自主イベントとあわせてお題を募集し、『よろずや男士』シリーズの山姥切長義さんにラジオ形式で喋ってもらう様子をリアルタイム公開執筆しよう、という試みでした。当日はお題や応援の言葉などたくさんありがとうございました!
<番組のご紹介>
よろずやFM・午後の生放送は、相模国中央地区・万屋通商店街と近隣本丸にお届けするローカル放送です。ラジオ端末のほか、商店街では街頭のスピーカーから聞くことができます。政府のお知らせから商店街の催し物のご案内まで、地域の情報を幅広くお伝えします。
パーソナリティ 万屋本店広報宣伝部 放送担当 山姥切長義
会場スタッフ 万屋本店施設管理部 (通信網維持隊 他)
協賛 万屋通商業組合
普段の放送の様子はこちらから→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16904443
会場跡地(内容は変わりませんが末尾にメモやコメントが残っています)→ https://docs.google.com/document/d/1OYJtwmfnzpG7-meXdWwEx-c8B1IPOgpGVMBtkoc2hYE/edit?tab=t.0
@touravekanae
—よろずやFM・午後の生放送、公開収録会場はこちらです。
—放送開始まで今しばらくお待ちください。
「えー、配線よし、電源よし、音量よし」
「……マイクテスト、マイクテスト。本日は晴天なり」
「やあやあ、お集まりの皆みなさま、これより始まりますは、よろずやFM午後の生放送、特別公開収録にございます!」
「……大丈夫そうだ」
「本歌、隊長と替わって、何か喋ってみてくれ」
「いつもの放送の時の声で頼むな」
「ああ、任せてくれ。……あー……やあ、待たせたね。広報宣伝部の山姥切長義だ—」
—よろずやFM・午後の生放送、公開収録がまもなく始まります。
やあ、待たせたね。広報宣伝部の山姥切長義だ。
よろずやFM、午後の生放送の時間だよ。
本日は久々の特別公開収録。
7月12日「ラジオ本放送の日」を記念して、いつもの放送室ではなく、こうしてヨロズヤホールのスタジオからお届けしているよ。
この放送は、ここ相模国中央地区・万屋通商店街と、近隣の各本丸に向け、毎日同じ時間に、政府のお知らせや地域の情報をお伝えするローカル番組だ。
近頃は地域の振興に伴って「ご当地アイドルがやってる商店街のラジオがあるって聞いたんですけど、長義さんってアイドルなんですか?」といった問い合わせがたまに舞い込んでくるんだが……それは商業組合後援の『SHINY×GO!!の商店街にGOGOラジオ』の方だから、お間違えなきように。
俺はアイドルではないが、今日はラジオに関する特別な記念日。
この街のラジオ放送に関わるもののひとりとして、俺なりに盛り上げさせてもらおう。
最後まで楽しんでいってくれ。
さて、早速おたよりの紹介から。
近隣本丸の審神者様より「暑い季節がやってきましたね。うちの本丸では積極的にクールビズを推奨しています。長義くんのまわりでは、刀剣男士のみなさんはどんな暑さ対策をしていますか?とくに、布必須の写しくんたちが心配です」とのこと。
最近は本当に暑いね。もし公開収録現場に来てくれているのならご覧の通りだが、流石の俺もジャケットや外套は着ていられない。あまりラフな服装で仕事にあたるのは気が進まないんだが、こればかりはどうしようもないね……。
万屋本店のクールビズは戦装束から多少の装備を外した程度だが、街の刀の間では通気性のいい素材の普段着が流行っているよ。内番服と同じメーカーが作った涼感Tシャツと、呉服屋の仕立てた麻の開襟シャツが二大勢力だ。あなたの本丸でもぜひ購入してみてくれ。
そして、ご心配の布被りくんたちだが—炎天下では日除けがあったほうがむしろ涼しいようでね。どうもクリーニング屋の写しが機能性素材の布を広めて回ったらしくて、誰に会っても日焼け知らずだ。たくましいものだね。
続いて海老名城の主様より「連隊戦の季節ですね!うちの本丸の男士はこの時期『水砲兵で戦うの超楽しーっ!』と言っております。商店街の定期鍛錬会に水砲兵…っていうか水鉄砲オンリー戦とか実施する予定はないでしょうか?」—ああ……個刃的には大いに興味があるが、残念ながら不可。
改めて説明しておくと、商店街の定期鍛錬会は、商業組合主催で演練と同じシステムを借りて、参加者を防衛方と遡行軍役の二つに分けて戦績を競うものだ。
基本的には商店街防衛戦の訓練だから、そこで使えないものは使えない決まりでね。
本丸からの参加も可能だが、単なる戦闘訓練ではないということもぜひ心に留めてくれ。
……それはそれとして。
俺は夏の連隊戦には一度も出たことがないけれど、同じ広報宣伝部で戦場攻略の連載を持っている同僚の、シミュレーションでの体験談によると—あれは敵が盛大に虹色の夜光貝を落としながら吹き飛んでいくのが最高に気持ちいいらしいね?しかもそれを集めていくと、しまいには合戦場自体が虹色に光り輝き出すとか言うじゃないか?
本当に商店街の夜廻りでもそうできたらいいんだが。気温も下がるし一石二鳥なんじゃないかな。
ふわふわの威を借りた脇差くんより「太鼓鐘貞宗みたいに大倶利伽羅といろいろ話してみたい。でもうまくいかない。今日なんて『夕餉にビール出るって』『そうか』しか会話してない。どうしたらいいんだろう。ひと付き合いにも道標の提灯があったらいいのに」—おたよりありがとう。抱え込まずに相談できるのは良いことだ。優をあげよう。
『太鼓鐘貞宗みたいに』となると—気軽なやりとりをしながらふたり仲良く過ごしてみたい、という感じかな?
だとしたら、話題そのものよりセッティングを工夫するといいかもしれない。どちらも口数の多い方ではないようだから、例えば一緒に映画の一つも見て、その場で感想でも言い合うのはどうかな。ああ、君自身が見たいものでいいんだ。そうでないと咄嗟に感想も出てこないだろうから。
それから—聞いているかい、どこかの大倶利伽羅。ふわふわの威を借りた脇差くんが君のことを大層気にかけているようだ。もう少しだけ、目に見える形の馴れ合いを試みてもいいと思うよ。
……しかし、どの本丸でも、いや本丸でなくても、この手の悩みは尽きないね。
これまでにも、江雪左文字から「歌仙兼定のように小夜と関わってみたい」と届いたり……そうそう、貞宗のお身内から逆に「伊達のお兄さんたちのように太鼓鐘くんと仲良くしたい」と相談されたこともあったよ。
つまりは、誰しもこういった悩みは持つもの、ということさ。
ひと付き合いに明確な道標はないが、思い詰めすぎないようにね。
さて、それから匿名の審神者様より「最近、推し活というのでしょうか、商店街でもアイドルやゲームキャラの応援グッズをたくさん見るようになりました。もしラジオの長義さんの推し活グッズを出すならどんなものが出たらいいと思いますか?もしくは、長義さんは推し活はされていますか?」とのおたより。
そうだね、現に今日の放送席にもスタッフ私物のキャラクターグッズがさりげなく置いてあるんだが……刀剣男士も対象とした娯楽コンテンツの拡充と、政府公認の広報部隊各種の人気拡大、そして何より当商店街自慢のご当地アイドルの活躍で、商店街全体が盛り上がっている。
行き過ぎた浪費になってはいけないが、心も街も適度に潤うのは良いことだと俺も思うよ。
……はは、とはいえ、俺の推し活グッズとは驚いた……!
いや、気持ちはありがたいが、俺はあくまで広報宣伝部の一員だし、むしろこの街を推して活動している側の刀だ。特別なアイドル性があるわけではないよ。
俺個刃ではなく、広報宣伝部、ひいてはこの街のファンになってくれたら嬉しいかな。
それが俺にとって、一番嬉しい応援だよ。
関連して骨董屋見習いさんより「今日は何のグッズが置いてあるんですか?またいつもの”ラジオが完遂できる縁起物”ですか?」—ああ、そうだね。それともう一つは、先日の『GOGOラジオ』の収録時に五月雨江を励ますのにも使った”季語”だそうだよ。これが彼の詠んでいた「犬を見守る日傘」かな?
ここで一旦、お知らせと宣伝を。
万屋本店より熱中症への注意喚起。毎年、人の身に不慣れな新刃くんたちが倒れる事態が後を立たないんだ。暑さの感覚がよくわかっていないこともあるから、本丸でも職場でもよく注意して、積極的に涼しい格好をさせたり、水分を摂らせたりするように。
万屋本店施設管理部より『ヨロズヤホール』貸し出しのご案内。この収録に使っているスタジオのほか、コンサート向けの大ホール、セミナー向けの講義室など、色々な設備を時間単位でレンタルできるよ。気になった方は問い合わせだけでもしてみてくれ。
商店街アイドル『SHINY×GO!!』から定例コンサートのお知らせ。公開収録の事前案内をつとめてくれた古着屋の村雲江とアウトドア用品店の五月雨江をはじめ、この街で働く江の刀で結成されたご当地アイドルグループ、ぜひ応援しに来てほしいな。応援ソング『商店街にGO』で取り上げる店舗も随時募集中、応募は公式SNSから。
以上。個人から商店まで、宣伝の依頼は万屋本店一階、サービスカウンターまで。
こうしている間にも続々とおたよりが届いているね。順番に紹介していこう。
まずは七夕に関して2通。
本日の近侍くんより「先週は七夕でしたが、皆さんどのように過ごされましたか?」、そして名無しの事務職員さんより「このところ忙しくしていて、万屋街の七夕夜市に行きそびれてしまいました!残念です。長義さん、広報宣伝部のみなさんは、夜市には行きましたか?それとも何か夜店を出ししたりしたのでしょうか?」とのおたより。
そう、七夕の夜は商店街で夕涼み会と夜市があってね。
俺たち広報宣伝部はひたすら会場の巡回と取材ばかりしていたよ。だが、ラジオパーソナリティ以外の仕事もやりがいがあっていい。店の魅力や店主の心意気を直接尋ねられるからね。
広報宣伝部の全員、浴衣姿で手分けして街中を回って、夜中になってから編集室に集まって、それぞれが取材先の店でもらってきた食べ物や飲み物なんかを持ち寄って、編集会議という名の打ち上げをしたよ。
カメラマンの獅子王がたくさん写真を撮っていたから、次号の『月報よろずや』でぜひ確かめてみてくれ。たぶん俺が写っているのも載るだろう。
秘蔵っ子くんより「ずっと会いたかった昔馴染みが本丸に来てくれた!嬉しいから一緒に街にお出かけしようと思います!ラジオの長義さんのおすすめのお店教えて!」—おめでとう。それは俺のおすすめより、君の行きたい店、行ってみたかった店に連れて行くのが一番なんじゃないかな?
あえて言うなら、鳴狐たちが朝だけ大通り沿いでやっている『きつねのおにぎりやさん』では庄内の米を使っているから、早起きしてそれを買って、思い出の土地の味を楽しむのもいいかもしれないよ。
続いてねむの木さんより「最近サンドイッチ専門店が近くに出来ました。季節の果物を使った甘いものから、ブランド豚を使用した味噌カツサンドなどちょっと豪華なお惣菜サンドまで、種類豊富で目移りしてしまいますし、外出時の楽しみにもなっています。ちなみに私の今のイチオシは鴨のパストラミとポテトサラダのサンドイッチです。山姥切さんの回りで流行っているサンドイッチ、またはとくにお好きなサンドイッチは何かあったりしますか?」—喫茶金月のモーニング限定、スパニッシュオムレツのトーストサンド。
……すまない、つい一息で答えてしまった。俺の行きつけの万屋本店近くの喫茶店で、店主の燭台切光忠が作るこだわりの品でね、とても気に入っているんだ。食べやすいのにボリュームがあって、珈琲にもよく合う。常設メニューではないが、見かけた時はぜひ試してみてくれ。
ねむの木さんのイチオシも中々美味しそうだし、俺としてはやはり味噌カツが気になるところだ。
食事の一皿として出てきそうなものがパンの間に挟まっているというのも、考えてみれば面白いね。おにぎりの具はあくまで付け合わせ程度のことが多いのに。
サンドイッチというのは元々カードゲーム中に食事ができるように考えられたんだったかな?その怠惰にも感謝しないといけないね。
そして食べ物繋がりで、本厚木城の主様より「近隣の審神者です!弊本丸では今そうめんがはやっているのですが、長義さんやよろずや街の皆が最近よく食べているものはありますか?」とのおたより。
そうめんといえば、俺の行きつけの定食屋、「めしや青空」の夏野菜のそうめん定食だね。盛り合わせでトマトサラダや茄子の揚げ物がついてきて彩りも鮮やかだよ。暑くなってきてからというもの、昼食はほとんどこれか、喫茶金月の冷製ラタトゥイユパスタばかり食べている。
—最前列で「成分が9割同じ!」と書いたスケッチブックを掲げている南海太郎朝尊がいるが、流石にもういくらか違うはずだと言わせてくれ。
さらに麺繋がりでこんなおたよりも届いているね。
ご近所本丸の総務番長くんより「本丸も日々暑い日が続いているさなか、最近の本丸内では冷やし中華の具と味でさまざまな派閥ができています。醤油だれ派、ごまだれ派、ツナマヨ派、薬味たっぷり派、つけめん派……つけめんはただただつけめんなのですが、厨番が苦慮してほぼビュッフェ形式になったため創意工夫をこらして楽しむ勢も増えているので毎回お祭りのようです。ラジオの長義さんは冷やし中華の具とタレは何がお好きですか?」とのこと。
ビュッフェ形式とは賑やかでいいね。本丸の構成員も百振りをゆうに超えてきたところ、それぞれの好みに合わせて楽しみつつ自炊しているとは、頭が下がる。総務番長くんと厨番くんたちに優をあげよう。
俺は……そうだな、変わり種でもよければ、冷しゃぶと海老にチリソースをかけてスイカの漬物を添えたのがかなり良かった。以前クリーニング屋の鶴丸が1日だけ定食屋の手伝いに入ったことがあって、その時出てきた品なんだが、大人気だったよ。ここまでくると冷やし中華といっていいのか判断しかねるが、本丸でもぜひ試してみてくれ。
喫茶金月の燭台切光忠より「パスタ用の小麦粉は品種が違うし、ラタトゥイユにはオリーブオイルやニンニクを使うから、和食とはけっこう違うと思うよ。ぜひ両方食べてみてね」—聞いたか、南海太郎朝尊。店主もこう言っている。9割は流石に言いすぎだ。
食欲が刺激されてきたところで、宣伝のコーナー。
『ひとまる茶房 万屋通り店』より、夏の限定メニュー販売のお知らせ。毎年人気のアイスティー各種に加えて、今年は焙じ茶とスパイスを使った和風のアイスチャイが新登場。『くすり茶屋やげん』とのコラボで実現したこの街だけの一杯、ぜひご賞味あれ。
『眼鏡屋 星見堂』では今夏より小型天体望遠鏡の取り扱いを開始。レンズの仕組みを学べる組み立て式キットと、扱いやすい既製品の二種を用意しているよ。星々の煌めく夏の夜、これで天の川を見上げてみないかい?
万屋通ファイターズこと草野球同好会より、夏のラジオ体操集会のご案内。もともとは野球練習のための準備運動だったそうだが、体操だけの参加も自由とのこと。事前申し込み不要、毎朝6時半から、鎮守の社の境内にて。希望者には石切丸謹製のスタンプカードを授与。
さて、まだ放送時間が残っているね。可能な限りおたよりを紹介させてもらおう。
前田藤四郎くんより「この春にできたばかりの本丸の者です。初めての大阪城を終え、集まった小判で主君が軽装を仕立ててくださいました。これで商店街の夏祭りに行くといい、と言ってくださったのですが、僕は主君にも軽装を着ていただいて、一緒にお祭りに行きたいのです。万屋では刀剣男士の衣装しか売っていないのでしょうか。どうしたら主君の分も注文できますか」とのご質問。
前田藤四郎くん、おたよりありがとう。優しい心意気に優をあげよう。
確かに万屋では刀剣男士用の軽装しか注文できないけれど、商店街には服を扱っている店がいくつもある。君のところの審神者様に合う装束も必ず手に入るはずだよ。
本格的な浴衣や夏着物を反物から仕立てるなら『呉服屋 深見草』、気軽な普段使いの浴衣や甚平なら『小間物屋 さくら堂』あたりがおすすめだ。近頃は古着屋『Silver lining』の店主が仕立てた洋装リメイクのアメリカンカジュアル浴衣なんかもコアな層に流行っているようだけど、これは着る方の好み次第かな。
いずれにしても、夏祭りで会える日をお待ちしているよ。
……ああ、そうだ。街に来る時は必ず帯刀して、人通りの多い時間に、できれば本丸の強い刀と一緒に来るようにね。新刃くんが単独で歩くには、街外れの夜道は危険すぎる。
続いて、かきごおりすとさんより「夏と言えばかき氷。家で作るかき氷も、夜店で食べるかき氷も、喫茶店で食べるかき氷も、違った良さがありますよね。長義くんは甘味よりブラックコーヒーのイメージですが、かき氷は食べますか?もし食べるのであれば、好きなかき氷はありますか?自分はやはり、かき氷界の原点にして頂点『しろくま』が最推しです」とのおたより。
しろくま、というと、練乳を加えた甘い氷に果物や小豆を散らしたものだね。カップで売られているものしか食べたことがないが、確かにあれはファンが多いのもわかる。
「甘味よりブラックコーヒーのイメージ」というのは正直なところその通りでね、俺のおすすめはカフェグラニータ—要は珈琲のかき氷だ。喫茶金月では猛暑日の予報が出た時限定のメニューだが、このところ毎日のように出ているから、ぜひ食べてみるといい。ミルクや砂糖も追加できるよ。
加えて氷菓繋がりで、ねむの木さんより「公開収録、楽しく拝聴してます。さすがの暑さにアイスクリームを食べて帰ろうと思っているのですが、長義さんにはこの夏とくにお好みのひんやりスイーツのオススメはありますか?できれば本丸配送してくれてるお店だと、うれしいです!」とのおたより。
かき氷のおすすめは今話したから、アイスクリーム系だと—『駄菓子屋ちよこ』で買える横浜馬車道風の「あいすくりん」かな。卵黄が多く使われた黄色っぽい見た目で、かつて横浜に上陸した日本初のアイスクリームの流れを汲む逸品だよ。
そのまま食べてもいいが、珈琲やラムネと合わせてもいいし、店内の飲食スペースで他の駄菓子と組み合わせるのもいい。万屋受付の加州曰く、占いチョコとミニドーナツを添えると見た目も味も最高、だそうだ。大口注文なら本丸へもまとめて配送してくれるから、この夏はぜひ駄菓子パーティを開催してくれ。
めしや青空の歌仙兼定より「実はうちのそうめん定食の揚げ物には風味付けでオリーブオイルとニンニクを使っている」—雲行きが怪しくなってきたな。そうめん定食とラタトゥイユパスタは紙一重だったのかもしれない……。
最後にもうひとつだけ紹介して終わりとしよう。
実休光忠くんより「連隊戦で顕現したばかりの刀です。この前初めてひとりで街に出た時、道に迷ってしまって困り果てていたら、商店街の薬研くんが助けてくれたんだ。お礼を言いたいんだけど、どのお店の子なのかわからなくて……。ラジオの長義くん、もし心当たりがあったらぜひ教えてください」とのこと。
……なるほど、申し訳ないけれど全くわからない。街の仲間のことはそれなりに把握しているけれど、服装や持ち物の特徴もないとなると流石に何も心当たりがないよ。
強いていえば、戦装束なのに眼鏡をかけていたら眼鏡屋のどちらか、逆に白衣に帯刀していたら薬屋だけど—それなら君が匂いで気づきそうだな。それ以外で街の薬研というと『便利屋藤四郎』の誰かの可能性が高いが……個体を特定したいなら、それはもう便利屋に依頼して探した方が早いよ。
次にそういった出会いがあれば、働いている店の名前も聞くことだね。
—いや、ここはいっそ、商店街の誰なのかわからないままでもいいのかもしれない。
街自体に恩を返すと思って、今度は君が困っている誰かを助けてあげる、というのはどうかな。
所属を名乗らなかったということは、本当に何の気なしの、昔馴染みへのちょっとした親切だったのだろうから。
さて、名残惜しいがそろそろお別れの時間だ。
会場でも、放送でも、最後まで聞いてくれてありがとう。
審神者の皆さんは暑い中でお疲れだろうが、本丸の維持管理をお忘れなきように。
日課の任務は達成できているかな?古備前信房を受け取り忘れていないかい?
特に連隊戦を周回し続けている熱心な本丸ほど要注意だ。
琉球刀が何振りも習合を待っていたりしないか、この機会にいまいちど受取箱を確認してみてくれ。
きちんとできたら優を差し上げるよ。
それでは最後に、今日もこの通達を。
……。
万屋通りの刀剣男士に告ぐ!
俺たちはこの街の守り。
刀の本能を忘れず、本体を手放すことの無いよう。
鍛錬を怠らず、切れ味の鈍ることの無いよう。
敵を退け、弱きを守れ。
それではまた明日、いつもの放送で。
—よろずやFM・午後の生放送、公開収録はこれにて終了となります。
—忘れ物に気をつけてお帰りください。
「ラジオ放送も無事終わった。後は俺たちに任せてくれ」
「ああ、ありがとう。それからいつもの縁起物と—この季語も」
「おっ、いいだろそれ?イベント案内の時の五月雨が尋常じゃなく緊張してたからさ、なんか季節感のあるものでも見せたら気紛らわしにならないかって、隊員全員で私物から探してさ」
「……紫陽花に雨傘を差した姿絵となると、やや季節が違うような気もするが」
「あ〜、五月雨も最初は真顔のままそう言ってた。でもそこに村雲が『今日は晴れだからこれはきっと日傘だ』って言ってくれて、『日傘なら夏の季語です!』ってなって」
「それでいいのか」
「よかったらしい」
「こういった初々しい話を聞くと、俺も初心を思い出すよ」
「そら、本歌、あんたの珈琲が来たぞ」
「待っていたよ。……ああ、仕事終わりのこの一杯のおかげで話し切れる」
「何よりだ。今後もご贔屓に。—そうだ、今日の打ち上げだが」
「また喫茶店か定食屋かでやると言っていたね?」
「会場は定食屋だが、急遽うちの燭台切と定食屋の歌仙が、ラタトゥイユパスタと夏野菜そうめん定食の食べ比べ会を開催するとかで」
「それは豪勢な……何割同じなんだろうね」
「楽しみだな」
—よろずやFM・午後の生放送、公開収録は終了しました。
ーーー以下あとがきーーー
7/12に自主開催した個人Webイベント「待たせたな、放送だ!」
"私オンリー"ともいうべき謎の個人イベントにも関わらず、閲覧・ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
みなさまに見守っていただけたおかげでなんとか1日やりきれました。
本人が観測できる限りでは、いつも応援してくださる皆様がいつも通り、そしていつも以上に、あたたかく応援してくださったなという印象です。いつも本当にありがとうございます。
この収録も、よろずや男士シリーズがお好きな方に喜んでいただける内容になっていますように。
今回はラジオ本放送の日によせた催しということで、できるだけ全番組のパーソナリティに出番を用意したく、
事前のご案内→「GOGOラジオ」の江のメンバー
新刊→「ちょうぎちゃんラジオ」
当日収録→「よろずやFM」(万屋の長義くん)
と分担した次第です。
今回のおたよりMVPは……どれも楽しかったので選べませんが、完全に私情で決めると「そうめんが流行っています」の方です。一緒におすすめのそうめんアレンジを添えてくださったため、私はそのあとスーパーに買い出しに行き、ツナ缶のせ麺を4回くらい食べました。イベントの対応で忙しい中、美味しくてボリュームのある食事ができましたので、大変ありがたかったです。
他にもおいしい食べ物がたくさん出てくる収録でしたので、リスナーの皆様も夏バテに負けずたくさん食べましょう。
よろずや男士シリーズは特別な機会を除いて読者の方からのネタ募集は基本していませんが※、たまにこうしておたよりが届くまま書いているととても楽しいので、また年一くらいのペースで不定期にやりたいと思います。
※私の中で決まっている未出の既存設定と噛み合わない、よくある二次設定だけど私の解釈と絶妙に違う、本編ではおたよりを「よろずや男士らしい」方向性に意識して寄せないと別の方のめちゃめちゃ素敵なシリーズと芸風が被りかねない……など、いろいろな理由で採用が難しい場合の方が多いためです。ご了承ください。
「刀剣男士とラジオアンソロジー」の第二弾もいずれやりたい気持ちが気持ちだけありますので、次回があったら参加したいという方はこっそりお知らせください。