ヒュ書♂️ヒュ、付き合ってない
いつもの問い掛け
書目線
@vmon1202
【記録係の視線】
「ヒューゴ先輩は、自分のことを善人とは思えないよね?」
そう問いかけると、先輩は驚いたように目を丸く開いた。けれど、その表情は一瞬で消え、すぐにいつもの穏やかな笑顔に戻る。
「それは、君から見た俺かい?」
まるで冗談を流すような口調だ。誤魔化すつもりなのが見え見えで、俺は思わず小さく笑う。
「はい。俺は観察が得意ですから。記録係ですからね。」
真面目に答えると、先輩は少しだけ肩をすくめ、からかうようなさらりと言う。
「それは光栄だな。」
「それとも、困ることでも?」
そう返すと、先輩は「うーん」と考える素振りを見せる。
「さて、どうかな。」
本当はもう答えを決めているくせに、こうして曖昧なままにするのがこの人のやり方だ。けれど、それを問い詰めることはしない。俺もまた、答えを急ぐつもりはなかった。
俺たちはこうして問いかけの中から、お互いのことを深く知っていくのだから。
ふと、気づくと俺たちは並んで歩いていた。自然と歩調を合わせて、けれど微妙な距離を取ったまま。近すぎず、遠すぎず。
「君は、俺が善人じゃないと思うのに、それでも記録するんだ?」
本当はそう思っていないことを知っているくせに、本当に意地悪な先輩だ。
でも、俺も譲るつもりはない。だから、この気持ちはいつか理解してほしい。
「ええ。善人かどうかは関係ありません。俺は、先輩のすべてを記録するんですから。」
先輩はそれを聞いて、また少しだけ笑った。その笑顔は、どこか寂しげにも見えた。
「君は、変わってるな。」
「よく言われます。」
そのまま、俺たちは何も言わずに歩き続けた。ミーティアの廊下で。
(終わり)