リが二人出る謎仕様…兎に角原作を本当に、本当によろしくお願いいたします()
@azisaitsumuri
2B→リッパー
9S→傭兵
A2→テンタクル
内面的には傭→←←リかなあ
任務地に辿り着く前に部隊を壊滅させられたなら、這う這うの体でやって来た、自称救援舞台の一員だったリッパーを、誰が頼りに出来ると言うのか。しかし案ずることは無いとでも言うべきか、指定地は既に完全に占拠された全滅後だった。ならば生存者は新たにやって来たリッパー自身、それから。
「だめだろ、留めはきちんと確認しろ。」
襲って来た巨大機械をやっと倒したかと思ったら、また動き出したものだから、思わず目が遠くなったのだ。そこで聞こえた声だった。生意気な声だ。
巨大機械は今度こそ永遠に地に沈んで沈黙を守った。
けれど敵は何もコレ一つでは無い。いつ迄も無駄話に興じている暇も無い。
再び立ち上がる。何度でも立ち上がる。
それでもまた膝を突いてしまう。
「リッパー!」
駆け寄って来る機体、声。
迫り来る巨大機械。必死にこちらの機体を支えて持ち上げようとする、自分より小さな機体。ほんと、生意気。
しかし大きな音を立てて沈む巨大機械。
「……あれは、部隊を抜けた……指名手配されてる、脱走兵……テンタクル。」
巨大機械を倒した機体を二人で見上げ、声が相手を特定しようとする。
「先に裏切ったのは司令部のほうです。」
「はぁ?それどう言う意味だよ。」
「意味なんてどうでも良い。……休憩はこれ一機分だけですよ。」
そう言うと、相手の機体は、何処からかやって来て巨大機械を倒したように、また何処からか立ち去って行った。
その言葉を引き留める間も無く、その言葉の通りに新たな巨大機械には、また二人で立ち合わなければならなかった。
「リッパー、行けるか。」
こくりと頷く。
「流石だな。」
先程の機体が倒してくれた一機は、たった一機でも、それは大きい。この小さな機体はどう思っているか知らないが、通りすがりの脱走兵の残してくれた功績は大きい。
しかし際限無く現れる巨大な敵に、休んだ分の疲弊も削られて行く。やっとの思いで倒した相手が、まだ何機も、しかも同時に迫って来る。ならば。
「ブラックボックスを使うか?」
声に問われる。
自爆してこの場全ての敵を殲滅する。
互いの機体からずるりと引き出した真っ黒な臓機を、そっと合わせるのだ。
思わず気持ちを押さえ込むようにぎゅっと口をつぐむ。
周りがどんなに絶望的状況でも、この時だけは二人だけの秘密のように思える。これから自爆しようと言うのに喜びを覚えるなんて。
合わせたのは、リッパーのほうからだった。
目覚めると、そこはバンカー基地だった。
ブラックボックスを使って二人自爆したことを覚えている。データが新しい機体にインストールされているからだ。
リッパーはその相方のもとへ向かった。
しかし再起動した相手が言うには、自分のバックアップデータを送る時間は無かったらしく、初めましての挨拶をされた。
リッパーはそれでも構わなかった。どうせ何度も消える、きっと自分が消すことになるデータだ。
こんなの全然初めてじゃ無い。
初めましてじゃ、無い。
この機体は探究心に似たプログラムに寄って、データに対して情報収集を行う型番機であり、そのため機密に権限も無く触れることが有る。その度に。
自分達はデータだ。機械にも、自分達にも、心は無い。
けれど相方はプログラムに沿って、戦闘後のチェックを行う。
「……なんだ?」
小さな声が隣から上がるので、首を傾げる。
「いや、何かバンカーからのデータにノイズが……バンカーのほうの問題なら、バンカー側が直すだろう。だがこちら側の対策として、暫くバックアップは取らないでおく。」
言葉に頷く。リッパーは脱走兵の言い落とした、バンカーが先に裏切った、という言葉を思い出したが、何か言う気は起きなかった。そんな短い会話を終え、二人、司令室へ向かう。
それでも任務は新しく下される。相方のデータが新しくなるのと同じように。
降り立った任務地は、確かに身方のレジスタンスキャンプだった筈だ。
しかしそこでの身方はどれもこれも目を真っ赤に光らせ。
「ハッキングされている……。」
隣で小さな声が静かに落とした。
「バンカーに通信を。」
頷いて返すも、様子が可笑しい。
「……まさか、バンカーがハッキングされるとはな!」
隣で大きな舌打ちが上がった。
「ウイルスか。」
それでも。
身方の型番機がこちらに向かって来る。敵として。
それでも。戦うしかないから。
武器を向けて来るから武器を向け返して、斬り掛かって来るから斬り返して。自分は死なないように、相手を殺して。バンカーが乗っ取られては、もうブラックボックスを使って自爆しても、それが最期だ。だから自分が、死なないように。
二人散り散りにされて戦わせられながらも戦い続け、そうしていればリッパーもウイルスにハッキングされてしまう。耐性に関しては相方の型番機のほうが優先された性能が上だ。
ふらふらと目を赤く瞬かせながら、出来るだけあの小さな機体から離れたかった。彼に近付く感染機が一機でも減るように。
そうして向いた足の先には。
「おや、まあ。」
力が入らず、その場で膝を突く。
「ああ、もう、終わりたいんですか」
地に突き立てた左の爪に、記憶を、思いを込める。
「良いでしょう。」
テンタクルがリッパーから爪を受け取って、その爪で。
「リッパー!」
「ああ、ナワーブ。」
テンタクルに爪で貫かれたリッパーは、最期にその相方を見て逝った。
そしてその相方は、テンタクルに斬り掛かった。
今迄指名手配されながらもこうして生き延びている脱走兵に、勝機が無いことなど、普段のその機体ならハッキングせずとも分かり切ったことだっただろう。
静かに待ち受けるテンタクルの眼差しに、その刃が届く前に地面が崩れ去った。
揺れる大地、崩落する土砂に代わり、地中より白い塔が伸び上がった。
突然にうずだかく聳え立った白亜の塔。象牙の塔。大人を知らない、幼稚な才女の塔。
相方を失った小さな機体はひとり、土埃から身を起こし、自分をそうした塔を目指した。
留めをきちんと確認するために。
塔で次々と向かって来る相手を斬り捨てる。塔の創造主側の機械達は勿論、ハッキングして抜け殻にした身方を操り人形にした様々な型番機、そして、果ては。
「リッパー……」
当然のように見慣れた姿が目前に現れた。
良く知った素早い動きに斬り掛かられる。
分かってる。
分かってるけど。
分かってる、だから。
斬り捨てる。斬り捨てる、斬り捨てる、斬り捨てる。
斬り捨てられた、自分の左腕。それでもリッパーの型番機を貫き、その機能を停止させる。
思わず何度も貫く。
そうして勝手に疲弊して倒れ臥す自分の隣に、まるで寄り添ってくれるかのように同じように横たわる動かぬひと。
運良くこちらを向いた赤い目は、まだびくびくと震えてこちらを殺さんとしていた。それもじき収まると、なんだか物哀しくなってしまう。それを誤魔化すように、その頬を撫でた。その相手の手も取って、無理矢理自分を撫でさせた。
立ち上がれなくなる前に膝を立て、失った自分の左腕に、倒した機体の左腕を斬り取って頂く。
そうして当然自分もウイルスに汚染される。リッパーの型番機からの感染だ。
痛み。この痛みが、喜びに感じた。だから叫んだ。そう、喜びに叫んだのだ。哀しくなんかない。
塔を登ろう。
頂上にはテンタクルが居た。
相手も機械達を倒し、ここに辿り着いたらしい。
そして、仲間だった機体も。リッパーをそうしたように。
「この期に及んで、おまえとわたしに戦う理由がありますか」
「おまえはリッパーを殺した。おれにはその理由が在る。」
「……ブルータス、おまえもか。生意気ですね。」
二機は戦った。そうするしかなかったから。