヤモンド
フォスがその行動によって傷つけてしまった存在、幸せにもできなかった存在があるとすれば彼で、普通に可哀想だと思うと同時に、こうして繊細な感性をもつ宝石がいたことに少し安心してしまった
可哀想なんだけれど、フォスが苦しんでいる間にみんながみんなキャッキャしてた訳じゃないんだな、と思うとそのリアリティに安心してしまうというか、マラソンの並走のごとくフォスと一緒に一万年幸せでなかった存在だっていたんだということに、質の悪い安堵を感じてしまった。イエローが幸せだろうと病気だろうとフォスの苦しみが緩和されるわけではないのに……
つまりここは読者に対してのメッセージのようなシーンなのか?
・休載
しんどかった 正直作者はもうフォスのことがどうでもよくなったのか、虐めて楽しんでいるのかと思うぐらいには虚無感を持った まあ春子先生、主人公に対しての嗜虐心があるのかないのかでいったら確実に……ごにょごにょ……例えばナガノ先生と同じぐらいには……ごにょ。
実際は本当の休みではなく12巻の特装版のイラストなど描いていたのだろう、あとポケモンとか。
もう11巻当たりで、フォスが金剛を越えた力を付けてみんなの為に祈ってくれるのかもしれないとはうすうす察せられたしそう予想している人もいた気がする。誰も彼もフォスにマイナスの影響しか与えないのだったらむしろ誰もいないほうがいい、もう早く祈ってみんな無にしてしまおうよフォス、と思ってからも休載は続いた
そういえば再開直前には確か10000分無料公開キャンペーンとかもやってましたね あの時も読んだ気がするけれど、あの時点でどんな感想を抱いたのかはちょっと忘れてしまった
・丸石
本当にフォスの言ってほしかったこと全部言ってくれてる、すごい。人間がこういうことを言えるようになるまでには経験と思いやりと、あと色んなものが必要なのに、この石は多分生まれたばかり。本当にいい意味で人間と違う。
・地球の終焉
フォスが98話の祈りの時のような諦めでなく、本心から月人を許せるようになっていたことも驚きだった
最後まで植物に水をあげているところもフォスらしいと思う ほぼ自己満足による行動、水をあげたところで植物が生きられるような環境でなくなったことには変わらないことを知っているのに、それでも見逃せなくて何とか延命させたくて、水をあげてしまう フォスのそういうところがとても好き
そしてもうフォスの行動を自己満足だとわざわざ謗るような存在もどこにもいない。初号機も意外とそういうこと言わなさそう。
・108話
正直アユム博士、好きかと言われたら、悪い人間じゃないのだろうけれど、金剛の運命を勝手に決めてしまったこと、それと人類を語る口調に若干の傲慢さが含まれているように感じた(本人も言っているが)。自分が死んだ後の何千何万後の未来まで計画し干渉することは本当に適切な行動なのか? と……
博士は確かに未来予測能力に長けていたのかもしれないが、この先の全ての事象が博士の予想通り回るとは限らない。というか新しい生命体の時代に正しくなってほしいという希望のために、遠い未来に至るまで干渉し手を加えているあたりに傲慢さを感じたのも事実。思想自体は悪いものではない(多分?)し、人柄は穏やかなので、金剛も初号機も博士のことを好いていたけれど。
その博士の言う「渡ったら橋は燃やして」という最後の不穏要素が、「月人が用意した新天地ではなく別の極楽に辿り着く」という形で回収されたこと、フォスの存在否定の言葉ではなかったことが救いだった。
正直こんな前向きな形で伏線を回収することもできたんですねと思うほどだった(失礼)。
・「月人に頼まれてたんだ、お前のこと」
頼まれたのはいつのタイミングなのか分からない フォスが生まれてからだと思うが、月人が来れば宝石や金剛が気が付くんじゃないかと思う
・「だれかのきぶんをあかるくしてるといいな」
これについて、時を超え過去に彗星が戻っていったことのあらわれなのかもしれないとか、どこかにフォスと似たような境遇のフォスのような生命体がいることの示唆なのかとか考察が出ていたのを見た ロマンがある考察ありがとうございます
ただ、少なくともこのコマはフォスに訪れた安寧と自由を示す描写であって、絶望を含むような描写ではないと思う
自分は単純に、誰かのちょっとした幸せを無邪気に願うことができるようになったことで、やっとフォスは昔の自分を救うことができたのだろうなと思った
<その他全体的な感想>
・フォスは記憶(出来事や思い出、実際にあった会話)を簡単に忘れていくんだけれど、要所要所の記憶に付随する感情は消えにくい。さらにそこから決めた自分の行動指針はもっと消えにくい。まず記憶を忘れて自分の感情に確信がもてなくなり、次に感情を忘れて復讐の鬼にもなる。でも、何か大切な使命、やりたいことはずっと昔から続いていて、なぜとかいつからとか忘れてしまったけれど過去の自分を守るためとりあえず行動を続けている。たとえその途中で動機など歪んでいくとしてもそれしか選択肢がないと進み続ける。
記憶を失くした人の行動の例、感情の例として、面白いケースを示された気がする。記憶をなくしても肉体的なルーティンの記憶や、繰り返されてきた感情の沸き上がりまでまるごと消えるわけではないんだ、なるほど、と思った
ただ記憶や自意識の構造が崩壊したジェンガみたいに滅茶苦茶になっているので内省などまともにできないんだなあ
・作者は人間嫌いなのかと思っていた
明らかに人間嫌いだと分かるような描写はさすがになかったけれど、余りに(主にエクメアと金剛が)人間の在り様と存在、性格をこき下ろすので何となくそう思っていた。
例えば涙を「古代生物の欠陥」と評すシーン。金剛先生にとって涙とはその程度の、それだけの物質だったのか? という疑問はあった。
例えば「あの子は立派な人間に育ったよ」のシーン。人間って憎しみや煩悩だけでできている存在じゃないだろうに、とは思った
まあ二人とも鬱による自己否定に走っていたのかもしれない
石達やフォスが、人間って可哀想だったんだね、月人にも善の部分はあったよなと言ってくれたことで、別にこの作品においても「人間=忌むべき要素、悪、厄介なやつら」という扱いではなかったのだと分かった。
私は仏教思想に詳しいわけではないので、仏教的思想の中にはこういう人間性を忌むような考えもあるのだろうか、いやー必ずしもそうじゃなかったと思うけどどうだったっけ、宗派もあるし、と悩んでいた。別に一般的な考え、あなたが人間に対して思うような感情をそのまま物語に適用しても構わないよ、と作者に言われたようで正直安心した。
・なぜ元地獄の住人(人間社会で言えばスラムと刑務所、流刑地が合体したような場所)の月人達、エクメアが「クズの集団(from66話)」と思わず卑下を始めるようなこの月人達と、かたや特に階級社会とかいう概念もない、金剛の庇護や教育を受けて育ったはずの宝石たちの道徳心のレベルが同じなんですか?
しかもエクメアや月人には自分たちが救いようのない罪人だという自覚があり、それでも自分たちはどうしても救われたいから、懇願もするし、時に非道な方法も取るというスタンスだったので、理解ができる。というかもし金剛が自我を持ったことを知った時に、可哀想に思って祈りの享受を諦められるぐらいの聖人がいるとすればそいつはおそらく既に祈られている。
月人たちはフォスの為に宇宙船まで用意したし(月人たちは新しい生命体の誕生をどれぐらい予期していたのか気になる)。最悪、もしフォスの前に石達が現れなかったとしても、初号機に宜しくやってくれるよう頼んでいたことが判明しているので、フォスが永い孤独を味わうことはなかったと思う。
そこまで月人サイドがフォスの為に手を打っていることを思えば、じゃあむしろ宝石たちのフォスへの対応はなんだったんだよという話になる。
月人たちのように未来でフォスへ自分たちなりの贖罪をする計画もなく、ウェントリコスス王のようにフォスの知らない場所で生涯懺悔を続けていた訳でも無く、アドミラビリス族の飢餓や知能後退のような事情も無い。
フォスと話し合うことも無い。フォスが丸腰で交渉しに行ったシーン一つとっても、罪石だと判断し絶食(光の質が下がると眠くなるのなら光が酸素の代わりをしている面もあるのか……? ならば窒息させることにもなるが……)、監禁の罰を与えたはいいけれど期間を設けない、人間の無期懲役とは次元が全く違うのでこれだけでもさすがにやりすぎだと思う。しかし再考や再審の提案もしない、話し合いも多分してない。挙句の果てに忘れる。これが一番やるせないし、書いてみると改めてグロテスクだなと思う。
(正直この辺の展開は4月に一度さっと読んだだけなので、もしかしたら印象が違うと思われるかと思いますが、話の流れ自体はそんなに間違っていないはず)
春子先生の短編で、蝉の腹が空洞であることを弟に見せたくて、蝉の腹を横にちぎって弟に差し出した姉ちゃんの話を思い出す。誰かに罰を与えることも初めてだった宝石たちは程度も分からずやりすぎてしまったのだろう。
それはそれとしてただ流されるままに生き、フォスへの理解を深めようともしなかった彼らが結果的に三族の中で一番どうしようもないのでは……? とふと考え始めると止まらなくなってしまった。
酷い言い草で宝石推しには申し訳ないと思いつつ、考えれば考えるほどどうしようもないように思う。読んでいて数回は「血も涙もないな!?……あ、そうだ、ないんだった」という感想を抱いた。
結論としては、月人たちが永遠の大人、労働者であったのに対し、宝石たちは永遠の子供であったから、というのが自然な落としどころだと思っている。なんかありきたりな結論だし、だからフォスへの仕打ちも許されるのかと言えば、それはまた別の話です。
ただ金剛先生の「愛の装甲」の話、何千、何万といった時間が経過しているのに宝石文明は月人文明と比べて進歩する兆候があまり見えないこと(発明家とか科学好きの宝石とかいなかったのか?)、宝石たちのドライさ加減が大体みんな同じだったことを思うと、倫理観とも道徳心ともつかない「何か」が致命的に欠けている彼らの性質は「骨の者」としての体質だったのかもしれない、と自分を納得させるしかない。はあ……
・10~11巻あたりの展開の辛さ
確かにつらかったんだけど、読み返すことは結局難しかったのだけれど、ネタバレ感想であらすじを追っただけの時に感じた悲壮感、絶望感よりも、数段爽やかさやドライさを感じた。これが市川春子先生の絵の特徴だと思う。フォスが数人がかりで刀で粉砕されたシーンでさえ美しさを感じた。ただ、多分この感想は事前にあらすじを知っていたからこそで、展開のえぐさとは別の方向に目を向ける余裕があっただけの感想かもしれない。
(9巻を単行本→感想の順で読んだから言えるのだが)何というか宝石の国の辛さって周りの感想で倍増するものの気がする。
例えていうなら鋭利で美しい刃物によって、自分では大ケガとも軽傷とも判断できないケガをして、
「うーん、これってどれぐらいの怪我なんだろう……範囲的には大怪我なんだろうけれど、見た目ほど痛くないんだよね……出血量ももっと多くていいはずだし、鋭利な刃物だったから傷口も綺麗だったんだろうな。水につけて包帯巻いときゃ案外すぐに完治するかも」と思ったところに、周りの人から「お前なんだその大怪我!!」と騒がれ悲鳴を上げられ、同じ怪我をした人が重体になっているのを見て、「あ、言われてみたら普通にしんどいわ。意識遠くなってきた、死ぬかも」となる、みたいな……
鬱漫画ってよく言われるけれど、半分当たっていて半分違うような気がする漫画でした。
最近結構そういう漫画やコンテンツ多い気がするんだけれど、気のせい?
・金剛先生について
フォスが忘れられるまでわざわざ掘り出しを待つ必要があったのかとか、フォスを直したことを黙っていたあたりとか、そのあたり金剛が宝石たちに嫌われたくないと思っていたことの顕著な表れだと思う。
そしてフォスに対する「早く壊れろって言ってくれないかなあ」みたいな、言えないんだから察してよと言わんばかりの行動、「私がいなくなれればいいのだが」といった強烈な自己否定、壊れたことへの罪悪感、フォスを「あなた」と呼び始めたあたりの若干の哀れさと必死さ。
いずれも9巻以降の金剛は非常に人間臭くてうじうじとしているんだけれど、それでも嫌いになりきれない。フォスを「優しい」と言ってくれた存在だったし、壊れた理由についても納得してしまう。
その一方、「自分の役割をフォスが担えばフォスがどれほどの重圧を背負うのか」とか、「自分が背負えばフォスの犠牲はないけれどどうしよう」とか、「そもそも自分が壊れたのは宝石たちへの愛着のせいなのだから、この自分の気持ちについてもっと考えてみよう」とか、そういったことを考えているような描写があまりない、とにかく助けを求めているだけ。そのあたりは人間味の欠如というか思慮の足りなさを感じる。あととにかく後半のあなたは表情に乏しい。もっと口を動かしてほしい。
・エクメアについて
冷徹な戦略家……といえばむしろユークレースよりこの人じゃないか? と言われそうなもの。
8巻や12巻あたり、フォスが襲い掛かった時には暴力の差で解決していること、やっぱりフォスに隠していることがあったことなど、冷徹ではある。月人の人気も高いし、言葉によって人を誘導する才能があったのだと思う。自分の目的の為、フォスを苦難の道に導いていくあたりは一流の手腕だった。
でも誰が見てもこの人は最初から怪しかったし、一発で打算的な人物と分かるような見た目だった。だからなんか別に今更そういった冷徹さを見たところで、そこまでの落胆も無い。
それよりやっぱり、姫との絡みを見て「コイツなんなんだ」と思った人が多いと思う。私も思ったし、最初は誑かそうとしてるとしか思えなかった。
で、最後まで読んでも結局、姫との交流には裏がないようだった。
つまりこの人、自分の感情に対しては、とても単純で純粋なのかもしれない。
他人の心を動かすことや戦略を立てることなど諸々は得意で器用だけれど、自分の感情に対しては複雑な操作はできず、ピュアなところがあったのではないだろうか。
……何をしても何を言っても勝手に人が影響を受けて動いてしまう、半ば自然に人を誘導してしまう、そんな性質を持っている人がいるとしたら、それって本人にとっても何気に厄介な性質ですよね。
・シンシャがいつもカバー袖にいた話
9巻までしか見たことも持ったこともないので、10巻以降が分かりませんが、10巻は月だし11巻は正面にいるし、多分9巻以降は袖にいないのでしょうね
でもそういう意味深な見せ方されるとまるでシンシャが超重要人物だと思うじゃないですか
重要人物ではあったけれど、振り返ってみるとアンタークやカンゴームあたりと同じぐらいの重要度(むしろ頻繁に出ない分カンゴームより話に影響がない)だった気がする。そうじゃなくて、物語を通してずっと重要である人物、物語の核となる人物だと思っていたんだよ。いや……強いて言えば、フォスと宝石社会との関わりの、始まりから終わりまでを表す人物ではあったかもしれないけどさ……
・フォスが何とか本編以外の道をたどることはできなかったのか
そんな考察を何度か見ましたし、私も考えたことはあります。
ただ、本編中のほぼ全てのフォスの決断が、苦しみや孤独や身勝手さが、金剛引継ぎの期間の短さや祈りの機能に必要だったのだと考えるともう、「考えたって仕方ないんだ」という無力感に襲われました。
フォスは宝石や人間としては正しい決断をしたとは言えないかもしれないし、何より自分を犠牲にするような選択ばかりしていた。それでもエクメアや金剛からしたら、祈りの次号機としてはこれ以上ない優秀な石材だった。
エクメアに至っては、少し手を添えてやるだけで三族救済までの道をRTAのごとく、正しく爆走していくフォスを目の当たりにしてうっすら感心してさえいた(「あの子は立派な人間に育ったよ」あたりの発言など)。そんなフォスをエクメアが途中で放免するはずも無いし、もう誰にも止められなかったのだろうと思う。
……多分フォスが三族救済までの道程で足を止めた瞬間って、6巻あたりの「先生を疑うのは止めよう」と思った一瞬と、10巻の結婚式ぐらいじゃないだろうか。
・最後に
フォスは自分勝手で不器用で、何もできなかったのかもしれない。
こういう言い方はしたくないけれど、ネットにあった感想の通り無能だったのかもしれない。
生意気で甘ったれで夢見がちでやることなすこと気まぐれで思い付き、空回りばかりで何もかもうまくいかなかったかもしれない。結果的に他者の気持ちを傷つけるようなこともしてしまった。
でもそんなフォスが好きだったんだよ私は……!!!
優しくてかわいくて、別の種族の悩みでさえ他人事として切り捨てられずに本気で向かい合う所のあるような、「誰からも愛されたかった」なんてあの世界どころか人間社会でも不可能に近い望みを抱いている、どうしようもなく人間らしいところのあるフォスが今も昔もずっと好きだ。
密かな持論としては、人間社会においても、「何もできないから、欠点が多いから」とフォスみたいな「人間らしさ」を持つものを見捨てて助けなかったら、そのうち人類は足切りの末に滅亡するか階級社会にみんなで仲良く苦しむかになると思っている。
結果的に言えば、フォスは「人間らしい心を持っていた」という一点だけで、宝石社会どころかあの世界においてものすごい価値をもつ生命体だった。まあ……他の宝石がそれを評価するようになったのは彼らがみんな月人になってからですが……
でも新生命体である石との話が進んで、フォスが心穏やかになるにつれて、やっと「フォスが好きだ」という自分の気持ちに息をついて向き合えるようになった気がする。
正直フォスの境遇が辛すぎたあたり、しかもフォス自身怨念で動いているような、明らかに道を間違えているような描写がされている11巻あたりの展開は「これはきっとエクメア(というか作者)が物語の壁を越えてフォスから読者の心をも引きはがしてフォスを孤独にさせようとしているんだ」と思うぐらいにはフォスに感情移入するのがきつく、難しかった。
フォスにさえ感情移入しなければ、他の宝石たちは概ねハッピーエンドに近い終わりを迎えていたので(概ねに含まれないのがイエロー)、少しは心穏やかに読むことができたのかもしれない 事実フォスに感情移入しない読者、ストーリーの流れを神話のように見る人たち、俯瞰した視点、構造や伏線を楽しんで読んでいる人たちはそんなにダメージを受けていないようだった(たしかそういう感想もあった気がする)。
でも私はフォスが好きだったしあの承認欲求の強さが他人事には思えなかった。
完結してやっと心から落ち着いてフォス好きを公言することができる気がする。
・おまけ
この間宝石の国の夢を見たのですが、人間成分が抜けた最終形態フォスが、真っ白な狭い部屋のひとつでベニトアイト?みたいな群青の短髪の宝石やネプチュナイト、ゴーシェ、ダイヤ、ジェードやユークレースあたりに初めましての存在として可愛がられるという夢でした。(正直ユークレースのこともキャラとして結構好きだった)
フォスに石たちのような存在がいてくれて本当に良かった、これで良かったのだと思う一方、やはりこの夢のような内容も自分の希望だったのかなとも思う。「一万年」では、なんかみんな「フォスを愛するのは自分の役割じゃない、自分とフォスの気持ちは遠すぎる」と思ってた節があるような気がする。
読者から見たら宝石たちはそれぞれ色々と性格も違う、信念も好きなことも違う。そんな代替不可能な、唯一無二の存在である「あなた」たちが、一人でもフォスを愛してくれていたら良かったという心残りがあります。
今更宝石たちを「なんか金剛の周りにいっぱいいたやつら」として見ることはできない。
ほんとにこいつら、こういう所ほんとどうかと思う、という感想を抱くことは多々あったけれど、だからといって彼ら彼女たちのすべてを嫌いになるには宝石たちは美しすぎたというか読み手として長くそばにいすぎたというか。そもそも彼らのことを本当に嫌いになっていたら、まずこの感想を書くこともなかったと思います。
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また何かあったら追記します。
とりあえず気持ちを吐いて少しはすっきりしました。
ここまで読んでくださった方、お付き合いいただき本当にありがとうございました。
とりあえず全体公開にしていますが設定は変えるかもしれません。