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Mission

全体公開 TF 18 6511文字
2025-07-21 19:31:36

リクエストありがとうございました! 「TFoneのサウンドウェーブとショックウェーブのコンビとして活動しているかっこいい姿を盛り込んだお話」になります!

※当方ごりごりの右固定廚なものでメガ受けが含まれないと上手く書けないため、W波→メガ風味となっております。W波からの→は恋愛感情というより忠誠心的な意味合いが大きいです。

Mission

クインテッサが送り込んできた歩兵が湧き出る輸送機。上空の母艦から降りてきたそれらを岩陰から観察しながら、隙を見てレーザー銃を照射する。攻撃するでもなく、ポインターが輸送機の頭の先から船尾までを撫でると即座に影に身を隠す。

「こちらショックウェーブ、ポイントδに到着。スキャンデータを送る」
『こちらサウンドウェーブ。データ受信。……やはり中にはおられない』
……ということは」
『既に本艦に移されているのだろう。スタースクリームが陽動を継続中だが、隊列が乱れている。長くは持たないだろうな』

数時間前、クインテッサとの交戦中にメガトロンの消息が途絶えた。
最後の信号を追えば、彼は単身でクインテッサの分隊と鉢合わせたらしい。慌てて現場に急行したものの、既にそこにはメガトロンの姿は当然、クインテッサの影一つ残ってはいなかった。地面に残された跡から近くに小型艇が停まっていたことが推測され──状況を見れば答えは一つ。


メガトロンがクインテッサに捕まった。


にわかには信じ難いが、それでも。数の力がどれほどのものか、親衛隊は身に染みて理解している。あのプライム達ですら、圧倒的な数のクインテッサの雑兵相手に後れを取ったことなど一度や二度ではないのだから。
即座に救出作戦が立案されたものの、運悪くここでオートボットが介入してきた。メガトロン不在を悟らせるわけにもいかず、スタースクリームが部隊を率いて前線に出て陽動に回っているが、奴の焦燥が手に取ってわかるような醜態を晒している。
それでも撃墜だけは免れているのは、サイバトロン星最速の矜持故か。これではディセプティコンの異常に気付かれるのも時間の問題だろう。

表では全ディセプティコンが陽動に回り、裏ではショックウェーブとサウンドウェーブがメガトロン救出に動く。
作戦としては心許なく、本来であればメガトロン救出に戦力を裂きたいところだが、こちらの劣勢を悟らせるわけにもいかず苦肉の策でこの布陣が決められた。何よりも、早く動かなければ手遅れになってしまう。

50サイクル。
それだけの長きに渡り求めてきた灯を、我らの救いの光を、ここで失うわけにはいかないのだ。
ただ救い出すだけならば全軍でクインテッサの母艦を襲えば、今すぐにでも彼の奪還は成し得るだろう。だがそれには、相応の犠牲を出してしまう。そうなればディセプティコンの建て直しには一体どれほどの時間を要する?
本来の彼の敵であるオートボットへの、プライムへの抵抗力が失われるなどあってはならない。
彼に救われたディセプティコンが、彼の望みを潰すなど、腹を切っても詫びにもならない愚行だろう。

最小限の損害のみで彼を取り戻す。
その為の手段は選んでいる暇はない。

『ショックウェーブ、作戦変更だ。当初の予定通り俺も出る。座標を送る。そこで合流するぞ』
「了解」

普段の口数の少なさが考えられないような矢継ぎ早の通信に、サウンドウェーブもまた焦りを隠しきれていないことが伺えた。通信が切れると同時、送られてきた座標を確認しショックウェーブは即座にその場を離脱する。クインテッサを前に何もできずに背を向けるのは歯がゆいが、背に腹は代えられない。

合流後、二機は戦線から離れた場所に停泊した輸送機に当たりを付け、陰から様子を伺う。地上での異常に気付かれてしまえば作戦は失敗するが、時間を掛けてもいられない。
目配せと共にまずはサウンドウェーブが飛び出しビークルに変形すると同時、クインテッサ用に調整した高周波のノイズを大音響で響かせる。指向性を持たせたその音は無暗に拡散されることはなく、輸送機周辺のクインテッサのみの動きを止める。
即座に続いたショックウェーブが投げたスタングレネード。高電圧を撒き散らすそれに声もなく感電し倒れていく雑兵を一瞥することもなく、二機は輸送機に侵入すると中に残っていた兵士を手早く片付けた。

「動かせそうか?」
「誰に物を言っている」

コンソールに向かったサウンドウェーブに声を掛ければ返事と共に輸送機が動き出す。周囲を確認するが他のクインテッサはまだ異常に気付いていないらしい。これならば、母艦への侵入までは問題ないだろう。

「メガトロン様の居場所は?」
「目星はついた。艦内のシステムに侵入できれば正確な位置の特定も可能だが……
「よし。俺が時間を稼ぐ。艦につけたらお前はシステムに侵入できる場所を探せ」

異常を悟られぬように速度を抑えて帰還する航路にもどかしさを感じながらも、デッキに到着したことに緊張感を高めていく。たった二機でクインテッサの母艦に侵入するなど、正気の沙汰ではないだろう。

帰還したにも関わらず、姿を見せぬ兵士を訝しんだのか周囲のクインテッサが集まって来る。武器を構え覚悟を決めると輸送機の扉ごとショックウェーブがクインテッサを吹き飛ばす。道を開けた瞬間飛び出したサウンドウェーブが艦内のコンソールにコードを繋げたのを横目に、ショックウェーブは周囲のクインテッサを払いながらサウンドウェーブへの道を塞ぐ。既に艦内の警報は切っているのか、増援が来る気配がないがここで時間を掛けてはいられない。

「ショックウェーブ!」
「了解」

まだ終わらないのかと悪態をつく寸前に、かけられた声と共にトランスフォームし飛び立てば、既に先を飛んでいたサウンドウェーブが速度を上げて通路に入る。本来であれば自殺行為のような狭い通路での飛行も、彼らにとっては造作もない。最速の座こそスタースクリームに譲ってはいるが、参謀職は伊達ではない。かつてプライムの背を追い空を駆け抜けた技術は今も尚、微塵も衰えぬどころか彼の為に磨き続けている。
風切音を響かせて、重力を忘れ稲妻じみた軌道を描いて駆け抜ける。曲芸じみた飛行技術も、度重なる戦争に随分と慣れたものだ。

サウンドウェーブが見つけ出したメガトロンの居場所は、監房などではなかった。むしろそれよりも酷い。
彼が連れていかれたのは奴らの研究室の一角。プライムのコグか、それとも彼自身を求めているのか。いずれにせよ、あの気色の悪い有機生命体の触手があの方に触れるなど、許されるものではないだろう。

「メガトロン様ッ!!」

目当ての部屋を見つけ、揃って速度を上げる。空中でトランスフォームし着地の勢いで扉を蹴り破る。間に合っているはずだと言い聞かせながら、一刻一秒でも早く、彼の無事を確認せねば気が済まなかった。

「遅かったな、お前達」

蹴り破った扉の先で、足を組んで実験台に腰掛けていたメガトロンは傍らの壊れた機材から伸びたコードを弄って暇潰しに興じていた。
床一面どころか天井にまでこびりついたクインテッサの汚物からはぽたぽたと体液を滴らせ、彼の機体は両手を中心にクインテッサの体液に塗れている。拘束具と思われる手錠にベルトは全て引き千切られて床に転がっていた。同じように転がっているクインテッサの残骸は、まさか素手で引き裂いたのか。原型を留めている個体は一匹もいない。何匹いたのかすら定かではない程に、千切られ、突き破られて、すり潰されている。
惨状の中心で、彼は変わらぬ佇まいで二機の参謀を見上げて笑った。

「「…………」」

呆気にとられながらも怪我一つない様子に安堵して、二機は漸く緊張を解くと辺りを漁って見つけた清潔な布でメガトロンの機体についた汚れを拭い、怪我がないかを入念に確かめる。

「ご無事で何よりです、メガトロン様」
「お迎えが遅くなり申し訳ございません。すぐに脱出しましょう」

あらかたの汚れを拭き取り、まだなんとか生きているコンピューターをハッキングし、本当に何事もないことを確かめる。予定されていた実験内容のおぞましさにサウンドウェーブはバイザーの下で顔を顰めるものの、未遂で終わったことに改めて安堵の息を漏らした。
一秒でも早くこの部屋を出よう、と傍らのショックウェーブに目配せしメガトロンの手を取るものの、立ち上がった彼は怪訝そうに首を傾げる。

「脱出? 何を言っている。何のために俺がお前達を待っていたと思ってるんだ」
「は……
「墜とすぞ、この艦」

困惑する二機を振り返り、なんて事の無いように告げられた言葉を何度も反芻する。
今、この方はなんと言ったのだろう?
墜とす? この艦を?
クインテッサが何千匹も蠢いているこの艦を、彼らだけで?

「はあ!? メガトロン様、なにを──ここに来ているのは我々しかおりません、戦力が……
「足りるだろう? サウンドウェーブ。動力部への最短経路はわかるか」
「は、艦内図は全て把握しております。しかし……
「サウンドウェーブ。この艦のコントロールを奪え。ショックウェーブ。お前は最短経路で動力部に向かい破壊しろ。その間、艦内のクインテッサは俺が相手をする。ある程度暴れて火でも付いたら墜とせばいい。後は勝手に自爆してくれるだろう」

たった三機で、自らを囮に戦艦を墜とすと宣う主に言葉が出ない。確かに、彼らならばやってやれないことは無いだろう。配役も、これ以上に無いほど適材適所。だが、それでも主を最も危険な役に付かせるなど了承できるはずがない。
だと言うのに。

「なんだ。できないのか?」

つまらなそうに、残念だとばかりにため息をつく主を前に、落胆させたままにするわけにもいかないだろう。プライムの親衛隊としての矜持とて捨てたわけではないのだから。
主の望み一つ叶えられずに参謀を名乗るなど烏滸がましいにも程がある。

「「貴方がお望みならば如何様にも」」
「それでこそ」

声を揃えて傅く二機を前に、メガトロンは満足そうに笑みを見せる。
向けられる信頼に、スパークが高鳴った。



『ショックウェーブ、次の道を右だ。迂回路になるが敵兵との衝突を避けられる。メガトロン様、そちらに一個小隊が向かっております。雑兵の群れですが、挟撃の形になる。ご注意ください』

捕まえた実験体が逃げた、とクインテッサの兵隊が艦内を慌ただしく蠢きだす。敢えてカノン砲は使わず引き付けるように蹂躙を始めるメガトロンは流石と言うべきか。押し寄せてくる数をものともしない。
ショックウェーブは順調に動力部へと向かっており、道中の工作もぬかりはない。
裏ではサウンドウェーブが艦のコントロールを奪取し、気付かれる前にまずは奴らの脱出口を塞ぎ動力部までの道を開けるよう誘導していく。コントロールが利かないと気づいた頃には手遅れだろう。
全ての準備を終わらせて、メガトロンへと合図を送る。

「ディセプティコン! ──Rise up!!」

融合カノン砲が火を噴いて、戦艦どころか天を貫き高らかに宣言された声に二機が動く。
動力室に加えて道中仕掛けられた爆弾が一斉に起爆され、燃え上がる燃料に制御を失くす艦に瞬く間に作り上げられる阿鼻叫喚。
逃げ惑う兵士をカノン砲で薙ぎ払い、戦車にトランスフォームしたメガトロンが駆け出した。

内側から焼き尽くす炎から逃げるように、ショックウェーブとサウンドウェーブもまた予め確保していた脱出経路で落ち合うが、メガトロンの姿がない。
探しに戻るかと躊躇するものの、直後響いてきた砲撃音に二機は一瞬のアイコンタクトと共に外へと飛び出した。
墜ちる戦艦の周囲を飛びながら、最短経路で艦橋を目指す。彼が居るのならばそこしかない。確実にクインテッサを殺すために、彼は指揮官の首を獲りに行ったのだ。

連鎖する爆発についに艦が耐え切れず、内側から膨れ上がり爆散すると共に破片を撒き散らかして墜落していく。艦橋ごと吹き飛び堕ちていくのを見て追いかけるが、木っ端と降り注ぐ破片にクインテッサ共の残骸が進路を塞ぐ。機体にぶつかる残骸に傷が増えて行くが構うものかと揃って速度を上げた。

墜落に等しい速度で追い縋り、爆炎から飛び出す白銀の戦車に翼が軋むのも無視して方向を転換し、ショックウェーブが戦車の下へと機体を滑り込ませる。翼に乗った重みに僅かにバランスを崩すものの、意地で持ちこたえると岩壁にぶつからないようにと向きを変える。そのまま再び跳ぶ戦車に体勢を崩すが役割は果たした。即座にサウンドウェーブが同じく彼の下へと駆け付けるのを確認し、安堵と共にその場を離れる。
二機の戦闘機を踏み台に、衝撃を緩和しながらも派手に土煙を上げ地面に降り立った戦車を追いかけ着地する。

「メガトロン様! お怪我は……
「問題ない」

あの高度から落下しては無傷ではいられない。衝撃を緩和したとは言え限度がある。彼の機体についた傷に慌てて駆け寄るが、彼はなんて事の無いように立ちあがり手足の動きを確認していた。

爆散する戦艦には最早興味を失くしたのか、メガトロンは堕ちる戦艦を呆然と見上げるオートボットにディセプティコンの部隊へと視線を向けた。消耗の激しいシーカーズを一瞥し、仕方ないとばかりに口を開く。

「ディセプティコン! クインテッサの艦は墜とした! 撤退だ!!」

変わらぬ白銀の威光を前に漸くシーカーズも落ち着いたのか。先程までの醜態を忘れたかのように一斉に飛び上がり一糸乱れぬ編隊を組み上げ基地へと向かう様は圧巻だろう。空を覆い尽くす戦闘機が、この惑星の空の支配者を見せつける。

「帰るぞ」
「了解」

最後までこちらを見上げるプライムの視線にメガトロンもまた殺意を込めた視線を返し、やがて飽きたと言わんばかりに踵を返す。揺るぎの無い足取りに二機も続く。

「お疲れでしょうが、帰還後はまずは洗浄と、メディカルチェックをお受けくださいメガトロン様」
「ああ。お前達もよくやった」
「暫くはクインテッサも手を引くでしょう。充分に休養をとられますよう」
「考えておく」

淡々と答えられる声に、この様子ではどれだけ彼らが心配していたのかもわかっていないらしいと肩を竦める。どうにも彼は自らを危険に晒す悪癖があるらしい。

「メガトロン様、今後はあまりこのような無茶をなさらないでください。御身に何かあっては事です」
「今回こそはご無事に終わりましたが、いつも上手くいくとは限りません。万が一ということもあります」
……おかしなことを言う。そうならないためにお前達がいるのだろう?」

小言にはうんざりだ、と言わんばかりの呆れた声音で、振り返ったメガトロンは悪戯に微笑む。

「ありえない仮定は無意味だと、お前達が教えてくれたのだろう。万が一などあり得ない。お前達が、許さない。違うのか」
「それは──」
「俺に死なれたくないのなら、死なせなければいい」

これからも無茶を続けるから、心配だと言うならお前達がついて来い、と。そう笑って再び歩き出す背を見つめることしかできない。自らの命を預けると言う絶対の信頼に、従者としてこれ以上の喜びがあるのだろうか。

……サウンドウェーブ。俺達どうやらとんでもない方を主にしたらしいぞ」
「同意。だが悪くない」

視線の先では降りてきたスタースクリームにどやされながら、鬱陶しいとばかりに無視して歩く白銀の背中。この調子ではこの先一体どれほど苦労することになるのか、計り知れない。
が、それも悪くないだろう。彼と共に歩むこの道は、かつての栄光が霞む程の物になるのだろうと予感した。どれほどの修羅の道であろうとも、あの白銀は変わらず往くべき道を照らしてくれるのだろう。
我らの救いの光が翳らぬように。彼と共に歩み続けるためにも、二人は顔を見合わせ彼らの後を追っていく。

騒ぎ過ぎたスタースクリームが殴り飛ばされる姿には、声を上げて笑ってしまった。


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