フォロワーさんとお話しさせてもらっている年齢逆転Dom/Subパロの神奈備所属ifの話。
以前投稿した座チヒと同じ世界線の薊チヒ版となります。
このチヒロさんはSubとして不安定なので柴薊座3人とプレイしてる設定。
そしてこの薊さん、普段喫煙しないもののチヒロさんからだけ煙草をもらって吸ってたり。あとの二人も同じ銘柄なのにチヒロさんからしかもらいません。
座チヒ、薊チヒと来たのであとは柴チヒですね。
そのあとはちゃんとプレイしてるところも書きたいです。
独占欲は赤色をしている(座チヒ)
https://privatter.net/p/11366190
夜食は経費で落ちません(柴チヒ)←2/5追加
https://privatter.net/p/11390436
@kr0mm333
「これで終わりです。お疲れさまでした」
まるで医者のような口振りだ、と自分の言葉を他人事のように評価しながら薊は冷蔵庫の中からミネラルウォーターのボトルを二本取り出した。片方はソファーに座る千鉱に渡し、もう片方は自分で飲む。
ソファーに座る千鉱は疲れているのか酷く眠そうだ。実を言うと薊も眠い。任務の後で夜通しプレイに勤しんでいたのだからそれもそうだろう。
夜通しで走り回って任務をこなし、神奈備本部に戻る途中で千鉱が不調を訴えた。
身体的な不調には違いないが、その原因は不安定な第二性の欲求。
千鉱は兄である国重を殺されて以降、様々なストレスやSubとしての衝動を抑えるために抑制剤を過剰摂取していたせいで体に不調を来していた。薊達三人が護衛兼部下となり何とか病院に連れて行ってからは定期的に発散しているので、出会った頃よりはかなり改善されている。それでも時折その衝動は発作のように現れては彼を苦しめていた。
「……悪いな、薊。楽になった」
申し訳なさそうな声にいいですよ、と返す。あとの二人ならもっと気の利いたことも言えるのだろうが、生憎薊は月並みな言葉しか持ち合わせていない。
ここは神奈備本部から少し離れた駅の程近く、プレイ用の部屋を貸し出しているホテルの一室。
出先から戻る途中だったこともあり、我慢するように命じてこのホテルに転がり込んだのが昨晩の午前一時。それから数時間かけて丁寧に欲求を満たしてやり、気がつけば早朝になっていた。
公的に認められた施設というだけあって使用者のプライバシー保護のために部屋は防音に優れ、エントランスから部屋までの動線ですら利用者同士が出会わないよう複数のルートが用意されていた。そのおかげで少し値は張るが、それで安全と第二性の安定を買えるのであれば安いものだろう。そういう事情もあり、薊は千鉱とのプレイの際にはこのホテルか系列店をよく利用していた。
一人がけのソファーに深く座り、大きな背もたれに体を預けた千鉱を見る。側から見れば、欠伸噛み殺しているこの男がさっきまでサブスペースに入って薊の言葉に従順に従っていた人物とは到底思えないに違いない。
ミネラルウォーターのボトルを置き、床に落とした千鉱と自分の上着を拾う。どちらも千鉱に命じて脱がせたものだが、性的な接触はなしという約束なので互いにインナーのシャツと下は身につけたままだ。
「薊、悪いがコートのポケットに煙草があるから出してくれ」
言われたままにコートのポケットを探れば開封済みの煙草とライターがある。箱の中から一本取り出し、千鉱の口に咥えさせるとライターを近づけて先端を火で炙った。
「至れり尽くせりだな」
まさか咥えさせてくれた上に火をつけてくれると思っていなかったらしく、千鉱は肩を揺らして笑う。
「僕ももらっていいですか?」
「ああ」
千鉱から許可をもらうと、自分も煙草を咥えてライターで火をつける。普段から喫煙する習慣のない薊は口の中に広がる煙に咽せそうになったが、わざとらしく咳払いすることで誤魔化した。
薊が千鉱と関係を持ったのはこれが三度目。
初めての時は打ち合わせが足りずにセーフワードを使わせてしまったので、今回は前回聞いた内容をしつこいと叱られるくらいに確認して更に擦り合わせた。
その甲斐あって今回は無事プレイを終えられたのだが、初回はもちろん二度目の前回でも感じたことのない充足感で満たされているのがわかる。
セーフワードが出なかったのだから千鉱も満足してくれたとは思うのだが心配からつい、よかったですか? と聞くと千鉱はパチリと目を瞬かせた。
言った後に野暮なことを聞いてしまったと後悔するが、照れ隠しに背を向けて冷蔵庫の上に伏せてあったアルミ製の灰皿を千鉱の前に置く。ついでに自分の煙草の灰を落とすと、千鉱が薊の頭に手を置いてよかったよ、と言った。
「それなら、よかったです」
Domとしてコマンドを命じていた時とは打って変わって恐縮する薊に、千鉱は不思議そうだ。
薊としてはよかったかどうかを確認してしまったことへの気恥ずかしさがだが、千鉱どころか本人すらもそれを理解しきれていないのでその反応何に由来するものなのかは誰にもわからない。
「最近は調子もよかったから安心してたんだが……随分楽になった。ありがとう」
出会った頃は毘灼の情報が何一つ出てこないことへの焦燥感はもちろんあったがそれ以外にも苛立ちがあるように見えた。今では情報がないことへの焦りはあるだろうが、初期の頃のような苛立ちは感じなくなったので嘘ではないのがわかる。
「お役に立てたならよかったです」
「そう畏ることもないだろ」
「六平さんは上司ですから」
護衛の中でも薊は真面目なほうだと自負している。というよりも、他二人が不真面目寄りの態度なので必然的にストッパーにならざるを得ないというのが実情なのだが。
「あの二人に聞かせてやりたいな」
「揶揄われるのでやめてください」
即答すれば、千鉱はふっと煙を吐いて顔を綻ばせるように笑った。普段見るのことない様子に今度は薊が目を瞬かせるが、煙草の火を消すと腹が減ったなと呟く。時刻は早朝、一般家庭ならば朝食を食べている時間だろう。
「駅前に美味い定食屋がある。もう開いてるだろうから、そこで食べて帰ろう。仮眠とシャワーは戻ってからだな」
忘れていたが、昨晩は任務で戦闘もあった。自分達は無傷だが、確かに汚れは落とした方がいいかもしれない。しかしここで済ませてしまうと要らぬ詮索をされそうなので、このまま戻った方がいいのは確かだろう。
続けて煙草を押し付けて火を消し、上着に袖を通す。
「あの二人には言うなよ。自分も連れて行けって騒ぐだろうからな」
「わかりました」
苦笑とともに頷く。
その意見には同感だった。薊が千鉱の行きつけの店に連れて行ってもらったと知られれば、あとの二人も行きたいと騒ぐに違いない。そして、逆の立場だったなら薊も同じように言うのだろう。
ホテルを出ると、これから出勤するらしい勤め人や学生達が歩いている。
その間を縫いながら、二人は神奈備本部のある方向から少しズレて駅の方に向かうのだった。