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【呪いでも願う】

全体公開 らぬすて 4 680文字
2025-07-08 09:25:20

幼年アルとゼタの小話

Posted by @vmon1202

【呪いでも願う】

夜の城は静かで、廊下の窓から見える空には、無数の星がきらきらと瞬いていた。

その廊下の端で、アルとゼタ――小さな双子は肩を寄せ合いながら、夜空を見上げていた。窓辺の石段に腰を下ろした二人の頬には、月の光がやさしく触れている。

「ねえ、カシム。さっきね、城の使用人の人が言ってたんだ。」

そう言って、アルはわくわくした様子でカシムを見上げた。

「星に願いをかけるとね、願いが叶うんだって。」

カシムはその言葉を静かに聞きながら、星空と、そこに寄り添う小さな子どもたちを見つめていた。

アルの隣にいたゼタは、小さく首をかしげる。

……本当に?」

「うん、ほんと。たぶんね、きっと。……でも、もし僕たちみたいな“双子”でも願っていいのなら――

ふと、アルの声がほんの少し沈んだ。

「僕の願いはね、ずっとゼタと一緒にいたいってことだよ。」

その言葉に、ゼタは静かに目を見開いた。

「アル……

「ゼタは? 何か願いごと、ある?」

ゼタはほんの少しだけ考えてから、微笑んだ。

……僕は、アルと同じことを願うよ。」

「ほんと!? やったー!」

嬉しそうに跳ねるアルの隣で、ゼタは小さな笑みを浮かべ、もう一度空を仰いだ。二人の手は自然と重なり合い、窓の外の星たちは、まるでその願いに応えるように瞬いていた。

……それが呪いでも、願え。」

カシムがぽつりと呟いたその言葉の意味を、双子も、傍らに立つザイードもまだ知らない。

夜は深く、空は遠く。
けれど、小さな願いは、確かにそこに息づいていた。

(終わり)


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