@tirichann
玉狛支部では基本捕虜を一人にしないことになっている。私がいたところでヒュースに襲い掛かられたら勝てる気がしないのだけど、今日は私がヒュースと留守番をしていた。おやつにはレイジさんがすいかを用意してくれている。私が出してやると、ヒュースは偉そうに腕を組んで「食べてやる」と言った。時折思うが、ヒュースに捕虜の自覚はあるのだろうか。
アフトクラトルにすいかはないのか、ヒュースは先程から種をそのまま食べてしまっている。
「すいかの種食べたらお腹から芽が生えてくるかもよ」
そう言う私も一つ食べてしまった。しかしこの生意気な捕虜をからかえるならいいだろう。私はお腹を押さえてみせる。まるで今からすいかが生えてくるとでも言うように。
「何だと? 吐け!」
ヒュースは想像以上の動揺を見せた。自分が吐き出すのではなく、私にまず吐き出させたいらしい。毒を飲んだ時の救助方法でも習っているのか、ヒュースの嘔吐のさせ方は本格的だ。私の口に指を突っ込み、背を屈ませる。
「ちょ、まって」
「いいから吐け」
口の中に指を入れられ、生理的な涙が浮かぶ。眉は下がり、目の焦点は合っていない。私は男の人に見せられるような顔をしているだろうか。多分、はたから見たらアへ顔みたいになっているだろう。
タイミング悪く、そこに小南が帰ってきた。涙を浮かべている私を見て、小南は血相を抱えて近寄る。
「何やってんの!?」
小南のことだから、性的に襲われているのではなく暴力を振るわれていると思ったと思う。しかしその勘違いも無駄にしてしまうほど、ヒュースは決定的なことを言った。
「こいつの腹の中に命がある」
「は!?」
小南はきっとヒュースが私を孕ませたと勘違いしている。訂正しようにも、口を封じられている状態では何もできない。
「は、が、」
涙目で訴える私に何を思ったのか、小南は「大変!」と言って出て行ってしまった。ものすごく面倒なことになってしまった気がする。これも全部、ヒュースをからかおうとした
私の自業自得なのだろうか。