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『代筆令嬢は愛を囀る』あとがき

全体公開 あとがき 3 3744文字
2025-04-29 16:26:55

やたら長いポエミーなあとがき

〇背景
わたし今年ずっと大河ドラマ『べらぼう』を見ているんですけどね(何
そこで、盲目の検校に花魁が本を読んであげるというシーンがありまして、それがすごい好きだったんです。
それで、盲目の坊ちゃんとその人のお世話をする女中みたいな恋愛ものを考えたんですが、なーんかちょっと違うなってなり。
もう少し前に『宙わたる教室』を見ていて、識字障害について知りました。
本文中にも書きましたが、わたし自身が読み書きに救われてきたことも多くて。けれども、読み書きが大変だという人も確かに存在する。
あとは、代筆だとやはり『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が大好きであること、以前読んだ『雪に餞』が本当に素敵だったので、そんなところから少し考えてみました。

〇キャラ
・シャルロッテ Charlotte
イメージソング:カナリア/あわあわP『体などいらない 醜さを纏うだけ』
        雨とペトラ/Prod. by 東京スカパラダイスオーケストラ『枯れてしまった色ですら愛おしくなるのに』
        
可愛らしいけど自我のはっきりしたヒロイン。
実は自分が小説を書き始めた時に「物書きのヒロインだけは書くまい」と心に決めていたんですが、今回その誓い?を破る羽目になりました。しかしながらこのお話の結末は、物語を書く彼女にしか導けないものだったのは思うので、これはこれで。
いやでも、自分の書いた話の感想を聞いて答えさせたあと、思った感想じゃなかったら「ぬーん」ってなる作者めんどくさすぎるw
ペンネームのチャーリーはシャルロッテの愛称のひとつです。
名前に「小さな女性」「自由な人」という意味があるらしく、小鳥のイメージとしてもリチャードが檻から放ちたいと思うにしてもしっくりくるなと思いました。

・リチャード Richard
イメージソング:光るなら/Goose house『煌めくどんな星も君を照らすから』
        だから僕は音楽を辞めた/ヨルシカ『満たされない頭の奥の化け物みたいな劣等感』

プロットを見返したら「スパダリクソ野郎」って書いてありました(ぇ
あとお気に入りの文言は「致死量の男前」
元々はリチャードの方が兄の予定だったんですが、なんかしっくり来なくて半分ぐらい書いたところで弟に書き変えました。パトリックが”ディック”って呼ぶのがすごい収まりがよかったんですよね。
きれいな顔してコンプレックスでドロドロ。
与えられることになれていない、救われたくないややこしい人です。あんなキスしてヤり逃げもいいところだな!と思いながら書きました。

・パトリック Patrick
全ての元凶(ぁ だいたいパトリックのせい。
元々は兄を崇拝する拗らせ弟にしようと思ったんですが、俺様風お兄さんの方がしっくりきました。
こちらもまたコンプレックスでゲロゲロ。
思っていることを素直に口にしないところは兄弟そっくりだなって思います。

・ヘンリエッタ Henrietta
人類が物語で100回は見た典型的な意地悪な妹。
わたしは弟か兄がいるヒロインを書くことが多くて妹はなかなかいないのですが、ストール奪取のところを考え付いた時に、「これは妹がいないとだめだったんだな」と思いました。

〇モチーフとか
・識字障害(ディスレクシア)
一言で識字障害と言っても色々なパターンがあるようなのですが、今はICTによる支援が結構進んでいるようです。
例えばタブレット端末を使って教科書を読み上げたり、テストの際に入力する端末の使用が認められたりといった感じです。しかしながら、そういうものがなかった時代はどうしていたのかなというのがこのお話を書く動機のひとつでもありました。
色々調べつつは書いてみたんですが、やはり当事者ではないので想像に過ぎないところと個人による症状の差が大きいのであくまでも創作だということでよろしくお願いします。

参考文献
「宙わたる教室」(伊与原 新 )
「読めない人が「読む」世界 読むことの多様性」(マシュー・ルベリー)
「ディスレクシアとは」(国立成育医療研究センター)
「発達性ディスレクシアとは」(NPO法人EDGE)

・全ての雲は銀の裏地を持っている(Every cloud has a silver lining.)
なんかシャルロッテに書かせるならいい慣用句はないかなと思って探しました。
意味としては、「どんな困難な場面にも、良い面や希望がある」ということで、これから先のシャルロッテの未来を象徴するような言葉になればいいかなと思って選びました。

・作中作
そういえば、わたしのお話は作中作が出てくるお話が非常に多いです。
一応、ちゃんと本筋?のお話に絡めないといけないしそれ自体でも成立しないといけないので、大袈裟に言うと二倍話の筋が必要になるので我ながら面倒なことするなぁと……

・王様と金糸雀
某美女と野獣的なお話を考えていて、わたしもシャルロッテと一緒に正しい結末を探していた気がします。
呪いが解けなくてもいい、自分は自分のままあなたのそばにいたい。
自分のためにしか物語を書けなかったシャルロッテが、誰かのための言葉を探す。
それが彼女の一番の成長なのかなと思いました。

・呪い
作中でも書いたんですが、呪いって自分が自分自身にかけるものだと思うんですよね。
例えば、仮に姿形を野獣に変えられたとしても「やべーもふもふ最高★」となっていれば、それは呪いではなくサービスなわけで(なかなかレアだとは思いますが)
外的要因をどう捉えて内的に取り込むかが呪いの真実ではないのかなと。
なので、その内的な部分を書き変える方法が必要になってくる。それを与えてくれる誰かが必要なのではないかなと思って、リチャードのあの台詞を書きました。

〇余談
経済用語では、質の悪いもののことを”レモン”と呼ぶことがあるそうで。逆に質の高い商品のことを”ピーチ”ということがあるそうです。
(レモンは皮が厚くて切ってみなければ良し悪しが分からない。ピーチはその逆というのが由来だとか)
なので、27話の欠陥品と正規品のところで「レモンとピーチ」にしたかったんですけども、あまりにも説明が多いので泣く泣く諦めました……
リチャードは自分がレモンだと思っているし、パトリックもそうなんですよね。ややこしい兄弟や……

〇総括
なんというか、「ずっと自分にしか書けない物語」というようなものを探しておりまして。
そういうものを書きたいなとは思っていたんですけれども、乱暴に言ってしまえばそんなものは存在しないんですよね(ぁ
そんな天から特別に与えられるキャンディーみたいなものは存在しない。そんなものをずっと握りしめていても、手の中で溶けていくだけです。
それでも、誰でも書ける話を他の誰でもないわたしが書くことに意味があるんじゃないかな、と最近は思うようになりました。
そんなことを考えながら、書いたお話です。

私たちはいつでも物語を書き換えることができる
それは私たちが自らの手で生きられるということの証左に他ならない


わざわざわたしのこちらのあとがきまで見て下さる方で、ポエムがきらいな方もいないだろうとは思ってはいるのですが。
今作、ちょっとどうかしてるぐらいポエムだなと思って書きました。
少しだけ兄弟の決着的な番外編を書ければいいなと思っているので、その時はお付き合い頂けると嬉しいです。


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