X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです
Xフォロワー限定公開・リスト限定公開の停止について

憧れは、もう戻らない。

全体公開 反転ドラヒナ 11 6026文字
2025-07-07 06:17:30

ピクスク様のオールジャンルイベント『魔法に夢中』参加作品です。
拗れた両想い期の反転ドラヒナで、幼い頃に『魔法美少女 ヒナイチレッド』に憧れていたヒナイチくんが、当時を思い出し、憧れを手放すお話です。ルーマニア語はグーグル翻訳を使っているので、間違っているかもしれません。生暖かい目で見て頂ければ、幸いかと。
反転世界の魔法美少女とクルースニクについて、捏造設定にご注意下さい。個人的にはこっそり考えていた、反転ヒナイチくんの戦闘力が、仲間内で弱い理由が書けて、ホッとしております。
今回も捩じ込めなかったのですが、反転ドラルクさんがこの話にある様なチート能力を有している理由は、本人が『強大な吸血鬼夫妻の間に、赤い羊膜を被ったまま生まれてきた、純血のクドラク』だったからという裏設定で書いております。どっかで、この設定の話も書きたいですね。

他の反転ドラヒナのお話は、ここから読めます→https://privatter.net/category/50931

Posted by @kw42431393

反転ドラヒナの捏造設定はこんな感じです。
 
 反転ドラルク:
 強大な力を持つ我が儘で中二病の人外。再生能力を持たず、両親に甘やかされてきた為、刹那的な性格。
 自分の監視員であるヒナイチに執着し、理性が衰える満月の夜に無理矢理想いを遂げる。胃袋と快楽による刷り込みを行い、彼女を自分に溺れさせようとする事に余念がない。
 反面、彼女が無事でいて、毎晩監視に来て欲しい一心で、隠れて敵性吸血鬼達を暗殺したり、自首する様に催眠術をかけて回るなど、良くも悪くも一途な所がある。

 反転ヒナイチ:
 吸血鬼対策課ヒヨシ隊副隊長を勤める若きエリート。ドラルクの監視員で、意地っ張りなくっころさん。
 幼少時に、父親が忙しく構って貰えなかった為、本当は甘えん坊で寂しがりや。自分を甘えさせてくれる監視対象に父親像を求めていたが、心身を傷つけられ、快楽堕ち一歩手前まで追い詰められている。
 夜と昼どちらかの世界を選ぶ様に選択を迫られており、ドラルクに対して、愛憎入り交じった複雑な感情に苦しんでいる。

 反転ジョン:
 ドラルクの使い魔。落ち着いたムキムキの大人マジロ。
 ヒナイチが来てから、太ってしまい、筋トレをハードにしたら、筋肉で丸まれなくなってしまった。元競マの帝王。
 主夫婦がヤンデレ同士なので、仲立ちする等、苦労人気質。ドラルクの盾として、自身も戦闘に参加する。



 『ねー、ヒナちゃん。きのうの、プリリアントレインボーみた?』
 『いいや、こんしゅうはみれなかった。どうじょうのじかんが、かわってしまったんだ。』
 『そっかあ。こんかいもね、ヒナイチレッドかっこよかったよ。』
 私が、8つかそこらの頃の話だ。当時の女の子達は、皆憧れていたんじゃないかな。
 妖精の国からやって来た『妖精プリリアント』との出会いがきっかけで、ごくごく普通の女子中学生が魔法美少女になって、夜の怪人達と戦う『魔法美少女♡プリリアントレインボー』所謂、王道的な変身魔法少女アニメだと思ってくれればいい。

 『プリリアントパワー♡きゅんきゅんビーム!!』
 『アハハ。ヒナイチレッドのまねっこ、じょうずだな。』
 『ヒナちゃんも、やろうよ。へんしんコンパクト、もってる?』
 私も見ていたのかって?道場の時間が被ってしまう日は、見れなかったがそうだな。
 憧れてたんだ。ヒロインの名前が、同じヒナイチだから親近感があった。何より
 『ううん、もってない。けど、こんどのたんじょうびに、おとうさんがかってくれるってやくそくしたんだ。』
 ヒロインが、ヒナイチレッドに変身する時に翳す、ハート型の赤いコンパクト。
 掛け声と共に、そのコンパクトが光り出す。そして、彼女の全身を赤い炎が包んでいくのだ。そのシーンが、特に好きだった。
 『ヒナちゃんも、クルースニクなんだよね?じゃあ、コンパクトがあればヒナイチレッドになれるのかな?』
 そう。彼女は私と同じ、白い羊膜を被って生まれて来た幸帽児吸血鬼殺しの少女という設定だった。
 幸帽児の中でも、とりわけ強く神の祝福を受け、夜の眷属達と互角以上に渡り合える発火能力や変身能力、使役能力に目覚める者は、ほとんどいない。
 吸血鬼と人間達の対立が続く世界で、私も『その力に目覚め得る者』として、周囲から期待されている一人だったのだ。それだけに
 『うん、なってみせるぞ!』
 それだけに幼い頃の私は、あのコンパクトが欲しかった。あれがあれば、私もヒナイチレッドになれるのだと思っていた。
 『ヒナイチレッドになって、みんなをまもってやるからな!』
 そして、ヒナイチレッドの様に神々しい炎を身に纏い、十字に光る剣を両手に振るって、皆を守りたかった。
 長じてからも鍛錬を続けてきた私に、皆からの期待も高まっていっただが、現実は残酷だった。皆に知られていないだけで。



 「ハハハ。君が興味を示すから、どんなアニメかと思ったら。意外だね。」
 「うるさい。別に、これを見たいと言ってないだろう。リメイクしてたんだなって、言っただけだ。」

 ここは『今の私』が監視している、危険度Aの吸血鬼の居城。今宵も実力差本当は、体に刷り込まれた快楽に抗えず、ドラルクに引きずり込まれた地下室だ。
 今、吸血鬼の寝床である棺桶の中に、私達は並んで身を横たえているのだ。
 監視対象の気の向くままに、隅々まで蹂躙され壊れる前に、頼み込んでやっと貰えた中休みとでも言えばいいのか。
 棺桶の中で映画でも見ようという話になり、Numazon primeを立ち上げた時だった。
 かつて憧れていたアニメの広告が、流れて来たのは
 「で、父君にコンパクトを買って貰えたのかね?」
 「いや。お前も知っている様に、私の誕生日はひな祭りでもある。ヌイザラスに行ったら、売り切れだったんだ。当時の女の子は、皆、あれをねだっていたからな。」

 “待て!!そこまでだ!コウモリ伯爵!覚悟しろ!!”
 “アハハハ!私が、君から逃げる?とんでもない。ヒナイチレッド今夜こそ、こちらの世界に来て貰おう。”

 画面から、ヒナイチレッドと敵役のコウモリ伯爵の声が聞こえてくる。こんな話だったろうか。それに何故だろう、コウモリ伯爵は誰かに似ている気がする。
 「フフッ。こんなチープなもので、強い力を得られると思っていたとはね。」
 「チープか。何故だろうな。あの頃の私には、手の届かない希望の宝石に見えていたんだ。」
 私が大人になったからだろうか。輝いていた『何か』が霞んでいくのは、とても寂しい事に思えた。
 「そんなものかね。おや、再販されてる様だ。どうかね?私が買ってあげようか?衣装も髪のセットも、私がやってあげる。」
 「やめろ。もう、私は19だぞ。恥ずかしい。」
 「ハハハ。見せていいのは、私とジョンだけだ。もっと、恥ずかしい姿を私は知っている今更だろう?それに、番組でも『誰だって、魔法美少女になっていい』と、言ってたじゃないか。」
  
 "行くぞ!コウモリ伯爵!今日こそ、決着をつけてやる!"
 "聞いて貰えないなら、仕方がない。今宵も私と踊って頂こう私の可愛い魔法美少女。"

 目の前の画面に映る、ヒナイチレッドの胸元で揺れる、コンパクトを見る。自嘲的な虚無感が胸に沸き上がってくるのを、何故か押さえられなかった。
 「お前の言う通りだ。努力もしないでこんなもので、強くなれると思ってたんだ。お笑い草だな。」

 乾いた笑いが出る。
 吸血鬼の棺桶の中で今の私が見る、欲しくて欲しくて堪らなかったコンパクトは夢を与えてくれる宝石ではなく、チープな造りのプラスチックの塊にしか、見えなかったのだから。 
 



 「なあドラルク。」
 「何かね?お嬢さん。」
 画面のヒナイチレッドが、炎を纏って、コウモリ伯爵に斬りかかる。
 かつての私が憧れていた吸血鬼殺しとしての姿もし、私にヒナイチレッドの様な素質が、あったなら

 「お前と私は、こうなっていなかったのかな。」
 命懸けで戦うに足る、好敵手と見なしてくれたのだろうか。
 執着にまみれた愛玩具としての、こんな扱いは受けなかったのだろうか。 
 体は虜になってるのに、心は認めたくない、こんなチグハグな苦しみをしなくても
 「それは、ない。」
 氷の様に冷たい声に、画面から隣の彼に視線を移す。無機質な義眼が、不機嫌そうに私を捉えていた。
 「ないのか。」
 「当たり前だ。確かに最初は、君を戦士として鍛え上げ、あわよくばその素質も目覚めさせて、最高の遊び相手にしようと、考えていたのだ。それは、認めよう。」
 そう言って、彼はこちらに身を寄せてくる。
 シーツ越しに感じる『お前』の感触に、冷めかけていた熱が、再び燻りだすのを自覚するしかない。
 「っ、もう無理だ。眠らせてくれ。」
 「愛玩具というのも、取り消し給え。今の私は、君を対等な伴侶として迎えたい。君の意志がどうであろうと、仮に、君がただの一般人であったとしても私は、必ずこうしたはずだ。」
 乱暴に覆い被さってきた、お前を見上げる。
 赤い瞳にドロドロとした情念が揺らいでる事にどんなに私が変わろうとも逃がして貰えない、深い絶望とほの暗い安心が、心を満たしていく。
 
 「私は、ヒナイチくんを手に入れる。どんな手段を使おうとも、必ずこちらの世界に連れていく。」
 "私は、ヒナイチレッドを手に入れる。どんな手段を使おうとも、必ずこちらの世界に連れていく。"

 ああ、思い出した。コウモリ伯爵は、こいつに似ているんだ。ヒナイチレッドに執着し、何度も彼女に戦いを挑み、彼女を自分に堕とそうとする敵役だったっけ。
 「うあっ!?」
 「ククッ。君は、ここも好きだねえ?」
 喉笛を甘噛みする牙の感触を感じて燻りは、小さな炎に変わる。少しずつ、身体中に拡がっていく。
 「退官してくれたら、堂々と吸血痕を付けられるのに残念だ。」
 「み、見える所はよせ。私は、お前の
 「監視員だか。聞き飽きた台詞だが、仕方がない。」
 その炎は、夜の者を焼き殺す為ではなく、私の理性を焼く為に身体中に拡がっていく。
 「あぐっうぅ。」
 "や、やめろ!私はお前の思い通りにはっ!"
 画面に、コウモリ伯爵の鋭い牙が映っている。今の私達と似た状況に、これから、鏡の前で行為を始めようとしている様なそんな錯覚を覚えた。だから

 "これで最後だ、ヒナイチレッド。今度目覚めた時は、私の"
 ブツッ

 だから、蓋のパネルに手を伸ばす。
 電源を落とす。コウモリ伯爵の嘲笑も、押し倒されて苦悶するヒナイチレッドの姿も消えた。急に棺桶の中が、暗く静かになる。
 「はぁはぁ。」
 「おや?もう、いいのかね?」
 「ああ。」
 この話は、見た事があったんだ。この後、他の魔法美少女達が助けに来て、ヒナイチレッドは助かるはずだった。
 でも、現実の私に助けは来ない。本音は、助けを望んでいない。この映像を見ながら行為の続きをするのは、辛過ぎる。
 「そうかねじゃあ、続きをしようか。お嬢さん。」
 「かってにきめるなぁ。」 
 どう足掻いても、こうなる運命だったのだ。どうあっても、彼はこうするつもりだったのだ。
 吸血鬼殺しでなくても彼は、私を。私であれば
 「ハハハどうかしたかね?急に、しがみついてきておっと?」
 「はっ!うっ、うるさい!」

 憧れは、何もしてくれない。
 何にもならない憧れは、捨ててしまえ。
 これからの私は、彼らを焼き尽くす力に目覚めなくても『私であれば、何でもいい』と言ってくれる、この執着と戦わなければならないのだから。

 

オマケ

 「Nu trebuie să te trezești.」
 「うぅ?」
 「Nu trebuie să lupți.」
 「んんう、ん?」 

 疲れ果てて意識を失った君に、今宵も私は繰り返す。呪いをかける様に繰り返す。
 君が目覚める必要はないと。
 君が戦う必要はないと。
 可憐な耳に口を寄せて、何度でも、何度でも。

 『私にヒナイチレッドの様な素質が、あったならお前と私は、こうなっていなかったのかな。』

 泣きそうな顔で言った、君の姿を思い出す。
 期待されていた能力が目覚めないまま、使命を果たせず、捕食者に蹂躙されている自分を、惨めなものに感じているのかもしれなかった。
 「人間どもめ戦うなら自分達でやればいいものを。」
 こんな小さな少女に、期待をかけたのだ。ささやかな日常まで、諦めさせたのだ。ひたむきに、期待に応える事を、使命と信じさせたのだ。
 「反吐が出る。そんな奴らの為に、命をかける君を私は、理解出来ない。」
 現に未だに、彼女は使命を捨ててくれないじゃないか。本当は虜になってるのに私を選んではくれないじゃないか。
 時折、それがどうにも、腹立たしくなる。
 「ヒナイチくん。」
 「あぅっ!?」
 彼女のお腹に、手を当てる。
 透視能力を発動させる体内が、私の力の影響を受けた食材で、作られたモノ達に満たされている事を確認する。そして
 「ん?あぁんっ?」
 子宮をお腹の上から、撫でる。私が注いだモノが、胎内に居座っているのを確認してそれらが、十分役割を果たしてくれているのを見て、口角が上がるのを禁じ得なかった。
 「だめ……もうやだぁゆるしてぇ。」
 「Nu vă faceți griji.Ai puterea să Kresnik.Dar(これだけは、安心し給え。君には吸血鬼殺しとしての力は確かにある。だが)」

 目覚める必要は、ない。
 君にその力があると気づいた人間共は、もっと激戦地に君を投入するだろう。そうなれば、君が危険にさらされる。君と会えなくなるだから、目覚める必要はない。
 「はぁう。」
 「安心したかね?ハハッ、母国語で喋ってるから、分からないか。」 
 だから、君が戦う必要はない。
 その力が必要なぐらい、強力な同胞達なら私が全て始末してしまえばいいだけの事、だからだ。だから、ここで眠っていればいい。目覚める頃には、全てが終わっている様にしてあげるから。 
 「うん。」
 「fata bunaTrebuie să plec curând.In seara asta,Trebuie să distrug instalația în care plănuiești să te infiltrezi mâine.(いい子だそろそろ、私は行かなければならない。明日、君が潜入調査をする予定の施設を今夜の内に破壊しておく為にね)。」
 強過ぎる力は、私から君を奪う事になると、分かっている。君から平穏を奪う事になると、分かっている。
 だから今宵も、君を『私』で満たし続けるのだ。体内と胎内に、私の力を込めたモノ達を注ぎ込んで、君の中で燻る炎を凍らせ続けていたのだ。
 だから、これからも

 「それじゃあ、いってくるよ。私の大切な、ヒナイチくん。」
 愛しい吸血鬼殺しを閉じ込めた棺桶を、後にする。
 だから、これからも君のその力が発現する事は、永遠にないだろう。
 
 

 
 
 
 

 




投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.