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『ゆめを、みた』

全体公開 アナアリ 1 1640文字
2025-05-29 21:23:18

※『アナザー×アリス』の二次創作です。
ChatGPTに、たたき台の作成を頼りました。細かい修正と加筆と校正は自身の手によるものです。
しばらくはちょこちょこ直していくと思います。

『生まれ変わった私たち』 https://privatter.net/p/11477664の、少しだけ前のお話です。

光菜=小枝の生まれ変わり
陽菜=フォルティスさまの生まれ変わり

春が近づいてきた季節の、ある夜。
もうすぐ3歳になる光菜は、桜が描かれた絵本を母親に読んでもらっていた。
隣では、双子の陽菜がすうすうと寝息を立てている。
あたたかいお布団と母親の穏やかな声があまりに心地よくて、光菜のまぶたもだんだん重くなっていった。

気がつくと、光菜は知らない場所に立っていた。
……あれ? ひな? おかあさん?」
さっきまで一緒にいたはずの二人がいない。
「ここ……おそと?」
パジャマのまま、辺りを見回す。
そこは、どこまでも桜並木が続く、ふしぎな場所だった。
夜空には赤くて大きな月と、満天の星。
時折、あたたかい風が吹き抜けて、桜の枝をやさしく揺らしていく。
風の音と、鳥や虫の声だけが響いていた。
ぽつんと立ち尽くす光菜の胸に、不安がじわじわと広がっていった。
「ふぇぇー。」
ひとりぼっちの寂しさに耐えきれずに涙がこぼれ始めた、そのとき。
不意に、目の前の木陰から、白くて大きな動物が姿を現した。
光菜は驚いて泣き止み、その動物狼を見つめた。
お隣の家の犬に少し似ていたけれど、もっと大きくて、豊かな毛並みに包まれていて、特に胸元には輪のように赤く染まった長い毛があり、瞳は真っ赤に輝いていて、こちらを見つめ返している。
なぜか、怖くなかった。
それはどこかやさしい目をしていたし、尻尾が小さく揺れていたから。
光菜が手の甲で涙を拭いてにっこり笑いかけると、狼は静かにそばに座り込み、時折、顔を見上げてくる。
……いいこ、いいこ。なでてあげるね。」
そう言って背中の毛並にそっと触れると、「くぅん」と小さな声が返ってきた。
あたたかくて、ふわふわでやさしい手ざわりだった。
さっきまで胸の奥を締めつけていた不安が、ふっと溶けていく気がした。

やがて狼は立ち上がり、桜の道をゆっくり歩き始めた。
……まって、どこいくの?」
光菜は狼を追いかけ、気づけば自然とその隣を歩いていた。
……このゆめ、しってるきがする。」
小さな声でつぶやいた光菜の胸には、ふしぎな懐かしさがあった。
桜の並木道も、白い狼も、どこか遠い記憶のように、ずっと心の奥にあった気がした。

しばらく歩くと、道の向こうに人影が見えてきた。
どうやら二人いるようだ。
一人は、白銀色の長い髪の、着物を纏った女のひと。
もう一人は、赤い髪を左右の高い位置で結んでいて、しましまタイツをはいた女のひと。
二人とも、光菜たちに背を向けたまま、ゆっくりと桜並木を歩いている。
「おかあさんじゃ、ないとおもうけど。」
光菜はなぜだかとても気になって、歩みを速めてゆく。
傍らの狼も、光菜の横顔を一瞥したあと、何も言わずに同じ歩調で並んだ。

っ、あのっ!」
あとほんの数歩というところまで駆け寄った光菜に呼び止められた二人の女性は、会話を止め、ゆっくりと振り返った。
そして、やさしく微笑んだ。
二人の表情には、言葉では言い表せない温かさと、どこか儚さがあった。
「わたし、おねえさんたちのこと、しらないのに……しってるきがする……。」
そう言おうとした瞬間に、夢はふっと途切れた。

目を覚ましたあと、光菜は夢の内容を少しずつ忘れていった。
けれど、桜の道と白い狼、そしてあのやさしい笑顔だけは、いつまでも心の奥にふわりと残っていた。

それからしばらく、光菜は満開の桜の木を見かけるたびに、つい立ち止まってぼんやりするようになった。
白い小さなぽんぽんをいつも大事に持ち歩くようにもなった。
それは、双子の誕生日にお母さんが一つずつ手作りしてくれたものだった。
ふわふわなぽんぽんにそっと触れるたび、あの夢のぬくもりがよみがえるような気がした。
陽菜は、そんな光菜の様子をふしぎそうに、でもあたたかく見守っていた。
理由は分からないし、うまく言えない。
でも、きっとそれは。
遠い遠い昔に、誰かを、そして何かを、とても深く愛した記憶の名残なのかもしれない。
(了)


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