ピクリエ様のオールジャンルイベント『彼、彼女に抱くクソデ感情』に参加した、2作目です。
露骨に、笹沢佐保先生の悪魔シリーズの影響を受けて書いていた、反転ドラヒナのお話ですが…人間、やっぱり『そちら』が上手だけで、心を許したりしないよね…という思想があって書いてみました。
監禁調教の中での、ささやかな二人をちょこっと書いてみた、息抜きのお話です。
監禁調教のお話は、こちら→https://privatter.net/p/11485955
他の反転ドラヒナのお話は、ここから読めます→https://privatter.net/category/50931
@kw42431393
反転ドラヒナの捏造設定はこんな感じです。
反転ドラルク:
強大な力を持つ我が儘で中二病の人外。再生能力を持たず、両親に甘やかされてきた為、刹那的な性格。
自分の監視員であるヒナイチに執着し、理性が衰える満月の夜に無理矢理想いを遂げる。胃袋と快楽による刷り込みを行い、彼女を自分に溺れさせようとする事に余念がない。
反面、彼女が無事でいて、毎晩監視に来て欲しい一心で、隠れて敵性吸血鬼達を暗殺したり、自首する様に催眠術をかけて回るなど、良くも悪くも一途な所がある。
反転ヒナイチ:
吸血鬼対策課ヒヨシ隊副隊長を勤める若きエリート。ドラルクの監視員で、意地っ張りなくっころさん。
幼少時に、父親が忙しく構って貰えなかった為、本当は甘えん坊で寂しがりや。自分を甘えさせてくれる監視対象に父親像を求めていたが、心身を傷つけられ、快楽堕ち一歩手前まで追い詰められている。
夜と昼…どちらかの世界を選ぶ様に選択を迫られており、ドラルクに対して、愛憎入り交じった複雑な感情に苦しんでいる。
反転ジョン:
ドラルクの使い魔。落ち着いたムキムキの大人マジロ。
ヒナイチが来てから、太ってしまい、筋トレをハードにしたら、筋肉で丸まれなくなってしまった。元競マの帝王。
主夫婦がヤンデレ同士なので、仲立ちする等、苦労人気質。ドラルクの盾として、自身も戦闘に参加する。
見たいお話に、ジャンプして下さい。
3ページ目→監禁生活中の食事風景。「君がいてくれれば、毎日が祝日」と言わせたかっただけのお話。
監禁中は、常に彼女と至近か膝の上から離そうとしない反転ドラルクさんですが、食事中に関しては、美味しそうに食べる彼女の顔をじっくり見たいので、対面して座るか、ソファの隣に座る…そんなイメージです。
ジョンがいる時は、「彼女と話し合って、同意を取る努力をするべき」「彼女を苦しめた張本人である自分の方が、その心が落ち着くのを待つべき」という常識が頭をもたげるので、それなりの距離感をもって行動しています。
4ページ目→竜に変身したドラルクさんに乗って、夜空のお散歩風景。
このお話では、実兄の案のせいで「自らのアイデンティティに対する、自信を失っている」ので、「転化に失敗し、グールや死体となって彼に捨てられる事に対して、漠然とした恐怖感」を感じています。彼の答えは的外れなものですが、その返答に安心し、転化する選択を視野に入れる様になった…そんな感じです。
5ページ→古城の一室での風景。
元々、イラストから思いついたお話で…里心がつかない様に携帯を取り上げた→テレビを見てもルーマニア語でつまらない→書庫で本を読みたい→ついでだから、ルーマニア語も教えてくれ→寝ころんで教えるとか、お行儀悪いぞ…の流れだったので情事云々のくだりはありませんでした。単に、寝ころんでいる時の衣装の描き方がよく分からず、トレス素材に添って上半身裸になった…から路線が変更したのは、内緒です。
始まりが既に「ブレーキになり得るジョンを、知ってて外に追いやって、血を打ち込んだ」とも取れるこの状況説明についてのお話。捏造で、良心回路であるジョン不在時のドラルクさんは、露骨に落ち着きのない子供みたいな吸血鬼になります。
本人は誰にでも分かる説明をしているつもりですが、普通の人には「なにがなんだか」と言われても仕方がない、どこかズレた繋がらないお話。
私にとって、祝うべき日(あるルーマニアの古城での食事風景)
「安心したよ。食欲に問題はないようだ。」
「うるさい!夜も昼も離してくれないくせに!」
ぷいっと、ヒナイチくんが横を向く。その仕草も可愛らしい。元々、気難しい彼女は、笑う事が少ない。
サミットに参加していて、仲立ちをしてくれていたジョンがいない現在なら、猶更だ。
「仕方ないだろう…私にとっては、ハネムーンの様なものだ。もう、ここを永住の地に決め給え。」
「ふざけるな!!ジョンが帰ってきて、この国での監視任務が終わったら、お前達と共に新横浜に帰るんだ…だから。」
「だから…?」

口調が険しくなる彼女とは対照的に、こちらは口元がにやけるのを止められない。
私が整えてあげたとはいえ、疲れを隠せない顔色に、紅い痕が見え隠れする、どこか乱れた肢体。そして、恥ずかしそうに伏せられた、翡翠の目。
さっきまでの痴態を認めたくなくて、毅然とした態度を示そうと必死なその姿。
それが、さっきまで棺桶で共に過ごした時間が、『無為なモノでなかった』事を確信させて、この執着心を満たしてくれるのだ。
「ふん!もぐ…もぐ…。」
目の前のお嬢さんは、不機嫌そうな顔を保ちつつ、サル・マーレ(ルーマニア風ロールキャベツ)を口に運ぶ。
『望んで、この城に二人っきりでいる訳ではない』
『お前の思い通りにはならない。』
『私は、お前の監視員だ。』
そう主張しようと、必死な顔とは裏腹に…
「ゴクッ…だから、ちゃんと食べないと。帰るまでに、体がもたない。」
君のアンテナは、目の前でクルリとハートマークを描いてくれる。棺桶で共に過ごした時と、同じ様に。
「フフ…『それも』、気に入ってくれているようだね?」
「うん?確かに、おいしいぞ。このロールキャベツ。それに、パンも甘くて。」
「サル・マーレにコゾナックだ。祝い事には欠かせない…私の得意中の得意だとも。」
そう言って、私もとっておきの吸血鬼用のワインを傾ける。
不審そうに、眉をひそめる彼女に笑いかけると…ヒナイチくんは、食事に専念しているという呈を装って、黙ってしまった。
君が望むのであれば、そのぐらい、毎日作ってあげても構わない。
君がどこにも行かないで、私と共にいてくれる、この日々こそが…

「クリスマスよりも、イースターよりも。どんな祝祭より、私にとっては祝うべきものだ。そうだろう?」
君であれば、問題はない(夜空のお散歩風景)
「なぁ、ドラルク。」
「うん?どうかしたかね?お嬢さん。」
「お嬢さんは、よせ。この森は、こんなにグールが多いのか?」
ヒナイチくんが、怪訝そうに身を乗り出して、下を覗き込む。
危ないから、やめ給え…そうお小言を言うと、ムスッとこちらを睨み上げてくる。
その仕草は、小動物の様で可愛らしい。つい、頭を撫でてやりたくなるが…今の私は竜に変身して、彼女を背に乗せて飛んでいる状態だ。バランスを崩して落としてしまったら、命に関わる。我慢するのも、一苦労だ。
「ここは、古戦場があった場所でね。絶壁に建てられたあの城に立て籠もって、侵略軍とゲリラ戦を繰り広げた歴史がある。だから、当時、無念の思いで死んでいった者共が、彷徨っているのだろう。」
「そうか…。」
「城の中で、思いつめた顔をしていたから気晴らしに…と思ったのだが、気に入らないらしいね?」
首を回して、彼女の表情を確認する。
新横浜にいた頃は、こうして空の散歩に連れ出してやると、目を輝かせながら、街や道行く人々を見ていたものだ。それなのに、今の彼女の表情は暗い…首都のブカレストの方がよかったのだろうか。
「満開の花畑を見せに来たのだが、お気に召さなかったかね?」
「花畑…この下がか?夜目は利く方だが、まったく分からない。」
それは、まずかった。改めて、下を見下ろす。
吸血鬼である私には、色とりどりの花々が春を告げているというのに…彼女には、何も見えていなかったという事か。
「それに…お前の城にいても思うが、グール達のうめき声が薄気味悪くて。お前は、気にならないのか?」
「ならないね。グール共の声など、我々夜の者にとっては、セミとか虫の鳴き声の様なものだ。」
そんな事を気にしていたのか…そういえば、元々、私が彼女を夜な夜な棺桶に閉じ込めていたのは、『可愛らしい寝顔を独占する』為だった。半身であるジョンにも見せたくなかったから、眠っている間、鍵をかけていたのだ。
彼が不在の今、その必要はない。だから、昨夜、広々とした天蓋付きのベッドを使おうとしたのだが…何故か「落ち着かないから、地下室の棺桶でいい」と言っていたのだ。そういう理由だったのか。
「虫…か。」
そう言って、ますますヒナイチくんの顔が暗くなる。吸血鬼のなり損ないである、グール共がなんだというのだろう。
「なあ、もし…」
彼女が、そう切り出す。何故か思い詰めた様な顔をして…
「私が、もし…転化に失敗して、グールになったら…」
私も、彼らとこの森を彷徨うのだろうか…そう続ける言葉は、妙に弱々しかった。
「何の話かね?」
そう考える理由が、理解出来なかった。失敗する事は、おおいにあり得よう。だからと言って…
「虫みたいなもの…そう言ったじゃないか。」
虫でも、それは『ヒナイチくん』だ。『ヒナイチくん』であれば、問題ない。
「だ、だから…私だったグールを…手元に置いて、何のメリットがあるんだ?その時の私は、お前を覚えてないし、口だってきけないんだぞ?」
「そのグールは、『ヒナイチくん』だろう?メリットしかない。」
「み、見た目だって…どんなになるか知れないんだぞ?それでも…」
『ヒナイチくん』であるならば、グールどころか、ノミになっていても気にしない。髪の毛一本さえ、手放さない。
おかしな事を言うものだ。涙声になってまで、何故、そんなつまらない事を気にするのだろう。
「そっか…ハハ。お前らしい。一人で悩んでたのが、バカみたいだ!アハハハ!」
鼻を啜る音と突然聞こえてきた笑い声に、振り返る。ここに来てから、寝顔以外で初めて見る、笑顔…いや?それは、笑顔というより…
「グール共の声が気になるなら、城を変えようか?お祖父様の持ち城は、他にもある。」
…それは、泣き笑いとも、とれた。
どうも分からないが、あの城での生活は、奴らの騒音で不快だったのだ。パスポートや携帯は、取り上げてある。どうせ逃げる事は出来ないのだから、別に賑やかな都市でも構わない。
「いや、いい。それより、ここで降りられるか?お前が勧める花畑を、近くで見たい。」
「グール共の鳴き声が、もっと煩くなるがね。不快だったのだろう?」
そう問うと、ヒナイチくんは、俯いていた顔を上げる。何故か、吹っ切れた様な…そんな顔をしていた。

「いいんだ。お前には、虫みたいなものだろう?じゃあ…いつか、私にとってもそうな…ううん。私は吸血鬼殺しだから、その適性が低いかもしれないな。それこそ、何も考える事さえ…思う事さえ…なくなるかもしれないな。」
理解して貰う必要はない(古城の一室での風景)
「ここに来てから、つくづく感じるんだが。」
「うん?何かね、お嬢さん?」

突然降ってきた言葉に、寝そべったまま君を見上げる。
隣に座っていた姫君はこちらに背を向けて、下着を身に着けて始めていた。まだ、さっきまでの情事の余韻が残っているのだろう…彼女のアンテナは、クルリとハートマークを描いたまま揺れている。
「ジョンがいないと、随分、『お行儀が悪い』らしい…そう思ってな。」
そう言いながら、君はジト目で嫌味を言う。
その仕草はとても扇情的で、つい最近まで何も知らない処女だったとは、到底思えなかった。
「クスクス…嫌味を言うとは、余裕だねえ。もう一試合、お相手願えますかな?お嬢さん?」
だから、ついいじめたくなる。冗談交じりに手を伸ばすと、彼女もさるもので…その手は、邪険に払われてしまう。
「はぐらかすな…ジョンがいる時は、そんなだらしない寝方はしなかったし。食事中も、頬杖が多い…それに。」
「それに…おっと?」
…と、彼女にかけていたマントを顔面に投げつけられた。早く服を着ろ、と言いたいのだ。
「突然その気になって、絨毯に押し倒して…なんて。ジョンがいれば、しないだろう。確かに、ガツガツとお行儀が悪い事だ。」
苦笑いしながら、絨毯に散らばった自分の衣類を手繰り寄せる。
心配そうでいながら、何か分かっていた様な…そんな顔を向けながら、懐かしい仲魔達と電車に乗って行ったジョンの姿が、ふと脳裏に浮かんだ。
いってきますヌ…二人共、ヌンがいなくても仲良くしてヌ?
彼はヒナイチくんが内心を吐露する相手でもあり、私自身でもあるが、同時に私の使い魔でもあるのだ。
だから、いつかこうなる事を察しており、主である私の意志に真っ向から対立する事は、使い魔の越権行為になると考えている。
だから、でかける前にこう釘を刺すだけで、精一杯だったのだろう。
「自分で言うな。いつもジョンの事を、『半身』だの『良心回路』だの言っていた割に…妙だと思っただけだ。」
「妙…はて?」
「自分の命より大切な存在と言いながら、彼がいたら止めそうな事ばかり、私にして。なんだか、目的の為に、ジョンを邪険にしている様で…そんな風にも取れただけだ。」
ああ、そういう考えもあるのか。シャツの袖を通しながら、そんな事を考える。
それを言ったのが、ヒナイチくんでなければ、今この場で氷漬けにしただろうとも…
「良心がない間に、君を堕とそうとしたのは、本当だとも。」
まあ、そこの否定はしない。ジョンがいなければ、私はこの執着を自覚した時点で、ヒナイチくんを監禁したはずだ。両手足を切断してでも、夜の世界に縛り付けたはずだ。
「私とこうなる前から、そんな事を考えてたのか…ぞっとするな。」
「彼が、『待て』というのだ。君の心が決まるまで待て、と。」
とはいえ、実行しても構わなかったのだ。契約上だけなら、私は彼の主なのだから。
押し通す事も出来た…では、何故しなかったのか。
「なんと言えばいいのか。ジョンと共にいる時は、彼を…つまり、『もう一人の私』を失望させたくない…という考えが、頭をもたげるのだ。ジョンは、私が母の胎内に忘れてきた『理性の欠片』を持って来てくれた…そういう意味で、『半身』だと言っている。今でも大概だと言われているが、彼と会う前の私は、とても君に見せられたものではなかったよ。」
「う、うん…?」
「だから、彼の前では最低限のマナーは守るし、彼が本気で困るだろう事は自重しようと努力する。これでも、そうしているつもりなのだ…と言えば、分かって貰えるかね?」
そう言って、彼女の顔を覗き込む。
険しいその顔が、呆れた様に緩んでいくのが、見てとれた。
「…分かるような、分からんような。とにかく、中二臭いという事だけは、確かなようだ。」
まあ、今日の所はそれでよかろう。聞かれたから答えただけで、分かって貰おうとは考えていなかったのだから。
「さてと、そろそろクッキーも焼けただろう。食堂まで運んであげよう…私の可愛いお嬢さん。」
「いい加減、お嬢さんはよ…わっ!?じ、自分で歩けるっ!歩けるったら!降ろせ!!」
だから、話を終わらせる。再び、君を虜にする魔法の言葉を紡ぎ出す。
「おとなしくし給え。それとも、いらないのかね?」
「…いらないとは、言ってない。」
足元が覚束ないほどの、『激しい運動』をさせた後だ。甘いものの誘惑には、抗えないはずだから。
「食べてやる…仕方ないからだ。食べないと体がもたないから…それだけだ。」