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にほへしワンドロ お題「寒いから○○する」

@segmenterin
みえろ🌟🌟🌟
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2015-11-14 22:21:37

寒い日に朝寝する2人です。

 冷たい朝の空気に頬を撫でられて、長谷部は目を覚ました。
 二人分の熱を溜めこんだ布団の中はぬくぬくと暖かく、気を抜けばすぐにもう一度眠りこんでしまいそうだった。隣に眠る男は鼻の辺りまで掛け布団をかぶって、ゆったりとした呼吸を繰り返している。その大きな体躯に身を寄せて、再び目蓋を下ろそうとしたところで、長谷部ははっと目を見開いた。頭を巡らせて、戸の方を見る。障子越しでもはっきりと分かるほど、外はすでに明るかった。
 寝坊した!
 雷に打たれたような衝撃に襲われ、長谷部は転がるように布団を抜け出した。寒さに身体を震わせながら身体を起こそうとしたところで、腰にまとわりつくような鈍痛に気が付く。
「くそっ」
 眠る男に対する気遣いも忘れて悪態をついたが、声が掠れていてほとんど音にならない。長谷部は心の中だけで更に100回ほど悪態をついた。
(まったく、これでは号令も掛けられないではないか!)
 重い身体に鞭打って立ち上がり、急いで湯浴みの用意を整える。行為の後には必ず身体を拭うようにしているとはいえ、さすがにこのままで主の前に出るわけにはいかない。見苦しくない程度に着物を直すと、長谷部は寒い廊下へと飛び出した。

 起きぬけの身体には外の寒さはこたえた。ゆっくりと湯につかる間もなく部屋に戻ってくると、長谷部はすぐに着替えを始める。かじかむ手でシャツを身につけ、カソックを纏い、ソックスを止める。最後に手袋をはめれば、ひとまずは準備完了だった。
 いつの間にか日本号は頭まで布団の中に潜り込んでいた。身体を丸めているのだろう、大きな山のようになっている。その山がもぞもぞと動いたかと思うと、日本号は亀みたいに頭だけを布団の中から突き出した。
「起きたかケダモノ」
「……うい?」
「好き勝手やってくれたな。お陰で寝坊だ」
 かすれた声を精一杯張って長谷部は詰った。昨夜のことを思い出そうとしたが、二度目に気をやった以降の記憶がまったくない。
 日本号はゆっくりと瞬きを繰り返し、さらに何度か首をひねったあと、口を開いた。
「……あー、お前さん、今日は非番だって言ってなかったか?」
「あ……」
 長谷部はピタリと動きを止めた。そうだ。忘れていた。自分にあきれるように、長谷部は頭を抱えた。しばらくそうしていたが、やがて大きくため息をつくと、今さっき身につけたばかりのものを逆から順に脱ぎ捨ていく。再び寝巻姿となって、長谷部は日本号の隣へと身体を滑り込ませた。
 くつくつと身体を震わせて笑う日本号に、軽く肘鉄を入れて黙らせた。
「お前、覚えてないのか」
「何が」
「明日は休みだから好きにしていいって言ったのはお前だぞ」
「っ……」
 そういえば、そんなことを言った気がする。顔がかっと熱くなって、長谷部は日本号に背を向けた。追いすがるようにその背に身体を寄せて、日本号は長谷部の耳へと囁きかけた。
「すごかったぞ」
「うるさい黙れ」
「いつもはイったあとはやめろって言うのに、昨日は」
「やめろやめろやめろ」
「止まるな、もっとだ、って――」
 長谷部はさっと身体の向きを変えると、日本号の首すじへと指を触れさせた。寒い廊下を歩いてきて、凍るように冷たくなっていた長谷部の指が、皮膚が薄くて敏感な部分に触れる。
「ひっ――っめてえ。なにしやがる。っおい、やめろ」
「やめて欲しければその口を閉じろ」
 だらしなく開いた着流しの胸元へ手を差し入れると、ちょうど乳首のあたりへと手のひらをぴったりくっつける。ひゃっと、情けない声を上げて、日本号は大きな身体を震わせた。その反応に気をよくして、そのまま臍へ、脇腹へと、長谷部は手を滑らしていく。長谷部の反撃から逃れようと日本号は後ずさり、二人の身体の間に隙間がひらく。
「おい、隙間を作るな。寒いだろうが。もっとこっちに寄れ」
「ふざけるな、お前その手をひっこめろ」
「断る」
「てめ、このやろ」
 さらに追い打ちをかけようと伸ばした長谷部の手は、日本号の手に捕えられた。そのまま指と指とを組むように手を握られて、長谷部の手は動きを封じられる。
「冷たい手しやがって」
「……」
 日本号は長谷部の手を両手で包みこんだ。
「ほら、反対の手も貸せ」
 渋々と、長谷部はもう片方の手を差し出した。その手も日本号の大きな手のひらが包む。触れ合った肌から肌へと、熱が伝わっていくだけの静かな時間が過ぎて、やがて二人の手の平は同じ温度になった。
「もういい」
 温かくなった手を引っ込めると、長谷部は顔をうつむけた。日本号の言葉のせいで、昨夜のことをすっかり思い出してしまった。そんな長谷部の心情を知ってか知らずか、日本号はこれでもう安心だな、と笑って長谷部のほうへと寄ってくる。
「本当に今朝はさむいな。ほら、もっとこっち来い」
 日本号の手が背中に回されて、長谷部の身体は日本号の胸へと抱き込まれた。温かいを通り越して熱くなった顔を隠すように、長谷部は日本号の胸に頭をうずめる。
 寒い朝に温かい布団の中で朝寝という快楽を、二人は存分に享受した。


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