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今なら分かる、その気持ち

全体公開 ドラヒナ以外のお話 5 2909文字
2025-03-14 20:28:19

ピクスク様のオールジャンルイベント『バレンタインデー&ホワイトデー2025』に参加致しました。
3作目はΔロナルドくん視点のホワイトデーのお話になります。本編がドラヒナ成立後のロナサンだったので、こちらも同じ感じで。
途中から、30年後の時間軸になります。
この世界だと、将来的に、ロナルドくんが皆を見送る形になるので、ドラヒナ夫妻の子孫達に、相棒直伝の美味しいお菓子を振る舞う、ロナルドおじさんになっててもいいんじゃないかなそういうイメージがあって、料理をするロナルドくんを書きました。
捏造した、ドラヒナ夫妻の娘が出ます。ご注意下さい。設定は、以下の通り。
雛乃: 30年後の時間軸で、19歳。見た目は、黒髪、金瞳のヒナイチくん。吸血鬼対策課に勤める、優秀な兄がいる。父親の愛情をベタベタに受けており、「ママより強い男性でないと、パパは許しません」と言われて、呆れている。

Posted by @kw42431393

*捏造設定になります。

 ・Δ隊長は、父親のドラウスさんは人間、母親のミラさんが吸血鬼という設定です。ヒナイチくんより一回り年上。ルーマニア育ちの日系ハーフ。なので、独り言や鼻唄に突然ルーマニア語が混じったりする。生まれつき虚弱体質だが、ブーストを使えば短期戦の戦闘参加は可能で、本編よりは体力もある。ロナルドくんがあどないので、言動が父親じみてきた。

 ・Δジョンは元々ミラさんの使い魔で「体の弱い息子をよろしく頼む」と言われ、Δ隊長を主人として尊敬し、行動を共にしている設定になっています。なので、Δジョンの方がΔ隊長よりちょっと年上です。この世界でも新横浜のアイドル。

・ΔヒナイチくんとΔ隊長の出会いは、彼女が幼い頃に下等吸血鬼に襲われていたところをΔ隊長が助けた、という事になっています。Δ隊長は幼い頃からの憧れの人で、常にキラキラした目で見上げています。元々和菓子党だったが、幼い頃に貰ったクッキーを食べてから、現在はクッキー党。バーの娘なので、他の世界線に比べて料理は上手で、コミュニケーション能力もそこそこ高い。

・Δロナルドくんは、大侵攻で最も退治人・吸対連合を悩ませた、不死身で怪力、変身能力、飛行能力を持ったチート吸血鬼。無邪気なお子様で、吸血鬼らしくないのが悩み。一人にしていて、うっかり署を破壊されたら大変なので、Δ隊長は、備品という立場のΔロナルドくんを、毎日家に連れて帰ってます。みっぴきが揃っている時間が、一番幸せ。

・Δみっぴきの溜まり場は、署の隊長室か隊長のお家です。



 『さてとあれ?』
 『ヌーヌヌヌ?』
 『ハンドミキサーが、壊れてる。まあ、いいか。』
 そう言って、キッチンにいるドラルクは、ボウルの中の卵白を、泡立て器でかき混ぜだした。
 ヒョロガリのあいつは、力仕事をさせてるとすぐへばるんだ。こういうのは、疲れねえのかな?

 『なあ、俺がやろっか?』
 ボウルを覗き込みながら、声をかける。
 カウンターごしに見える、メレンゲを作っているその姿が、すごく楽しそうだったから。
 『これは、だめ。他のなら、いいよ。』
 『ヌー。』
 ジト目で俺を見るドラ公は、こういう時、頑固親父みたいな仕草をする。そっか、今作ってるのは

 『明日のホワイトデーに、ヒナイチくんに渡すマカロン用だから。彼女には、私の手で作ったものをあげたいもの。』
 
 分かんねえな。折角、手伝ってやろうと思ったのによ。マカロンは、マカロンじゃねえか。
 そうブー垂れてると、頭をグシャグシャと掻き回された。
 そして、目の前に別のボウルを、いくつか置かれる。中身は、クリーム状のバター、卵、計量済みの砂糖と小麦粉だ。
 いつも見ているから、知ってる。隊長室で、皆で食べてる、バタークッキーの材料だ。

 『ありがとう。代わりに、ジョンとこれを混ぜておいておくれ。練るんじゃないぞ?サックリと、空気を含ませる様に。』

 困った様に笑いながら、言い聞かせる様にそういう時のドラルクの顔は、何故だか、ほとんど記憶にないはずの親父を彷彿させた。なんだか、言い返しづらくって
 『お、おう。』
 『ヌフフ
 なんだよ、年だって10歳ぐらいしか変わんねえくせに。子供扱いすんなよな。

 『フフッ、君にも分かるさ。大切な人には、とびきり素敵な笑顔をさせたいものだ。自分の自分だけの手で。』



 「どうだ?そのカップケーキ。」

 ヌン!バッチリヌよ。上手になったヌね。

 味見をしたジョンが、親指を立てて笑ってくれる。そっか、ジョンが言うんなら間違いねえな。
 「もうちょっと、耳の部分が綺麗に出来たらな。」
 これを渡したい相手が、猫みたいな人なんだ。彼女からの連想で焼いた、猫型のカップケーキ。
 ちょっと、耳が丸い気がすんな。
 「これこれ、そんなに触ると耳が取れてしまうよ。安心し給え。ちゃんと、猫に見えているとも。」
 背後から聞こえた声に、振り返る。

 署から呼び出しがかかったドラルクが、マントを羽織っている所だった。そうしながら、ずれた眼鏡の位置を直している。
 眼鏡か老眼になって、読書やゲームをする時に不便になったって、ぼやいてたっけ。人間ってのは、不思議なもんだよな。
 「お、白髪見っけ。」
 「やめんか!頭皮ごともげるわ、全く。こういう所は、いつまで経っても5歳なんだから。」
 「その内、禿げたりすんのかな。」
 「喧しい!白髪の人間は、禿げないのだよ。」
 
 たった30年の間に、変わっちまうんだもんな。


 
 「いい匂いだなカップケーキだ。クッキーは?」
 「よー、雛乃。お菓子の匂いに釣られて、来たな。ヒナイチそっくりだぜ。」
 「仕方ないだろう。ロナルド兄さんのお返し、期待してたんだ。」

 30年も経ったんだよな目の前の少女を見て、つくづく実感する。
 ドラルクとヒナイチの娘である雛乃は、30年前のヒナイチそのままの姿で違うのは、髪が見事な濡れ羽色で、ドラルクそっくりの金色の瞳をしているぐらいだ。
 そして、その金色の瞳が、ウキウキと俺を見上げている。
 ほんと、こういう所まで、母ちゃんそっくりだな。

 「用意してるぜ、2代目クッキーモンスター。父ちゃんのほど、美味くないけどなって。早っ!!」
 「これ!雛乃、お行儀が悪い。ちゃんと、座って食べなさい。」
 「ヌー。」
 こういう姿も、母親のヒナイチそっくりだ。
 『おいしい、おいしい。』と、頬を膨らませてクッキーを食べる、妹みたいに面倒を見てきた少女の笑顔を見ていると確かな満足感が沸いてくる。
 俺達吸血鬼は、かつて、人間を油断させる手段として、料理の腕を磨いた者達が多かった。
 共生の時代となっても、趣味として、畏怖欲から、そうする同胞は多いんだけど

 『フフッ、君にも分かるさ。大切な人には、とびきり素敵な笑顔をさせたいものだ。自分の自分だけの手で。』

 あの時、お前はそう言ったよな。そして、今なら分かるぜ。
 遅ればせながら、俺にもそうさせたい相手が出来たから。
 「やれやれ、娘がすまないね。ところで、ロナルドくんも、渡しに行かなくていいのかね?」
 そう言って、ドラルクは俺が持っているカップケーキを指差す。
 カップケーキの意味合いは、あの時お前が作っていた、マカロンと同じ意味貴女は特別な人。
 一番大切なお前達とは、なんか違う感じなんだけど特別で、大切にしたい相手が出来たから。

 「えへへっ!じゃあ、忙しい所を悪ぃけどオータムに行ってくるわ。」
 「ああ、サンズ女史によろしく。」
 「ヌッヌヌッヌイ!」

 窓を開けて、蝙蝠の羽を生やすと俺は、夜空に飛び出す。
 行き先は、東京都千代田区これを食べてキラキラと目を輝かせるサンズさんを、早く見たくて仕方がねえんだ。
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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