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陳褘 設定&プロローグ

全体公開 5363文字
2025-01-18 02:28:24

■キャラ名
陳褘

■プロフィール
それはここではない世界。
今ではない時間。
まだ存在すらしていないどこか。

『西に向けて』『国の危機のために』旅立った一人の旅人であるという以外の共通点のない『異世界の三蔵法師』。

西の地にて紀元前に作成されて以降近代におけるまでその伝来が謎とされている
人類が初めて作成した『自然の力に寄らない』外部動力機構、『蒸気タービン』。

アイオロスの球と呼ばれたその機構が生む熱と動力があればこの極寒を生き延びることができる。
彼はそう信じた。そう信じて旅を続けた。

西に、西に。友と、共に。
天の陽をつなぐ軸――――天軸を手にし旅人は帰るはずであった。

その、帰る先は。今は【何か】に妨げられ叶わない。

彼がいた世界よりはるかに寒く。
彼がいた世界とは似ても似つかぬ人間が跋扈し。
彼がいた世界では通じた常識が何もかも通用せぬこの世界を。

彼は帰るために、ひたすらにあがき続ける。


■能力内容
変形天軸『玄奘三蔵』

『恐竜人類の世界』よりなお寒いこの世界に送られた彼は生き残るために蒸気タービンの技法を自身に適応させ、動き戦闘するのに必要な『熱』と『動力』を確保している。

それは道中で倒れた旅の仲間たちの武芸の型に合わせた形状に変形し、戦闘を行える。

すなわち

棒術と機動戦に長けた『孫悟空』フォーム
行軍と肉弾戦に長けた『沙悟浄』フォーム
鎧術と射撃戦に長けた『猪八戒』フォーム

この三種類である。

■出身時代
中国(並行世界、中古代)

■プロローグ

みおぼえのあるふうけい
みおぼえのあるまちなみ
みおぼえのある

ぼくはいまから、ふるさとにかえるのだ

見上げれば遥かにそびえる鉄の壁。
鋼鉄のリングに囲まれた檻の中、絶え間なく鉄火と弾刃が降り注ぐ。

今ここに、“通常”の理屈は覆される。
様々な時代。様々な場所の者が一同に集まり、あるいは金のため、あるいは名誉のため、あるいは変えたい何かのために命をかけて戦う。

これは、本来ならば“神”と呼ばれる者のみが楽しめる至上の戯れ。
只人では拝むことの出来ぬ奇跡の宴。

────如何な運命の悪戯か。貴方は、その宴の一部始終を見る資格があるようだ。

【何か】により開催された願いをかなえるための宴。
その予選ともいえるバトルロワイヤルが開催されていた。

【ここ】に纏められた彼らの類似はただ一つ。

【この便りを王に】【この思いを我が愛に】【この文を城に】【この言葉を母に】【■を■に】【■を■に】【■を■に――――

戦場で散った有象無象。蒙昧に消えていった無念の群れ。

その願いの類似はただ一つ。

ここにいるのは妄執の果て。
伝えたい何かを秘めたまま伝えきれずに露と消えた戦場の幻灯。

その無念を晴らすために、今彼らは殺しあっている。今も彼らは殺しあっている。
この地獄を抜け。這い上がるために。

◆ ◆ ◆

ダンゲロスSSタイムスリッププロローグ
戦場:十六遊増地獄刀輪処

◆ ◆ ◆

(わたしは、かえるのだ)

だん、だ、だん だん、だ、だん だん、だ、だん だん、だ、だん

束となった剣が雷のごときひらめき、目にもとまらぬ弾が雨のごとく降り注ぐ。
そんな中を一つの思いをくだらないそれだけを胸に駆け抜ける。

殺し這いまわる。

同じ願いを同じ思いを持った敵を殺し、殺し、殺し、殺す。

「この■を■に。」

王より受けた命。それを果たせずには死んでも死に切れぬと。

誰よりも早く駆ける脚でも果たせなかった。誰よりも強き腕でも果たせなかった。誰よりも毅き心でも果たせなかったその願いをかなえるために私は殺して回るのだ。

相諸共に駆けた剣が鎧が馬が私と混じり合いこの地獄で共に殺しあっている。
魔人能力、というらしい。己の心を現に現す異形の能力。

「この■を■に。」

ならば私じは、私たちは。『何に変えてでも』という願いを持つ私たちにはこの能力こそが当たり前で。
この能力こそが与えられるべきなのだろう。

何もかもを犠牲にする魔人能力。

ココロもカラダもアタマも何もかもを犠牲にして願いをかなえる一個体へと改造する。

馬の脚が生え剣の触腕が生え鎧は外皮と化し。
そう成り果てても、まだ。
この地獄から飛び立つための羽は生えてこない。

「この■を■に。」

私の名前はベデ■ヴィエ■ル。
必ずや、この■剣を――――

◆ ◆ ◆

ダンゲロス予選会場―――十六遊増地獄刀輪処にてその趨勢は決しつつあった。

馬と鎧と人と剣で作り上げられ練り上げられた蜘蛛のような異形。
それがこの地獄内の同じ願いを持つ有象無象を薙ぎ払っている。

彼の主君より託されたこの地球で最も有名な聖剣を振るう異形。
武勇こそ他の騎士に劣れどもその身体能力は計り知れない。
なによりもその妄執が素晴らしい。

「この■を■に。」

騎士ベディヴィエール。

最期に母に一目会いたかった少年兵を、若のために密書を城に届けたかった老兵を、結ばれる愛のために帰りたかった若者をちりあくたのようにちぎり捨てる。

この刀輪処地獄にて長年熟成された自慢の怪物だ。さぞ他の十六遊増地獄予選を抜けた怪物相手とも渡り合えることだろう。

だが――――

【何か】は欲している。

さらなる刺激を。
さらなる予想外を。
さらなるドキドキを。

【そうだ】

だから簡単に。

【こうしたらどうだろう?】

思い付きで新しいことをする。

【えいっ】

それまで積み上げたものを踏み躙る。

◆ ◆ ◆

みおぼえのあるふうけい
みおぼえのあるまちなみ
みおぼえのある

ぼくはいまから、ふるさとにかえるのだ

見上げれば遥かにそびえる鉄の壁。
鋼鉄のリングに囲まれた檻の中、絶え間なく鉄火と弾刃が降り注ぐ。

今ここに、“通常”の理屈は覆される。
様々な時代。様々な場所の者が一同に集まり、あるいは金のため、あるいは名誉のため、あるいは変えたい何かのために命をかけて戦う。

これは、本来ならば“神”と呼ばれる者のみが楽しめる至上の戯れ。
只人では拝むことの出来ぬ奇跡の宴。

蜘蛛の異形と化した騎士が這いまわる。檻の中の獲物を殺しつくす。

「この■を■に。」

蜘蛛の糸が垂れてこなくとも。

「この■を■に。」

屍を積み上げ己が蜘蛛と化し、必ずこの地獄から抜けるのだ。
この地獄から――――

【えいっ】

――――蜘蛛の糸を。

◆ ◆ ◆

みたこともないふうけい
みたこともないまちなみ
みたこともない

ぼくはこれから、ふるさとにかえるのだ

見上げれば遥かにそびえる鉄の壁。
鋼鉄のリングに囲まれた檻の中、絶え間なく鉄火と弾刃が降り注ぐ。

今ここに、“通常”の理屈は覆される。
様々な時代。様々な場所の者が一同に集まり、あるいは金のため、あるいは名誉のため、あるいは変えたい何かのために命をかけて戦う。

これは、本来ならば“神”と呼ばれる者のみが楽しめる至上の戯れ。
只人では拝むことの出来ぬ奇跡の宴。

其処に迷い込んだ、底に迷い込んだ。

来訪者が一人。

おしゃかさまのてのひらから、もがきだした。

それはまさに異形であった。
生命にはおよそあり得ない熱が篭り、釜のように蒸気まで上げている。
鎧と混じった我が蜘蛛の外皮に劣らぬほどの鋼鉄が全身を覆っている。

だというのに。

だん、だだん だん、だだん だん、だだん だん、だだん

それは命を持っているかのように脈動している。
それは命を持っているかのように呼吸している。
ただ剣や鎧を、馬をはりつけた私とは致命的に何かを間違えている。

そんな冗談のような塊が。冗談のような熱気を放ちながら。

私を、吹き飛ばした。

それはここではない世界。
今ではない時間。
まだ存在すらしていないどこか。

【もしも人類が猿じゃなくて恐竜から進化していたら?】

あり得ない仮定からあり得ない過程を経た生命を掘り出していく。

【もしもそんな世界から産まれた何かたちが此処とは違う歴史を紡いでいたら?】

◆ ◆ ◆

凍り付いた世界で、僕たちは生まれた。
遥か遥か昔、この大地は常に灼熱に包まれていたこの世の春であったと言われている。
それを救うために、私は来たのだ。

「この■を■に。」

そのために、私は、ふるさとに帰るのだ。

◆ ◆ ◆

――――それは『私』よりもなおも異形であった。

蜥蜴のごときゴツゴツの肌。
(寒さのあまり鳥肌が立ち、体にはあばたができ全身はあかぎれでひび割れているかのように)

牙よりのぞく舌は震えども、何を言っているのかは分からない。
(寒さのあまり舌がもつれているのか、吐息のような音が漏れるのみ)

騎士ベ■ィヴ■エールはその頭で考える。
聖剣を取り込み愛馬すら喰らい、
同じ願いを持った者同士で殺しあうこの地獄の辺土にて擦り切れ切ったその頭で考える。

――――それは『私』よりもなおも異形であった。

『変形天軸――――猪八戒』
異形が咆哮しその姿を変える。『私』の蜘蛛の聖剣をはじくほどの鋼鉄で覆われた、猪のごとく丸い鋼鉄。

蒸気で噴出された岩塊が蜘蛛に迫る。
騎士ベデ■■ィエールは弓の名手というわけではない。
距離を取るのは得策ではないと判断する。
その巨躯は硬さ相応に鈍重。格闘戦ならば勝機もあるだろう――――

――――それは灼熱の蒸気のごとき吐息を吐いている。
(酷い寒さによって流血した熱を補うかのように必死で縋っている)

『変形天軸――――沙悟浄』
蜘蛛が近づくに応じ異形は姿を変える。鋼鉄がほどけまるで筋肉のように蠢いていく。
肉の中にて踊るは血液ではなく蒸気。先ほどまであふれ出していた蒸気を駆動する力と変える。

歯車のように動く部位を拳に集め、回転する尖刃として蜘蛛をえぐり取る。
馬と同化した鎧と同化した蜘蛛の能力を上回る駆動。
騎士■■ィヴィエールは武勇に秀でた英雄というわけではない。
その足を全力で動かしこの異形より離れようとする。
狙いは撤退。我が最強は円卓でもなお勝るものなしこの健脚。
逃走に注力すれば引き離すことは可能であろう――――

『変形天軸――――孫悟空』
『筋斗雲』

蜘蛛が離れるに応じ異形はさらに姿を変えた。腕部と脚部に鋼鉄が集まったその異形。
脚に集まった鋼鉄より先ほどの倍を超える量と威力の蒸気が噴出される。
その勢いは、鋼鉄を飛翔させ雲のごとき軌跡を引きながら逃げる蜘蛛に接敵し。

『如意棒』

腕部よりほとばしる蒸気流が。
こちらの聖剣を超える自在な射程と軌道を持って灼き斬り、薙ぎ払った。

地獄にて天を糸でつなごうと足掻いた一匹の蜘蛛は。
地獄を駆けて空にいたる異形に追いつかれ――――その願いごと潰された。

ああ、『私』が取り込んだ鎧の肌よりも遥かに有機的に蠢くその鋼鉄。
(酷い寒さに反り返った肌の色はとても血の気が通っていない)
ああ、それは同じ願いを持ったもの同士で殺しあい異形となり果てるこの地獄においてすら。
(それは、まるで)
とても同じと思いたくない、異形の怪物としてそこにあった。
(化け物のようであった)

八寒地獄と呼ばれる地獄がある。

頞部陀(あぶだ)尼剌部陀(にらぶだ)頞哳吒(あたた)臛臛婆(かかば)
虎虎婆(ここば)嗢鉢羅(うばら)鉢特摩(はどま)摩訶鉢特摩(まかはどま)。

ただひたすらに寒いということしか分からない地獄がある。
罪人が堕ちると言われている八熱地獄の『隣』にあるその地獄には。

「この■を■に。」

何が堕ちていくのか。
その詳細は知られていない。

◆ ◆ ◆

――――罪を犯した者が堕ちると言われている十六地獄は、八熱地獄と八寒地獄と区分けされている。
そのうち八熱地獄は罪状は詳しい内容なども説かれており、様々な罪を犯した者が区分けされて堕とされる。

だが、八熱地獄の隣。八寒地獄にはどんな存在が堕ちていくことになるのか。
その詳しい内容は説かれていない。

其処は言葉を発し意思疎通をすることすら困難な極寒の地であることだけが知られており。
寒さにより体が凍てつき肌の色も肌の有様もおよそ只人のそれではない有様に成り果てていることだけが分かっている。

【何か】は欲している。
【何か】は求めている。
【何か】は飢えている。

さらなる刺激を。
さらなる予想外を。
さらなるドキドキに。

【そうだ】

だから簡単に。

【こうしたらどうだろう?】

思い付きで新しいことをする。

【だってつまらないじゃないか】

それまで積み上げたものを踏み躙る。

【ありえるところからありえそうなものを拾ってくるだけなんて】

ただ、純粋な好奇のために。

【えいっ】

――――八寒地獄。
底がどんな地獄なのかは、闇の中である。

みおぼえのあるふうけいに
みおぼえのあるまちなみに
みおぼえのある

ぼくはいまから、ふるさとにかえるのだ


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