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天邪鬼の爪痕

全体公開 TF 1 5112文字
2025-05-26 23:55:13

リクエストありがとうございました!
GFオプメガで「誘い受けはするくせにオプに本気で腰掴まれると焦って暴れ出す知識だけ豊かなメスガキ(成人済)メガ様」になります!
手慰み長編のキャラ紹介文からとのことでしたので、手慰み長編設定で書かせていただいてます。

こちらで書いてるシリーズの設定になります。
色んなオプメガがIDW世界に集まってるよって設定だけ分かれば読んでなくても大丈夫なはず。
コンボイが沢山いるのでわかりやすいようにGFオプはギャラコン表記となっています。

天邪鬼の爪痕

荒廃したセイバートロン星の大地を踏みしめ、ギャラクシーコンボイはふと周囲を見渡した。
オートボットとディセプティコンによる400万年の戦争の果てが、この惑星だと言う。
どうやら自分たちの世界──ギャラクシーフォースというらしい──とは事情が大きく異なるようだが、どこの世界も似たような惨状だと言うではないか。

(一歩間違えれば、私達も同じ道を辿っていたのか……

恐ろしい、と感じると同時に、僅かに過った羨望にも似た感情に苦笑してしまう。
母星が滅ぶことはもちろん望んではいないが、彼らの世界では、『メガトロン』が生きている。
長年の戦争の中で、どこの世界でも『コンボイ』や『オプティマス』と、一言では言い表せない関係性を築き上げていた。

(私達も、そう、なれたのだろうか……

陽が沈んでいく空を見上げ、今日はマスターメガトロンを探すことは諦め、近くの廃墟を今日の宿にすることに決めた。
街に戻っても良かったのだし、こちらの世界の同胞やオプティマスにも外は危険だと言われていたが……マスターメガトロンがいつ気まぐれに誰かを襲うとも限らない。出来る限り彼の行動は目の届く範囲に収めておきたかった。
残念ながら彼の塒を見つけることはできなかったが、そう遠くにはいないという確信があった。これなら、何かあってもすぐに対処できる。

周囲の安全を確認し、瓦礫を使って簡易的な風除けも作ると地面に横になる。携帯用のエネルゴンも分けてもらっているので、数日は持つだろう。

「ん……?」

腹に感じた重さに目を開ける。
遠くの空は白み始めた頃合いで、まだ辺りは薄暗い。
危険と言っても地表の隆起程度のもので、生き物はいないと聞いていたのだが。
パチパチとアイセンサーを瞬かせて、機能を調節していればぼんやりとした影が徐々に明瞭になっていく。
こちらが起きたことに気付いたのか、影が動いた。

「漸く起きたか? 寝坊助め」
「え? あ、は!? なん、マスターメガトロン!?」

驚いて起き上がろうにも、しっかりと腹に体重を掛けられていて起き上がれない。
非常に不味い事態だ。まさか向こうから接近してくるなんて。

「最近、俺のことを見張っているつもりのようだな」
……当たり前だろう。お前を野放しにすることはできない。文句があるなら、大人しく街に──」

戻れ、と言いかけた言葉はマスターメガトロンによって遮られる。
彼の指先がギャラクシーコンボイの口元をそっとなぞっていく。反射的に口を閉ざしたギャラクシーコンボイに満足気に笑い、今度はこつりと音を立ててマスターメガトロンのレセプタハッチがギャラクシーコンボイの腰に擦りつけられる。腹に手をついて、まるでコネクタを愛撫するように腰を前後に動かし見下ろすマスターメガトロンに、ギャラクシーコンボイは目のやり場が無くなり視線を彷徨わせることしかできない。

「なに、を……
「いい加減、本音を言ってみたらどうだ?」
「どういう……?」

上擦ってしまう声で聞き返す。彼が何を言いたいのかは分かっているはずなのに。
抵抗もできないままでいると、マスターメガトロンがギャラクシーコンボイの首筋に顔を近づけ、太いコードを甘噛みしてくる。
このまま流されるわけにはいかないと思っているのに、身体は硬直して動けない。
無理矢理マスクを解除され、キスするほどにまで近づいてきたマスターメガトロンの顔に、思わずアイセンサーを落として視界を塞いだ途端、上に乗っていた重みが消える。

……?」
「なんてな。貴様に俺を抱く度胸などあるわけがないものなぁ」

ゆっくりと目を開ければ、可笑しそうに笑うマスターメガトロンの姿。
呆気に取られているギャラクシーコンボイを見下ろして、オプティックを細めて口角を吊り上げると、勝ち誇ったように吐き捨てた。

「雑ぁ魚♡」

──どうしてくれよう、こいつ。

結局、マスターメガトロンは何をしに来たのかも分からぬまま姿を消し、その場に取り残されたギャラクシーコンボイは朽ちた天井越しに空を見上げて、深々とため息を吐きだした。



「はぁ……
「どうした。随分疲れているじゃないか」
……初代殿。戻られていましたか」
「物資の補給にな」

携行用のエネルゴンを補充に街に戻り、防壁の近くで項垂れていると声を掛けられた。振り返れば、そこに立っていたのは初代コンボイ。暫く空けると言って出て行ったきり、連絡も付かなかったのだが、いつの間にか戻ってきていたらしい。

「悩み事か?」
「ええ、まあ……えっと、マスターメガトロンのことで……
「私で良ければ話を聞こう」

本来であれば、サイバトロンの総司令官として弱音を吐くことなどできる立場にないのだが。
彼の前では肩書を忘れられる。敵わないものだと尊敬に近い念を抱きながら、ぽつぽつと自身とマスターメガトロンの関係について話始めた。

この世界に連れられてくる前、マスターガルバトロンとなった彼をこの手で殺したこと。
マスターメガトロンとして復活した彼に、どう接していいのか分からないこと。
こちらの戸惑いを知りながら、揶揄ってくる彼の扱いに困っていることを。

ギャラクシーコンボイから近づくことは避ける癖に、あれからもマスターメガトロンは時折ふらりと姿を見せてはギャラクシーコンボイを揶揄って遊んでは姿を消すことを繰り返している。大方こちらの反応を見て楽しんでいるだけなのだろう。
一度徹底的に無視してやろうと無反応を貫いたら機嫌を悪くしたマスターメガトロンに攻撃されたので理不尽極まりない。
愚痴っぽくなってしまったが、初代コンボイは静かにギャラクシーコンボイの話を最後まで聞いてくれた。

「ふむ……なるほど。事情は理解した」
「せめてマスターメガトロンのあの挑発は何とかならないものかと……
「大丈夫だ。私にいい考えがある」
「初代殿……!」

ああ、やはり。彼はすごい。
胸を張って任せろと言う彼の姿の、なんと頼もしいことだろう。司令官とはかくあるべきだと見せつけられているようで、憧れと尊敬の念が沸き上がる。
あのでたらめな世界でサイバトロンを率いているだけのことがある。

「聞く限り、やはり彼もメガトロンだな。なら対処法は同じだ。ああ見えて、奴は押しに弱いんだ。次は一度こちらから押し倒してみるといい。こちらが本気だとわかれば暫くは大人しくなるぞ」
…………

相談相手を盛大に間違えたのかもしれない。
これで絶対大丈夫、と根拠もなく言いきる初代コンボイに返す言葉が見つからなかった。



「マスターメガトロン……いい加減にしてくれ……
「んー? 小心者が何か言ってるなぁ?」

数日後、再び郊外でマスターメガトロンの監視に入っていれば、いつかと同じやり取りが繰り返されていた。
最近は気付かれないようにギャラクシーコンボイが寝ている間に上に乗って来るのがお気に入りのようで、目が覚めてマスターメガトロンに見下ろされている光景にも慣れてしまった。

「ああそれとも……乗られるより咥えられる方が好みだったか? 変態だな」

指で輪を作り、舌先が何かを舐めるように艶めかしく動く。
一体そんなものどこで覚えてくるのか。
途端に視線を逸らして顔を隠すギャラクシーコンボイの反応が気に入ったのか、マスターメガトロンの悪ふざけは加速していく。

「貴様がどうしてもと土下座して頼むなら、考えてやらんこともないのだがなぁ? ん?」
「勘弁してくれ……お前だって本意じゃないだろう、そんな……
「まるで自分は聖人のような口ぶりだな? ハッチの中をこんなに熱くしてるのに」

ツゥ……とマスターメガトロンの指先がギャラクシーコンボイのコネクタハッチを撫でていく。
継ぎ目に指先を掛けて、カリカリとハッチを開けるように促して来るのだから堪った物じゃない。

『ああ見えて、奴は押しに弱いんだ。次は一度こちらから押し倒してみるといい。こちらが本気だとわかれば暫くは大人しくなるぞ』

ふと、初代コンボイの言葉が過る。
頭の中で反芻されるその言葉に、スパークの中で何かがじわじわと膨れ上がる。それがマスターメガトロンに対する怒りなのか、羞恥なのか、自分でも判断はつかないが。ただ、これ以上奴の好きにされるのだけは嫌だと、子供のような感情だけははっきりと感じていた。
魔が差した、と言えばいいのだろうか。
それともやはり、我慢の限界だったのか。

「サイバトロンの総司令官殿が、こちらは随分と意気地がないなぁ♡」

堪忍袋の緒が切れる、とはこういうことを言うのだろう。
逃げられるより速くマスターメガトロンの腰を掴んで、勢い任せに押し倒して体勢を入れ換えた。

「ぅおっ!? な、貴様、何をする!?」
「煽ったのはお前の方だぞ、マスターメガトロン」
「は……、ふざけるな離せ! この……っ!!」

殴りつけてこようとする腕を捉えて地面に縫い付け、片足を肩に乗せて身動きを封じていく。
ギャラクシーコンボイから逃れようと装甲に罅が入る程に暴れるマスターメガトロンだが、どうやら自分の立場を理解していないらしい。

「諦めろ、マスターメガトロン。今のお前は、私より弱い」
「──っ!!」

ギガロニアで得た力の大半を失っているとも聞いている。マスターガルバトロンではない見た目からしてそれは真実なのだろう。
何よりも、いまこの状態で、ギャラクシーコンボイに力で取り押さえられている。どうやら本気で抵抗してこれらしい。

「貴様……ッ!!」

屈辱に歪んだオプティックが見上げてくる。僅かに見えた怯えの色に、何故だかスパークがざわついた。
サイバトロンとしてどうなのか、とは思う物の、ここらで痛い目を見なければ分からないのだろう。
今の自分の立場を分からせてやるために、罪悪感に葛藤は抑え込み無感情にマスターメガトロンのレセプタハッチに手をかける。

「ひぅっ!?」

小さく上がった悲鳴に似た声に一瞬手が止まるものの、ここで甘やかしては今回のことで更に調子に乗ってしまうかもしれない。
やるなら徹底的にするべきだ。
嫌だと頭を振りながら暴れる機体を抑えつける。焦っているのか、掴んだ手から彼の機体が熱を帯びているのが分かる。その熱が手の平を通じてこちらに流れ込んでくるようで、知れずギャラクシーコンボイもまた熱の籠った吐息を吐き出した。
そうして決意を固めると心を鬼にして、固く閉ざされたハッチを無理やり剥ぎ取った。

「ん? あれ。これ、は……あー……えっと……

レセプタハッチをこじ開けて、指でも入れてやれば流石に反省するか、と思っていたのだが。
レセプタを覆う、薄い保護シートに言葉を失くす。レセプタどころかシートにすら、傷も、汚れ一つ、ついていない。まるで初めてハッチを開けたかのような、真新しい見た目に目を丸くする。
てっきり経験があるような物言いだったから。
まさかと思って恐る恐る口を開いた。

……処女、だったか?」
「~~~~ッ!!!」

マスターメガトロンからの渾身の一撃に、セイバートロン星にギャラクシーコンボイの悲鳴が響き渡った。



「ああ、ギャラクシーコンボイ。丁度良かっ……大丈夫か?」
「見た目よりは……

破損したパーツのリペアの為に街に戻れば、IDWオプティマスに声を掛けられる。ここに来るまでの道でも好奇の視線に晒されたが、よほどひどい見た目をしているのだろう。
動ける程度の破損というのがせめてもの救いか。
視界にノイズが入るのだけが困りものだが。

「はっはっはっ! これはまた、随分と手酷くやられたな?」
「初代殿……分かっていて嗾けましたね」
「さあ、何のことは分からんが……こうしてみると、案外可愛いところがあるものだろう?」
…………そう、かもしれないですね」

ギャラクシーコンボイの顔に斜めに走った三本の傷痕。
欠けたマスクから覗いた口元は、笑っていた。


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