ピクスク様の『クリスマス UNIVERSE 同人誌 オールジャンル』に参加の3作目です。
反転ドラヒナのお話で、心身共に結ばれてから、14年経ったクリスマスのお話です。
吸血鬼・退治人・吸対の組織が連携を強め、両種族の抗争が落ち着いた頃の反転みっぴき。
クリスマスツリーの飾りつけをしながら、14年前の自分達、そして、次のクリスマスに新たなメンバーが加わる事を歓迎するお話。反転ですが、不穏要素はありません。
捏造した、反転サンズちゃんが出ます。アカジャで見る限り、『人見知りみたくなってる』という話でしたので、それよりはもう少し本編よりの性格になって貰いました。
他の反転ドラヒナのお話は、ここから読めます→https://privatter.net/category/50931
@kw42431393
反転ドラルク:
強大な力を持つ我が儘で中二病の人外。再生能力を持たず、両親に甘やかされてきた為、刹那的な性格。
自分の監視員であるヒナイチに執着し、理性が衰える満月の夜に無理矢理想いを遂げる。彼女を自分に溺れさせようとしている内に、彼女の血以外受け付けなくなる程、自分の方がのめり込んでしまった。
ジョンやロナルドの助けもあって、彼女とは両想いとなり、「両種族の抗争が終結したら血族になる」という契約を交わし、抗争終結に協力する。
下等吸血鬼など話し合いが通じない相手へのお野蛮担当。
今回のお話は、それから14年経ち、お嬢ルドくんのお説教の甲斐があって、少し角が取れてきた。
反転ヒナイチ:
吸血鬼対策課ヒヨシ隊副隊長を勤める若きエリート。ドラルクの監視員で、意地っ張りなくっころさん。
幼少時に、父親が忙しく構って貰えなかった為、本当は甘えん坊で寂しがりや。自分を甘えさせてくれる監視対象に父親像を求めていたが、心身を傷つけられ、さらに快楽堕ち一歩手前までなる。
ジョンやロナルドの助けもあって、依存から愛情に移行するまで成長する。市民の警護や避難の担当。
今回のお話では、ヒナイチ隊の隊長に就任して少し経った頃。ある理由から、ドラルクの過保護がエスカレートして、少し困っている。
反転ジョン:
ドラルクの使い魔。落ち着いたムキムキの大人マジロ。
ヒナイチが来てから、太ってしまい、筋トレをハードにしたら、筋肉で丸まれなくなってしまった。元競マの帝王。
主夫婦がヤンデレ同士なので、苦労人気質。ドラルクの盾として、自身も戦闘に参加する。
みっぴきのバランサー。
お嬢ルドくんのお陰で、無茶をしていた主が落ち着いてきたので、安心している。
反転ロナルド:
全ての吸血鬼と友人になれる世界を作るのが夢の退治人。
戦闘に参加しないが、お話合いという必殺技を使う。最終的にお嬢が反転してゴリラになるのは、内緒。
両種族の共生の為には吸血鬼、吸対、退治人の連携が不可欠な為、仲介者として奔走している。
最強のお嬢で、みっぴきの切り札。
反転サンズ:オータム書店の編集者の一人。ロナルドに憧れて、この世界に飛び込んだくノ一。恥ずかしがりやで、フクマさんの影に隠れてしまう癖がある。ヒナイチとは何故か馬が合うようで、彼女の前では普通に会話している。
「すみませんわね。いつも、ありがとうございます。」
「まぁ、私も趣味だ。このぐらい、お安い御用だとも。とはいえ、なかなか君も辛抱強いというか、粘るというか。」
「お話合い…とは、そういうものですわ。大切なお相手なら、なおのお事。」
「う˝…。」
それを言われると、ドラルクに勝ち目はないな。
もう、14年も前の事とはいえ、意中の相手…もとい私を手に入れる為に、監禁・調教も辞さない考えに凝り固まっていたのだ。
だから、それを諫めたロナルドに、今も頭が上がらない。この姿は、当時では考えもしないものだった。
「とはいえ…そこは、私もあまり言えないな。当時は、ロナルドとジョンには、心配ばかりかけた。」
「ヌンヌン。」
「ジョンまで…私も、そこは痛感しているよ。それでは、サンズ女史によろしく。」
「ああ。クリスマスに年末と落ち着いたら、サンズに『お茶でもしよう』と伝えてくれ。」
「お承りましたわ。それでは、ごきげんよう…。」
そう言って、ドラルクが作ったティーセットを持った、長年の友人は帰っていく。
今日は事務所に、サンズがロナ戦の原稿の進捗を伺いに来るのだそうだ。
仕事のついでとはいえ、意中の女性とささやかな時間を過ごせる…と、上品なその顔は、いつも以上に優しい笑いを浮かべていた。
「ロナルドくんが、サンズ女史と会ってから、もう14年も過ぎているのだ。それが、やっと一緒にお茶が出来る様になったというのだから、恐れ入るよ。」
ロナルドを送り出した後、ドラルクが肩をすくめながら苦笑いをする。
そして、ジョンが差し出したオーナメントを受け取ると、手際よくツリーに飾っていく。
「すると、私達も出会って、もう14年も経つ…今年もこうして、これを見る事が出来るとは。」
しみじみと、目の前のクリスマスツリーを見上げる。
聞けば、元々、彼はあまりクリスマスに興味がなかったらしい。
吸血鬼達が人間達に忌避される様になったのは、キリスト教が大いに関係しているから、致し方なかった所もある。
この様に、季節の行事に関心を示す様になったのは…私が監視任務に就く様になり、頑なな私を喜ばせようと考えたのが、きっかけだという。だから、このツリーもドラルク城に持ち込まれて、14年目になるという事だろう。
そう考えると、なかなか感慨深いものだ。
「気長に待ってくれる、ロナルドでよかったな。サンズも不器用というか…私の前では、割と普通なのだが。」
「ヌ~ン…。」
さっきから話題に上がっている『サンズ』と言うのは、オータム書店の編集者の一人で、元はロナルドに会いたい一心で、サンガの里から出て来たくノ一だそうだ。
我々には、分かりかねるが…彼らが属する出版業界というのは、売れっ子作家の争奪戦において、実力行使も辞さない非情な世界…らしい。
彼女は、そこで第一線を張って戦っているのである。腕前も仕事ぶりも、折り紙付きだ。
サンズは、『ロナ戦』の担当であるフクマさんが忙しい時に、彼の原稿を受け取りに来る事がある。その経緯で、彼女も時々、ここに姿を見せる事があるのだ。
だから、もう私達とも14年ほどのつき合いになる。
どんな女性かだって?なんと言えば、いいのだろうな。
人見知りが激しいか、恥ずかしがり屋だと、当初、思っていたな。
よく、フクマさんや扉の影に隠れてしまう癖があるのだ。もっとも、これはロナルドと対峙した時のみで、普段はそこまで酷くはない。
寧ろ…実は、フクマさんを出し抜いて、ロナ戦の担当の座を狙っていたりする。
『サンズさんですの?可愛らしいお方でしょう?本当は、私と仲良くなりたいのです…でも、お恥ずかしくて。つい、ああ隠れておしまいになりますのよ。』
伊達に、多くの吸血鬼達と渡り合ってきた訳ではないらしい…ロナルドは、彼女が自分に向ける好意に気付いている。そして、そんな所が猫の様で可愛い、と言うのだ。
「好きだから、素直に笑えない。素直に会えない…まぁ、分からなくもない。今となっては、だがね。」
「まぁ、な。そういう意味では、少し私も、サンズと似ているのかもしれない。だから、馬が合うのだろうか。」
14年前の自分達を思い出す。
私達に至っては、意地の張り合いだったのだ。『自分の10分の1も生きていない、小娘に対して』『自分は、あいつの監視員だ』…と、出会った時から持っていた好意を口に出来ずに、傷つけあったあの日々を思い出す。
『私は、待ちますわよ。何度でも、あの方とお話合いを致します。それには、心安らぐ香りのお茶と、甘いお菓子が一番ですの。』
そういう事で、彼は忙しい傍ら、時間を見つけては彼女とコンタクトを取ろうとしている。
私達二人は、ロナルドのお蔭で最低の関係から、心身共に結ばれた今の姿になれた。
せめてもの、お礼に…と、ドラルクは自身が作ったティーセットを、ロナルドに渡しているのである。
「まぁ、心配なかろう。同席出来る様になったのであれば、ロナルドくんに手抜かりはない…一番いい例が、ここにいるのだ。」
皮肉げに口角を上げる彼に、苦笑する。それもそうだ。
もしかしたら、来年の今頃は、彼らともここで…
「これ、座っていなさい。まったく、落ち着きのないお嬢さんだ。」
「お、お前っ…そういう所は、14年経っても。」
ずっと座っているのも、手持ち無沙汰に感じてな。私も飾りつけを手伝おうとした所を、ドラルクにソファに戻されてしまった。
「す、少しぐらい、いいじゃないか。体を動かさないのも、かえってよくないんだ。」
最近、彼はますます過保護になってきた気がする。
この前なんか、段差を気にして、城内をバリアフリーにしようと言いだしたぐらいだ。
実家の財力があって、可能なのもある。原因を考えると仕方がないといえば、そうかもしれないが…
ヌフフフ…ドラルク様も、ドラウス様に似てきたヌね。
ジョンにも言われて、彼はため息をつく。
実際、似て来たな。もしかすると、これからもっと似てくるのかもしれない。
「心配しなくても、気をつけるぞ?仕事だって、今は隊長だから、ほとんど事務に回して貰っている。これぐらい、させてくれ…いいよな?」
かつて、不気味に感じていた黒い義眼を見上げる。
その無機質な赤い瞳は、私を…正確には、私のお腹を凝視している。
彼には、見えているのだ。その顔は、かつてスリルを求めて犯罪行為を繰り返していた、『元危険度Aの吸血鬼』だった頃とは、似ても似つかぬ優しいもので…。
「はぁ…分かった。ただし、脚立には乗らないでおくれ。なまじっか透視能力があると、気になって仕方がないのだ。」
そう言うと、諦めた様に、私から取り上げたオーナメントを返してくれる。
小さなキリストを抱いた、聖母マリアの人形を…
オマケ
「15年目のクリスマスは、もっと賑やかにするからな。お前と、そして…。」
自身のお腹を撫でながら、私も視線の先に語りかける。
会えるのは、来年の事になるけれど…きっと、その頃には。
「勿論だとも。まぁ、もしかすると…だが。」
「そうかもしれない。そうだといいな、もっと楽しくなる。」
「ヌフフフ。」
15年目のクリスマスが来る頃には、もっと両種族の関係が穏やかになって…ロナルド達にも時間の余裕が出来るかもしれない。そして…
『お招きに預かりまして、恐縮ですわ。』
『こ、ここんばんは。サンズちゃんも、き、来てやったですよ!』
お話合いを成功させたロナルドが、縮こまっているサンズを連れて…
『こちらは、サンズさんと選んだプレゼントですの。可愛い天使様のお気に召したら、およろしいのですけど。』
『君が選んだものだ。気に入らない訳がないだろう。さあ…お父様達の恩人夫妻に、ご挨拶をおし。』
血に飢えた狂戦士から、子煩悩な父親になったドラルクが、小さな宝物を抱いて…
『ひあひあ、あむ!うー!』
『これ、クラバットを離しなさい。喉に詰まったら、どうする。』
このツリーの下で、皆と笑っているのだと…信じている。