@Todorokiosi_
好き。好き。好き。大好き。
どうしようもなく好きで、好きでたまらない。こんなに人を好きになったのは生まれて初めてだ。だから、怖かった。
最終決戦のあの時。心臓が止まったって聞いた。俺はその時、何をしていただろうか。眠っていたかな、呑気に。許せない。怖い。しんぱい。
「チャートを上げ続ける大・爆・殺・神ダイナマイト!今日も目覚ましい活躍を見せています!!」
テレビのキャスターが、原稿を読みながらどこか嬉しそうにしている。その後ろには彼の映像が映し出されている。
あぁ、知られてしまう。俺の大好きな人が。見ないで。見ないで。お願いだ。
「かつき…」
誰も居ないリビングに、俺の声だけが響く。名前を呼んでも返事が返ってこない。分かっているのに、不安になる。
「早く帰ってきて…」
今日は勝己だけ出勤だ。朝見送るのが悲しくて、辛かった。いつもなら俺も行くのに、今日は怪我のせいで行けなかった。悔しい。
ずっと、一緒にいてほしい。俺以外と話さないでほしい。そんな、どろどろとした感情が溢れてしまいそうになる。
もしかして、仕事に行ってしまうのも、俺以外と話すのも、俺に見せつける為なのだろうか。俺のこと、もう好きじゃないのだろうか。
自分の心の中を、黒い靄が蝕んでいくのが分かる。
「たでーま」
突然、背中から抱きしめられた。びっくりして肩が揺れてしまう。
「おかえり」
「ン、いい子にしてたか?」
「うん」
勝己の方に身体を向けて、正面から抱きしめる。ふわっと香るのはニトロの甘い香り。けれどこれも、俺だけの匂いじゃない。勝己が助けた全ての人が、この匂いを知っている。ずるい。勝己は俺だけのものなのに。
ぎゅっと抱きついて目を閉じているとそっと顎を持ち上げられる。ルビーの紅い瞳は、俺だけを映している。
「何思ってる。怒らないから言ってみ」
彼は、全てお見通しなんだ。俺が悩んでいることの全てを。
「俺以外と話さないでほしい。俺以外を見ないで、笑いかけないでほしい…」
こんなの、子供のワガママみたいだ。取られたくなくて、束縛する子供と同じ。止めなきゃ、と思うのにもう止められない。
「もう、俺のこと好きじゃないか?」
その言葉を言った途端、勝己は俺にキスをした。触れるだけじゃない、溺れてしまうようなキスだった。
「んっ…ふ、…」
激しくて、息ができなくなっていく。もうこのまま、死んでしまいたい。愛されてると、思えている間に。