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キリシタンすり抜け主と刀剣男士〜先陣の三十六振り〜

2025-06-17 20:31:10

『先陣の三十六振り』?
へえ、懐かしい話をしてるじゃないか。

ああ、そうか、きみは審神者学校を通っていないものな。
そりゃあ、刀剣男士と政府の歴史なんざ、知る由も無くて当然だったな。

そうだな、刀剣男士として本丸に顕現している刀は、公には百を超えているが……
だが、実のところ、実際に政府の顕現に応じた刀の付喪神の数は、到底百では利かないんだ。

時の政府の中枢には、比類なきほどに力の強い巫女がいてな。
その巫女達がある日、清められた場に、刀剣に宿る神を招くのに成功した。
そこにオレたち刀剣男士の顕現は、端を発している。

そこに応じた刀の付喪神は、まさに八百万やおよろずというべきかまあ、百では到底利かないほどだが──……
刀剣男士として歴史を護る戦いに身を投じて欲しいと願われ、それに承諾を返した付喪神はさらに少ない。

一刀両断に拒否した神もいれば、笑って一朝一夕には叶えられないような条件を出した神もいる。
だが、他の付喪神と戦の成り行きを一旦様子見した連中が、何だかんだと一番多かった。
つまりはまあ、一も二もなく承諾を返して戦に飛び込んだ連中ってのは、実のところ付喪神の中ではだいぶ変わり者だ。

刀剣男士として戦うことを承諾した付喪神だけが
審神者の顕現の願いに応え
こうして星の数ほど、きみたちの顕現に応じているわけだが
中でも、『刀剣男士と本丸』という仕組みが始動した一番最初に、政府に承諾を返して真っ先に戦火に身を投じた付喪神が、初期刀を除いて三十六振りいる。

まずは、何を隠そう、鶴丸国永このオレだなあ。
他には、光坊、伽羅坊
三日月宗近や石切丸たち三条派
加州清光や新撰組に縁ある大和守安定や和泉守兼定
山姥切国広と同じ堀川派、堀川国広、山伏国広もそうだな
他に粟田口の連中が11振り、薬研藤四郎や乱藤四郎たちだな
へし切り長谷部や、太郎太刀と次郎太刀もそう
ああ、今はもう本丸ここに居ないが、同田貫正国もそうだ
きみが知る刀も知らない刀もいるが
この最初の四十一振りの内、初期刀を除いた三十六振りを、政府では『初期顕現三十六振り』と呼んでるらしい。
ま、変わり者三十六振りだなあ

刀と人の子の歴史は古く
刀の本懐は武器から美術品へ変化して
すっかり蔵で寝てた時代も長かったからなあ
戦と聞いて一も二もなく飛び込んだ連中も
再び人の子の役に立てるならと応じた連中も
どちらも決して少なくなかっただろうな

いろんな連中が、いろんな理由で人の子の声に応じたわけだが
本丸と刀剣男士の黎明期ってやつは
間違いなく初期刀五振りと、この最初の三十六振りが切り拓いてきたものだ。

そうして、本丸と刀剣男士は、成功も失敗も、融和も断絶も、時に崩壊すらも星の数ほど繰り返しながら歴史の改変と戦ってきた。
その足跡を見ながら、一振り、また一振りと、刀剣男士として戦う意向を固めた刀は増えていった。
だが、驚いたことに、一度顕現しておきながら、人の子のもとを永久に去ることを選んだ神は、オレの知る限り一振りもいない。

他の連中の胸の内は分からんが
まあ、オレに言わせりゃ、最初の三十六振りに限らず、刀剣男士なんてのは、お人好しな変わり者の集まりだ。
付喪神として神格を持ちながら、人の子の声に応えて粉骨砕身で戦火に身を投じる──……なんて決心をした連中は、本来、八百万の付喪神の中ではかなり異質と言っていいからな。

この『先陣の三十六振り』というのは
道を切り拓いた先駆者として敬意を表して呼ばれることもあれば、向こう見ずの無鉄砲者としてそう呼ばれることもあるなあ
時の政府とやらが、本当にオレたちを丁重に扱う気があるのかも分からんような最初に応じた連中だ。

うん?
なぜ四十一振りじゃなく三十六振りなのかって?

この三十六振りってのは
初期刀たちとほぼ同時期に顕現を承諾していながら
同時に、初期刀になる資格を、黎明期の内に永久に欠格した連中でもある。

だから三十六振り。
付喪神オレたちの間では変わり者の通称でも
人間きみたちの間では警句なのさ。

先陣の三十六振りに敬意を払い、同時に恐れよ、と

初期刀?
ありゃ話が違う

彼らは、人の子と共に歩むために
打たれるべくして打たれた。
そう思えてならんよ


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