うおおいォョ最高だぜ
@kurato0o
雨が、降っている。
ショウは傷を負わない。それは傷がつかないという訳ではなく、常人とは並外れた回復力があるというだけで、痛みは追う。昔、ここにくるより前は普通に怪我をしたら治癒するまでに一般的な時間がかかっていたのだと思うけれど、こうも負傷の機会に恵まれて、それでもまっさらな身体を保っているのだから、不思議なものだ。
古傷は痛むという。特に雨の日は。
ショウの肉体には傷ひとつない。すべて治ってしまった。
けれど、心に受けた痛みは今も続いている。こうして、雨が降る日は、特に。
「空が狭いなあ」
ぼたぼたと滴り落ちる雨粒が、石を穿つ。いつかこの石もなくなってしまうのだろうか。数多くの伝承と共に。彼が憤ったように。
ぽつり落とした言葉は雨音の中に溶けて消えていく。こういう瞬間が一番孤独を感じるのだ。
それでも。
「ざまあないですね」
軽口を叩く、低い声。
振り返ると、そこには大きな陰がある。
見上げるような長身を見上げて、そこにうすら寒い笑みが浮かんでいる。
――…ウォロさん。
こちらを馬鹿にするような笑みなんて、そう多くは見ていないはずなのに。
陰はいつの間にか消えている。
こうしていつも現実と幻の最中にいる。
痛みがすぐに無くなって消えてしまう自分には、すべてが色褪せて見える。何もかもが真実には思えない。けれど。
「ウォロさん」
彼は確かにいたのだと、胸の真ん中を占める痛みだけがそう訴えていた。