エドガーの春待つ願いに祝福をのカード持てないから、あくまで個人の推測と解釈したエドガーの心境です
エドガー目線
@vmon1202
【今度こそ手を伸ばすから】
馬車に乗るたびに、あの寒い日のことを思い出す。
銀白の世界に、裸足で呆然と立ち尽くす子供の姿を。
震えながら、ただじっとそこにいる彼を、私は温かい馬車の中からただ見送ることしかできなかった。
なぜ、あの時、馬車を止めて駆け寄らなかったのか。
なぜ、せめて靴ひとつでも差し出せなかったのか。
どうして、私は身体を動かせなかったのか。
彼を助けてやらなかったことは、今も私の心を締めつける。
私はあの時、馬車から降りなかった自分を恥じている。
あの子を抱きしめ、暖かな毛布で包み、雪の上を歩ける靴を履かせ、凍えた手を取り、風を凌げる家へと連れて行きたかった。
もし時間を戻せるなら、今度こそ迷わず手を伸ばすと決めている。
だからこそ——
今、この寒空の下、震える小さな声が耳に届いた瞬間、私は迷わず馬車を飛び降りた。
人混みを抜け、遠ざかる小さな影を追いかける。
背後でレナードの声が聞こえたが、今はただ、その子の手を取りたいという想いだけが私を突き動かしていた。
やがて、その子を待つジェイの声が耳に届いた。
彼もまた、3層で生まれた者。
その子——リリィへと手を差し伸べられたジェイは、きっとその子を助けたいからだろう。
私は願う。
ジェイと共に進みたい。彼の故郷を、3層を助けたい。
なぜなら、そこもまた、シュルヴァート——私が守るべき、愛すべきこの国の一部なのだから。
共に願い、奇跡を起こしたい。
私はもう、誰一人として見捨てない。
——これは、私の自己満足なのかもしれない。
リリィを助けることで、あの日の自分を救おうとしているのだろう。
けれど、それでも願わずにはいられない。
どうか——
3層に灯したこの光が、あの時、凍える中で私を見た彼に、届きますように。
(終わり)