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サクランボの様に鮮やかな…

全体公開 Δドラヒナ 3847文字
2024-12-06 10:58:41

両片思い期のΔドラヒナのお話です。何十番煎じかと思いますが、サクランボの茎を結べる人はのネタです。
どの世界線のドラルクさんも、上手なんじゃないかなぁと。
両思いになってから、自分も練習して隊長に挑むヒナイチくんのシーンを追加しました。
2024/06/15 に上げました。

Posted by @kw42431393

 「こんばんはすっかり、エアコンが入っているな。」
 「急に、真夏になってしまったからね。そこにかけて、ゆっくりしておくれ。」

 つい最近まで、肌寒い日もあったのにな。
 ゴールデンウィークや様々な行事で、騒いでいた5月は終わり、いつの間にやら6月に入っていた。
 急に暑くなったからだろう寒がりの隊長でさえ、すっかり、白いコートを脱いで半袖になっていた。
 「さぁ、どうぞ。親戚から、サクランボを頂いたのだ。皆でおあがり。」
 そう言って、今回出されたのは紅茶ではなかった。
 赤いサクランボと白いアイスのコントラストが綺麗な、クリームソーダだ。
 なんだか、ここが署ではなく、喫茶店な気がしてきた。
 スプーンでアイスをつついて、口に含む。
 キンッと冷たくて、汗ばんだ体に心地よい。
 「あちいよなぁ。一応夏仕様だけど、このマントも脱ぎたいぐらいだぜ。」
 「ヌフフ。」
 パタパタと団扇で扇いでいる、ロナルドとジョンに笑いかける。
 彼には畏怖欲があるから、脱ぎたくても脱がないのかもしれないな。
 とはいえ、私達は職業柄、夜勤が多い。まだ、マシな方だとは思う。
 「たくさん貰ったからね。今日のおやつは、サクランボ尽くしだよ。」
 隊長の言葉に、顔を上げる。

 私だけでなく、ロナルド達の顔もサクランボみたいに、輝いて
 「待ってました。」
 「うん、頂くぞ!」
 「ヌヌヌキヌーヌ!」
 最初に隊長が置いてくれた、本日のお菓子は、サクランボゼリー。
 ゼリーに包まれたサクランボが、涼し気で何よりシンプルに可愛らしい。
 「うん、美味しい。初物だから、格別だ。」
 2人と1匹で競う様に食べていると、さらに並べられる、甘酸っぱいチェリーパイ。切り分けられると、鮮やかなフィリングが見えてくる。
 そこに、ホイップクリームが添えられて
 「美味しい。サクランボの甘酸っぱさと、クリームの甘さが、たまらないよな!」
 これもあれもと、次から次へと、口に運ぶ。

 「う~ん。やっぱり、ここが一番の癒しだな!」
 「そんな大袈裟な。」
 そう言って、貴方は笑うけれども、本当の事だから仕方がない。
 憧れの人に会えるというのもあるけど、振る舞われる美味しいお菓子と、3人と1匹の時間。
 この隊長室で過ごす時間が、一番幸せだ。



 「うん、うめえ。それにしてもお前も忙しいのに、マメだよなぁ。」
 「ヌヌ!」
 ロナルドが、ジョンに小突かれている。そうなのだ、隊長はお忙しい方だ。
 なのに、報告書の提出の度に、こうやって手料理を振る舞ってくれる。
 いいのかなって、思ってしまう。
 でも

 グー

 また、お腹が鳴ってしまった。
 仕方ないだろうやっとなれた、憧れの退治人。私の夢。
 だけど、実際は、かなり激務なのだ。退治人は地域アイドルも兼ねているから、昼間は昼間でやる事もあるしな。
 今日?今日は、ちょっと夏に向けてのイベント企画が、あってだな。
 結構忙しくって、お昼ご飯をちゃんと食べられなかったんだ。
 「いいんだよ。君達の食べている姿を見るのは、私も楽しい。まだまだあるよ、もっとお食べ。」
 「君達ってか、ヒナイチモガッ!?」
 「ヌー。」
 さらに、何かを言おうとしたロナルドの口を、一人と一匹が押さえている。
 どうしたんだろう
 「どうした?ロナルド。」
 「な、何でもないよ。そそうだ!ヒナイチくん。これ見て!これ!」

 何故か、慌てた様子の隊長を見上げる。彼の手には、さっき食べたサクランボの茎が、摘ままれていた。
 「見たことない?こういう一発芸。」
 「サクランボでか?」
 うーん、知らないな。種は、食べちゃダメって、言われたような
 そう思っている私の前で、隊長はそれを口に含む。モグモグと口が動いていて
 「うん?茎は食べても、美味しくないと思うぞ?」
 「ンフフ、違うよ?」
 ペロリと出された舌夜の者の血を引く貴方の舌は、赤くて長い。
 肌や唇の血色は悪いのに、そこだけとてもサクランボの様に鮮やかで、艶やかで
 「きれい。」
 目を奪われる。
 滅多に見る事は、出来ない場所だから。



 「うん、我ながら上手く出来たもの。」
 上手く?ティッシュで取り出してる、それ
 「アハハ、器用でしょ?ちょっと、お行儀悪いけどね。」
 サクランボの茎は、綺麗に結ばれていた。何だか、とても恥ずかしくなる。
 隊長は私を笑わせようとしてたのに、私はそこを見ていなかったんだ!

 「そそうか!な、なあそれって、どうやるんだ?」
 「お、教えるのは、ちょっと。恥ずかしいからうん。」
 バカか、私は!もっと、上手な誤魔化し方は、思いつかなかったのか! 
 「あ、ああ!そうだよな!な、なななんでもない!」
 「なあ、ヒナイチ。なんつーか、お前もさあ
 「ヌーン?」
 「な、何でもないったら!」
 
 そう言って、私はまだ残っているチェリーパイを口に頬張る。必死になってだから、そこから先の味は、よく覚えていない。
 
 言えるもんか。だって

 「面白いな。今度の一発芸で使いたいから、教えてくれ。」

 そういう名目で、その綺麗な舌をもう一度、目に焼き付けておきたいとそういう下心で言ったんだから。



 「むぐむぐよし!出来たぞ!」
 
 舌を出して、鏡を確認する。
 私の舌の上に乗っている、サクランボの茎はなんとか結ばれていた。
 「隊長ほど、上手じゃないけどでも、大丈夫だよな。たぶん。」
 あれから、しばらく経ってまぁ、その、あれだ。
 今の私は、憧れの人と交際している。そして、この前、ファーストキスも済ませたんだ!

 『ヒナちゃん、知ってるか?サクランボの茎を結べる人って、キスが上手らしいぜ。』

 それより前に、マリアさんからそれを聞いてから、少し隊長の口元をドキドキして見つめる様になった。
 隊長も、キスが上手なのかなって。そうされた時、私はどうなっちゃうのかなって。
 サクランボの様に、赤くて、美味しそうなあの舌でってわっ!?
 こ、これは、イヤらしい意味じゃなくて見た目の話だからな!念の為!!

 『で、今回どうだったアル?ファーストキスは、サクランボの様に甘酸っぱかったアルか?』

 それなんだが味も何も、頭がクラクラして、舌に絡めとられて、腰が抜けないように必死で、しがみつくだけでいっぱいいっぱいだったんだ。
 『あぁ。そういえば、言っていたね。そういう意味だったのいいよ。教えてあげるよ。舌ぐらい、いつでも見せてあげようじゃないか。』
 そう言って、舌を出して見せたあの人の、照れ臭そうな笑顔を覚えている。

 ”で、どうでしたか?上手でした?”

 興味津々なコユキさんには悪いが、比べ様がないんだ。
 だって、初めてだし。その後も、他の人とする気なんてないし。
 『でも、私が感じたのと同じあの感覚を隊長にも、あげたいな。』
 だから、こっそり練習してた。そして、今日とうとう成功した訳だ。
 だから

 「た、隊長。入っていいか?」
 今日は、貴方が非番の日。
 気を利かせたジョンが、ロナルドを連れ出してくれたから、練習の成果を見せる日だ。
 「どうぞ、お嬢さん。ごめんね。折角来てくれたのに、書類が散らかっていて。」
 トントンと音を立てて、書類を片付ける貴方に近づいて
 「大丈夫だぞ、気にしないでくれ。」
 「お茶を淹れるよ、ちょっとそこにんっふ?」
 隙あり!貴方が座っているチェアの後ろから、不意打ちで

 「はっふ、んひな。」
 チュッ、チュッと、貴方がいつもやる様にリップ音を立てながら、その唇を啄んで
 「フフッかわいい。」
 次は、もう一歩進んで、舌を入れる。
 金色のその瞳が、トロンと霞んでいくのが愛おしくて
 「はぁっくっ。」
 貴方の真似をして、舌でその牙をなぞって 
 「まっちょっあぶなくっふぅ。」
 切なげな声に、隊長も感じていると実感する。そう考えると、ゾクゾクとしたものが、背筋を走ってだけど。
 「たいきゃっ!?」
 「ぷはっはぁ、はぁ。クスクス、甘いよ。」
 
 いつの間か、攻守が逆転していた。立ち上がった貴方が私を、腕の中に閉じ込めたのだ。
 あぁ。やっぱり、貴方には勝てないな。今度こそって、思ったのにな。

 「驚いたよ。いつから、そんな悪いお嬢さんになったのやら。」
 「フフ、誰のせいだろうな?何も知らない私に、悪い事を教えた犯人は?」
 両手をそのこけた頬に当てて、捕食者になった貴方を見上げる。
 いつもの穏やかで、眠そうな金の瞳も素敵だけど
 「私だよ。じゃあ、その責任はちゃんと取らないと、ね?」
 上品な口元が、私の目の前で歪に裂けていく。いつもとは違う、野生的な気配を纏って
 「はっく。んんっーー!!」

 あぁ、やっぱりそうだ。
 獰猛な狼の様に輝く金の瞳には、サクランボの様に艶やかで、鮮やかな長い舌がよく似合う。
 
 
  
 

 
 
 

 

 



 

 

 




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