@tirichann
風呂やご飯を終えてベッドに入ろうとすると、既に先客がいた。南雲だ。殺し屋の学生らしいのだから、どうして私の部屋に悟られずに入ることができたのかと尋ねるのは無意味だろう。我が物顔でベッドに横たわる南雲に、私は質問を投げかける。
「何してるの?」
「仮眠の練習だよ。殺し屋はいつ睡眠をとっておかなきゃいけなくなるかわからないからね」
南雲は得意げに言った。南雲なら既に睡眠をコントロールすることくらいできてしまいそうなものだが、そういう設定だと思うことにする。要するに、ただ私に会いに来たのだろう。
「名前ちゃんと一緒だと一番落ち着かないから、これで寝れたらどこでも寝れると思って」
南雲は子供っぽい目で私を見上げた。事実上の告白宣言だ。私が好きだから一緒にいると落ち着かないと言われているに等しい。でも南雲は付き合ってほしいなどの決定的な言葉は言わなかった。片想いをしている今の状態を楽しんでいるのだろう。南雲に進展させる気がないならば、私も南雲に構ってやるつもりはない。
「あ、そ」
私は無理やりベッドに入った。南雲がいて狭かったが、眠れなくはない。ふと横を見ると、南雲は既に爆睡していた。曲がりなりにも好きな人と同じベッドにいるのだからもう少し緊張しろと思うが、それでは私も南雲を好きみたいなのでやめた。結局私も爆睡し、翌朝は二人揃っていい目覚めだった。私を置いて勝手に出て行かない南雲のことは、少し見直した。