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15年目のクリスマスは…

全体公開 反転ドラヒナ 7 4438文字
2024-12-19 18:30:12

ピクスク様の『クリスマス UNIVERSE 同人誌 オールジャンル』に参加の3作目です。
反転ドラヒナのお話で、心身共に結ばれてから、14年経ったクリスマスのお話です。
吸血鬼・退治人・吸対の組織が連携を強め、両種族の抗争が落ち着いた頃の反転みっぴき。
クリスマスツリーの飾りつけをしながら、14年前の自分達、そして、次のクリスマスに新たなメンバーが加わる事を歓迎するお話。反転ですが、不穏要素はありません。
捏造した、反転サンズちゃんが出ます。アカジャで見る限り、『人見知りみたくなってる』という話でしたので、それよりはもう少し本編よりの性格になって貰いました。
他の反転ドラヒナのお話は、ここから読めます→https://privatter.net/category/50931

Posted by @kw42431393

 反転ドラルク:
 強大な力を持つ我が儘で中二病の人外。再生能力を持たず、両親に甘やかされてきた為、刹那的な性格。
 自分の監視員であるヒナイチに執着し、理性が衰える満月の夜に無理矢理想いを遂げる。彼女を自分に溺れさせようとしている内に、彼女の血以外受け付けなくなる程、自分の方がのめり込んでしまった。
 ジョンやロナルドの助けもあって、彼女とは両想いとなり、「両種族の抗争が終結したら血族になる」という契約を交わし、抗争終結に協力する。
 下等吸血鬼など話し合いが通じない相手へのお野蛮担当。
 今回のお話は、それから14年経ち、お嬢ルドくんのお説教の甲斐があって、少し角が取れてきた。

 反転ヒナイチ:
 吸血鬼対策課ヒヨシ隊副隊長を勤める若きエリート。ドラルクの監視員で、意地っ張りなくっころさん。
 幼少時に、父親が忙しく構って貰えなかった為、本当は甘えん坊で寂しがりや。自分を甘えさせてくれる監視対象に父親像を求めていたが、心身を傷つけられ、さらに快楽堕ち一歩手前までなる。
 ジョンやロナルドの助けもあって、依存から愛情に移行するまで成長する。市民の警護や避難の担当。
 今回のお話では、ヒナイチ隊の隊長に就任して少し経った頃。ある理由から、ドラルクの過保護がエスカレートして、少し困っている。

 反転ジョン:
 ドラルクの使い魔。落ち着いたムキムキの大人マジロ。
 ヒナイチが来てから、太ってしまい、筋トレをハードにしたら、筋肉で丸まれなくなってしまった。元競マの帝王。
 主夫婦がヤンデレ同士なので、苦労人気質。ドラルクの盾として、自身も戦闘に参加する。
 みっぴきのバランサー。
 お嬢ルドくんのお陰で、無茶をしていた主が落ち着いてきたので、安心している。

 反転ロナルド:
 全ての吸血鬼と友人になれる世界を作るのが夢の退治人。
 戦闘に参加しないが、お話合いという必殺技を使う。最終的にお嬢が反転してゴリラになるのは、内緒。
 両種族の共生の為には吸血鬼、吸対、退治人の連携が不可欠な為、仲介者として奔走している。
 最強のお嬢で、みっぴきの切り札。

 反転サンズ:オータム書店の編集者の一人。ロナルドに憧れて、この世界に飛び込んだくノ一。恥ずかしがりやで、フクマさんの影に隠れてしまう癖がある。ヒナイチとは何故か馬が合うようで、彼女の前では普通に会話している。



 「すみませんわね。いつも、ありがとうございます。」
 「まぁ、私も趣味だ。このぐらい、お安い御用だとも。とはいえ、なかなか君も辛抱強いというか、粘るというか。」
 「お話合いとは、そういうものですわ。大切なお相手なら、なおのお事。」
 「う˝。」

 それを言われると、ドラルクに勝ち目はないな。
 もう、14年も前の事とはいえ、意中の相手もとい私を手に入れる為に、監禁・調教も辞さない考えに凝り固まっていたのだ。
 だから、それを諫めたロナルドに、今も頭が上がらない。この姿は、当時では考えもしないものだった。
 「とはいえそこは、私もあまり言えないな。当時は、ロナルドとジョンには、心配ばかりかけた。」
 「ヌンヌン。」
 「ジョンまで私も、そこは痛感しているよ。それでは、サンズ女史によろしく。」
 「ああ。クリスマスに年末と落ち着いたら、サンズに『お茶でもしよう』と伝えてくれ。」
 「お承りましたわ。それでは、ごきげんよう。」

 そう言って、ドラルクが作ったティーセットを持った、長年の友人は帰っていく。
 今日は事務所に、サンズがロナ戦の原稿の進捗を伺いに来るのだそうだ。
 仕事のついでとはいえ、意中の女性とささやかな時間を過ごせると、上品なその顔は、いつも以上に優しい笑いを浮かべていた。



 「ロナルドくんが、サンズ女史と会ってから、もう14年も過ぎているのだ。それが、やっと一緒にお茶が出来る様になったというのだから、恐れ入るよ。」
 ロナルドを送り出した後、ドラルクが肩をすくめながら苦笑いをする。
 そして、ジョンが差し出したオーナメントを受け取ると、手際よくツリーに飾っていく。
「すると、私達も出会って、もう14年も経つ今年もこうして、これを見る事が出来るとは。」

 しみじみと、目の前のクリスマスツリーを見上げる。
 聞けば、元々、彼はあまりクリスマスに興味がなかったらしい。
 吸血鬼達が人間達に忌避される様になったのは、キリスト教が大いに関係しているから、致し方なかった所もある。
 この様に、季節の行事に関心を示す様になったのは私が監視任務に就く様になり、頑なな私を喜ばせようと考えたのが、きっかけだという。だから、このツリーもドラルク城に持ち込まれて、14年目になるという事だろう。
 そう考えると、なかなか感慨深いものだ。
 「気長に待ってくれる、ロナルドでよかったな。サンズも不器用というか私の前では、割と普通なのだが。」
 「ヌ~ン。」

 さっきから話題に上がっている『サンズ』と言うのは、オータム書店の編集者の一人で、元はロナルドに会いたい一心で、サンガの里から出て来たくノ一だそうだ。
 我々には、分かりかねるが彼らが属する出版業界というのは、売れっ子作家の争奪戦において、実力行使も辞さない非情な世界らしい。
 彼女は、そこで第一線を張って戦っているのである。腕前も仕事ぶりも、折り紙付きだ。
 サンズは、『ロナ戦』の担当であるフクマさんが忙しい時に、彼の原稿を受け取りに来る事がある。その経緯で、彼女も時々、ここに姿を見せる事があるのだ。
 だから、もう私達とも14年ほどのつき合いになる。

 どんな女性かだって?なんと言えば、いいのだろうな。
 人見知りが激しいか、恥ずかしがり屋だと、当初、思っていたな。
 よく、フクマさんや扉の影に隠れてしまう癖があるのだ。もっとも、これはロナルドと対峙した時のみで、普段はそこまで酷くはない。
 寧ろ実は、フクマさんを出し抜いて、ロナ戦の担当の座を狙っていたりする。

 『サンズさんですの?可愛らしいお方でしょう?本当は、私と仲良くなりたいのですでも、お恥ずかしくて。つい、ああ隠れておしまいになりますのよ。』

 伊達に、多くの吸血鬼達と渡り合ってきた訳ではないらしいロナルドは、彼女が自分に向ける好意に気付いている。そして、そんな所が猫の様で可愛い、と言うのだ。

 「好きだから、素直に笑えない。素直に会えないまぁ、分からなくもない。今となっては、だがね。」
 「まぁ、な。そういう意味では、少し私も、サンズと似ているのかもしれない。だから、馬が合うのだろうか。」
 14年前の自分達を思い出す。
 私達に至っては、意地の張り合いだったのだ。『自分の10分の1も生きていない、小娘に対して』『自分は、あいつの監視員だ』と、出会った時から持っていた好意を口に出来ずに、傷つけあったあの日々を思い出す。

 『私は、待ちますわよ。何度でも、あの方とお話合いを致します。それには、心安らぐ香りのお茶と、甘いお菓子が一番ですの。』

 そういう事で、彼は忙しい傍ら、時間を見つけては彼女とコンタクトを取ろうとしている。
 私達二人は、ロナルドのお蔭で最低の関係から、心身共に結ばれた今の姿になれた。
 せめてもの、お礼にと、ドラルクは自身が作ったティーセットを、ロナルドに渡しているのである。
 「まぁ、心配なかろう。同席出来る様になったのであれば、ロナルドくんに手抜かりはない一番いい例が、ここにいるのだ。」
 皮肉げに口角を上げる彼に、苦笑する。それもそうだ。

 もしかしたら、来年の今頃は、彼らともここで



 「これ、座っていなさい。まったく、落ち着きのないお嬢さんだ。」
 「お、お前っそういう所は、14年経っても。」
 ずっと座っているのも、手持ち無沙汰に感じてな。私も飾りつけを手伝おうとした所を、ドラルクにソファに戻されてしまった。
 「す、少しぐらい、いいじゃないか。体を動かさないのも、かえってよくないんだ。」

 最近、彼はますます過保護になってきた気がする。
 この前なんか、段差を気にして、城内をバリアフリーにしようと言いだしたぐらいだ。
 実家の財力があって、可能なのもある。原因を考えると仕方がないといえば、そうかもしれないが
 
 ヌフフフドラルク様も、ドラウス様に似てきたヌね。

 ジョンにも言われて、彼はため息をつく。
 実際、似て来たな。もしかすると、これからもっと似てくるのかもしれない。
 「心配しなくても、気をつけるぞ?仕事だって、今は隊長だから、ほとんど事務に回して貰っている。これぐらい、させてくれいいよな?」
 かつて、不気味に感じていた黒い義眼を見上げる。
 その無機質な赤い瞳は、私を正確には、私のお腹を凝視している。
 彼には、見えているのだ。その顔は、かつてスリルを求めて犯罪行為を繰り返していた、『元危険度Aの吸血鬼』だった頃とは、似ても似つかぬ優しいもので
 「はぁ分かった。ただし、脚立には乗らないでおくれ。なまじっか透視能力があると、気になって仕方がないのだ。」
 そう言うと、諦めた様に、私から取り上げたオーナメントを返してくれる。

 小さなキリストを抱いた、聖母マリアの人形を



 オマケ

 「15年目のクリスマスは、もっと賑やかにするからな。お前と、そして。」
 自身のお腹を撫でながら、私も視線の先に語りかける。
 会えるのは、来年の事になるけれどきっと、その頃には。
 「勿論だとも。まぁ、もしかするとだが。」
 「そうかもしれない。そうだといいな、もっと楽しくなる。」
 「ヌフフフ。」

 15年目のクリスマスが来る頃には、もっと両種族の関係が穏やかになってロナルド達にも時間の余裕が出来るかもしれない。そして

 『お招きに預かりまして、恐縮ですわ。』
 『こ、ここんばんは。サンズちゃんも、き、来てやったですよ!』
 お話合いを成功させたロナルドが、縮こまっているサンズを連れて
 
 『こちらは、サンズさんと選んだプレゼントですの。可愛い天使様のお気に召したら、およろしいのですけど。』
 『君が選んだものだ。気に入らない訳がないだろう。さあお父様達の恩人夫妻に、ご挨拶をおし。』

 血に飢えた狂戦士から、子煩悩な父親になったドラルクが、小さな宝物を抱いて

 『ひあひあ、あむ!うー!』
 『これ、クラバットを離しなさい。喉に詰まったら、どうする。』

 このツリーの下で、皆と笑っているのだと信じている。




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