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キリシタンすり抜け主と刀剣男士〜本丸日和、晴れ時々飴が降るでしょう〜

2025-02-22 22:11:11

和泉守兼定と鶴丸国永と加州清光と主を中心とした平和な過去語り

他の過去語りはこちら→https://privatter.net/p/11330710

《本丸日和〜晴れ時々飴が降るでしょう〜》

遠くでどんちゃん騒ぎの笑い声が、夜通し響いている。
「はー、食った食った」
和泉守兼定は、すっかり腹が膨れるまで堪能した豪勢な馳走の数々に、いたく満足げに機嫌良く鼻歌を歌った。隣で堀川国広が、同じく嬉しそうに笑う。
「凄いご馳走だったね」
「之定も他の奴らも、ここの厨の連中の気合いの入り方はすげーな」

今宵は、和泉守と堀川、山姥切国広の三振りのための、歓迎会を兼ねた酒宴だった。
権限からこっち、政府の裏切り者やら本丸の襲撃やら鶴丸国永の捕縛やら、様々な事件がありすぎて、ゆっくり酒を楽しむ暇すら無かったほどだ。
だからこれは、そんな大波乱を共に乗り越えた本丸全体で作る、飲めや歌えやの平穏で明るい宴だった。

旨い酒に美味い料理。
目にも鮮やかに美しく盛り付けられた刺身の数々。揚げたての天ぷらは衣が黄金に輝き、手の込んだ焼き魚は尻尾の先までたっぷり塩気が効いて、酒に合う甘塩っぱいツマミまで、よりどりみどりとばかりにずらりと並ぶ。
これで酒が進むなという方が無理な話だ。

「あー、うめー飯だったが、さすがに食い過ぎたな」
ふわぁ、と欠伸を一つこさえた和泉守に、堀川が素早く待ったをかける。
「兼さん、横になるなら着替えて。皺になっちゃう」
「ったく、細けえなあ」
「大事だよ。今出すから……
堀川は笑いながら先に障子を開けて部屋に入り、箪笥から寝巻きを引っ張り出した。ところが、その瞬間、堀川は思いがけず「わっ!?」と声を上げた。
「んぁ? どうした?」
和泉守は怪訝そうに覗き込んだ。
堀川が広げた兼定の寝巻きから、バラバラ、と何かが音を立てて次々と転げ落ちる。

畳に四方に散らばったソレを一つ、和泉守はひょいっと拾い上げた。
それは、色とりどりの包み紙に入った、カラフルなキャンディだった。

「なんだぁ? 飴玉ぁ?」


「ここに居たか、兄弟」
不意に背後から声がした。二振りが振り返ると、和泉守の部屋を訪れた山姥切国広だった。半開きの障子の向こうで、顔に困惑を貼り付けて立っている。
「どうしたの?」
「これだ」
彼が手を開くとそこには、溢れんばかりのカラフルな飴玉が踊っていた。
今し方和泉守の箪笥から出てきた物と同じだ。
「着替えを出したら、こいつがたくさん出てきてな」
「あれ、兄弟も?」
「そっちもか」

和泉守と山姥切、両方のもとから、ざらざらと出てきた可愛らしい飴玉の山を前にして。
三振りとも顔を見合わせ、不思議そうに首を捻った。

「悪戯?」
「あれじゃねーの? 鶴丸国永」
「そう、かなぁ? それにしては、ずいぶん大人しいというか

堀川は首を傾げながら、もう一度、和泉守の羽織りを広げてみる。
すると、さらりと小さなカードが滑り落ちてきた。

「あれ?」

メッセージカードだった。
その筆致を見て、堀川は目を瞬かせた。そこに書かれているのは。

「これ、主さんの花押サインじゃない?」





「ああ」
話を聞いて、懐かしそうに鶴丸は目を細めた。
「きみたちもか。彼女、よっぽど気に入ったんだなぁ」

彼らに訊ねられた鶴丸が、カードを手に優しげに表情を綻ばせた。
主人はとうに寝静まった夜半過ぎだが、刀剣男士たちにとってはまだまだ夜は始まったばかりだ。

鶴丸はそっと目を伏せて、穏やかに回想した。


鶴丸国永の語る、昔。

あれは、まだこの広い本丸に。
彼女と加州清光と鶴丸国永しか居なかった頃のこと。



「ちょっとこの量は異常でしょ
加州清光は、主と共に書類の山に溺れていた。

前線から離れた後方支援本丸だから
研修も学校も通らずに特例で本丸を任されたから
新制度の試験運用だから、等々

様々な理由を付けて与えられた、前線任務を免除される代わりに課せられた書類仕事は膨大で、とてもではないが主と加州の二人に手に負えるような量ではなかった。

顕現した最初こそ、地味で退屈な書類仕事を嫌がっていた加州清光だったが、日に日に増えて積み上がっていく、下手をすると天井まで届きそうな未決済の書類の山に、これは本格的にまずいのではと青くなって、腹を括ってからは早かった。
得意だとか不得意だとか、好きとか嫌いとか、しのごの言っている場合ではない。このままでは大事な主が紙束で潰されてしまう。

加州清光は大急ぎで仕事を頭に叩き込み、朝から晩まで悲鳴を上げながら書類に励む羽目となったのだった。


後に、山姥切長義がこの本丸を視察し、内部を正常化してようやく判明したことだが。
この頃、何も知らない彼女たちに問答無用で課せられていた書類の大部分は、本来担当役人などが捌くべき仕事まで大量に混ぜられていて、こなさなければ資材一つまともに降りてこない状況はまさしく異常であったのだが、外部との接触を意図的に断たれていた二人には知る由も無かった。

やがて長谷部や博多といった事務仕事やそろばん勘定が得意な人手が増えて何とか回るようになったとはいえ、それからもかなりの間、この本丸はこの大量の書類仕事に悩まされてきたのだ。
事実が判明した時には加州清光は怒髪天を突くとばかりにブチギレて暴れ回って、取り押さえるのに苦労した。
「◯×△〜!!!!!」
「落ち着け加州!! 気持ちは分かる!! 分かるが!!!」
「ふっっざけんなぁ!!! 俺が散々仕事したのは主のためであって、知りもしねえ役人が楽して酒飲むためじゃねえ!!!!」
「待て加州!! 逆に考えろ、大事な主人に不当に課せられた不要な負担を俺たちで軽減していたのだと!」
「落ち……付けるかあ!!! それとこれとは話が別だぁ!!!!」
「ダメだ、俺の手には負えん、誰か燭台切呼んで来い!!」


閑話休題。
この当時、まだまだ発足したばかりの本丸では、こうした経緯で初期刀と主が大量の書類仕事に忙殺されていた。
たった二人で、この非常識な量の書類を問答無用で全てこなさざるを得ず、二人して赤疲労でふらふらになっていた、というわけだった。

「あるじそっち期日までに終わりそう?」
「だめかも……

捌いても捌いても終わらない、延々と続く苦行に疲弊し切った加州清光と主が、揃って弱々しく声を上げた。

もし二人が、もっと早く音を上げて政府に泣き付いていれば話は別だったかもしれないが。
仕事柄、座ってひたすら書類をこなすのにそこまで苦を覚えないたちである主人が、下手に優秀すきたのも、問題を余計に複雑化させたと言えよう。
異常さに麻痺してしまうほどに。

「だめ、この書類わかんない
「あ、かしゅー、その書類の資料、書斎にあった
「おわ、あるじ、資料覚えるのめっちゃ早いね俺まだ無理場所わかる?」
「えっと、確か」

揃って隣の書斎で目的の資料を回収し、すぐ再び机に向き直った彼女は、疲れ果ててふらふらの頭を揺らしながら、とっくに冷えたと思われる湯呑みの残りを、筆を走らせながら見もせずに一気に煽った。

その瞬間だった。
主が「わっ!?」と声を上げたのは。

逆さにした湯呑みの中から、ザラザラと降ってきたのは。
ぬるくなった不味い茶ではなく、カラフルなキャンディだった。

キャンディまみれになって目を白黒させていると、ぷらりと天井から逆さに鶴丸が降ってきて「わはは、どうだ、驚いたかい?」と笑った。
彼女は目をぱちくりさせた。これが初めての鶴丸からの悪戯だった。

「少しは休憩しないと体に悪いんじゃないか?」
「鶴丸、お前!」
「まだまだだなぁ、加州清光。近侍がそう簡単に主の飲食物すり替えられちまったらダメだぜ?」
「この!」
青筋を立てていきり立った加州が膝を立てて鍔に指を掛けると「あー、待った待った! 今抜くと苦労してこさえた書類がめちゃくちゃになるぜ?」と笑って煙に巻いた。

「はは、悪い悪い。冗談だ。許せって。詫びにオレも手伝うからさ」

そう言って、白絹をばさっと払って座り込んだと思えば、本当に書類仕事をてきぱきと手伝ってくれて、主も加州も揃って目を白黒させていたら、あっという間に終わったらしく「んん、終わった終わった。じゃあオレは次の驚きを探しに行くとするか」などと言いながらパッといなくなった。

…………うっそ、マジで計算合ってる」
加州清光が、残された書類を握りしめて唖然と言った。

鶴丸がおとなしく座っていたのは物の五分と言ったところだったが、恐らくその場にあった数十枚の書類を一瞬で目を通して正しく把握し、必要な資料だけ抽出して素早く暗算処理して書面に落とし込んでいる。
おかげで、あと三日は徹夜が必要と思われた最後の書類が終わってしまった。

……ねえ、かしゅー。鶴るんって、もしかしなくても、ものすごーーーく頭いい?」
「え、え、無駄に頭キレる奴なのは知ってたけど、……マジかぁ」

こうして、突然降って湧いた驚きの数々に。
加州と主は、顔を見合わせ、狐に摘まれたような顔をする他無かったのだ。




それからというもの。
鶴丸は、二人が困って途方に暮れている場面にちょいちょい現れては、ささやかな悪戯を仕掛け、その後、手伝ってくれるようになった。

今まで鶴丸国永は、食事を共にすることもなかったし、にこやかに冷たい視線を寄越すばかりで内務や内番仕事もしてくれなかった。
そんな、この広い本丸で、どこで何をしてるのかよくわからない刀だったのだ。

それが、このキャンディの悪戯を皮切りに。
隠れてるところから突然現れて驚かせてみたり、天井からいきなり「わっ」と逆さに降ってきたり、布団に知らない内に氷嚢が入れられて「ひょわっ」ってされたり、風呂が勝手にもこもこの泡風呂にされてたり、びっくり箱が仕掛けられてたり、加州が落とし穴に落とされて怒ったり。

たくさんたくさん驚かせてくれて
そのたびに驚いて、笑って、いつの間にか一緒に過ごすのが当たり前になっていった。



彼女と加州の側からすると、何が起きているかよく分からなかった、というのが本音だが。

実のところ、鶴丸国永はこのタイミングで。
自分の新しい主が純然たる心優しい祈り子────つまり、毎晩毎晩、心の底から神にとてもよく祈り、よく感謝する人物であること──を遅まきながらやっと把握したところだったのだ。

無礼なほど奉納祈願の手順がめちゃくちゃなのも、柏手の打ち方一つ知らないのも、決して自分たち刀剣男士への無関心や無作法、不勉強ではなく、そもそもキリシタンで宗派が違う故の誤解だった。
そのことにやっと気付いたのだ。

鶴丸だけ長らく食事も不寝番も別で過ごしていたのでずっと気付けなかったが。
蓋を開けてみれば、毎晩毎食、いつもいつも彼女が「かみさま、かみさま。私をいつも見守ってくださるかみさま。いつも私を守ってくださり、ありがとうございます。今日も幸せでした」と真摯に祈るから。
なんだ、この子、祈り子じゃないか。と。鶴丸は肩透かしを食らったのだ。


かみさま、かみさま、今日も無事に過ごすことができました。ありがとうございます。ありがとうございます。たいへんだったけど、今日も幸せでした。
大好きなかしゅーとたくさんいろんなことをしました。今日は鶴るんとも少しだけ話せました。
明日もかしゅーと笑い合って過ごせますように。鶴るんとも少しでも仲良くなれますように。
わたしを大切にしてくれるひとたちに、幸せがありますように。かみさま、かみさま、どうかお見守りください。


そんな夜毎の祈りは、鶴丸が一度きちんと耳を傾けさえすれば、聞き違えようのないほど、純朴で無垢な、幼く優しい祈りだった。


初鍛刀は必ず短刀を呼ぶ定例を、理由も無く横紙破りして初手でオレを呼んだ上に、どうしてもオレを手放したくないとほざくから、もっと強欲な人間かと思っていたんだが、これはとんだ検討違いだったらしい。

この子は、ただただ、心から祈る、祈りの子だ。
何も知らない、心から神に感謝する祈り子じゃないか。
こんな子に辛くあたって、やめだやめだ。


鶴丸国永は本格的に態度を撤回し、これは強めに当たっていた分も笑わせてやって、優しくしてやらないとな、と頭を捻った。

だが、今までの自分の態度で、彼女の初期刀には、当然ながら凄まじく警戒されている。単に歩み寄っても疑いを深めるだけだろう。
だからこの手を使った。

どうしても鶴丸の手助けを受け入れざるを得ない状況を選んで
驚きと称してするりと懐に入っては、素早く再び距離を取る。その繰り返し。

少しずつ、少しずつ。
無理に距離を詰めるのは良くない。

困惑しつつも、初期刀が鍔から指を離した頃を見計らって
もう一歩、あと一歩。少しずつ。

「わっ!! はは、驚いたか?」

ニカッと笑って、木の中から飛び出したり、いきなり天井や屋根から降ってきたり、花やら紅葉やら降らせてみたり。
たくさん驚かせて、気を引き、笑わせてやる。その手のことはもちろん得意分野だ。

その中で、彼女の為人に触れ、もっと彼女の心からの笑顔が見れるようになって
鶴丸は徐々に彼女を、本当の意味で大切に思うようになっていく。

だから、彼女は。
いつの間にか鶴丸の方から歩み寄ってくれた、と思っているようだが、鶴丸の認識は逆だ。


いくら冷たくあしらわれても
よく祈り、よく祈り、自分たち神座に連なるものに、ずっと懸命に祈り続けた。
心から感謝し、助力を求め、懸命に願った。

だから、鶴丸は力を貸した。
歩み寄ったのは彼女だ。そういう認識でいる。



気付けば刀も大勢増えて
あれから重ねた歳月が、すっかり鶴丸と彼女の関係を温かい形に変える頃には
彼女は、新しい刀が来るたび、こうしてささやかで愛らしい、悪戯と称したこのサプライズを、すっかり定例にしていた。

今でも時々こうして、彼女は頭上から急にキャンディを降らせる悪戯や、勝手に内番着や布団に飴玉を仕込む可愛らしい悪戯をするが。

それは、あの時の鶴丸の悪戯が、その歩み寄りが、とても嬉しかった証なのだと無言で伝わってくる。



「なぁるほどなあ」

この本丸と鶴丸と彼女との間にあったキャンディを通したやり取りを、ごくごく掻い摘んで鶴丸が教えれば、納得したように和泉守がそう言った。

「てぇことは、こいつは嬢ちゃんの歓迎の証ってことか」

ぽいっと飴玉を投げて口に放り込んだ和泉守が、苦笑する。
「甘ったりぃ」

あーあ、ずいぶん平和で牧歌的な本丸に来ちまったなあ

和泉守はそう苦笑して、まんざらでもなさそうに甘さを舌で転がした。


◇ ◇ ◇



翌朝のことだった。
月一の主の帰還と酒宴の翌朝は、早朝に現世へと帰る主を皆で見送ることで幕を閉じる。
深酒した面々が眠そうに欠伸を噛み殺してはいるが、そんな酒好き連中もぼさぼさの頭を掻きながら揃ってちゃんと見送りに来ているのを見るに、彼女はずいぶんと慕われているらしい。

現世に溶け込むために顕現を解いてふよふよと浮遊する近侍を一振りだけ連れ、主は現世へと戻っていく。
主人の背中を見送る刀達の中、和泉守が人波を掻き分けて「嬢ちゃん、ちょっとこっち来い」と手招いた。
「?」という顔をしてニコニコと和泉守の近くに寄った主に、兼定が「あー」と口を開ける。釣られて口を開けた彼女の口に、和泉守は素早く何かを放り込んだ。
「!」
「飴玉、美味かったぜ。そら」
彼女の手の中にパラパラと降らせたのは、桜の形をした小さな桃色の干菓子だった。

「んん!」
もぐもぐと口の中の落雁をちゃんと呑み込んでから、彼女は花のように嬉しげに笑った。
「わぁ! 嬉しい!! ありがと、兼さん!」
「こっちのセリフだ。んじゃな、お勤め、がんばれよ」
「うん!」


わしゃ、と髪を掻き回されて嬉しそうに破顔する彼女と、優しげな目でそれを見守る和泉守の微笑ましいやり取りを
鶴丸国永は一歩引いた向こうから、穏やかに目を細めて見届けた。

彼女はずっと変わらない。天真爛漫で、無邪気な、心優しい彼女のままだ。

変わったのはこちらの方。
彼女が重ねた祈りの数だけ。彼女が願った周囲の幸せの数だけ。

綺麗で無垢な美しい祈りを向けられた自分たちが、変わらずには居られなかった。ただ、それだけのことだった。

刀は持ち主の心を映す鏡だ。

和泉守の手が離れると同時に、彼女がふと視線を辿ってこちらを向いた。
花のように笑った彼女に、ささやかに手を振り返してやる。それだけで良かった。彼女はこの上なく嬉しそうに笑って、鶴丸に、そして集まった皆に手を振った。
「いってきまーーーす!!」


こうして彼女を見送る度に、なぜもっと早く手を振り返してやらなかったのだろうと思う。
初鍛刀の自分と初期刀殿で、まだ彼女の笑顔を存分に独占できていた頃に戻れたら。

瞳の奥にどこか寂しそうな微笑みなど隠させず、もっと心から笑わせてやったのにと、詮無いことを思うのだ。


現世へのゲートが起動し、彼女を無事に日常へと送り届ける。さて、彼女を送り出した後は、そろそろ次の驚きの仕込みの時間だ。

彼女が帰って来る翌月には、そうだな、久しぶりにキャンディでも降らせてみようか。
きっと彼女は、飴玉みたいな目を丸くした後、この上なく嬉しそうに頬を上気させて笑うから。


《本丸日和〜晴れ時々飴が降るでしょう〜》end.



《こぼれ話》

鶴丸に次いで鍛刀された、この本丸の最古参である太刀、燭台切光忠。
彼は、顕現したての頃に、普通に大量のカレーを作るつもりで玉ねぎをめっちゃ微塵切りしてたところ、手伝いに来た主を玉ねぎで泣かせてしまい、「あっ、だめだめ、擦ったら傷が付いちゃうよ」と距離を詰めて両手首を押さえた所を初期刀に運悪く目撃され、全力で間に割って初期刀NGを食らい
「待って、なんか勘違いしてない!? 誤解だよ!? というか、ねえ、もしかして僕めちゃくちゃ警戒されてる!?」
って必死に弁明したことがある。
なんせ初鍛刀が散々信用ならん振る舞いだったもんで警戒が染み付いちゃってる初期刀が若干まだ過敏だった頃のこと。

「あはは、あの頃はまだ警戒されてたなあ。今となっては笑い話だけどね」
「ごめんって。いやでもあれは燭台切も悪くない? 絵面最悪だったよ。悪い男に手ぇ出されてるようにしか見えないって」
「紳士的気遣いだったのにどこがダメだったんだろうね?」
「えー、無駄に色気のある雰囲気? 強いて言えば長船なとこ?」
「まさかの全否定だね???」

今日も本丸は平和である。


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